「今日はありがとな」
その後わいのわいのと遊び続け気づけば午後五時を過ぎていた
「おうよ、また遊ぼうぜ、神楽も遊びに来い・・・って、お前ら同じ学校か、じゃぁ俺が遊びに行く!」
「来られるかどうか、わかんないけどね」
「いいや行ってやる、ほぼ女子校なんて夢の国、ユートピア、桃源郷の集合体みたいなもんじゃねぇか」
「全部同じ意味じゃないか?」
そんな話をしていると携帯の音が鳴る
「千冬姉からだ」
どうやら音を出しているのは一夏の携帯だったらしい
「うん・・・いるよ、わかった。・・・神楽、はい」
と言って一夏は携帯をこちらに差し出してきた
かわれということだろうか?
「・・・はい、中務です」
「神楽か?今日は私の家に泊まれ、というか契約的にお前を一人にはできないのだがな。ついでに言うと明日はお前の試験だ」
「試験?」
もしかして入学試験だろうか?それに合格できなかったら学園に入学できないとか!?
「あぁ、心配するな、試験といってもIS適性試験だ。別に何も持ち物はいらないから、明日IS学園に行くぞ」
そう言うと電話は切れてしまう
「なんだって?」
「今日は一夏の家に泊まれって、それと明日ISの適性試験だって」
「あーあれか、まぁ頑張れ」
「試験内容、知ってるの?」
「まぁやったからな、行けばわかるよ」
そのまま帰路に着くものの疑問は消えないままだった
そして翌日
「ここがIS学園か・・・」
「あれ?来たことなかったのか?」
「ううん、あるけど・・・正門からちゃんと見たのは初めてで・・・」
「無駄話をしてる暇はないぞ」
感慨に耽っている所に千冬さんの喝が入る
「ちなみに校内ではしっかりと『織斑先生』と呼べよ?一夏、お前もだ、というかお前の方が心配だ」
「わかったよ千冬姉」
「・・・まだ校門をくぐってないから許してやる、が次はないぞ」
「あい」
「完全に仕事モードだな千冬ね・・・先生」
そう一夏がつぶやいてくる
それにうなずいて答えると織斑先生について校門をくぐった
その後一夏は書類の申請やなんかで別行動に
連れてこられたのは運動場みたいな所でそこに一台のISが設置されていた
「織斑先生、まってましたよー」
ISはすでに起動状態にあって人が乗っているようだ
「待たせてすまない、神楽、この人が今日試験を担当してくれる山田先生だ」
そう言われるとISに乗った女性は近づいてくる
「ご紹介に与りました、山田真耶です、よろしくお願いしますね?」
「は・・・はい」
女性だ。まぁISに乗っているのだからそうなのだが、だがそのおかげでかろうじて話せる、ISの画像や動画なら数えくれないぐらい見てきた。もちろんそれに乗っている女性も合わせて
「では、神楽、おまえもISを起動しろ、私はピットに行く」
ISの起動か・・・出てこいっ
量子変換されたISが体に展開される
相変わらずほとんど骨みたいでバランスが悪いな
「何回見てもその翼は異常な大きさだな」
クリアになった感覚
「神楽、とりあえず山田先生と倒してみろ」
「ふぇ!?た、倒してみろって、どどど、どうやって?」
「どうやってでも構わん、武装があるなら使っても構わんぞ、山田先生も手加減はしてくれる」
「武装・・・」
ISから入ってくる情報に武装の情報が一切存在しない
「あのー・・・」
「ではいきますよー!」
掛け声とともに山田先生はブーストしながら地面すれすれを滑るように近づいてくる
「うわっ!」
えっと相手を倒せってことは戦うのか?でも武装はないし・・・
じゃぁ格闘?このヒョロヒョロの体で?これでパンチしたら痛そうだなほぼ素手だし
そんなことを考えている間に相手はどんどん近づいてくる
とりあえず逃げなきゃ、ブースト・・・てそれも無い!?この機体ホントにISなの!?
じゃぁえっと翼?これで飛ぶ?飛べる?とりあえず・・・動いてっ!
翼は自分の思った通りにその質量を羽ばたかせる
そこまではよかった、そこまでは
「うわっ」
起立している状態から羽ばたこうとしたので、本来下に送るはずの風は前方に送られる、しかも巨大な翼が起こす風圧は想像していたよりも大きく・・・その結果
「うわっ!」
思いっきり後方へ吹っ飛んだ
「きゃぁ!」
巨大な翼が起こす突風・・・いや、暴風とも言える風を正面から受けた相手はバランスを崩す
見えたのはそこまでで
「ぐっはっ!」
後ろの壁に打ち付けられた
バリン
後ろからまるでガラスが砕けるような音がする
ISのシールドも衝撃までは殺しきれずに背中をしたたかに打ち付けたような感覚だ
壁についていた何かでも割ったかと後ろを見ようとするが
それ以前に目についたのは
ボロボロと破片になって崩れ落ちる翼の姿だった
「そこまでだ」
織斑先生の声が聞こえる
「山田先生」
「大丈夫ですー」
何やら転んでいる先生が起き上がってこちらに近づいてくる
「大丈夫ですか中務君、立てますか?」
「は、はい」
翼がほとんどなくなったのでバランスはとりやすくなったが
「え?ISがこ・・・われ・・・た?」
ISは普通壁にぶつかったぐらいで粉々になることはない、壁を粉々にすることはあるかもしれないが
「落ち着いてください中務君、織斑先生・・・これは・・・」
「しばらくそのままで頼む、私もそちらに行く」
数分せずに織斑先生が出て来る
「これは・・・とても興味深いな」
「せ、先生、これって・・・治るんですか?」
「さぁ?全く分からない」
えー
「当り前だろう、お前のISは異常すぎる、設計図もなければどこの国が作ったのかさえ不明、解析もできない、お前以上にこのISを知っている者はこの場にはいないよ」
この場にはっていうことはほかにいるってことだろうか?
まぁこのISがあるということは設計者や開発に携わった人達がいるはず・・・ってことだろうか
「だが私はこの状態を『壊れた』というには些か疑問を覚える、これを見ろ」
織斑先生が手袋をはめて持ち上げたのはISの破片だ
薄く長方形ですぐに割れてしまいそうなその破片はまるで黒曜石である
「次はこっちだ」
二つ目の破片、それもまた薄く黒曜石のような・・・あれ?
「気づいたか?そうでないなら下に散らばっている破片を見てみろ」
自分の中の疑問を確かめるために破片を一つ一つ見てみる
「すごい、全部同じ形だ・・・」
下に散らばってる破片は見当たる限り『全て』同じ形をしている
「私はこう考える、これは『壊れた』のではなくて『この状態になった』という可能性があるのではないか?」
お、織斑先生、スゲー
「中務、この破片を動かすことはできるか?」
「破片を・・・ですか?」
「そうだ、出来るのならば遠隔操作可能の装備ということになる。やってみろ」
破片を動かす・・・といってもどうすればいいのだろうか
翼を動かしたときみたいな感じかな
そんなことを考えていると
おぼろげなイメージが思い浮かぶ
そのイメージを自分のものにしようと目を閉じると世界は一気に黒く染まる
その黒地の中にポツンと置かれているものそれは・・・
「カッ・・・ター・・・?」
つぶやいた瞬間何かがカチリとはまりドロリと溶け出す感触がする
その感触は間違いではなかった
目の前で破片の三分の二がドロリと溶けだした
完全に液体となった破片だったものはグニグニと動きながら形を変えていく
一方残った破片はまるで磁石が引き合うようににお互いの辺を平行にくっつけている
そうして完成したのは『刃』だ、そうカッターの刃、あのポキンと折れるやつ
その間にグニグニと蠢いていたものの形も定まってきている
それはやはりというべきか、カッターの刃を収納する本体だった
そして締めと言わんばかりに最後にその二つが引き合い見事にカッターの完成である
それが起因したかのように周りの破片もすべてカッターに変わってしまった
「動かすだけでいいといったのだが・・・お前は何をしている?」
後ろから聞こえる織斑先生の声
「えっ・・・と、いや、なかなか難しくてですね、何故か思い浮かんだのがカッターで別に変形させようとしていた訳ではない・・・と思います」
はぁ、と一つため息をつき織斑先生はカッターをひとつ手にとる
刃を出し入れしたり刃を折ってみたり
「普通にカッターだな」
「ですねぇ」
でもなんでカッター?
「中務君のISは形態変化ができるということですかね、前代未聞ですけど」
「このISを検査したときに出た結果は殆ど不明だ、何があってもおかしくはないだけに手探りでどういう機能があるのかを探っていくしかないな。そのためには様々な事を試していくしかない、試験はこれで終了だが少しこのISの事を調べてみるか」
織斑先生と山田先生が話をして何やらIS用のハンドガンを取り出す
「これと同じに変形させることはできるか?」
「これと同じにですか・・・」
変形といったってさっきも意識してやったわけじゃないからどうすればいいのか・・・
そんなことを考えるとISがある機能を作動させる
なんだこれ『繧ィ繝?ぅ繧』基本言語がおかしくないか?
伝わる情報は理解できるもののときどき変な言語が混じる
そういうのは大体固有名詞なのだが・・・これは対象の機能と構造の理解?
尾てい骨のあたりからしゅるりと何かが伸びる
「ん?これは・・・」
赤黒い色をした細い触手のようなものは銃を触り始める
「織斑先生、これってあの時の触手ですよね?」
「攻撃用だけではないということか・・・」
探り終えたのか触手はっ再び尾てい骨あたりに吸い込まれるように消えてしまった
「中務、いけそうか?」
「はい、やってみます」
む、
先程と同じように念じてみると再び周囲に落ちているカッターが溶けてそのまま長方形の形になる
それが組み合わさって出来たのは・・・なんだこれ?
「引き金があるということは銃なんだろうな」
なんだか積み木を込み合わせただけのような頼りなさと長方形が組み合わさってできているためすごく不格好というかなんというか
しかし確かにこの物体は銃であるとISは告げている
「山田先生、これを撃てますか?」
織斑先生の言葉を聞いた山田先生はそっと銃を手に取ってみる
「認識上では私の銃と同じみたいですね、ご丁寧に識別番号まで。銃弾にロックが掛かってるみたいですけれどこの調子なら・・・」
山田先生はマガジンらしき部分を外して自分の銃のマガジンと付け替えて見せた
「内部構造から使える銃弾の大きさまですべて私の銃と同じみたいですよ?ISの信号も私の銃を持っていると認識しています」
織斑先生が離れると少し遠くに的が出現する
ガンッと一発だけ発砲音が響き山田先生放った銃弾は的に吸い込まれるようにヒットした
「おお、当たりました、今日は運がいいですねー」
当たったことにキャッキャと喜ぶ山田先生
「あ、これはお返ししないといけませんねー」
山田先生は再びマガジンを外して銃を手渡しに来る
「一応セーフティーをかけておきましたけど銃器なんで取扱いには気を付けてくだひゃん!」
くだひゃん?
「ちょ、中務君!?どこ触ってひゃぁん、やめ、あっ・・・」
「山田先生!?おい中務何をして・・・中務?中務ッ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・っは!?
「す、すいません、何ですか?」
「何ですかではない!さっさとこの状況を何とかしろ!」
この状況って・・・
この状況と言って織斑先生が指差す方向を見ると様々な形に変形し続けるこのISのしっぽに体をまさぐられ声を出すのを我慢しているが度々苦しそうな、でもどこか気持ちよさそうな声を漏らしてしまう山田先生の姿が・・・
・・・・・・・・ッ危ない、そうだ、この光景を見て意識が飛びかけたんだった
「何とかって言っても・・・」
山田先生を見ようにも直視できない
「うひゃぁ・・・あ、あれ、この触手・・・」
勇気をもって山田先生を見ると体全体を張っていた触手が段々とIS部分に集中していく
そして満足したかのように元に戻っていった
「中務君・・・い、今のは一体どういうつもりで・・・?」
赤く上気した頬をした先生の姿は健全でない男子生徒にも刺激は強すぎる、
「い、いやまだ自分でこんコントロールできないというか、ほほほ本当にすいませんっ!!」
「そうですか、それも今後の課題ですね。でも中務君?謝るときは人の目を見れるようにはしましょうね?そうしないと相手に誠意を伝えられませんよ?」
言っていることは本当にそうだと思うのだけど・・・
「山田先生、早く服装を直してください、それと少し顔もだらしないですよ?」
「えっ?はぅあ!?」
織斑先生、ナイスアドバイスですっ!