恐れて、叫んで、走る人々を見ながら何処か他人事のようにそう思った。本来ならあの人たちのように己のことだけを考えて走り出さないといけないのに、
「──お前も早く逃げろ!」
「で、でも!」
「そんな言い争いしてる暇はないわ、いいから早く逃げるの」
「っはい!」
その場に突っ立ってたら注意されるのは当たり前だ、ウォーターホースは
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冷静とは言い難い頭だか、それでもやるべきことを考える、まずは被害が及ばないように避難の手伝いだと思い”触手”を使う、公共の場での個性の行使は犯罪となるが
取り敢えず、目の前の転びそうな人を触手で支える、転んだら後続の人に気づかれず踏まれるかもしれないからね。また、周りがよく見えていないのか、一つの大通りに逃げる人が集中しているため空いている道に立って声を上げる。
「おーい!こっちの道は空いてるぞ!」
こちらに気づいた一部の人がこっちに向かってくる、自分がここに立ったままだと邪魔になるので横に避ける、逃げる方向が分断されることによってさっきよりはスムーズに避難が進む。
その他にも、腰をやってしまった老人を運んだり、親とはぐれたらしい子供の親を探したり、女性の折れたヒールをもう片方のヒールもへし折ることでただの靴にして走りやすくしたり。恐怖で冷静さを失ったのか周りの人を押し退けて進む大人をしばいたりした。
そんなこんながあって大体の避難が完了した。そうなると気になってくるのはウォーターホースについてである、原作では市民を守るために立ち回って殺されてしまったらしい……嫌な予感しかしない……とりあえず避難が終わった事だけでも伝えにいこうか、俺はさっきの場所へ走り出した。
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現場について見たのは高笑いする
「ハハハハハ!どうやら俺の方が強かったみたいだな!」
「ぐ、こんなことしても罪が重くなるだけだぞ……」
「うるせぇなぁ!野郎の方もすぐに後で殺してやるからよ、ちょっと待ってろよ」
「それじゃあ、そろそろ死んでもらおうか!」
そう言うとマスキュラーは気絶しているウォーターホース(妻)に向けて、“個性”によって肥大化した拳を振り上げる、あのまま振り下ろされたらウォーターホースは潰れたトマトのようにはじけてしまうだろう。だから俺は救けるために”個性”を使おうと頭を働かせる。大丈夫、ヒーローに見られても素性がバレないように
「そんじゃあ、さよならヒーロー!」
バンッ
「……あ?」
そこに既にウォーターホースはいない、俺が触手で自分の方まで引っ張ってきたからだ、マスキュラーは殺した感触がないことに疑問を覚えて周りを見渡している。そのうちにウォーターホースをマスキュラーから遠くの方は移動させる、運ぶ際は出来るだけ苦痛を与えないようにウォーターホースたちの下から触手を生やして触手の道を作りベルトコンベアのように運ぶ。注目がウォーターホースに集まらないようにマスキュラーに話しかけながらゆっくりと近づいていく。
「やあ、
「一人しか殺せてなくてよ、最悪だぜ、やっと二人目にもなると思ったらお前に邪魔されてよ、どう責任とってくれるんだよ!」
「それは悪かった、お詫びと言ってはなんだがここからは私が相手するとしよう」
「──だめだ、逃げろ!その
ウォーターホース(夫)が叫ぶ──全身がボロボロなのによく人の心配できるな──そんなウォーターホースの心の強さに驚きつつも、覚悟を決めて返事をする。
「大丈夫、他のヒーローの到着まで耐えきって見せます!」
「くっ、言っても無駄か、死ぬなよ!」
俺はウォーターホースを個性を使って出来るだけ遠くへ避難させた後、マスキュラーの方に体をむけて、口を開く。
「避難させるのを待ってくれるなんて意外と優しいんだな」
「俺の心は海のように広いからな、なんならついでにそのウザそうなレインコートを脱ぐ時間くらいはやるぜ」
そう、今の俺はレインコートを着てフードを深く被っているので、顔はわからない、これならヒーロー免許持ってなくても自由に”個性”が使える。また、これはさっき思いついたのだが少々手を加えれば隠すだけの服ではなく、効果的な防具に化けるかもしれない。
「いや、素性がバレると色々不味くてね、このままで行かせてもらうよ」
負けたら確実に殺される上にあれほど啖呵を切っておいて負けたら凄くダサい人間になってしまう、俺にとって絶対に負けられない戦いが始まった。
レインコートを着た彼は意識して口調を変えています。