報告集『栄冠なき英雄達』   作:趣味全開人生

18 / 37

POCU司令官がプロジェクト・オーダー(P.o)のトップ、サミュエル・テーヌと対峙しているのと時を同じくして、POCU本部ではもう一つの事件が起こっていた。



報告書018『襲撃:前編』

 

 

 

――――ヤマ大国・POCU本部ゲート

 

 

 

「――――司令官、無事ですかね?」

 

 

基地警備隊の兵士が上官に心配そうに尋ねる。

 

 

 

 

「あの司令官がそう簡単に死ぬ訳がないだろう。副官やKMCから派遣されたエージェントが一緒に居るから任せておけばいい――――俺たちの仕事は司令官が帰ってくるこの基地を護ることだ」

 

警備隊を率いる和泉 昌一中尉が部下の肩を叩く。

 

 

「――――はい!」

 

姿勢を正し敬礼する兵士に答礼し、他の場所を見回ろうとしたその時。

 

 

 

 

エンジン音と共に所属不明のジープが数台走ってくるのが視界に入った――――車両の侵入を防止するバリケードの前で急停止する。

 

 

そして中から戦闘服に身を包んだ兵士達が次々と降りて発砲してくる!

 

 

 

「敵襲!各自、無理せずに遮蔽物で身を守りながら迎え撃て!」

 

 

 

 

土嚢を遮蔽物にしてGR556アサルトライフルで応戦する和泉。

 

 

向こうもジープをバリケード代わりに攻撃してくるからか、中々仕留めきれない。

 

(こりゃ長引きそうだな…!)

 

 

 

 

――――その時、本部ビルの窓から漏れていた照明の光が一斉に消えた。

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

公衆衛生監視課エリア

 

 

 

数分前に電気が消えた瞬間、北条 沙紀は本能的に食事の皿からプラスチックのフォークを取り襲撃に備えた。

 

 

 

近付く足音――――物陰に隠れ、息をひそめる。

 

 

やがて扉が開かれ――――意外な言葉が飛んでくる。

 

 

 

 

「北条中尉、お迎えに上がりました」

 

物陰から姿を現すと、そこには暗視装置を装備した数人の兵士が居た。

 

 

 

「どうぞ、お使いください」

 

手渡された暗視装置とアサルトライフル、防弾ベストを着用する沙紀。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

ゲート前で応戦し続ける和泉のスマホが鳴る。

 

 

「こちら和泉だ!どうした?」

 

 

 

『中尉、基地の電源設備を制御する装置が破壊されました――――工作員らしき敵は射殺しましたが、直ぐに復旧させるのは厳しそうです!』

 

 

「分かった、引き続き基地内を捜索して侵入者が居ないか確認しろ!必ず2人か3人以上でチームを組み、各個撃破されないようにするんだ」

 

 

『了解です!』

 

 

 

通信機が沈黙し、再び銃声だけが響く――――

 

 

「いいか!ここを守り抜き、絶対に奴らを入れるな!あと無茶して突撃しようなどとは考えるなよ!」

 

 

 

 

周りの兵士にそう命じた後、再びスマホを手に取り、基地に居るはずの非番の士官に連絡を入れる――――

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

左胸にPOCU航空部隊のネームパッチを着けたフライトジャケットを羽織りながらスマホを手に取るイーデン・ウィルキー中尉。

 

 

画面は基地警備隊を指揮する和泉からの着信がある事を告げていた。

 

 

 

「はい、こちらPOCU航空部隊所属イーデン・ウィルキー中尉です」

 

 

『基地警備隊の和泉です。基地内に侵入者が居る可能性があります――――お一人なら私と合流して基地を見回るのを手伝ってくれますか』

 

 

「了解!」

 

 

 

 

拳銃を手に物陰から周囲を警戒しつつ、廊下を進むイーデン。

 

 

そして階段を下りた先の角で――――人影を見つける。

 

 

 

「「動くな!」」

 

 

 

ほぼ同時に発せられた声で、相手が和泉だと察した。

 

「何だ、和泉中尉でしたか――――」

 

 

 

安堵するイーデンを突如として和泉が押し倒し――――GR556の発砲音が響く。

 

自分の後ろに敵が現れたのだ――――

 

 

和泉の銃撃で相手が物陰に引っ込んだ隙に急いで角の陰に滑り込む二人。

 

 

 

(――――まさかプロジェクト・オーダーか?)

 

そんな事を考えながら陰から少し顔を出した瞬間、フル装備の兵士に紛れてフライトスーツ姿の女性が走り去るのが見えた。

 

 

 

「――――サキ!?」

 

そんな声が出ると同時にこちらを警戒していた兵士が銃口を向ける。

 

 

 

再び角に引っ込むと同時に壁で弾が跳ね返る音が響いた。

 

 

 

 

「逃がすか!」

 

角から身を乗り出した和泉の銃撃で敵の一人が倒れる。

 

 

 

それを見て敵は沙紀の脱出を優先したのか、足止めに二人ほど残して他は一斉に走り出した。

 

 

「――――足止めしようというのか?させるか!」

 

拳銃に持ち替え、正確な射撃で一人倒す和泉。

 

 

そして手榴弾を向こう側の物陰に投げる――――爆発音

 

 

 

しかし、仕留め損ねたのか走り去る足音が響いた。

 

 

 

「追います!付いてきてください!」

 

和泉の言葉にイーデンが頷く――――

 

 

 

 






如何でしたか?


基地警備隊の武装を考慮して、「無理せず、しかし基地はしっかり守る」感じで書いてみました。


次回も引き続き、和泉中尉を活躍させますのでお楽しみに!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。