ヤマ大国のPOCU本部で次々と不穏な事実が明らかになっていく中、同国の辺境で謎の勢力が動き始める――――
――――POCU本部
「――――司令官!緊急事態です!」
血相を変えた将校が司令官の執務室に駆け込んでくる。
中佐の階級章を付けた男から書類を受け取る副官のリー・ベクター。
その手に持った書類を見た瞬間、表情が険しくなった。
――――曰く、ヤマ大国の辺境で女性や子供しかいない村を襲撃し略奪と暴行、誘拐を働いていたテロリストが謎の武装勢力に殲滅されたとのこと。
「我々がマークしていたテロリストだ……誘拐された被害者はどうなった!?」
「はい、彼らは密かに救出されており無事です。問題はその後です」
そう言いながらリーは問題のページを開いて司令官のデスクに置いた。
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「被害者を救い出した後、民間人も巻き添えになるのを承知で拠点を砲撃したのか……こうならないよう、偵察を重ねてから救出するつもりだったのだが」
厳しい顔になる司令官。
「あそこの村は農作物が育たず経済的にも困窮していた為、人身売買に手を染めたようです。ですが、“彼ら”にとっては人の不幸で食べている時点で殲滅対象だったのでしょう」
テロリストのしてきた事は決して許されるものではない――――だが、人身売買という悪事に手を染めるほど飢えていたのも事実。人身売買で得た利益で生活こそしているもののテロ行為に直接関与していない人間まで“彼ら”は殺してしまった。
「そうか……報告、ご苦労。対応を考えねばな」
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「はい、謎の武装勢力に関する調査ですね。確かに承りました、司令官」
モニターに向かって敬礼する幹部。そしてモニターが消えると横に控えていた兵士に視線を向ける。
「さて…聞いた通りよ。直ぐに調査を始めて」
「はい、直ちに」
POCUとは意匠が異なるグレーの戦闘服に身を包んだ兵士が退室し、部屋にひとり残された幹部は一息ついた。
「厄介な敵が現れたわね――――最悪、私も出る必要がありそう」
幹部――――上芭 巳栖嶺(うわば みすね)は本部から送られた資料に目を通しながらそう呟いた。
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POCU本部:公衆衛生監視課エリア
先日、ヤマ大国の軍港を襲撃したフランカー“もどき”と交戦したSu-33パイロット、イーデン・ウィルキー中尉はある人物を訪ねていた。
厳重に警備された個室の扉をくぐり、中に入るとその人物は居た。
「――――こうして顔を合わせるのは初めてだな?ミス・サキ・ホウジョウ」
黒髪のウェーブが背中まで届く東洋系――――日系人寄りの顔だちをした女性。
先ほどまで貸与されたタブレットで読書していたのか、付けたままになっている眼鏡は知的な雰囲気を醸し出していた。
「イーデン・ウィルキーだ。この前あんたと戦ったSu-33に乗っていた――――今日は同じフランカー乗りとして聞きたい事があってな」
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「へえ、そうなのか!中の電子機器が変わっても操縦感覚は変わらないんだな」
「そりゃガワは同じよ?エンジンとかは多少違うけど原型機からそれほど差があるわけでもないの」
同じフランカー乗り同士、通じるものがあったのか大いに盛り上がるふたり。
「ねえ、本当は色々聞いてこいと言われたことあるんでしょ?聞かなくていいの?」
眼鏡の奥から不思議そうな視線を向けてくる沙紀。
「ああ、仕事の事を聞くよりもパイロットとして話してる方が楽しいからな。それに……悪人には見えなかった」
その時、ドアの外で控えていた警備が面会時間の終了が迫っている事を告げる。
「――――残念、時間切れだ。また来るよ」
「ふふ、楽しみにしているわ」
ドアの外に消えていくウィルキー中尉を見送るその視線はどこか寂しげだった。
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ニューヨーク・国連本部ビル
廊下を歩く男に秘書が足早に駆け寄り、何かを耳打ちする。
「――――そうか、あと何回か成果を挙げておこう。急いでは事を仕損じるというからな」
その自信に満ちた不敵な笑みが一体どこに向けられたものなのか――――それを知るのは男ただ一人だった――――――――
遂に、謎の武装勢力が本格的に動き始めました。
ここからPOCUはその正義を問われ、答えを出さなければならなくなります。
彼らに何が起こるのか。そして、彼らはどのような答えをもって自らの正義を示すのか。
お楽しみに!