報告集『栄冠なき英雄達』   作:趣味全開人生

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プロジェクト・オーダー(以下P.oと省略)による東京攻撃自体はPOCUの加勢もあり日本側が防衛に成功するが、日本は攻撃の影響による経済的なダメージを受けてしまう。


そして、それこそがP.oの狙いだったと気付く司令官。そんな彼にP.o側から会談の申し込みがあり――――!?




譲れぬ信念
報告書016『対峙:前編』


 

 

 

――――――――マヤ大国・某ホテル地下

 

 

 

地下駐車場の奥にあるVIP用エレベーターの前に現れる司令官。その後ろには2人の女性が居た。

 

 

 

 

「失礼します。招待状はお持ちでしょうか」

 

 

スーツ姿のPOCU隊員が『お偉方の秘密のパーティー』の警備員を演じる。

 

 

 

 

「ああ、ボディチェックを頼む」

 

招待状を見せた司令官が両腕を広げた。

 

 

 

 

 

 

 

ベテランの隊員が若手のひとりに手伝うよう促し、司令官の身体に触れていく。

 

 

そして若手隊員は司令官に付いてきた客人のひとり――――モデル並みのプロポーションを誇る肢体をチャイナドレスに包んだアジア系の女性を前に内心動揺していた。

 

 

 

 

 

 

 

「大変申し訳ないのですが、チェックをさせて頂きます」

 

 

「いいわ。お仕事ご苦労様」

 

 

どこか妖艶な雰囲気を秘めた笑顔で応じる女性の腰に手を当ててチェックする――――

 

 

 

(お、落ち着け、これはあくまでも安全の為のチェック、仕事――――)

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも肌が露になった脚の内側をチェックする時は心臓が破裂するかと思った――――

 

 

 

 

「は、はい。大丈夫です。安全へのご協力ありがとうございます」

 

 

「ふふ、大丈夫よ。そんなに固くならなくても」

 

 

 

 

 

 

シベリアン・ロシア出身の父親から受け継いだ190センチ超えの巨体にも関わらず、目の前にいる自分よりも30センチは低い小柄な女性に圧倒される――――

 

 

 

(大人って凄い………)

 

 

成人して数年しか経っていない青年には彼女の放つ色香は刺激が強すぎたようだ――――

 

 

 

 

「そこの君、護衛として付いてきてくれ」

 

 

「――――は、はい」

 

 

 

 

女性のよろしくね?と言わんばかりの悪戯っぽい笑みは青年にとって拷問だった――――

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

エレベーター内部で司令官がチャイナドレスの女性の方を向く。

 

「会談に招いていただき感謝しますわ、司令官。今回の件は我が社としても看過できない事態でしたから」

 

 

 

 

 

 

「いえいえ、P.oの兵器が貴社の技術を盗用しているのですから、貴社としては身の潔白を証明したいのは当然のことです。喜んで協力しますよ、ミス・王。それに万一の時はあなたの技術をお借りすることになるかもしれません」

 

 

 

女性――――王 美玉(ワン・メイユー)は気品ある笑みを浮かべて一礼する。

 

 

 

 

 

 

「KMCが築き上げた信用が破壊されれば、貴社と取引している我々としても困りますから協力するのは当然です。ただ――――この場ではあくまでもPOCUの一員を演じてください。P.oは自らに刃向かう相手には容赦しないようですから」

 

 

スーツ姿のベクターが念押しする。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――それと、この街の周辺にある各都市で爆弾が次々と見つかっています。爆弾処理に精通した部隊をフル動員して解除させています。何者が仕掛けたかは不明ですが、この会談に合わせたタイミングを見てP.oである可能性が高いです」

 

 

「奴ら――――会談しようと言っておきながらこれか」

 

 

 

 

 

そしてVIPフロアに到着して扉が開いた瞬間、エレベーターが故障した。

 

 

 

 

 

「――――やはり、な。部隊を準備しておいてよかった」

 

 

 

 

 

今頃、ホテル従業員に扮した工作部隊が電源設備の復旧を始めているはずだ。

 

 

 

 

「――――囚われの檻の中で会談か。貴重な体験ができそうだ」

 

 

 

 

 

 

用意された会議室の扉を開けると、テーブルの奥の椅子に腰掛けるスーツ姿の男と視線が合った。

 

 

 

「――――お前がプロジェクト・オーダーを統括している責任者か?」

 

 

 

その問いに、年を重ねて禿げ上がった頭とは対照的に強い意志を秘めたグレーの瞳、精悍な顔つきが印象に残る男は頷いた。

 

 

 

 

 

「いかにも。私がプロジェクト・オーダーを率いているサミュエル・テーヌだ」

 

 

 

静かな自信を秘めた笑みを浮かべる男を司令官は静かに睨み付けた――――

 

 

 

 

 






如何でしたか?


次回はサミュエル・テーヌと司令官の信念がぶつかり合います。



現実に絶望し力で世界を変えようとする敵を相手に司令官はどのような答えを出すのか――――お楽しみに!
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