報告集『栄冠なき英雄達』   作:趣味全開人生

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北インド洋上空で激突するPOCU・米軍・プロジェクト・オーダーの航空部隊。各勢力の増援も投入され、空は更に燃え上がる!



報告書022『暗躍:中編』

 

 

 

――――インド洋・イリテーター隊

 

 

アフターバーナーの轟音を天空に響かせながら戦場へと突入するトムキャットがすれ違いざまにプロジェクト・オーダーの戦闘機・トールをヘッドオンで撃墜し、可変翼を広げながらドッグファイトに加わる。

 

 

 

「敵は手練れ揃いだ!全力でかかれ」

 

 

『了解!』

 

 

 

 

その時、トムキャットの1機に後方からトールが襲い掛かる!

 

 

 

 

「おおっと!いきなりかよ」

 

 

操縦桿を思い切り引き、機首が上を向いたかと思うとエンジンが静かになる――――操縦桿を思い切り横へと引く――――捻るように機体の軌道を変え、下へと落ちていく。

 

 

 

そして、トムキャットが落下し始めたところをトールが通り過ぎていく。

 

 

 

「なっ――――」

 

驚愕して後ろを振り向いたトールのパイロットが見たのはエンジン出力を再び上げて息を吹き返したトムキャット、そしてそこから自分の方へと伸びてくるミサイル煙だった――――

 

 

 

蒼穹に炎の花が咲くのを確かめたトムキャットが再び獲物を求めながら舞う。

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

――――インド洋上空・POCU航空部隊増援チーム

 

 

複数の部隊で構成される増援部隊。その中にはイーデン・ウィルキー中尉のSu-33も居た。

 

 

『イリテーター隊が戦闘に参加、既にトールを5機撃破!』

 

 

オペレーターの少々興奮した声がスピーカー越しに耳を震わせる。

 

 

 

 

(――――――――今のところウチは善戦しているが、米軍の損失も計算すると拮抗している。ここが正念場というわけだ)

 

 

 

 

と、そこにオペレーターから更に通信が入った。

 

『増援チームのSu-33小隊は直ちに米軍の支援に入れ!向こう側の増援にかなりの手練れが居る!』

 

 

 

 

『聞いたな!行くぞ』

 

「了解!」

 

隊長の指示に従い、操縦桿を捻るイーデン。

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

インド洋上空・米軍航空部隊

 

 

 

僅か10機のトールに次々と叩き落されていく米軍のF-18、F-35。

 

 

 

『こちらソード5!敵がケツに――――』

 

パイロットが叫ぶ中、F-18の後方にミサイルが命中し通信が途絶える。

 

 

 

『くそったれ!墜ちろ、テロリスト野郎が!』

 

F-35がトールの1機にミサイルを発射するが、その機は機首を起こしたかと思うとそのままスピンしながらミサイルをかわしF-35の背後を取った。

 

 

 

 

『落ちなさい』

 

パイロットがそう呟き、トリガーを引くと同時に機関砲弾がF-35を容赦なく蜂の巣にする。

 

 

 

 

続けて次の獲物を品定めしようとした瞬間、後方から迫る気配に気付く。

 

 

 

 

「ちっ――――POCUか!」

 

 

 

操縦桿を捻り、敵のSu-33とドッグファイトに突入する。

 

「今度は落とされないわよ」

 

 

パイロット――――北条 沙紀はそう呟いた。

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

Su-33 コックピット

 

 

 

イーデン・ウィルキー中尉の視線の先にはキャノピーを挟んでグレーに塗装されたトールの姿があった。

 

 

 

 

「良い部品はスコミムス隊に優先的に回されてるからな――――持ってくれよ!」

 

連日の出撃でガタが来た機体を労わるように呟きながら操縦桿を捻るイーデン。

 

 

 

 

「ぐっ――――」

 

Gがかかり、身体が押し潰されるような感覚に襲われる――――

 

 

 

しかし、視界の中でトールは正面に捉えるどころか逆にススス、と視界の上方へと滑っていく。

 

 

 

「こなくそ!」

 

 

 

限界まで機首を引き上げ、無理やり後方へとついたイーデンがヘルメットマウントサイトの照準をトールに合わせた次の瞬間、灰色の機体が機首を起こして後方へと消えていった。

 

 

 

(コブラ機動――――!)

 

 

相手の動きを見抜き、自らも同じ機動を取って再び相手の後ろを取る――――

 

 

 

 

――――しかし、予想外だったのは敵機が更にクルビット機動を繰り出してきたことだった。

 

 

 

「――――!!」

 

 

 

ほとんど反射的に操縦桿を引き、クルビット機動でこちらを向いたトールと正面から向き合ったまま機関砲を撃ちあう!!

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

意識を取り戻したイーデンが真っ先に感じたのは、火の温かさだった。

 

 

 

即座に起き上がると、焚き火の傍に座る下着姿の女性が視界に入る――――

 

 

 

「――――おはよう、イーデン」

 

どこか妖艶で、嬉しそうな笑みを浮かべる女性――――北条 沙紀にイーデンも思わず笑顔になる。

 

 

 

「経緯はどうあれ――――また会えて嬉しいよ、サキ」

 

 

 

 





如何でしたか?


次回はサウデスト帝国のジャングルに迷い込んだイーデンと沙紀の少し甘い時間を描いていこうと思います。お楽しみに!


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