改変せざるを得ない転生者   作:代理

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陽の舞台には立ちたくない

パァン!と弾けたような音。暗転したラボに一筋だけ注がれるスポットライト。破壊された壁。

 

「…なにこれ。」

 

アンダインの家からなんやかんやしてラボについて、アルフィーと会話したまでは覚えてる。そこからここにどう来た?うるさい外野を右から左へ聞き流して状況把握。そうだ、ロボット。ロボットを作ったみたいな事言ってて…

 

「この箱が?」

「箱とは失礼な!」

「えっと…メタモン?」

「惜しい、メタトンだよ!」

 

私が唱えたのは某ポ〇モンの1種。前前世で好んでいた事をよく覚えている。

んな事はどうでもよくて。

いきなり戦闘画面に切り替わったと思ったらクイズが始まってしまった。なんだなんだ、と思っているとFriskがあらかた説明をしてくれた。全く話を聞かない私は深深と感謝した。

 

「クイズ間違えたら電流か…」

「容赦しないからね〜!」

「……Frisk、私は馬鹿だから何も答えられないと思う。だから間違った時の電流すべて私が受けよう。」

「え、だ、駄目だよ!」

「Frisk体力少ないんだから私に任せろよ。それに間違えなきゃいいだけ、でしょ?」

 

Friskの10倍位のHPの私が耐えるのがいいと判断。メタトンは話終わった?と聞いてきたのでFriskが答えるから私に電流流せとだけ伝えた。察しがいいのかなんなのか彼はOK!と言い早速始めた。

 

「それでは第一問!」

 

Friskの選択画面に4つの選択肢クイズに正解したらなにが貰える?という字が私からも見えるようにFriskが操作した。Friskはすっ、とDを選択した。てれれれっててーんという明るい音が聞こえた。正解、らしい。

そういえば、Frisk周回しているのなら全て正解出来るのではと私はふと思った。

 

「I・o、アルフィー見て。」

「え……あ、」

 

そういうこと。

第二問の途中、アルフィーの手は文字を表していた。C、アズゴア。私たちの知っている王様の名前はアズゴア。どうやら彼女は私たちを正解に導いてくれるらしい。わたしとFriskは顔を見合わせて2人して少し口角を上げた。

 

「C。」

「つぎはボクの問題だよ!」

「B。」

「ちょっと簡単すぎたかな?次もサービス問題だ!」

 

テンポよく進む。途中く、と指が止まるがそれも難なくクリア。フロギーの服を着たメタトンという紛らわしい問題だったらしいがアルフィーを信じて選んだらしい。その後も私に電流が流れる事はなかった。

 

「あなたはお化けにチューできる?」

「全部おんなじ…」

「制限時間増えてるし。」

 

もちろんしかない選択肢の次に文字が増える問題、その後は「キスキスキューティみゅうみゅう」の問題が出たがアルフィーが答えてしまったためパス。アルフィーのあの語り方、多分ヲタクだ…と私はピンと来てしまった。早口でまくし立てるのは私も昔やってたからちょっと分かる。

それによってアルフィーが答えを教えていたのがバレてしまった。その後の問題は…アルフィーが、焦る様な問題。

 

「誰だ…?」

「知らないけど…答えちゃいけない気がする。」

「アルフィーはきっと繊細だから分からないにしとけ。」

「うん。」

 

壊れた音楽は止まらない。Dを選ぶとアルフィーとメタトンは我々そっちのけで会話を始めたので私はFriskとその様子を見た。

 

「アルフィーが答えを教えるなんてヤラセになっちゃうじゃない!はいはい、カメラ止めて〜!でも、みんな心配しないで!今日は試験放送だからね!次回はもっとドラマチックに!ロマンス要素満載で!バイオレンスてんこ盛りでお届けしまァす!」

 

バイオレンスは要らん。突っ込みたい気持ちを抑えてそろそろこいつもどっか行くんだろうと黙って見た。

警戒しておけばと、この後で後悔するのに私は何も構えていなかった。

 

 

「あ!あと、1人だけニンゲンを連れてっちゃう(・・・・・・・・・・・・)よ!ボクと一緒に盛り上げて貰うためにね!!」

 

 

「ッ、Frisk逃げろ!」

「I・o!!」

 

警鐘が鳴る。手が伸びてきてそれから遠ざけるためにFriskを突き飛ばした。その手はわたしの身体を掴み簡単に空中に浮かせた。ビクともしない力、4本しかない指が落とさないようにとわたしを握っていた。身体が締まって痛い、苦しい。

 

「それでは皆さん、ごきげんようッ!」

「う、うわぁぁぁぁぁあ!?!」

 

ロケットらしきもので飛んでくそれに私はジェットコースター並に揺られながら誘拐されてしまったのであった。

 

 

そう、前世でもこんな経験があった。なんでこう誘拐したがるんだろうかと怒りやら困惑やら疑問やらが心に渦巻いていた。そんな私は奴がキュッとわたしを締めすぎたせいで意識を失っていたらしい。次に目を覚ました時は謎の料理番組みたいなスタジオにいた。変わらず身体に伸びている腕が巻きついた状態で。

 

「…」

「皆、眠り姫のお目覚めだ!改めて紹介したいと思っていたからもう1人のニンゲンが来る前に覚めてくれて大変都合がいいよ!まず、名前を聞いてみようか!お名前は?」

「……I・o。好きなように呼んでくれ。」

「うんうん!素敵な名前だね!次にどうしてここまで来たのかとか自己紹介してくれるかな?」

 

起き上がってからそんなすぐに質問する?

心配とかはしないんだなと少しイラッとしたが仕方ない。我慢我慢、こちとら命(どころか身体)握られてる身なんだからと思いながら目の前のテレビに目を向けた。

え、もしかして撮ってんのこれ。

 

「…」

「ありゃ?顔が青く…緊張してるのかい?」

「……自己紹介、だよな。」

「うん!簡単にでいいよ!」

 

あれ、中学校、高校とかに入った時にある自己紹介あるじゃないか。中学のその時にさ…ちょっとトラウマになるレベルの失敗したっていう話聞きたい?いやいい?分かった。それから私の陰キャ道が切り開かれたんだよなぁ。とこの間0.1秒。

 

「I・o、種としては人間の部類。穴から落ちちゃってFriskと共に地上に行くためにここまで。」

「地上にぃ?ふーん、ボクもね地上を目指してるんだ!この美しいボクが地上に行ったらきっと大人気間違いなし!」

 

キラキラと箱がポーズを取る。ヒュー、ヒュー、パラパラパラパラ…耳に良くないな、ここ。私は黙り込みながら相手を観察した。あの箱の裏についているスイッチはなんだ?

 

「ねぇねぇ、地上ってどんなとこ?」

「地上?…あー、実を言うと記憶喪失なんだ。落ちる前の記憶がない。」

 

ということにしておこう。

えぇ!?という声が超至近距離で聞こえるのを流して考える。なんてったって私はこの上を知らない。地上がいつで、どこで、どうなってるのかなんて知りもしないのである。Friskも知らない新事実にびっくりだろう。

 

「じゃあこれから君は沢山の思い出を作れるね!」

「はぁ…」

「おや?そろそろもう1人のニンゲンが来そうだ!驚かすために隠れようか!」

 

ポジティブ思考…暗くしたスタジオの台所で奴が商品を紹介している内にFriskがやってきた。キョロキョロと周りを見ながらアルフィーと連絡を取っている。バン、と照明がつくと同時に私たちはまたカメラの前へと姿を現した。ウソでしょ…という声が聞こえた気がした。

 

「ohhhh,yess!さー始まりましたー!地底で話題の人気料理番組のお時間です!」

「殺人ロボのキラキラキッチン、イェーイ。」

「え、I・o!?」

 

爆笑必至の棒読みタイトルコール。私は白目を剥きそうになりながらも盛り上げようと努めていた。だって未だに身体から離れてくれないしきっと盛り上げなかったらもっと締め上げるんだろ?苦しいのは嫌だからな。

そうこうしている内に話は進む。ケーキの焼き方、らしい。料理はそこそこに得意だが菓子を焼いたりケーキを作ったりなどはした事がない。へぇ、と呟きながら私の出番を待つ。Friskがせっせと材料を運んでいた。

 

「さぁ!これでケーキの材料が揃いましたね!ミルクでしょ…砂糖でしょ…卵でしょ……おーっと!大変ッ!これは痛恨のミスだぁ!1番大切な材料を、忘れていたぁ!それは…」

「他に足りないものあんのか…?」

 

普通ケーキはそれがあれば作れるのではと疑問。奴はおどけた調子で言うが次の行動にわたしとFriskがギョッとした。

チェーンソーが、持ち出された。

 

「そう…ニンゲンのタマシイ!」

「Frisk、逃げろ!!!!」

「逃げるべきなのはI・oだよ!?」

 

ギュイイイイン、その場に相容れない音が至近距離で鳴り響く。どっちをきり刻もうかなんてのは考えてもいなかったらしく、Friskが離れるとすぐに私の方へとそれを向けた。ヒィ、痛そうだからやめてくれと身体を捻じるも意味はない。

誰か助けて、そう思った時。

 

プルルル…

 

確かに電話の音が鳴った。

 

「あー、はい、もしもーし?今ちょっと忙しいんですが。」

「ちょ…ちょっと待って!!」

「アルフィー!」

 

救世主では?そう錯覚する程に彼女の声は私にとって鶴の一声だった。どうやら"ニンゲンのタマシイ"を他のモノで代用するとの事。何故というメタトンにベジタリアンのひとがいたら困るし?という回答。我々の魂は肉の部類なの?と私達が疑問に思ってしまった。というか、それで何とかなるのか?

 

「ベジタリアンだと…?それは素晴らしいアイデアだッ!」

「ア、馬鹿だこいつ。」

 

私の声は届いてない。代用としてニンゲンタマシイフレーバーとかがあるらしい。色々ツッコミどころがあり過ぎてもう何も言えないし疑問に思わない。これからなにがあっても突っ込まないからな!

 

「といつわけで、アシスタント君たち取ってきてくれるかな?」

「おっ…とと。ごめんFrisk、油断してたら捕まってた。」

「別に何もされてないなら大丈夫。でも、…記憶について、後で教えてね。」

「あ、そうだな。落ち着いたら話をしよう。」

「そこの!ガン無視してるアシスタント君たち!!早く!」

「へいへーい。」

 

とりあえず進める方向へ進む。あんなところに、と思った矢先缶詰めの乗せた地面は高く上に伸びた。

…あぁ、そういう。

 

「そうそう、放送時間の都合で1分(・・)以内に缶をゲットできなかったら予定通りのレシピ(・・・・・・・・)でいくからよろしく!!」

「…1分かぁ。さすがに私でも無理だな。」

 

そもそも私は近距離の戦闘が得意なだけでありこういう脚を使うのは慣れていない。これがもし地面に潜っていく缶詰めだったら良かったのにと考えるがそれでも1分では無理だろう。

プルルル…と電話が鳴る。今度はFriskの電話からか。会話は聞こえないが急に電話が変形してジェットパックに。その電話いじってたんかとアルフィーの激励をうっすらと聞いてFriskに声をかけた。

 

「じゃあ、行ってくる。」

「お、おぉ…気張れよ。」

 

ゴォォ、という電話からしないような音がして上へと飛んでいった。私?私は何をしようか。カメラも私を撮っていないし何もする事がない。といっても1分だからすぐに終わる。

見えるかなぁと顔を空に向けると色々降ってきた。卵砂糖?泡立てたミルク?ベチャベチャになる床と避けきれてない私。はぁぁ…とため息をついて機械じみた大きな声を聞き流していた。

 

「はぁぁぁああ、またかよッ!?」

「さぁ行こうかもう1人のアシスタント君!ボクと共に盛り上げてくれ!!」

 

悲しきかな、私はベタベタの身体を暴れさせながらもまた連れ去られるのであった。

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