公安に所属してから一年と三ヶ月ほどが経った、公安から与えられる頭のおかしくなるような負荷のトレーニングも精神的には慣れてきた──最近だと戦闘機*1とタイマン張らされた、イカレてるだろ?──まあ、慣れたのは心だけで近接格闘、筋トレ、個性伸ばし、勉強でずっと眠いのに身体が筋肉痛で身体中が痛すぎて寝れないのだ。
そんな身の上話は置いといて、俺はそんなことが一切気にならない程に大きな問題に直面していた。
現在、梅雨ちゃんにとっては厳しい、未だ寒さが残る二月一日である、俺が中三であることを知っている人は、”ああ〜受験ね〜”と思うかも知れない。残念!全然違います、そもそも進学は公安の方から推薦貰ってて雄英に行けることになっているので何の問題もない。
梅雨ちゃんの誕生日が二月十二日なのである。
「ああ〜!どうしよ〜⁈」
違うんです、訓練に次ぐ訓練で考える時間がなかったんです!覚えてはいたんだよ⁈本当よ?なんてことしてる場合じゃない、早く決めないと。
えーと?去年はスキンケア用品で?一昨年は確かトリートメントがなんかだったかな?、このまま美容方面でいくと何になるんだ化粧品か?でも梅雨ちゃん朝は忙しいよなぁ、となると別のものか?
「うーん……」
もう家で考えてても時間の無駄だな、二ヶ月ぶりの本当に何もない休みの日なんだ、こんな所で時間使ってないで実際に商品を見に行くとするか。
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ということでやってきました、この街はマスキュラー事件の時以来だ、伊達に都市開発してないらしく街は人で溢れかえっている。ウォーターホースもヒーロー復帰したらしいからついでに挨拶をと思ったんだけどここら辺にいるかな?
「おー、誰かと思えば九頭君じゃないか、久しぶり病院であった以来だっけ?」
「あっ、ウォーターホース!久しぶりです」
辺りをキョロキョロと広場で探していたら後ろからウォーターホースに話しかけられた、そっちにいたのか。
「あれっ?奥さんはどうしたんです?」
「実はな?──」
片割れがいないことに違和感を覚えて聞いてみたところによると、どうやら二人の息子である洸汰くんの為にヒーロー稼業を交代制にしたらしい。
「俺らもあの一件以来懲りて、ヒーロー活動が改めて死と隣り合わせだって実感してな。しっかりと
「良いことですね」
洸汰くんかぁ、いきなりサイドキックにスカウトしたせいでドン引きされたっけ、俺の“個性”は水を消費して一時的に強化できるから近くにいたら水を撒ける人が近くにいたら便利だと思って咄嗟に声かけちゃったんだよね。まあ、最終的には仲良くなれたし、サイドキックも前向きに検討してくれるらしいから良かった。
「それで?、いったいどんな用事でここまで来たんだ?」
梅雨ちゃんへのプレゼントを探しにショピングモールへ行く予定を伝える。
「あと、ついでにアドバイスなども貰えれば……」
「うーん、その梅雨ちゃんって子とは仲良いんだろ?じゃあ長持ちするものとかが良いんじゃないか?」
「──なるほど!流石奥さんがいるだけはありますね、その方向で考えてみようと思います、それじゃあありがとうございましたー」
「ああ、洸汰も君に会いたがってるから、またウチに来てくれよな!」
「はーい」
久しぶりに元気そうな顔を見れてよかった、さあ本命の用事を済ましに行くとしよう……。
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その前に銀行でお金おろしてかないと、今の財布の中身じゃジュース一本だって買えない。目の前にある銀行に自動ドアを開けて中に入る。
「ATMって──、「か、金を出せぇ!」うわっ不幸だー」
銀行強盗なんてこの世界では日本ですら殆ど報道されることがないほどありふれた犯罪だが、それでもその現場に居合わせる方が珍しい、これ午前中に帰れるか?
「お、お前!こ、こっちに来い!」
「うえっ」
なんて考えていたら
さらに最悪なのが、銀行強盗に緊張でもしているのだろうか、ネギのようなストレス臭と汗の酸っぱい匂いが合わさって、例えるならば銀杏のゲロ煮込みみたいな匂いが俺の鼻を襲いかかってくる──オーバーホールだったら死んでたぞ──しかも、興奮してるせいなのか必要以上に俺の背中に身体を押し付けてくるモンだから鳥肌が止まらない。
「な、何してる、早く金を詰めろ!じゃ、じゃないとこいつが……」
──パキッ、パキパキパキッ!
「キャー!」
こいつ“個性”使いやがった、俺の全身が氷に覆われていく、と言っても轟くんのように分厚い氷で動きを封じるようなものではなく、全身に霜が降りてきて体温を急激に下げる程度のものだ、きっと個性の出力が弱いからこの程度のことしかできないのだろう。
「ヒ、ヒヒヒ、こいつが低体温症で死ぬぞ」
そんなわけないだろ。さて、ここで大切なのはこの臭すぎる中年が“個性”を使ったということ、法律上“個性”を使って犯罪を犯した場合は
ということで早速!
「オラァ‼︎」
KNOCK & CATCH
「ゴファ‼︎、ク、クソッなんなんだコレ⁈」
カウンターに気を取られていたこの
「セイッ‼︎」
ATTACK ‼︎
「うぐっ……」
地に伏せた
さてと、早くATMでお金下ろしていかないと、
「ん?防寒具か……、アリか?」
ウォーターホースのアドバイスにも当てはまるし、何より梅雨ちゃんは寒さに弱い、性能の高いものを送れば冬でもそれなりに快適に過ごせるだろうか。
「早速行ってみるか」
気絶している
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ショッピングモールに行って、なんとか夕方までには良い物も買えて、着替えることもできた。後は渡すだけだが、最初に言った通り現在二月、本来は試験当日までの最後の大詰めに入っている時期である、呑気に”誕生日おめでとー!”なんて阿呆なことは言えない。
そもそも俺には今日しか休みがない、明日からはまた
ということで、俺がした決断は──。
「ええっ僕がですか⁈、嫌ですよー」
「たのむっ、
丸投げである。
「直接渡せば良いじゃないですか、僕経由する必要あります?」
「うぐっ、でもまだ塾だろ?それに最近会ってないし……」
「ごちゃごちゃ言ってないで早く渡してください、ほら後ろ、帰ってきますよ」
──⁈、夕日を背にして梅雨ちゃんがこちらへ向かってくる、クラスも違うし放課後はお互いに忙しすぎて会う暇なんて無かったしでもうなんて話せばいいのか分からない。ええいままよ!とりあえず思いついたこと言えばいいんだ、ぎこちない足取りで梅雨ちゃんに近づいて話しかける。
「つ、梅雨ちゃん」
「久しぶりね、どうしたの竜ちゃん?」
今日のあの
「ええっとね、あの、渡したいものがあってね、ちょっと早いけどコレ、誕生日プレゼント、渡すタイミングないから今渡しちゃうね」
「あら、ありがとう中身は……マフラー、ちょうど古くなってたし丁度いいわねありがとう」
「喜んでもらえてよかった、じゃあ試験頑張って、俺”梅雨ちゃんとずっと一緒にいたいから”、それじゃ」
「──っ⁈ええ、また」
ただプレゼントを渡しただけなのになぜか居た堪れない気持ちになって走ってその場を去ってしまった、暫く話してなかったから距離感が分からなかったな。まあ、とりあえずプレゼントは渡せたんだ問題はないだろう。それにしても──
「当日に渡したかったなー」
久しぶりに梅雨ちゃんの顔見れて癒されたことだし明日からまた頑張りますかね。
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「姉さん、顔が赤いよ、
「……赤いのは夕日のせいよ」
やっと次から本編が始められそうです。