改変せざるを得ない転生者   作:代理

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火事場のアンダイン

あぁ、気まずい。そして、まずい状況。そこまで重要な事を言った訳では無いのに命に関わるなんて。

Friskに助けを求める。ツンとした様子で私を救ってはくれない。私を射抜く視線のモンスターを見る。鋭過ぎる目が私への殺意を顕にしている。

 

「……お嬢さん、機嫌直してくれればと。」

 

そんな声はテーブルに再び槍が刺さる音に掻き消された。

 

 

 

数分前のこと。

 

Friskが怒りながらも私をずるずると引きずって着いたのは魚の形をした家だった。行きにも見たな、とふと思い出したがその入り口付近に背丈の高い骨が居たのに気付いた。彼もハッ!と気付いて私達の方へと走ってきた。

どうやら、以前の「彼女の家で集合ね!」の件らしく。彼女の家、てのはきっとこのさかなの家…まさか?まさかなのか??

 

「そのまさかだよね。」

「じゃあ行こう!後ろについてきてね!」

「………あぁ。」

 

頭を抱えた。これは非常にヤバいのでは、なんて考え事をする暇もなくはじめましてと言いかけたアンダインは私と手を振るFriskをみて固まった。私も固まった。

 

「…どうぞ。…中に。…3人とも」

 

ニンゲンと馴れ馴れしくしているパピルスに完全に、されど静かに動揺しているのを見ながら扉をくぐる。先程、私だけ外で待ってていい?なんて小声でFriskに聞いてたらお前も入れとアンダインが睨んできた。ひぇ。

 

「おーっと、オレさまはそろそろトイレに行かなくちゃ!じゃあ3人でなかよくしててねー!」

「え、パピルス待っ…」

 

私が止める暇もなく彼は窓のガラスを割って外に行ってしまった。トイレってそっちなのか、窓を割る必要はあったのかとツッコミを入れながら私は先程からとんでもない殺気を飛ばす方へと目を向けた。

 

「…何をしに来た。」

「敵の傷に塩を塗りに…てわけじゃないよ。そもそも私達は攻撃されなかったら友好な関係を築こうと努力するし、ねぇFrisk。」

「うん。」

「……ハッ、信じられんな。貴様らは私と友だちになりに来たのか?」

「そうだ。」

 

笑みを浮かべて私達を睨みつける彼女。その視線が嫌だと顔を歪めて私はあからさまに目を逸らした。

Friskは友だちになるという選択に迷いはないようだ。だが、私は少し迷いがある。なんて言ったってFriskの事さえも容赦なく殺しに来たモンスター。そんなの今までに見なかったし相手からも敵意がまだひしひしと感じられる。ならば、友になるという選択肢は本当に正しいのだろうか。

彼女たちにとって、忌むべきニンゲンという思考はそう簡単に変えられるのだろうか。

 

「そうか、ならば手を繋ぎ共にたわむれようではないか!…とでも言うと思ったか?」

「…」

「誰が貴様らなんかの友だちになるか。特にでかい方はその姿も見たくないわ。きゃくじんで無ければぶん殴って殺してやるところだ。友だちになんぞ…死んでもならん!」

「えー!ざーんねーん…」

「パピルス?」

「きさまらとアンダインはいい友だちになれると思っていたのにな!どうやら、アンダインを買い被りすぎたようだ!」

「パピルス??」

「やっぱり無理だったかー…」

「パピルス???」

 

途中までは良かった。パピルスが介入してから空気ががらっと変わってしまう。私の声を無視してアンダインに聞こえるような大声で彼は言って嵐のように去っていく。

 

「なに?"無理"…だと……!?」

「アンダイン?おいまさか…」

 

挑発に乗せられて友だちにする作戦的な?ならば乗せられる方は相当阿呆か馬鹿か頑固か。とりあえずわなわなと震える腕を見て今度は私が動揺する。Friskはナイス、パピルスと言って親指をぐっ!と立てたがそれどころじゃないんだぞ。

 

「私が貴様の友だちになれない…?その女はともかく貴様のような腑抜けを友だちに出来ぬ私ではない!」

「うわ、やっぱり…でも私は範囲外なんだな。」

「私とそのガキは…ズッ友、だ!」

「うわぁ…」

 

ズッ友なんて言葉、久々に聞いた。その不自然な固まった笑みを向けてFriskに話しかける様子は滑稽…いや、ちぐはぐで私はそっと入り口へと近づいた。Friskはまだ私がこの場を去ろうしている事に気づいていない。よし、ドアノブに手をかけた。

 

「おい保護者。貴様もくつろいでいけ、パピルスに言われても友には一生なれんがな。」

「あぁー…バレてたか。」

 

肩にがしりと手が乗せられた。そのまま力を込めるもんだから痛いと言いながらドアノブから離れて私はテーブルの近くにある椅子に座った。はぁ、やれやれ。

 

「Frisk、楽しいか?」

「うん。見なくていいの?」

「別に私はそういうの趣味じゃないからな。あぁでも部屋は少し気になるかも。」

「なんで?」

「いやだってこのアンダインさまがもしかしたら乙女のような部屋を持っていると思うとさ…ね?」

「本人目の前にして言うことか貴様。」

 

棘のような言葉が双方に突き刺さる。Friskが仲良くしてよねI・oと嫌な視線を向けてくるので仕方ないなぁなんて呟いてアンダインとの雑談をすることにした。

 

「アンダイン様は恋バナとかって興味あります?」

「敬語も様もいらん。」

「ハイハイ。で、どう?黙秘権はなしだから。」

「…1人だけ。1人だけ、気になっているモンスターがいるんだ。」

「……へぇぇ〜?」

 

Friskがわたしの隣に座る。一方で私はアンダインの話に興味を持っていた。彼女、恋をするなんてあるんだと。だが、話題に触れることは無くFriskが来たという真実に目を向けてまたぎこちない笑みを浮かべた。

 

「そ、それより先にお茶にしない?何か飲み物を持ってくるよ。」

「うん、ありがとう。えっと…」

「おい」

 

バキ。

飲み物を用意してくれていたアンダインに手伝おうとしていたFriskが再び立ち上がる。その動作を見たアンダインの顔が私達を殺そうとした時の顔になり、目の前のテーブルが槍で真っ二つに割れた。は?と驚く私にビビるFrisk、突然の本領発揮は心臓に来た。

 

「貴様、動くな!!客人なら客人らしくもてなしを受けろ!」

「「…」」

「…えと…飲みたいもの、指してくれる?」

「…お前、友達になる気あるの?」

 

腑抜けたわたしの声だけが響く。それから、冒頭である。

 

 

 

 

 

なぜそれを今言うのだというFriskの視線。アンダインは地雷を踏まれたが如く顔を憤怒にしていた。あ、まずいと思った時には2本目の槍がテーブルに追い討ちをかけていた。槍は1本目よりも私に近いスレスレの部分に刺さり私は体力をいくらか持ってかれた気分になる。心臓がきゅ、と縮んだ。

 

「…選んで、ね?」

「……ハイ。」

 

Friskに対してと同じ口調で言われると余計に怖いわ。1つずつ確認を取るも最終的にはハーブティーを選ばざるを得なかった。Friskがアンダインを槍で指したりすると疑問の顔になるのに私が指すと殺意の顔になるんだよ、恐ろしい。

 

「はい、どーぞ。」

「ありがとう。……はぁ、美味し。」

 

こくり、と1口。優しい風味と温かさが口の中で広がり先程まで戦っていた敵の家にいるということを忘れる位に落ち着く。Friskも息を吹きかけ冷ましながらちびちびと飲んでいた。あちちと言いながら舌を出す。かわいい。

 

「"きんいろのはな"のハーブティー…アズゴアのお気に入りなんだ。」

「アズゴアって…王様の事か?」

「あぁ。そういや、Friskは…アズゴアに少し似てるかもしれない。ダサいところとかな!」

「ダサっ…ぼく、ダサい?」

「……」

「なんか言ってよー!」

 

確かにその縞のシャツはちょっとダサい。なんて私がFriskに言えないのだがそれが仇になった。あはは、と笑ってアンダインもハーブティーを飲んだ。いい飲みっぷりだ。

 

「私、昔けっこうやんちゃでね…アズゴアに喧嘩しに行ったりとかしたんだ。アズゴアは凄く強かった。…決して私に怪我をさせずに、私の攻撃を喰らわずに私を倒した。どうしたらそう出来るのか、教えてもらうために私は稽古をつけてもらっている。」

「へぇ…アズゴアさんは、優しい方なんだな。」

「あぁ。パピルスも優しい奴なんだが、優しすぎて我々のところに入れるのに不安が残ってる。」

「優しすぎて誰かに牙を向けることが出来ないんじゃないか…という事か?」

「そう、それだ。」

「確かにあの優しさ、そして純粋さは本人にとっての傷になるかも…でもまぁ、そこが彼のいいところだと思う。入団させるかさせないかはパピルスの意思とキミの判断が重要になるとも考えている。」

 

長い雑談に一段落。少し話し込んでしまったなとアンダインが軽く謝るが気にするなとわたしとFriskはそれぞれ言った。私は途中で割って話したからともかくFriskはなんて気を使ったが問題ないと言っていた。アンダインが立ち上がる。そのままキッチンで何かを呟いていた。

パピルスとの料理の特訓?なんだそのイベント…いや待て。思い出したぞ。

 

「代わりにお前達と特訓をしようではないかッ!」

 

もしかして噂の火事になるほどのエグい料理レッスン??

 

 

私がヲタクだった頃。ファンアートで最も印象を残したものがある。

燃える魚の家、それを外からみている2つの後ろ姿。青いウォーターフェルが赤く映し出されておりそれを眺めている方々の顔は見えない。ただ、料理しただけで火事になるという事実を私はファンアートから辿り何とも言えない面白さと驚きを味わうことになった。

それが、今なのである。

 

「もっと強く!嫌いな奴を考えて殴れッ!!」

「え、と…えい!」

「とりゃ。」

「上出来だ2人とも!私もやるぞ!ぬあああ!!」

 

トマトが壁にへばりつく。ソース作り、と言っていたが全くもってソースになりそうにない。手や顔についたソレを拭って私はアンダインを見る。どーすんの、と聞いたら次は麺の準備らしい。Friskは豪快に麺を入れアンダインに頭を乱暴に撫でられていた。一般的でない事は確かである。

 

「次はかき混ぜるんだ。混ぜれば混ぜるほど美味くなる!頑張れよI・o!」

「うーん、私か…とりあえず、混ぜればいいんだよな?」

「ファイト!」

 

料理というのはそんなに簡単では無いのである。私はとりあえず混ぜるが固かった麺がバキバキに折れてぐちゃぐちゃだけどもっと速く!もっとだ!というアンダイン。あの、さすがにこれ以上はきついんじゃないすかね。

 

「があぁ!もういい!私がやる!!」

「あ、どぞ。」

 

鍋に槍を突き立てていた。鍋が凹む。うわ、なんて若干引きつつこうでなくてはと笑うアンダインにそういうもんなのか…とわたしは苦笑いを浮かべた。私の知っているパスタの作り方じゃないわこれ。確かに火事に繋がりそう、と記憶と掛け合わせている内に火を強くする2人。あ、そういう…やっぱ。

 

「こうなるよねー!」

 

火は家に燃え移ってことごとく私たちの周りを覆うのであった。

 

「あー…」

「アンダイン、火事は仕方ない。料理は…そうだ。私が教えよう!あとはなにがしたい。交換日記か?それともお揃いのアクセサリーでも作るか?」

 

相手のかなりの失態、それを私は煽らずにカバー。なんてったってこれは酷い。敵を招いた挙句家が全焼、自業自得なのは仕方がないけど私がアンダインの立場だとしたら心が折れてしまうね。

 

「…はぁ。もう、やめだ…認めよう、わたしは失態を演じた。ニンゲン達よ、もう私は貴様らに友だちになるように強いられない。」

「いやでも私達は」

「友だちにななれないなら…それでいい。なぜなら、友だちで無ければ…なんの気兼ねもなく貴様らを始末出来るからなッ!」

「え、ちょ」

 

言葉を遮られて伝えられたそれはまたもや湧き上がった殺意。戦闘画面に移り変わる、私がマジかよおいと言うやいなや槍を構えた彼女は全力でかかってこいと言って防御の姿勢を取った。

 

「どうするFrisk。」

「…攻撃するふり、しよう。」

「おk。」

 

いざ襲いかかるように、わたしとFriskは駆け出す。そのまま手をグーにして…手前で形を変えてデコピンをした。Friskはとすん、と拳を置くようになぐる。それを見てなんだと…?と唖然するアンダイン。

 

「I・oはともかくFrisk、それが貴様の全力か…?」

「Friskに攻撃の意思はない。私にも、な。」

「そうか…実は、私もお前達に手荒なことはしたくないんだ。最初はお前達の偽善に反吐が出たけど…でも、お前達が今わたしに浴びせた攻撃は、昔わたしをきたえてくれたあるひとによく似ていたよ。」

「…」

「なあ、ニンゲン…アズゴアだってきっと本当は戦いたくないと思うんだ。根はとても優しい方だから。きっと…話し合えば地上に返してもらえるはずだ。タマシイは他の悪いニンゲンから貰うよ。それでめでたしめでたし、だろ?ククク…」

「もし、それが出来なかったら私達をどうするんだ…?」

「その時は、ニンゲンのタマシイを使って地上に出てお前達をボコボコにしてやるよ!それがユウジョウ、てもんだろ?」

「……あぁ、そうだな。」

「I・o、お前も本当に今でもいけ好かない奴だけど…私の友だちとして(・・・・・・・・)Friskのこと、頼んだぞ。」

 

小声で私に言ったアンダイン。Friskがまだ弱いことと、私が強いことを知っての言葉。Friskに聞かれたら多分怒るだろう、そして無理をする。気遣い、ありがとうなんて言葉を返したら背中をバン、と叩かれた。

 

「さぁ、家が燃えちゃう前に行こうか!」

「あぁ。」

 

Friskはアンダインと私を交互に見た。それから本当に友達みたいだと呟くのを聞いて私はFriskもでしょ?と言い返す。家から出て楽しかったとかなんとか話をした。どうやらアンダインはパピルスの家にしばらく住み込むらしい。騒がしく、彼女は去っていった。

 

「楽しかったな。」

「…うん。」

 

うっすらと優しい笑みがFriskからこぼれていた。




非公式翻訳とか日本語版とか作者の解釈が入り交じって言葉がところどころ違うんですが許してください(震え声)
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