おじキャン△   作:Shin-メン

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千代さんの自宅が、女の子でごった返しています。


大集合。後編

「なんか凄いことになったな……」

 

今、俺の自宅は、なでしこちゃんによって集められた女子高生たちによって、アホみたいにごった返している。

名刺交換のごとき様相で、みんなしてLINEアカウントの交換をしていた。さすがJK……

 

「すみません! すみません! ホンっ!トーーに、このバカが迷惑かけて、すみませんッ!」

 

なでしこちゃんの頭を押さえて、桜さんが俺にずっと謝ってる。

 

「お姉ちゃーん! 痛いよー!」

 

「うっさい!」

 

「大丈夫、本当に大丈夫だから……」

 

なんだか俺も申し訳なくなってきて、彼女をなだめる事しかできない。

 

「賑やかで良いじゃない。みんな仲良くしてくれてるみたいだし……」

 

俺の目はおじいちゃんのようになっていた。

 

「そうですか……」

 

「さすが!お兄ちゃん!カッコいい!」

 

「調子に乗んな……!」

 

ぽかっ…… !「あいた!」

 

「アハハ……」

 

いろんな人と出会って、輪が広がり、いろんな人が訪ねてくれるようになって、俺の家にはおもてなしセットが充実してきた。

現にみんなが不自由なく過ごせている。

 

「へぇー 羽音ちゃん、レースに出るの?」

 

「そうなんだよー」

 

「スゴいじゃーん。」

 

志摩さんと綾乃ちゃんが、バイク部の佐倉羽音ちゃんとそんな話をしていた。

 

「どんな大会なんですか? 」

 

「たきなちゃん、興味あるんか?」

 

「まあ、私とたきなも免許持ってるからねぇー」

 

「すっごーい。」

 

「スーパーリングもてきでミニモトGPの耐久レース! 我が三ノ輪財閥が運営権を取得を記念してのレースなのですわー!」

 

「聖はな? こう見えて、三ノ輪財閥のご令嬢なんだぜ? 凄いだろぉー」

 

「ってことは、聖ちゃんはお金持ちかなんですかい?」

 

「大したことはないですわよ。」

 

「さっき言ったとおりだけど、他にも三重県の鈴鹿にあるサーキット場も聖の家が経営権を持ってるし、通学用に別宅があるぞ。」

 

「しかも、大豪邸なの!」

 

「自分と桜さんがゴールデンウィークの時に使ったホテルも三ノ輪さんの関連企業なんだよね?」

 

「そうですわね。ワタクシのお父様が経営してる会社の孫会社になりますわ。」

 

「なぁー イヌ子、鼻にティッシュ詰めてくれ。」

 

「はいよー」

 

「ふが……ッ!」

 

「あと、三ノ輪先輩のバイクは世界に一台しかないんですよ。」

 

「ドゥカティのパニガーレだよね?」

 

「そうですわ! 三ノ輪財閥の財力にモノを言わせて、さらに技術の粋を詰め込んでいるんですの!」

 

「ちなみにおいくら万円したんッスか……?」

 

「えっと…… 開発費込みで20億くらい掛かってますわね。」

 

莫大な予算に大垣さんが鼻血を噴き出す。

そう思って、野クルのみんなが視線を向けた。

 

「アキちゃんが鼻血出してない。珍しいね……」

 

「恵那ちゃん…… アキはな? あまりに金額が高すぎると逆に鼻血は出んのや。」

 

「へぇー なんか面倒くさいんだね。」

 

「それで? その耐久レース?に、バイク部のみんなは出場するんだよね?」

 

「そうだよー もうエントリーまでしたんだぁ♪ あ、それと千雨ちゃんのお父さんが作ったチームも出るんだ。」

 

「千雨ちゃんは、そのお父さんのバイクチームでは出ないの?」

 

桜さんがおもむろに聞いた。

 

「そ、それは……」

 

言葉につまる千雨ちゃん……

 

「千雨は、チームに入れて貰えなかったんだよ。」

 

「スッゴく速いのにね。」

 

「彼女はミニモトGP 最速の女なのよ。」

 

天野さんを始め、羽音ちゃんや鈴乃木さんが、代わりに言葉を紡ぐ。

シュンとしてる千雨ちゃんに、なにか…… こう来るものがあった。

 

「私には華がないって、お父さんに言われました。」

 

「そんなことないわよ。千雨ちゃんは可愛い。自信を持って良いわよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

桜さんのフォローに笑顔が戻った。

うん、やっぱり笑顔が一番だよね。

 

「それに千雨ちゃんって、リンちゃんやたきなちゃんみたいで、私、スッゴくタイプなの!」

 

「うぇッ!!?」「わ、私もですかッ?」

 

「さあ! 来なさい!」

 

桜さんは三人を囲い込み、まるで猫吸いをするように、彼女たちに顔を埋めている。

 

「はぁ~ 幸せだわぁ~」

 

桜さんの性癖をちょっと知れた。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

「ねぇ、リンちゃん……?」

 

「どうしたの? アヤちゃん?」

 

「私たちも出てみない? 耐久レース?」

 

「アヤちゃん、めっちゃ唐突じゃん。」

 

「せやなー」

 

「いやいや。みんなの応援に行くならともかく、出場だなんて…… 専門の装備に整備士どころか、そもそもバイクが自体がないじゃん。レースには興味あるけど……」

 

「しまりんさん? 今、バイクレースに『興味がある』と言いましたわね?」

 

「ええ、まあ…… バイク乗りなら一度は興味を持つと思いますよ?」

 

「じゃあ、出てみましょうよ。エントリー枠に最後の一枠が空いていますわ。」

 

「いや、だから、そのバイクは……」

 

「ワタクシ、三ノ輪財閥がバイクと一緒に装備もろもろ一式、提供いたしますわ!」

 

「ええー!」

 

「やりぃ~」

 

「ですが、出場するには三人必要ですの。」

 

「リンちゃんとアヤちゃん…… あと一人…… 」

 

なでしこちゃんは残りメンバーのために家の中を見渡す。

 

「私たちはムリやで。なでしこちゃん。」

 

「だよな。」

 

「だって免許も持ってないしね……」

 

「私も乗り方分からないッス。」

 

「私もです。」

 

「だよね~」

 

残念そうにシュンとしている、なでしこちゃん。

 

「私で良ければ、力を貸しますが……」

 

「え? たきなちゃん、良いの?」

 

「はい。私も乗れるので。」

 

「くぅー! 出遅れたぁッ!私もリンちゃんたちと走りたかった……!」

 

「千束は運転、荒いですからね……」

 

「そんなことないぞー!」

 

「ならば、自分が整備を担当しよう。昔から親父とバイクいじりをしてたからね。」

 

「なんか、トントン拍子できたね。」

 

「あとはエントリーするだけですわ。コチラのエントリーシートに記入してくださいな。」

 

三ノ輪さんが、どこからともなく記入用紙を取り出し、志摩さんたちが記入した。

 

「チーム名だって…… アヤちゃんどうしようか?」

 

「チームなら大井川ツーリングした時に決めたじゃん。『孫ライダーズ』!これで決まりっしょ!」

 

「そうだった。私とアヤちゃんのおじいちゃんが乗ってるって、話したもんね。」

 

「そうそう……♪」

 

「あの…… 私にはそのような人はいません。」

 

「「あ……」」

 

「大丈夫だよ、たきなちゃん。俺の娘なんだろう?幸いにも俺の親父がバイク乗ってるし、俺のじいちゃんに当たる人は、バイクとさらにゼロ戦まで乗ってた凄い人なんだ。」

 

「じゃあ……」

 

「たきなちゃんも孫ライダーズに正式加入できます!二人もそれで良いよね?」

 

「もちろん!」「OKです!」

 

たきなちゃんに、やる気がみなぎる。

 

「ありがとうございます! 私、精一杯がんばります!」

 

「その調子です。」

 

「じゃあ、目指すは優勝かな?」

 

「お、でっかく出たな。アヤちゃん……」

 

「リンさん。夢はおっきくても良いんですよ。」

 

「さすが、私の千雨ちゃん! 最速の女は伊達じゃないわね。」

 

「でもな、そう易々とは優勝は譲らねぇよ。そうだろ? 凜?」

 

「そうね。 なにせ私たちには来夢先輩が付いてくれてるから……!」

 

来夢先輩が『そうだ、そうだ』と頷いている。

 

「何を言ってんの? 私たちにはミニモト最速の千雨ちゃんがいるんだよー!」

 

「ええ! それにワタクシたちのバイクは最高のポテンシャルを持っていますのよ!」

 

「出るからには、勝ちは譲りませんよ。」

 

「そうだね。たきなちゃん。」

 

「おじいちゃんちゃんから受け継いだバイク乗りの血ってモンを見せてやります。」

 

『羽音ちゃん、三ノ輪さん、千雨ちゃん』の【ツマサキダチスタイル】

 

『天野さん、鈴乃木さん、来夢先輩』の【ニコイチモーターズ】

 

『志摩さん、綾乃ちゃん、たきなちゃん』の【孫ライダーズ】

 

3組9人の乙女たちがバチバチに相対していた。

これは面白くなってきたぞ……!

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

耐久レース出場が決まってから一週間後、俺は軽トラをレンタルし、レース専用のバイクなどを借りに三ノ輪さんの邸宅へと向かっていた。

 

「千代さん、私たちが乗るバイクって、いったいどんなヤツなんですか?」

 

助手席に座るのは志摩さん。

バイクを早く見たいと言うことで、俺に着いてきたのだ。

 

「志摩さんたちが出るのは、NSFクラス…… その100ccのバイクだよ。 レーサータイプだから、ポジショニングは志摩さんのYZF-R3よりも前傾。自分のロクダボに近いと思う。」

 

「うへぇー 私、大丈夫かな~?」

 

「まあ、レースの時には専用のスーツを着てもらうし、そのスーツがある程度のフォローしてくれから、多少は楽だと思うよ。」

 

「分かりました。」

 

二人で話していると見えて来た。

俺たちが目指していた場所……

 

「あ、あそこかな? 三ノ輪のお宅って……」

 

「入り口デカー」

 

巨大な門に申し訳程度のインターホン…… それを使って、この家の主と連絡を取ると、門がゆっくりと開き、俺たちは中に招き入れられる。

 

「ここ、全部聖さんの家なんでしょうか?」

 

「じゃ、ないかな……? 」

 

あまりの広さに、ちょっと心配になってきた。

 

「ここか……」

 

「ってか、マジでデカ……ッ!!? 」

 

「三ノ輪さん曰く、ここは通学用の家だって……」

 

「マジでどんだけ金あるんだ? あの子……」

 

入り口から入って、敷地内をさらに数分ほど走り、ようやく着いた。

 

「まあ、大井川の時はキャンプ道具をオスプレイ使って空輸してたから、納得しないと。」

 

玄関では三ノ輪さんと執事の早川さん、そしてバイク部が待っていた。

 

「おーす! リンちゃん!」

 

「ようこそ三ノ輪家へ……」

 

「いらっしゃいませ。」

 

挨拶もそこそこに俺と志摩さんは、お借りするバイクを見せてもらった。

 

「これが……」

 

「NSF-100か。予想以上に小さい。」

 

「私のバイクより、一回りくらいですか? 小さいですよね?」

 

「ホイールで比べるとだいたい 3/4の大きさだと思います。」

 

「コチラのバイクの排気量は100cc…… 4ストロークの空冷単気筒ですわね。」

 

「リンさん、どうぞ股がってみて下さい。」

 

「お、おう……」

 

千雨ちゃんに促されるまま、志摩さんが恐る恐るバイクに股がる。

 

「なんじゃこりゃ~! ポジショニングきついとかレベルじゃない……!」

 

「いやいや。もっともっと伏せて。 バイクと一つにならないといけませんよ!」

 

「ひぇ~!」

 

ちっちゃい志摩さんが、さらに小さくなった。

空力を考えないとここまでならないといけないのか…… 凄いな。レーサーは。

 

その後、俺はバイクの整備マニュアルなどを受け取って山梨へと帰った。

 

「どう?志摩さん? やれそう?」

 

「はい。 挑むところですよ!」

 

志摩さんの横顔がカッコ良く見えた。

 

次回に続く。




はい。孫ライダーズ、耐久レース出ます。
おじキャン△の野外活動サークル、野外での活動なら何でもありです。

ご感想お待ちしております。

しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。

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