報告集『栄冠なき英雄達』   作:趣味全開人生

14 / 37

本格的な活動を開始し、テロリスト及び犯罪勢力の掃滅と並んで弱者を放置してきた世界への懲罰も宣言したプロジェクト・オーダー(以下、P.oと省略)。


そんなP.oを危険視しつつも政治的なしがらみで迅速に行動を起こせない世界各国の中で日本がアウトサイド・ガーデン合意を利用してPOCUに対処を依頼。


日本の動きを察知したP.oは報復として東京攻撃を画策し――――!?





報告書014『プロジェクト・オーダー:中編』

 

 

――――日本国・茨城県小美玉市・百里飛行場

 

 

 

ベルが鳴り響き、パイロット達がソファーから飛び起きたかと思うと格納庫に向かって駆け出す。

 

 

『スクランブル!!』

 

 

スピーカーがベルと同等の音量でそう告げる。

 

 

 

 

格納庫では少し上を向いたカナード翼が特徴的なF-15SJ戦闘機の周りを、整備員が走り回ってパイロンに取り付けられた熱線追尾式空対空ミサイルから次々と安全ピンを取り外している所だった。

 

 

 

 

 

 

梯子を駆け上がりコックピットに飛び込むと同時に振り返ってエア・インテークの前方に障害物が無い事を確かめる。

 

 

エンジン始動用モーターを起動させ、HMDが取り付けられたヘルメットを被り酸素マスクを装着。

 

 

 

 

 

 

 

 

梯子を上がってきた整備員の手を借りてショルダー・ハーネスを締め、Gスーツのホースを接続する。

 

 

接続を確認しパイロットが親指を立てると整備員は頷いて降りて行った。

 

 

 

 

 

コックピットの各計器を起動・チェックし右手を風防の上に出して二本の指を立てる。エンジン始動の合図だ。

 

 

重々しい回転音と共に回転計の針が上がっていく。

 

 

そして一定の数値に達したのを確認しエンジンに燃料を入れる。

 

 

 

 

 

エンジンの内燃焼室に噴射された燃料が着火し、轟音が響く。

 

(よし、次は左エンジンだ)

 

再び右手を風防の上に出し、今度は指を三本立てる。

 

 

 

 

 

やがて左右のエンジンが無事にかかり機体のシステムに異常が無いのを確認すると、風防の外に両手を突き出して親指を外側に向ける。

 

 

機体前方に立つ整備員が誘導パドルを左右下に広げ、『タクシー・アウト待て』と合図する。

 

 

その間に他の整備員が車輪止めを外していった。

 

 

 

 

やがて整備員が右手のパドルを高々と上げて『出発よし』と知らせてくる。

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

管制塔と交信しつつ誘導路を通って滑走路に並んだ2機のF-15SJイーグルがアフターバーナーの轟音を響かせながら地を蹴り、あっという間に大空へと消えていく。

 

 

その後方では更に1組の編隊が離陸を控えていた。

 

 

 

 

 

 

 

この日、東京は――――否、日本は恐怖の一日を過ごすことになる。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

先行して飛び立った編隊はレーダーサイトが捉えた不明機と対峙していた。

 

 

 

 

『タリホー!(敵機を目視で確認!)』

 

 

編隊長の通信に2番機のパイロットが目を凝らす。

 

 

 

 

「な――――――――」

 

 

 

 

 

レーダー上に映った機影は2機。しかし、その目に映ったのは――――

 

 

 

――――4機編隊のダイヤモンドが2つだった。

 

 

 

 

 

 

フランカー系列の特徴的な曲線が美しいそれらの機体からすかさず短距離ミサイルが放たれ、発射煙が青空を横切っていく。

 

 

 

 

 

「――――!?」

 

 

 

 

警告無しの攻撃――――!

 

 

 

 

直ぐに回避を試みるも、2番機に複数のミサイルが突き刺さり爆発。

 

 

第一撃を回避した編隊長機にも続けざまにミサイルが放たれ部下の後を追う事になった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

――――百里飛行場

 

 

 

 

「急げ!フル武装でどんどん上げろ!」

 

 

 

司令がそう命じるや否や、基地全体が騒がしくなり次々とF-15SJが編隊を組んで上がっていく。

 

 

 

 

「くそ、まさか例のプロジェクト・オーダーとかいう連中か!?」

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

――――首相官邸

 

 

 

 

「国連に話は伝えてあるか?」

 

 

「はい、自衛の範囲内で武力行使を行う旨を伝えました」

 

 

 

 

首相の問いに電話の向こう側で外相が頷く。

 

 

「いいか、我々の行動で国際社会に不安を与えぬよう誠意ある説明を頼むぞ」

 

 

 

 

 

電話を切り、窓の外を見る。

 

 

 

――――先ほどUMAP(国際機動平和維持部隊)から連絡が入り、市内でP.oの人員と思しき武装した兵士達が次々と偽装したトラックから展開し無差別攻撃を開始。ほぼ同時刻に偽装貨物船から武装ヘリが離陸し破壊活動を行っていると知らされた。

 

 

 

それだけで元々小心者である首相の胃は悲鳴が止まらなくなった。

 

 

 

 

 

 

「何で私の時にこういう事が起こるんだ………」

 

 

それでもシェルターへの避難を断ったのは彼なりの矜持だった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

東京の市内で突撃銃を乱射し、対戦車ロケットを撃つ兵士。

 

 

 

そんな彼らに105mmライフル砲弾が叩き込まれ、UMAP所属の16式機動戦闘車が兵士達の盾となりながら戦場に現れる。

 

 

 

「奴らを1人たりと生かして返すな!」

 

 

指揮官の号令と共に兵士達の突撃銃や機動戦闘車の105mmライフル砲が吼え、敵を次々と薙ぎ払っていく。

 

 

 

 

――――と、その時。

 

 

 

少し離れた場所で共闘していた陸自の16式に対戦車ミサイルが叩き込まれ爆炎が上がる。

 

 

 

「上空、武装ヘリ!」

 

 

 

 

UMAP隊員が携行式地対空ミサイルを構えた瞬間、別方向から飛来したミサイルが武装ヘリを木端微塵にし残骸が地へと落ちていく。

 

 

 

「すまない、遅くなった!」

 

 

 

その通信と共にUMAPのマークが塗装されたUH-60J兵員輸送ヘリを護衛するOH-1改攻撃ヘリがローター音を響かせながら攻撃に加わる。

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

――――東京湾上空

 

 

 

「敵機撃墜!」

 

 

 

F-16改のパイロットがHUDの中で四散するフランカーもどきを確認し、次の目標を探そうとした瞬間――――正面からミサイルを叩き込まれる。

 

 

 

 

爆発と共に黒煙が広がり、それを突き破るように現れたフランカーもどきを下方から引き裂く20ミリ機関砲弾。

 

 

 

 

仲間の仇を討ったF-15SJ――――そのパイロットは後方にフランカーもどきが集まるのをミラーで一瞥し回避を試みるが――――振り切れない。

 

 

 

 

時にアフターバーナーを吹かしつつ急旋回も織り交ぜて敵機を振り切ろうとするも、向こう側も手練れが揃っているのか中々離れてくれない。

 

 

 

「くっ――――」

 

 

 

 

背中に冷たいものを感じた次の瞬間――――後方のフランカーもどきに次々とミサイルが着弾しミラーが爆炎で明るく輝く。

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

自らを救ったミサイルが飛来した方向を凝視すると、海面ギリギリを飛行する漆黒のフランカーが複数機、その翼に赤い「POCU」の文字が見える。

 

 

 

『こちらPOCU航空部隊所属、スコミムス隊。これより航空自衛隊を支援する』

 

 

 

 

 

 

 






如何でしたか?次回はスコミムス隊を大暴れさせますのでお楽しみに!


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。