「よぉお前ら、緊急事態だ……」
周囲では爆発や銃声音が聞こえていた。
「どうやら、マリア率いる組織が……」
映像から銃声に加え、悲鳴が聞こえていた。
「軍隊らしき奴らと戦ってるんだがやばい。あいつら、マジでノイズを操って兵隊を殺しまくってる」
工場の裏側に隠れながらショッキンは撮影を行なっていた。
「奴ら、マジだよ! 本気で国をとるつもりだ!!」
「ねえ、あれ!」
布田が指差した方向を振り返った。
「ああ?」
偶然カメラが白衣の青年が子供たちと対峙している光景を写した。
「え? あの杖って!」
杖から出された光でノイズが現れ、少年たちの命を奪う。
「ヤバいよ……」
「静かにしろ!」
布田の口を抑えながら慌てて物陰に身を隠し息をひそめ、男が去るのを待った。
「マジかよ……あの杖って確か」
動画が切れた。
「っということで新しい事実がわかった!
どうも政府軍の一部が武力介入したんだが、奴らのノイズの出現技術は嘘じゃなかったんだ。本当はこれ以上調べても良かったんだが、あの杖の機能が分からない以上危険と判断して撤収してきた。
けどな、これで奴らはいつでも俺たちを殺せるっていうことが分かったんだよ。この動画を拡散しろ、マジで現実で起こってるんだよこれはゲームじゃねえんだよ!!」
「そして、俺はその事実にビビって子供を救えなかった! 本当にすまねえ!!」
ショッキンは涙を流して謝罪していた。
「いいかお前ら、この白衣の男を捕まえろ。これ以上こいつをのさばらせておくと危険だ!
奴を見つけたら一刻も早く捕まえるんだ。そしてコイツの持ってる杖を破壊しろ!!」
ショッキンの訴えの動画により人々は動揺の声が溢れていた。
動画投稿後、ニュース番組では連日のように報道が続いていた。動画以前にもフィーネを名乗る存在に関する報道が続いており政府も対応を迫られていた。そんな対応に世間は政府への不信感を強め、ついには政府は米国の犬にでもなるつもりかと言う声をあげるものまで現れていった。
さらには掲示板を中心に、インターネットではショッキンへの反発の声やマリアたちの陰謀論、世間への冷笑などが連日続いていた。
そんな混乱の中でさらに悩ましい課題を抱えてしまったのがこの二課である。
「ショッキンのやつ……FISが動いてからかなり活動的になってますね」
オペレーターの藤堯が報告を入れる。
「しかし、奴が動画を公開してくれたことで悔しいがいち早く敵の存在が分かってきた。だからこそ俺たちはさらに早く事を進めなきゃならない」
「響ちゃんがあんなことになっちゃった以上……一刻の猶予もありませんね」
友里が不安の声を漏らす。
今、立花響は命の危機に瀕していた。以前から融合していた聖遺物のカケラの侵食が戦いの中で加速していったのだ。
「米国を中心に月の公転軌道の情報をもっと集めるんだ!」
ウェル博士が告げた事実、それは遠くない未来に月の落下が発生することだった。既に各国が計測を始めていることは承知の上だったが、米国はその事実をいち早く気づいておきながら自らの保身へと動き出したのである。その事実を確かめるべく連日関係者や専門家への情報開示を求めていた。
(なんとしても、犠牲を抑えなければ。あの動画に扇動の狙いがあるとしたら!)
弦十郎の懸念は当たっていた。
ノイズを操ろうとすでに反社会勢力の構成員たちがショッキンの動画に誘発され、次々とウェル博士の元を訪れていたのだ。
「それを寄越せえええ!!」
「鬱陶しいんだよ!」
彼の持つソロモンの杖から放たれた大型ノイズは分裂し次々と襲ってきた敵を皆殺しにしていく。相手が極道でも体格が筋肉質の人物でも関係ない、皆ノイズに分解されることからは避けられないのだ。
「ひぃいいいいい!」
威勢よく彼を攻撃しようとしたものたちも呆気なく炭化されていった。
「全くどこの誰か知りませんが面倒なことを……」
不快そうにウェル博士がその場を後にした。
そんなことに興味を全く示さないショッキンは連日の炎上と収益剥奪、動画の削除が続き鬱屈としていた。
「ねえ、どうするの? あの動画相当炎上してるよ?子供を見殺しにしたとかって声が結構きてるし」
「ほっとけほっとけ。とりあえず、今は情報が無さすぎるから他のネタでも集めに行くぞ。どうせ人の死を暇つぶしのオモチャにしたい連中の遊びだろ?気にしない、気にしない」
「うん」
緊急 新たなアシスタント候補を募集します。視聴者(読者)の意見を参考にしたいので以下の4人の候補からこれだと思った方を選んでください
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地雷系
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おバカ系
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ナルシスト系
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ミステリアス系