スカイタワーで動画ネタを集めようとしていたところに視聴者から偶然マリアを見たという情報リークを受けたショッキンは戦いに巻き込まれた上に布田と逸れ、たまたま近くにいた小日向未来と共にFISに捉えられてしまうのだった。
「死ぬ前に教えな、お前ら……何考えてんだ?」
「私たちはいずれ落下してくる月のカケラから多くの人を救いたいのよ」
「は? 頭おかしいわけ? 思いっきりテロ行為働いちゃってるんですけどぉ〜?」
どこかの部屋に捕らえられていたショッキンはマリアたちと対峙していた。最も彼が檻の中に入れられていたのだが、手を縛られながら咄嗟に取り出したスマホから生配信を始めた。
「私たちは米国政府の行動に反逆し、多くの弱い人を救う。国が見捨てるなら私たちが救う」
黒髪で小柄の少女が淡々と語りかけるが、鼻で笑う。
「いや、それただの偽善だろ。お前らにそんな資格ねえだろ」
「それじゃああなたにはあるのかしら?」
「あるに決まってんだろ! 人間皆英雄、いや救世主伝説時代だっての。少なくとも俺にはお前らみたいな連中よりも資格はあるっての」
「お前!」
金髪の少女が睨んできたが、中指を突き立てて笑みを浮かべる。
「ってかお前ら、なんでその力あるわけ? 俺の知る限りそれは二課の3人にしかなかったはずだぞ」
「……米国の研究機関FISに見定められた、レセプターチルドレンだったからよ。私たちはフィーネの器として選ばれ、実験をされた結果この力を手にした」
「ふーんモルモットか。んでお前らはさしずめモルモット1号、2号、3号か」
「違う! あたし達は正義では成せない……「テロリストが正論ほざくんじゃねえよ!!」」
檻を蹴りつけるが、痺れてしまう。
「お前ら、ただの実験体の分際で人の生活乱すとかその時点で正義もクソもねえんだよ。ほんと、大人しく表に出てこなければ良かったのになぁ〜」
「うるさい!」
黒髪の少女がムキになって反論するがショッキンは動じない。
「逆にお前らみたいなのが状況を荒らして、理想が叶わないようにしてるんじゃねえのか? 自分らは正しいから何やっても許されようとしている。お前らは今そういう感情で動いてるんだよ」
「それじゃああなたは周りの人間が滅んでもいいの!?」
「あのさあ……月の落下なんて何年後に起こるんだよ? 人間の技術力舐めてんの?
大体、なんとかするやつは自分達でなんとかするの。自分らだけで生き残ろうとしてる奴らがいるのは当然なんだよ。くだらねえ偽善をほざいてんのはテメエらなんだよ!」
罵声を容赦なく浴びせる。しかし力強く喋りすぎて咳き込んでしまった。
「ボランティアなんざ結局は個人の自己満足、チャリティ事業で金を貢ぐ奴らもそうだ。やったから相手は救われるから自分は良い行いをした人間だって言い聞かせて正当化させられるんだよ。これも偽善だろ?」
「いい加減に……!」
切歌と調が怒りをむき出しにするがマリアに静止された。
「へえ、そう来る? でも……」
にやつきながら彼は隠していたスマホを見せつける。
「お前らの行動全部撮影したから。しかも生配信」
マリア達が動揺した表情を浮かべる。
「お前ら助けてくれ! こんな偽善が滲みまくったクズどもに正義の鉄槌をお前らで下すんだ!!」
コメント欄では……
「見損なったぞマリア」
「制裁KTKR」
「モルモット、乙」
「どっちもどっち」
「腫れ物同士争うのか……」
「勝手に潰し合え」
「はよしね」
「落ちるまで堕ちたか」
「もう外歩けねえなwww」
「全員死刑希望」
「お巡りさんこっちです」
「やはりショッキンこそ救世主」
が表示されていた。
「いいかてめえら……俺こそが救世主だ!!」
動画が切れた。
「さぁて、お前らはもう外を動けねえなあ〜?」
「卑劣な……」
「秘境もラッキョウもねえんだよぉ〜
お前らの爪が甘いんだよ〜!」
わざとらしく伸ばしながら喋り、マリアに反論した。
「どうだ? 今なら俺に土下座して降伏するなら、お前らのことを許す動画を上げてやってもいいんだぜ? お前らは人を救いたいんなら発信力や多数の信者を持ってるこの俺を手元に置いておく価値はあるぞ?
お前らを英雄にもどうしようもないクズにでもできるこの俺を拾わないときyと後悔するぜ?」
捕まった時と一転して強気に出たが、ただ相手を怒らせるだけで効果がなかった。
「交渉決裂よ、大人しくしてなさい」
「あっ、おい! 後悔してもおせえからなマジで! おい!!」
マリア達が呆れて部屋から出ていってしまった。スマホも没収され別の部屋に移されてしまった。
「くっそ〜」
「あなたは……」
たまたま友人と遊んでいた、小日向未来がいた。
「よぉ、元気そうじゃねえか」
「そう見えるんですか?」
「あ? ちげえのかよ」
「あなたは相変わらず何ですか?」
「あっ、お前そういえば俺の動画見てる? テレビもネットも俺の動画を待ってるんだよ! 今さっきも生配信で奴らと直接対決なんか……「あなたの事を、みんなそれでしかみていないんですよ? 本気でそれを求めてるんですか?」他に理由がいるか?」
「人間、富と名声以外にも大事なものはあるって言ってるけど……本当にそうか?」
「ツラの悪りぃやつや、やらかした人間、権力もねえ奴の正義なんざ役に立たねえんだよ。
強え方に靡く、人にないものを持つ、そうすりゃみんな安心できるんだよ。俺はな? 人よりも長く安心したいから金を得て名声も得るんだよ」
「……」
「炎上させるのもそのためだ。退屈な内容よりも刺激的な内容の方が楽しめるんだよ。これはエンターテイメントなんだよ。俺が金を得て遊ぶためのな」
未来はそれ以上言い返さなかった。ただ嫌悪したような眼差しは変わらない。
「んだよ、なんかあんなら言えよな?」
舌打ちをするとそのまま不貞腐れて眠ってしまった。なお、その間にも彼女にはウェル博士の悪魔の囁きが迫っていた。
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