「マジでスゲェーな。しまりんのバイク……」
「うん。色々試乗してこだわったんだ。」
「なんて、バイクなの?」
「YZF-R3…… ヤマハのバイク。」
「めっちゃ速そうやー」
「これで千代さんのに着いて行ける。」
「色も良いッスよね。なんて言うんですか?」
「シアンメタリックだったかな?」
「志摩先輩が以前乗ってた原付とも近い感じですよね? あちらにはもう乗らないんですか?」
「原付も乗るよ。通学とかバイト、近場はビーノ…… 遠方はコイツを中心に攻めようかと思う。」
「なるほど……」
「こういうの適材適所って、言うんだよね?リンちゃん!」
「そうだな。」
夢中になって自慢していると、見回りをしていた千代さんがやって来た。
「おーーい。朝礼が始まるよー 教室に行きなさーい。」
「ウェッ!!? マジじゃん! お前ら、急げ!」
千明が時間を確認していると、朝礼が始まる予鈴のチャイムが鳴る。
これが鳴れば、五分後には朝礼が始まってしまう。
「みんな、このままじゃ遅刻扱いになっちまうぞ! 急げぇー!」
「「「「「うわぁーーー!」」」」」
蜘蛛の子を散らすように、千明たちはそれぞれの教室に走っていった。
「廊下は走っちゃダメだぞー」
千代さんがみんなに呼び掛けている。
私はちゃんとスタンドなどを確認してから、自分の教室へと向かいます。
「千代さん、いってきます。」
「はい、がんばってね。」
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放課後…… 野クルメンバーが視聴覚室に集まる。
「はいっ!と言うわけで、昨日我らがしまりんが、新しいバイクを納車しました! はくしゅー!」
「「「「「おおおーー!」」」」」
「なんか照れるな……////」
「昨日の納車の様子を自分が撮影して、徹夜で編集してきたから、上映会をします。」
「「「「「イェーーイ!」」」」」
「じゃあ、鳥羽先生…… ヨロシクお願いします。」
「りょーかいでーす。」
鳥羽先生が機材を扱うと、プロジェクターを通して、スクリーンに映像が映しだされた。
まずは俺が志摩さんを迎えに行くシーンから始まり、今回の趣旨を話す。
そして、志摩さんとタンデムして代理店に向かった。その時の会話もバッチシ撮れている。
「千代さん、こんなところも撮ってたんですか?」
「もちのロン。」
「リンと千代さん、ラブラブやねー」
「だよね?妬いちゃうよ。私、まだ千代さんの後ろに乗ったことないんだもん……」
「アタシも!」
「ウチもや。」
「私は何度か乗せてもらったことあるよ~♪」
「私も乗ってみたいッス! 絵真もそう思うよね?」
「うん! うん!」
「この中で一番乗ってるの、やっぱ、リンだよねー?」
「だな。」
「やっぱリンちゃんや。」
「アオイ、なんだよそれ……」
「やっぱリン♪」
「あらあら。二人とも相変わらず、人気者ですね? フフ……♪」
他には志摩さんのインタビューやバイク紹介、走行シーンなど見せた。
「いやー! 我ながら完璧だった。」
「リンちゃん、カッコ良かった~♪」
「だね~♪」
「このまま、YouTubeに投稿してみようかな……」
「それだけは絶対にやめて下さい。」
断られてしまった。
そんなこんなで上映会は終わり、今日の野クルの活動はお開きとなった。
その日の夜…… 時間は19時。
一人自宅でのんびりしていた。ちなみに桜さんは夜勤バイトだという。
「あー 寂しい。 久しぶりに一人だ……」
寂しさを誤魔化すために、ノートPCとにらめっこをしていた。
パソコン作業を始めて、1時間半が過ぎた頃……
俺のスマホが鳴る。
「ん? 誰だ? 桜さんか?」
と確認してみると、画面には『娘(たきなちゃん)』の表示が……
「たきなちゃんからだ…… もしもし? 久しぶりだね。 」
『こ、こんばんは。お久しぶりです。』
「どう? そっちは? 困ったことない?」
『こっちは大丈夫です。 みんな良くしてもらっていますし、楽しくやってます。』
「そっか…… 良かった。」
『あの、それで……』
「どうしたの?」
『 今度の週末、千代さんのウチに泊まりに来ても良いですか?』
「え? あ、うん、良いよ。遊びにおいで。桜さんもきっと喜ぶから。」
『ありがとうございます!』
電話が切れた。たきなちゃん、嬉しそうだったな。
「今週末か…… 楽しみだ。」
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金曜日になった。夕方の18時30分……
俺は最寄りの駅に向かう。
「もう、そろそろか……」
腕時計で確認した。
時を同じくして…… 「千代さーん。」
俺の名を呼ぶ声。
「たきなちゃん。と千束ちゃん……?」
たきなちゃんと一緒に現れたのは、彼女の相棒 兼 親友の錦木千束ちゃんだった。
「たきな! これ持ってて!」
「えッ!!? ちょ! 千束ぉッ!!?」
俺を見つけた千束ちゃん。
たきなちゃんに自身の荷物を預けると、いの一番に俺の胸に飛び込んで来た。
「久しぶり~ッ♪」
「おっと!」
「千束ぉ! そもそも千代さんは私と会う約束をしてたんですよ! それに、半ば無理やり着いてきてぇ……! 離・れ・な・さ・い!」
出遅れたたきなちゃんは、大胆な千束ちゃんにやきもちをやき、頬を膨らませている。尊い…… 尊過ぎて死んでも良い。
「い・や・だ ー!」
二人で俺を取り合う。
嬉しいことだが、仲が悪くなるのは悲しいことだ。
「こらこら。ケンカはダメだぞー」
見かねて仲裁に入る。
「二人とも相変わらず、仲が良いねい♪」
そう茶化すのは、なでしこちゃん。
お迎えに着いてきたのだ。
「おほー!なでしこちゃん!」
「お久しぶりです……!」
「久しぶり~♪」
二人を車に乗せて、俺はとある場所に向かう。
車を運転すること数分…… 目的の場所に着いた。
「ここは……」
「私の家だよー♪ この間は、ゆっくり出来なかったからねぇ…… お父さんとお母さんも、二人とお話したいって♪」
「そうなんですね。」
「お母さんとお姉ちゃんが、晩御飯、いっぱい作ってくれてるよー♪」
車から降り、俺は二人の荷物を預かる。
「楽しみだね? たきな!」
「はい。 でも少し緊張してます……」
「フフ。 深呼吸だよ。」
たきなちゃんはアドバイス通りに深呼吸をした。
すぅーはぁー、すぅーはぁー、すぅーはぁー
すぅーはぁー、すぅーはぁー、すぅーはぁー
「ちょっと過剰じゃない?」
「ただいまー!」
「お邪魔しまーす!」
「お邪魔します……」
「二人をお連れしました。」
「いらっしゃい!」
「ようこそ。我が家へ。」
「ゆっくりしていってね。」
各務原家のみんなが二人を温かく出迎えてくれた。
テーブルにはたくさんの料理が並んでいる。
品数もだが、量も凄まじい。健啖家一家だとしても、見た目がエグい…… お義父さんとなでしこちゃんに合わせているのだろう。
「さあ、席に着いてくれ。」
「では、いただきましょうか。」
「「いただきまーす!」」
「「「いただきます。」」」
みんなが思い思いの料理に箸をつけ、口に運ぶ。
「うまーー!」
「おいひい……!」
「でしょ~?お母さんとお姉ちゃんの料理は世界一なんだよぉー♪」
「だな。」「ですね。」
「二人は普段、一緒に住んでるの?」
「はい。ルームシェアと言うことで……」
「家事も分担?」
「はい。基本的には……」
「なんか、歯切れが悪いね。」
「料理に関しては、私がずっとやってます。」
「なんで? 千束ちゃん、料理苦手なの?」
なでしこちゃんが聴く。
「別に苦手ってワケじゃないよー ただ面倒なんだよねぇー」
「毎回、出来合いの惣菜ばかりで……」
「飽きたのね……」
食後は一家団欒の時間となった。
「お義父さん、お義母さん。この間話したように、桜さんと結婚したら、彼女…… たきなちゃんを娘として迎えようと思います。」
俺はたきなちゃんと知り合った経緯を話し、桜さんと彼女の両親に二人の思いと決心を伝える。
「そうか…… 」
「桜も良いのね。」
「もちろんよ…… 私も千代さんやたきなちゃんから話を聞いて覚悟はしてるわ。」
なでしこちゃん、千束ちゃんも固唾を飲んで見守っていた。
「分かった。三人で幸せになりなさい。」
「たきなちゃん、二人をヨロシクお願いします。」
「やったー!」
「良かったね。たきな!」
「はい。これからヨロシクお願いします。」
「ヨシ! たきなちゃんは、野咲家の一員になるんだ。その証を授けよう。」
「証?…… ですか?」
「ああ!えい!」
俺自身のチャームポイントである。左目じりの泣きぼくろを取ってたきなちゃんの右の目じりに付けて上げた。
「すごーい! たきなに泣きぼくろがついてる!」
「ホクロを自由に取り付けできるって、千代さんのホクロ、なんてご都合主義……」
「桜さんも欲しければあげるよ? もう一つあるからね。」
「か、考えておきます。」
「あとは養子縁組の手続きとかあるけど、家族で頑張ろうね!」
「そうねぇ じゃー これからは私のことはお母さんって呼んでくれるのね?」
「え……」
「じゃー 俺はお父さんだな。」
「私はおじいちゃんか。」
「私はおばあちゃんね。」
「じゃー 私はぁー 」
「なでしこちゃんから見て、たきなちゃんは姪になるから、伯母さんになるね?」
「私、おばさんになるの……?」
「そうよ。アンタは伯母さん。」
「じゃあ、私はお姉さんになるだね♪」
「千束は千束です。それ以上でも、以下でもありませんよ!」
「別に良いじゃーん。」
本当に楽しいひとときだった。
その日は各務原家にお世話になり、朝ご飯までをご馳走になって、俺の自宅に移動した。
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「今日はこれから、私の友達が来るんだよー」
「「おーー」」
「そうなのッ?」
「うん! 昨日、LINEで連絡したんだぁー♪」
「アンタはまた…… はぁー」
なでしこちゃんは良く桜さんを振り回す。
そして、彼女が頭を抱えるまでがデフォだ。
30分ほど経った。
家のインターホンが鳴る。
「いらっしゃい。」
玄関のドアを開けると、玄関先に野クルのメンバーが立っていた。
「「「「お邪魔しまーす。」」」」
ゾロゾロとみんながウチに上がる。
「おー なでしこ、来たぞー」
「いらっしゃーい。」
「アンタは何様なのよ。」
「ハハハ…… まあ、ゆっくりしていって。」
「千代さん。そちらの二人が……」
「私は錦木千束。」
「井ノ上たきなです。」
「ヨロシクー!」「ヨロシクお願いします。」
「千束さん、たきなさん、お久しぶりです。」
「おー リンちゃん!久しぶりだねー!」
「お久しぶりです。」
互いに自己紹介を済まし、煎れたお茶とお茶うけで話が弾む。
「そう言えば、彼女…… たきなちゃん。自分の娘になったから。」
「「「「な、なんだってぇー!」」」」
「なんやねん! えらい、唐突やな!」
「アタシ、そんなこと一言も聞いてないぞ。」
「まあ、自分と桜さん、たきなちゃんの間での話しだからね……」
「私とリンちゃんは、ゴールデンウィークの時に知ってたよ。」
「それでも、少しぐらいは教えてくれたら、良かったのに……」
と話していたら、なでしこちゃんのスマホが鳴った。相手は土岐綾乃ちゃんらしい。
「うん、うん…… わかったー」
電話を切ったなでしこちゃんが俺を呼ぶ。
「千代さーん。 もうすぐ、アヤちゃんとバイク部のみんなが来るって……!」
「はい?」
次回に続く。
たきなちゃん。野咲家の一員となりました。
ご都合主義の泣きぼくろも贈呈です。
なんか千代さんの自宅、凄いことになってます。
ご感想お待ちしております。
しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。
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賛成。
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反対。