「えーお前ら、助けて」
ショッキンは息を切らしていた。あたりはコンクリート製の密室だった。しかも明かりも一切なくかろうじて懐中電灯で灯す程度だった。
「今アポを取った学校にノイズが現れた。
そいつらから逃げてて、マジやばい。助けて! ってかここ、どんくらい深いんだよマジで」
「分かるわけないじゃんそんなの!」
「あ? てめえうるせえよ!」
布田に対して粗暴な口振りを取る。するとあたりに大きな地震が発生し揺れが発生した。
「なんだってんだよ〜!!」
パソコンとポケットWi-Fiを必死に握りしめ、彼は揺れが収まるのを待った。
「ここを出たら、俺が生配信で全てを明かす。俺が調査で見てきたやつもな」
「いやダメだよ!」
「は?」
「あんなヤバいの絶対ダメだって! 国が動いちゃうよ!?」
布田が怯えている。
「ここまでされてんのに明かさねえわけがねえだろうが!」
「ッ、誰かいるのか!?」
ライトが当たり動画が切れた。
ことの経緯はその日の朝に遡る。
彼は雪音クリスの衣服に小型発信器を取り付けていたのだ。全てはフィーネとの関係性を聞き出すために。
「しっかしまあ、どうしてアイツはこんなところにきたってんだよ!」
不満そうにショッキンが運転していた。
「ねえ、アポの件は大丈夫なの?」
「まあ最悪屋敷に行って戻らなかったら速攻で蜻蛉返りすりゃいいんだよ」
「ええ〜!」
布田が不満の声を漏らす。
屋敷に到着するとそこにはクリス本人といくつかの死体が見つかった。
「おい……どういうことだよ!」
「ち、違う! あたしは……!」
すると表から何台もの車が到着した音が聞こえた。
「なに!?」
「まさかこれって罠!?」
布田とショッキンも警戒するが、次の瞬間館に黒服の男たちが次々と入ってきた。
「なんだよお前らも横取りに来たのかよ! おいっ!!」
弦十郎に挑発をするが手で払い除けられてしまった。
「君らは悪くない。全ては彼女によるものだ」
「は? 彼女?」
すると弦十郎に部下の黒服が張り紙を渡し、あたりが吹っ飛んでしまう。
「うわあああああ! うわっ、うわああああああ!!」
しかし黒服に守られてたため、全員無傷だった。
「チッ……」
不貞腐ったショッキンはそのまま屋敷を出た。そして屋敷の外を観察していた。
「何やってんの?」
「なんか残ってねえか、チェックしてんだよ」
しかし辺りを見回しても何も見つかることはなくその間に黒服が去ってしまったのを見た。
「ちょうどいいや、あの邦人少女から話聞くぞ!」
「オッケー」
2人はクリスの元に現れた。
「よう」
「お前ら……」
クリスが警戒した表情を浮かべた。
「そろそろ話してくれねえかな?」
「ちょうどいいやアタシも言いたいことがある。アタシはお前らは嫌いだ、パパとママを侮辱したからな」
「いや、何言ってんだよ。あんなのイカれ親子としか……「パパとママはッ!」」
「アタシに、夢を教えてくれたんだ。歌で世界を救う、なんて綺麗事__夢を叶えられることを教えたかったんだ」
クリスの告白にショッキンと布田は何も言い返せなかった。
「お前ら、知りたがってたよな? 教えてやるよ」
言い返せない2人はその後クリスから真実を告げられた。
フィーネの正体とその狙い、さらに彼女は二課に潜んでいたこともクリスの口から全て話されたのだった。
一同は都心部に戻っていた。
「とりあえずおめえはどうするんだ?」
「さあな、アタシはアタシで戦うだけだ。出来た夢のためと決着をつけるためにな」
「そうか」
「なあ、お前はどうしてこう再生回数が欲しいんだよ? パパとママを侮辱するだけじゃなくアイツらにも喧嘩まで売って何がしたいんだ?」
「別に、儲けたいんだよ。ついでに新しい発見をして毎日を楽しくしたいだけ。ほら、この辺でいいか?」
「そうか、だがアタシの邪魔はすんなよ?」
「ああ、幸いなことに今日はアポイントメントが入っててな。有名人は忙しいんだぜ、あばよ〜」
クリスを降ろしたショッキンはそのままリディアンへと向かう。
リディアンに到着してそうそう、ノイズの大群が出現した。
「こうなったら一か八か逃げるぞ!」
「え!? そんな無茶な!!」
生徒たちの避難誘導を行う教師たちに気づかれずに校舎に入った。
「ああっ!」
転んでしまった学生を見たショッキンは舌打ちしながら立ち止まった。
「おい、しっかりしろ!」
「え? だ、誰ですか?」
「んなことはいい! 行くぞ!!」
怪我をした生徒に肩を貸しなんとかエレベーターに近づけさせた。
「早く! こっちです!!」
黒髪の少女が誘導しているのが見えた。
「おい!」
ショッキンが声をかけた。
「え? 誰!?」
「あれショッキンじゃない!?」
生徒たちが困惑の声を上げていた。鬱陶しそうに舌打ちをするとエレベーターにその少女を入れた。
「とりあえず巻き込まれたんで避難してきた。こいつは怪我してやがる! 急いで連れてけ!!」
「は、はい!」
さらに爆発音が聞こえてきた。
「ったく、しょうがねえなぁ!」
ショッキンが駆け出す。
「何やってんの!?」
布田が困惑の声をあげる。
「もうアポイントメントもねえよ! 今は無事避難できるかどうかが鍵だ! 行くぞ!!」
その間に彼も生徒の避難誘導を行なっていた。自衛隊も駆けつけはしたものの、ほとんど効果が見られずに炭化させられる一方だった。
「おい、こっちだ! 早く!!」
逃げ惑う生徒たちだったが、一部はノイズにより炭化させられていくのを見て彼もやむなくエレベーター前に撤退した。
「よし! 乗り込むぞ!!」
数名の生徒と布田が乗り込んでいるのが見えるとそのままスライディングで閉まりかけていたドアに進入したのだった。
「あっぶねえなぁ……」
「あなたがやったんですか!?」
生徒の1人が動揺しながら尋ねる。
「ちげーよ、フィーネってやつがやったんだよ!」
「あんた……こんな時にアタシたちになんかようでもあったの?」
「だーかーら! アポイントメントを取ってたんだよ! 事前に学校側には連絡してたぜ!!」
「でもこんなの絶対おかしいよ! ただの学校なのに……」
生徒に加え、布田も同様の表情が隠せない。
エレベーターが到着した。
「よし行くぞ!」
「え、えええ!?」
エレベーターでシェルターの方向とは逆の道を進む中、立ち入り禁止区域に無理やり立ち入り、資料室や研究室らしきものを見つけると彼は机に置いてあった幾つかの資料をカバンに入れ、写真を撮っていた。
「何やってんの、ショキさん!」
「うるせえな、組織の情報奪っとくんだよ! アイツらに吠え面かかせるためにな!!」
一通り情報を盗んで廊下に出ると突然当たりが消灯した。
「なんだってんだよ!!」
彼の怒号が廊下中に響き渡る。
次回で無印は完結です。
G編でもショッキンは動きますが、今回以上にオリジナルな展開が見られるかもしれません。ちなみに今のところではGX編もどうするのかはもう決めています。
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