志摩リンです。
レース前日になりました。
早朝4時半…… 今日は練習走行会があるため、栃木県にある"スーパーリンクもてき"へ前乗りします。
アヤちゃんは前乗りする前から、なでしこの家に泊まっていました。
どういう手を使ったのか、千代さんが陸自から借りてきたトラックで、アヤちゃんと一緒にレースで使うバイクなどの装備も運びます。
ちなみに私とアヤちゃんは荷台に乗せられている。
大丈夫なのか?と聞いたら「大丈夫」と言われたので信用しようと思います。
「じゃあ、桜さんいってきます。」
「いってらっしゃい。気を付けて。」
「なでしこ、向こうで待ってからなー」
「うん! みんなで応援行くからねー♪」
「「待ってるからな~!」」
各務原姉妹に見送られて、私たちは出発です。
途中、東京に立ち寄り、スカイツリーのお膝元にある喫茶リコリコでたきなさんを拾います。
休憩を挟みつつ、目的地に到着した時には朝の9時を回っていました。
「うーん! 着いた~!」
「体がガチガチだよ~!」
「乗り心地は…… まあ、全部は言いません。」
アヤちゃんやたきなさんと、ガチガチになった体を解きほぐします。
「三人ともお疲れさま。」
「千代さんこそ、運転お疲れ様でした。」
みんなで協力してバイクなどを降ろしていると、バイク部もやって来ました。
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合流した私たちは……
「「「「「「うわぁぁぁーーー!」」」」」」
コースを案内するマイクロバスで、ぐちゃぐちゃにチャンプルーされてます。
「はぁーい! ここ! この位置で、グリップに付ける! これが理想的な走行ラインだから!」
「なんちゅー 運転だぁー!」
バスはコースが縦横無尽に駆け巡る。
「コーナーは常にアウトから入りますよー!」
バスに乗る私たちも踏ん張るだけで、いっぱいいっぱいです。
「複合コーナーは次のコーナーと一緒に考えてくださいねぇー!」
「「「「「「うぉぉぉぉーーー!」」」」」」
「なんで、案内走行でドリフトかましてくるんだぁーーッ!」
後ろの席で叫ぶ、千雨ちゃんのツッコミもごもっともだと思う。
「うわぁッ!!?」
バランスを崩した私は、隣に座るたきなさんの胸へと派手に飛び込んでしまいました。
「大丈夫ですか?」
たきなさんが心配してくれます。
「ご、ごめんな………」
謝ろうとした時、バスが急加速しました。
前輪が浮き上がるぐらいの加速です!
「「ぐぅおおおおーーー!」」
全身に掛かる加速度、たきなさんの胸に私の顔が押し付けられる。
「ちょ、リンさ、ン……ッ////」
おふぅ、やわらけぇ~
ラストの直線を猛ダッシュしてからの、バスは急停車して案内走行が終わった。
「「「「「ぐぇぇ~~」」」」」
私を含め、みんなはあり得ない体勢でくたばっていました。
「さ、さすがスピードに全てを捧げたサーキットだ…… 案内のバスとて容赦がない。」
「だよね…… 音紗ちゃん。」
アヤちゃんが力なく答えてる。
「はーい! それじゃあ、20分後に耐久レースの練習走行会を始めるんで、準備してくださーい!」
係員の人に言われ、私たちはフラフラと更衣室へと向かいます。そして私たちは、更衣室でライダースーツへと着替え、ヘルメットを持ってサーキット場に戻りました。
「お、みんな決まってるね。カッコいいじゃん。」
バイクの整備を終えた千代さんがカッコいいと私たちを褒めてくれます。嬉しいな……
「誰が一番ですか?」
「え?……」
アヤちゃんの一言に千代さんの表情が固まる。
「娘の私が一番ですよ。ね?お父さん?」
たきなさんの言葉を皮切りに、私たちは千代さんにグイグイと詰めよります。
「うーん…… 答えづらい事を聴くねぇー ハハハ…… あ、みんな練習が始まるよー!」
千代さんは笑ってはぐらかしてました。
「あ、逃げた……」
「千代さんらしい、ムーヴだねぇ~」
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練習走行が始まった。俺が責任持って整備したバイクは元気に走っている。
「調子良いみたいだな。」
第一走者は綾乃ちゃんが勤めていた。
「アヤちゃん、良い走りしてるなぁー」
「休みになる度、険道や峠を走ってるとか言ってましたし……」
「それにしても、孫ライダーズのゼッケンが1004って……」
「良いじゃないですか。」
「お父さんの名前と一緒です。」
たきなちゃんがニコニコしていた。
綾乃だよー♪ 今は第一走者で走ってるよ。私と一緒に走ってるのは、羽音ちゃんと恩紗ちゃんだね。
「二人ともー!あんまり、遅れんなよー!」
恩紗ちゃんが後ろをチラっと見る。
「う~ん! がんばる~!」
「私だってー」
これが、サーキットかぁ……
一周目を回り、二周目はタイムを計ってくれる。
まあ、軽く流すだけみたい。
「ゴーール……! ってあれ? 前に他の人がいない? もしかして、私がトップ !!?」
と思ったけど……
「うわぁ~ アヤちゃーん! 前に誰もいないよ~! トップを走ってるみたいだよね~!」
羽音ちゃんの声が、後ろから聞こえる。私たちは周回遅れだったみたい。
他の人たちは、もうゴールしてたのか……
ピットに戻ってくると、先に戻っていた恩紗ちゃんに声を掛けられた。
「綾乃、羽音、お疲れー」
「おつかれ~ 恩紗ちゃん、速かったね。」
「いや…… 綾乃と羽音が遅いだけだぞ。」
「アハハ…… やっぱり、そうかぁ~」
「でもよ。本番は明日だ!バッチリ行こうぜぇ!」
「おうよ!」
次はたきなちゃんの番だ。
ピットで彼女と代わり、私は千代さんとリンちゃんのもとに向かいお話します。
「ふぅー 緊張したー」
「綾乃ちゃん、お疲れ様。どうだった?」
「初めてのサーキット…… めっちゃ緊張したけど、楽しかった。バイクって速いんだね。」
「明日のレース本番になったら、もっと白熱するんだよ。アヤちゃん!」
「もちろんだよ。リンちゃん! 本番は限界突破のバリバリ爆走モードで走っちゃうよー!」
アヤちゃんは気合いが入り過ぎて、おかしなテンションになっている。
「ちょっと、落ち着こうねー」
たきなです。第二走者として走ります。
私はこのレースのために、このサーキットを研究してきました。
「もてきは直線と径の小さいコーナーで構成されたストップ & ゴーのサーキット!」
私は巧みにバイクを操ります。
ここはいかに直線で速度を出せるかがカギ!
また第1~4のコーナーは、それぞれ一つのコーナーとして捉えて攻略です!
「立体交差のトンネルを潜り、スピードの乗る130R! S字コーナーから続くV字コーナー!」
そして、一気に下り降りるダウンヒルストレート!
「いっけぇーーー!」
走り終えたたきなちゃんが帰ってきた。
「ただいま戻りました。」
「最後、私の番だね。」
「頑張って! 志摩さん!」
たきなちゃんからバイクを受け取り、俺にサムズアップで応える志摩さん。
「では、いってきます!」
志摩さんがスタートする。彼女の運転テクニックには、確かに目を見張る物があった。
「志摩さん、すごいです。コーナーへの攻めも積極的で……」
「さすが、リンちゃんだねぇー めっちゃ速いじゃん。千雨ちゃんや来夢先輩に食らい付いてるよ。」
リンです。私はサーキットを爆走する。
まあー 先導車はいるけどね。
「フフフっ! 練習だと言うのに、アドレナリンが沸騰しそうだ!」
私は大胆にコーナーを攻める。
「第2立体交差から、ビクトリーコーナーを抜けたら、メインストリートだ!」
私はスロットルを開けた。1番手で志摩さんがゴール、ピットまで戻って来るとチームのみんなが迎えてくれる。
「お、リンちゃんが帰ってきた。」
「ただいま戻りました。」
「おかえりなさい。お疲れ様でした。」
「どうだった?」
「レーサーの気持ちが分かったかもしれません。後ろから追われるプレッシャー、そしてトップを走り続ける孤独感も……!」
「それだね。リンちゃん」
「その気持ち、めっちゃ分かります。」
「「「むふぅー!」」」
おぉ…… たかが先導付きの練習走行でこんなに分かった感を醸し出せるのか?この三人は……
練習走行が終われば、バイク部の子たちとラップタイムの自慢大会となっていた。
この日は事故やトラブルもなく無事に終わった。
志摩さんたちは先に宿泊先のホテルへ行かせて、俺はバイクの最終調整やら片付けをしてから、ホテルへと向かう。
今回も三ノ輪さんの提供だ。
途中、千雨ちゃんと556レーシングの男性が話しているのを目撃した。
「関係者だろうか?」
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ホテルでは温泉で汗を流し、その後は互いの健闘を祈ってのパーティーで豪華な食事に舌鼓を打ち、今は部屋で一人ゆっくりとしていた。
「桜さんたちも、電話で昼頃に来るって言ってたし、明日に備えて休むか……」
俺は照明を消そうとした。
コンコン…… 誰かが俺の部屋のドアをノックする。
「あー 来たか……」
俺は覚悟してドアを開けた。
「千代さーん! 今回は人生ゲームで勝負だッ!」
羽音ちゃんを筆頭に、バイク部と志摩さんたちが、お菓子やらジュースを持参して部屋へと突入する。
「ちょっと、明日はレース本番だよ! 早く休んだ方が良いって!」
俺は寝るように促した。
「だいじょーぶ! アタシらはまだまだ若い!」
「たきなちゃんも、お父さんともっとお話したいよね?」
「はい。」
「うーん…… そう言われると断れない。じゃあー 少しだけだよ。」
これが不味かった。人生ゲーム大会は深夜1時過ぎまで続く。
次回に続く。
次回、レース開始です。
ご感想、お待ちしております。
しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。
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賛成。
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反対。