ラグナドール 音撃の鬼   作:アパテー

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音撃戦士について

「音撃戦士は厳しい鍛錬をして鬼になって、大地の魔物『魔化魍』を…俺が持っている音撃弦や音撃管を使って退治する戦士なんだ。基本代わり代わり退治してんだけど…、俺は音撃を全部使える器用なやつでさ、俺より上手いサバキって人の次に任務を与えられてるんだよな…。まぁ、初任務が終わったあとに幻妖界に来たから、今頃サバキさんが走り回ってるかもなぁ…。」

「その音撃戦士ってのは人数が少ないのか?」

「それが、任務の多い原因が2つあって、音撃戦士が減少傾向にあるのが一つ。もう一つは魔化魍の出る場所が予測できなくなってきて、予期せぬ戦闘での怪我や疲労で他の鬼が代わる代わる戦っている状況なんだよ。」

「それはまた、大変なのですね…。」

「そういやァ、お前さんが元の姿に戻った時にびしょ濡れだったのは何でだ?」

なんて答えづらい質問をするんだこのクソ狐は…!

「あぁ~~…、鬼の姿に変わる時に水で覆われるだろ?本物の水だから、それでびしょ濡れになる。俺以外の人だと炎とか風や雷で服が無くなって全裸になるぞ。」

「えぇ…、なんかヤダな〜、それ…。」

「レンキでよかった、というべき。」

「ヒドイなお前たち!?」


騒乱の都

「おっと!どこ狙ってんだ?ちゃんと狙え!」

 

『オオオオオオオオ!!』

 

がしゃどくろの振りかぶる腕を避けて飛びながら、音撃管で射撃を行う。なぜこうなっているのかというと…。

 

少しだけ時間は遡る。がしゃどくろを避けて滝夜叉姫を探していた時、放っていたディスクアニマルが戻ってきていた。どうやら屋敷の方にそれらしき人影があったようなので、確認の為に向かっていたが、不幸な事にがしゃどくろが屋敷の前に陣取っていた。

 

 

「クソッ!がしゃどくろの霊圧が強すぎて、これ以上屋敷に近づけない!」

 

「こうしている内にも、姫様が…!」

 

「こうなったら…、よし、俺が少しの間囮になる。その間にイヅナちゃん達は屋敷に入って滝夜叉姫がいるか、確認してくれ。」

 

「ええっ!?一人じゃ危ないよ!」

 

「大丈夫、ある程度距離を稼いだら逃げるさ。コガネオオカミが場所を教えてくれるから、頼りにしてくれ。じゃあ、行ってくる!」

 

イヅナ達から離れ、空に飛び立ち、音撃管を取り出す。少し離れて…よし。この場所ならこいつからはイヅナ達は見えないな。

水弾を撃ち出し、こちらに注意を向ける。

 

「やっぱこうやって見ると相当デケえな…、こっちだこっちぃ!!」

 

『グオオオオオオ!!』

 

「いや反応速えよ!?けど、これなら手間が省ける!」

 

 

 

そこから何度か撃ったりわざと近づいたりして、今にいたるという訳だ。さて、これぐらい離れればいいだろう。一旦着地し、がしゃどくろの真下をくぐり抜け再度飛翔し、屋敷の方に最高速度で飛ぶ。

 

 

がしゃどくろを引き離し、屋敷前に着地した後、屋敷内に入る。

 

「レンキ様、ご無事ですか!?」

 

「ああ、大丈夫!あといくらかすればここに来るだろうけど…。それと、滝夜叉姫は本人だったのか?」

 

「ええ!レンキ様、ありがとうございます!」

 

「礼を言うのは後!がしゃどくろが来る前に行くぞ!」

 

イヅナに言いながら、ぬりかべ達の方に向かう。そこには至る所に火傷と傷を負った紫髪に鬼の面をつけた少女がいた。

 

「姫様、姫様ぁ……。」

 

「なんて声を出しておる、のっぺらぼう。冷静なお主らしくもない…。」

 

「ひ、姫様!ああ、ひどい怪我……!」

 

「はは、大事ない。それより、清明めにしてやられたわ。朱雀を相手に戦っていたらな、横合いから、妙な呪いをかけられた。おかげで、がしゃどくろはあのザマよ。」

 

「完全に暴走している、といった所か……。」

 

「おう、まさにそれよ。『暴走』じゃな。わらわとしたことが……ん?……!?」

 

何故か滝夜叉姫が目を見開いてこちらを見ていた。何も失礼な事はしていないよな?

 

「そなたは……歌舞鬼か…!?」

 

「はっ……!?いやいや、俺はレンキ。救い主として呼ばれたみたいだ。あと、歌舞鬼は俺の時代だともう血筋はいない筈だ…。」

 

「そうか…。すまぬな、そなたがあの愉快な奴に似ていたのでな。間違えてしまった。」

 

「いや、別に気にしてないさ。のっぺらぼうの様子からするに、あなたが滝夜叉姫でいいのか?」

 

鬼は平安時代から活動していたと聞いたことがある。なら、歌舞鬼も活動はしていただろう。まぁ、滝夜叉姫と歌舞鬼の関係は謎だが。

 

「うむ、レンキ殿と申されたか。改めて、わらわは滝夜叉。この夜叉ノ國を治めておる……が、今はこのような有様じゃ。見苦しいが、なにとぞ許されよ。」

 

「ちょ、ちょっと!骸骨、こっちに突っ込んで来るよ!!」

 

「おい嘘だろ!?いい加減しつこいぞ!」

 

真紀奈の指さした方向に目を向けると、がしゃどくろが俺達の所に凄い勢いで近づいてきていた。

 

「とまれい、がしゃどくろ!ここは戦場にあらず!元のそなたに戻っておくれ!!」

 

『オオオオオオオァァァァァッ!!』

 

だが、がしゃどくろは止まらない。巨大な骨の拳を振り上げ、滝夜叉姫へと殴りかかる。まずい!

 

「危ねえ!!」

 

「お、おおう!?救い主殿、それは羽撃鬼の…、礼を言うが、無茶をしよるのう!?」

 

「がしゃどくろが、姫様を襲うなんて……、あんなに忠義者のあいつが……!くそっ、清明め!ぐすっ……。」

 

「そうよなァ……がしゃどくろ、そなたもさぞかし辛かろう……。」

 

「姫様、早く逃げないと!」

 

のっぺらぼうの言葉に、滝夜叉姫は首を振った。

 

「いやァ……そうはいかんぞ、のっぺらぼう。がしゃどくろはわらわの家臣。あやつを捨てて逃げられようか。のう、救い主殿よ。会ったばかりですまないが、頼みが、ある。」

 

「……なんだ?」

 

「そのイザヨイと清めの音の力で、わらわを……殺してくれぬか?」

 

「なっ…!!」

 

「姫様っ!?」

 

そんな事、出来る訳がない。何を思ってんだ!?

 

「がしゃどくろは、死してなおわらわに使える家臣達の魂が集まった妖怪。『暴走』し、狂わせるのは不憫でならん。ならば……依代たるわらわと共に消し去る他……なかろうよ。」

 

「……それは出来ない。まだ他に方法があるかもしれないのに、諦めるのか?」

 

「なんじゃと……?」

 

「そ、そうです!レンキ様なら、きっと……!」

 

「任せておけ。何とかして見せる…!」

 

音撃棒を取り出して、滝夜叉姫の近くに陣取る。そこにのっぺらぼうが近づいてくる。

 

「ままっ、待て!姫様に何をする!?」

 

「……とおせんぼ。」

 

「邪魔、どけっ!」

 

「どかない、よ……!今は……黙って見ていて。きっと……大丈夫、だから。」

 

「レンキ様、ぬりかべの時と同じであれば……、一度、大人しくさせる必要がありますね。」

 

「何やら、わからぬ……、わからぬが……信じよう。我らが命運、そなたに賭けたッ!!」

 

滝夜叉姫の言葉にうなずき、体をがしゃどくろの方に向ける。

 

「ああ、賭けられた!あいつを元に戻す、行くぜえっ!!」

 

 

 

 

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