ラグナドール 音撃の鬼   作:アパテー

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鬼闘術・水刃脚
全ての鬼が使う猛士式・鬼蹴に、イブキが使用する鬼闘術・旋風刃から着想を得てレンキが生み出した技。
右足に水でできた刃をまとった蹴り技。踵部分にできた刃を踵落としの要領で攻撃を加えるもの(ギルスヒールクロウや、バイオレントストライクと同じ)と、ドリルのように水の刃を高速回転させて放つ飛び蹴りのものがある。

前回使ったものは後者の方を使用した。


問題の多い仲間

「怨霊の数は3体…、その内一体はでかい奴か。まずは普通の奴から着実に片付けていくぞ。」

 

「わかりました!」

 

「おう!」

 

音撃弦を手に持ち、イヅナと子泣き爺と共に怨霊に突っ込んでいく。それを見た怨霊は俺達よりも先にその腕で切り裂こうとする。

 

『ガァァァ!!』

 

「フンヌっ!おりゃああ!!」

 

『ゴァァッ!??』

 

怨霊の腕を音撃弦で受け止め、そのまま押し切って切り飛ばす。隙ができた所で音撃弦を地面に突き刺し、音撃管を取り出して相手の腹に当てて水弾を撃ち出し、怨霊との距離を開ける。

 

 

「やああっ!」

 

『ガァッ!?』

 

「行けっ、相棒!」

 

『ァァァァ……。』

 

怨霊が怯んだ隙を付き、イヅナの太刀の斬撃と、子泣き爺のゴーレムの拳が腹に突き刺さり、霧散していく。もう一体の方は…。

 

「目障り…。」

 

「壁百貫滅多打ち!」

 

『グガァァァ……。』

 

のっぺらぼうとぬりかべにより、霧散していくところだった。

見た限り、のっぺらぼうの戦い方は杖から水を撃ち出すだけでなく、杖を使った棒術も得意としているようだ。

それに、速い。彼女の姿が消え、お面のみが残ったと思えば、一瞬で怨霊の後ろに回り込み(顔は見えなかった)、再度姿が消えると、お面がある場所に戻っている。相当な技量の持ち主なのだろう。

 

…その後にぬりかべの奥義……石壁が、怨霊に何度もぶつかっていったのには軽く引いた。心なしか、怨霊が泣き顔になっていたような…。まあいい。残りはでかいやつのみ。残されたでかい怨霊は、俺たちに向けて拳を振りかざしてきた。

 

『オォォォォォォ!!』

 

「おっと危ない!!」

 

「うわっ!?」

 

「キャッ!?」

 

相手の拳を俺たちはぎりぎりで回避する。その間にのっぺらぼうとぬりかべもこちらに来ていた。

 

「お前に構っている暇はない…!仰天・滝落とし!!」

 

『オォッ…!?』

 

のっぺらぼうの奥義なのだろうが、上下から大量の水が降ってきた。何処からあの量の水が出てきたんだ…?後で聞いてみよう。今の攻撃で、怨霊が動けなくなっている今なら…!

 

「うおぉぉぉぉらぁっ!!」

 

『グッ…!?』

 

音撃弦を相手に突き立て、腰から取り出した音撃震『春雨』を音撃弦に装着し、音撃形態に変形させる。

 

「轟け!音撃斬・雨奇晴好(うきせいこう)!!」

 

音撃弦と合体させた春雨を弾き、切っ先から清めの音を流し込んでいく。

 

『オ………、オォ………。』

 

清めの音を流し込まれた大型の怨霊が霧散していく。音撃弦から音撃震を取り外し、ベルトの右腰部分に戻す。

 

「お前、凄いな!今のは何だったんだ!?」

 

興奮した様子の子泣き爺が俺に聞いてくる。

 

「さっきのは音撃って呼ばれるものだ。相手に清めの音を流して、本来ならああいう相手は爆発するはずなんだが…霧散している感じを見る限り、名前通り清める効果が出ているみたいだ。」

 

「それって誰でもできるのか!?」

 

「それが、ただ演奏するだけじゃなく、巫山戯んなって言いたくなる位に体を鍛えないと使えないんだよ。っと、この話の続きはまた後にしようぜ。」

 

一度会話を打ち切り、イヅナがのっぺらぼう達に話しかける。

 

「ありがとう、のっぺらぼう、子泣き。おかげで助かった。」

 

「………。」

 

「おい、どうしたんだ?」

 

「……のっぺらぼう?まさか、どこか怪我でも…!?」

 

急に黙り込んでしまったのっぺらぼうに俺とイヅナが近づいていく。次の瞬間…。

 

「ばあっ!」

 

「おわっ!?」

 

「キャアっ!?」

 

「不意打ちにご用心。油断、それが死を招く。」

 

……そうだった。のっぺらぼうは人を驚かして喜ぶ妖怪だったな。油断した。

 

「ご忠告どうも…。寿命が縮むかと思った…。」

 

「う、うん……ありがとう。」

 

「やーれやれ、こんな時までイタズラかよ…。」

 

「イタズラは私の証。こんな時、だからこそ。子泣きも、また驚かそうか?べそ泣き顔、意外とかわいい。」

 

子泣き爺も被害者のようだ。顔立ちはイケメンなんだが……あっ、そういえば子泣き爺といえば…。

 

「ぐぐぐっ……嫌な奴!嫌な奴だ貴様はぁ!全く!!」

 

「謎。褒めたのに……複雑なお年頃?」

 

「おぎゃあああっ!!うるさあああああい!!」

 

「あーあ。また始まったよ……。」

 

そうそう、こんな赤ん坊のような泣き方して、抱き上げたら凄い重くなる奴だった。またって事は、いつもやられてる側なんだな…。

 

「一応聞くけど、仲間…なんだよな?」

 

「ええとね……なんていうか……。」

 

「問題の多い人達ですが、仲間です……一応。のっぺらぼう、子泣き。こちらはレンキ様。」

 

「なるほど。これが救い主。……霊圧、感じない。全然、全く。本当に救い主なの…って言いたいけど、強いのは分かる。」

 

のっぺらぼうがお面を手に持ち、顔を隠しながら言う。銀髪に蒼眼……素顔はどんな感じなのだろうか。

 

 

「勿論だよ!さっきだって、助けて頂いたもの!私も、ぬりかべも!」

 

「ふーん……、でも、こっちはそれどころじゃない。」

 

「何か……あったの……?」

 

「俺達はな、姫様のご命令で、この辺りを見て回ってたんだ。朱雀の配下が荒らすかもってことでな…、だけど……誰もいない。」

 

「ここに来るまでも……誰もいなかったよ…。」

 

そう言われればそうだ。都に向かっていて、避難している人にすれ違っても良い筈だが、未だに子泣き達以外の妖怪に会っていない。

 

「それだよ……、嫌な予感だけが膨らんで来るぜ……。」

 

「避難してくれているなら良いけど……。」

 

「それなら手間が省ける。」

 

「…………ぅぅ………。」

 

途中、本当に小さい声が聞こえた。この声の聞こえたのは…。

 

「こっちか…!」

 

「レンキ様、そちらに誰か……ああっ!」

 

「ううっ、あ……。」

 

「なっ…!?大丈夫かおっさん!?」

 

声の主は、額に一本の角が生えた…鬼の老人だった。だが、その体には数え切れないほどの傷がついていた。これは…!すぐに抱き起こした。

 

「しっかりしろ!くそっ、ひどい怪我だ!」

 

「……火傷じゃない。朱雀とは違う。」

 

「み、都……に……。」

 

そこまで話した所で、老人の首が力が抜けたように垂れた。

 

「都?都がどうした!?おいっ!?」

 

「……駄目。死んでしまった…。」

 

「くっ……なんだよ、これ……!!グスッ……!」

 

「……子泣き、落ち着いて。」

 

「分かってる!!」

 

子泣き爺がそう言ったあたりで、俺達に向かって飛んでくるものと走ってくるものがあった。先程放ったアサギワシとコガネオオカミが戻ってきていた。俺のもとに来たあとにすぐにディスクに戻り、それを音叉に取り付けて回転させ、音声と映像を再生させる。

そこから映された映像と音声は思わず絶句するものだった。

 

「……!!」

 

「どうかなさったのですか、レンキ様…!?」

 

「悪い、話している時間はないみたいだ。全員急ぐぞ!イヅナちゃん、また音撃弦を頼む!」

 

「ふえっ……!?」

 

有無を言わさず音撃弦を渡し、ぬりかべを背負って走る。ぬりかべは驚いていたようだが、それどころじゃない…!!

 

「どけぇっ!!」

 

現れる怨霊や鬼を蹴り飛ばし、都へと急ぐ。

 

「レンキ様、待って下さ…ッ!?こ、これは……!?」

 

「血臭。吐気がする……。」

 

「あいつが急いでいたのはこれを知ったからか…?とにかく追いかけるぞ!」

 

 

 

 

俺達が見た町は惨状と化していた。

 

町の大路は、朱色に染まっていた。

 

おびただしい量の血が地面をぬかるみへと変え、家が燃え、奥に立っている屋敷の上半分が亡くなっていた。

 

だが、俺が見たのはそれだけではない。そこでは……。

 

 

町に住んでいた人が、お互いに殺し合っている音が聞こえたからだ。

 

 

 

 




音撃打・流水連打

素早く連打する響鬼の技、火炎連打を模倣したもの。響鬼よりも威力は低いが音撃棒を振る速度を速くして、同程度の威力にしている。

音撃射・雨過天晴

威吹鬼の音撃射・疾風一閃をレンキなりにアレンジしたもの。威吹鬼よりも音撃射を吹き鳴らす時間が長い分威力を高めにしている。

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