触手と俺のヒーローアカデミア   作:金剛もやし

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勧誘、そして承諾

 

 

 人間、怖いと思う出来事は多々あると思う。災害、交通事故、この世界に於いては(ヴィラン)というのも人が最も怖がるものの一つとして挙げられる、そんな中でも上位の怖さに位置しているのが”知らないおじさんが自分の病室にいる”だと思う。

 

 

 現在、どこか枯れた印象を与える灰色の髪に、眉目秀麗ではあるが何処か胡散臭い印象を与える、糸目が特徴的な顔つきの細身の男がこちらを見定めるような目でこちらを観察している、すぐに出ていかないところを見るに、部屋を間違えたとかではなく俺に用事があって入ってきたようだ。

 

 

「……あの〜、いったいどのような御用事で?」

 

「──ああ、すまない君の身体に見惚れていたよ、やっぱり鍛えてるのかい?あ、ちなみに僕には妻子がいるからそういう趣味では無いから安心してね?」

 

「え?ああ、はい、まあ筋トレは結構しますね」

 

 

 辿々しい返事をしながらも俺は思う、この人すっげえ胡散臭いと。確かに日々の鍛錬によって俺の身体はしなやかで引き締まっている筋肉を身につけている、少し細身ではあるがこれほどの肉体美をもっている中学生はなかなかいないだろうと自負している。

 

 

 だがしかし、もう一度だけ言わせてもらおう。怖い!なんなんだこの人⁈いきなり病室に入って自己紹介もなしに筋肉についての話題を投げかけてくるのは恐怖でしかない。

 

 

「やっぱりね、努力が見ただけでわかるよ、相当頑張ってきたんだろう……おっと自己紹介もなしに失礼だったね、無駄なことを話してしまう、僕の悪い癖だ」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「そうかい?……ああ、そうそう要件だった、まずは自己紹介からだね、僕の名前は 情感 色見(ジョウカン シキミ)ヒーロー公安委員会の会長を務めさせてもらっているよ」

 

 

 色見と名乗った男が所属しているといった組織を俺は知っている、というか義務教育をしっかりと受けている人間であれば名前くらいは知っているのが当たり前である。

 

 

 ヒーロー公安委員会とは、名前の通り“個性”を使う人。つまり、ヒーローで公共の安全を守る組織であり全てのプロヒーローは副業OKなどの特殊な部分はあるのだがこの組織に所属している公務員ということになる。

 

 

 それとネットで調べるとこの人の顔がしっかりと出てくるあたりこの人の言っていることは信じても良さそうだ。

 

 

「どうしてそんな偉い人が俺に……?」

 

「実は君がそんな重傷を負ってしまった原因が僕たち公安にもあってね……どういうことかというと──」

 

 

 色見さんが言うにはマスキュラーが暴れたあの場所辺りは過疎化が進んでいたので最近土地開発をさせたらしい。そのため、あの一帯をパトロールするヒーローがウォーターホースしか居なかった、だからあれほどまでヒーローが到着するのが遅れたのだろう。

 

 

「近々あそこらへんの保安対策は強化しようと思っていたんだけどその前に(ヴィラン)が出てきてね」

 

「なるほど」

 

 

 解せないな、なんでわざわざ国営の組織のトップが直接謝罪に来る必要性が分からない、もっと格の低い人を遣わせるとか書面とかでも良かったのでは?

 

 

「この話の説明はこれで以上だよ……何か疑問があるのかい?」

 

「──⁈、そこまで顔に出てましたか?」

 

 

 顔には出さないように注意していたはずなのだが、もしかして俺はあまりポーカーフェイスは得意ではないのだろうか。

 

 

「いや?顔には全く感情が出ていなかったよ、これは僕の“個性”、人の感情を色として見ることができるのさ、便利だろう?」

 

「……人に“個性”を使うのは禁止されているのでは?」

 

「あはは、厳しいことを言うね、それじゃあお詫びとして君の質問に答えようじゃないか、どんな疑問でもいいから言ってみてよ」

 

「では──」

 

 

 俺は先程の疑問を色見さんにぶつけてみた。

 

 

「……なる程、疑問に思うのももっともだね、では早速その質問に答えようじゃないか、まあ元々伝えようとしてたことなんだけどね」

 

 

 質問する意味なかった。

 

 

「ヒーロー公安委員会の幹部の一部と僕達で同僚には内緒の計画を立てていてね、その名も第二の平和の象徴作っちゃおう大作戦!」

 

「名前ダサ……」

 

「ええっシンプルでいい名前だろ⁈……コホン、この作戦を立てた理由なんだが”平和の象徴”つまりオールマイトは実はもうヒーローとしてもう長くないんだ……あまり驚かないんだね」

 

「オールマイトがナンバーワンヒーローになってから、もう何年も経ってますから、流石のヒーローでも歳には勝てないみたいですね」

 

 

 原作を読んでいるためオールマイトに限界が来ていたことは既に知っているが、未来を知っているなんて言ってしまったらどんな所業が待っているか分からないので適当に応える。

 

 

「なるほど、ちなみにオールマイトの引退が近い原因はそこじゃないよ、彼は度重なる手術と後遺症が主な原因さ、僕たち独自の調査だとそれが無ければ75歳までヒーローとして活躍できたらしいよ、凄いよね」

 

「とんでもなくタフですね」

 

「まあ兎も角、僕が言いたいのはもう平和の象徴が長くないから新しい象徴を作る必要があるって事、そんな訳でその第二の平和の象徴の候補として君の名前が挙がったってわけさ」

 

「……その候補になったら具体的に何をするんですか」

 

 

 これで平和の為に(ヴィラン)を殺戮しまくれとか言われたら、嫌だからな、平和の象徴にしたいなと言うのならばそこまでの具体的なルートを見せれる筈だ。

 

 

「──なんでも」

 

「なんでも?そんな曖昧な言葉じゃなくてもっと具体的な言葉で教えてくれませんか」

 

「では、その前に一つ質問だ、君はミルコが助けに来なかったらあの(ヴィラン)、”マスキュラー”を倒せていたかい?倒せないと判断したならその理由も教えてくれ」

 

「おそらく、無理でした」

 

 

 相手は感情を読み取る“個性”持ちだ、ここで嘘を言っても仕方がない、続けて理由も伝える。

 

 

「理由は3つあります」

 

「1つ、俺の力のみで奴の攻撃防ぐのには集中力を大量に使います、ウォーターホースが事前に撒いていた水を使って“個性”を強化していなかったら、恐らく俺が稼いだ時間の半分ほどしか耐えることができませんでした。」

 

「2つ、俺には奴を殺さずに無力化させる程の力が有りませんでした俺は殺しをしたことがありません、もしも殺そうするときには躊躇するでしょうその隙に奴に殺されます。」

 

「3つ、そもそも俺はあの時点で満身創痍でした、ミルコが助けに来なかったらあのまま殺されていたでしょう」

 

 

 これらが現在俺の思いつくマスキュラーを倒せない理由だもう少し考えればもっと出てくるが凡そこの3つが勝たない理由の大部分を占めていると俺は考える。

 

 

「なる程、それでは僕も君の質問に詳しく返答しよう、正確には君が平和の象徴となるために必要なことを”なんでも”するんだ、例えばトレーニング。君の持つ技術をより巧みに、君の体をより強く、そして何よりも君の“個性”をより素晴らしく、僕達は君をそうするためのハイテクな施設、膨大な財力、高度な教育を用意することができる!」

 

「おぉ……」

 

 確かにそれは魅力的だ、ヒーロー公安委員会は個性も管理している、ならば様々な個性の情報が揃いに揃っていることだろう、その膨大なデータがあれば俺に合ったカリキュラムも組むことなど容易であろう。

 

 

「今はまだ僕達のことを優秀なヒーローを目指すための手伝いをしてくれるという認識いい、途中でヒーローになる事を諦めても構わない。この提案を受けてはくれないだろうか」

 

 

 途中でやめてもいいのならば現在進行形でヒーローを目指している俺に提案を受け入れない選択肢は無かった。

 

 

「その提案、受け入れたいと思います」

 

「……ありがとう、これからよろしく頼むよヒーローの卵」

 

 

 どうやら俺のヒーローアカデミアは少し周りよりも早いみたいだ。

 

 

 

 




《オリキャラ紹介》
情感 色見(ジョウカン シキミ)

 灰色の髪に黒い目の狐を彷彿とさせる顔のイケメン、ヒーロー委員会の他メンバーと比べると若い。
 原作キャラの立場を奪うというとんでもない原作改変をしてしまってあの人が重要キャラだったらどうしようと不安に思っています
(原作の会長は幹部に降格になりました)

 個性は色情視眼、相手の感情を色として見ることができる。大体プラスの感情がマイナスの感情がどうか位しか見定めることが出来なかった個性だったが委員長がめっちゃ頑張ってもう少し詳しく見定めることが出来るようになった感情の的中率は大体60%。

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