プロジェクト・オーダーの活動がなぜか沈静化し、再びいつものように悪党を狩る日々が訪れた――――
そんなある日、ひとりのアイドルがPOCUに助けを求める。
ミストルテ:POCU本部
『みんなー!!!りりるの歌を聴いてね!!』
日本国で撮影された映像の中で可憐なアイドルの女性がファン達に向かって元気いっぱいに呼びかける。たちまち客席側からステージを震わせるような歓声が返ってくる。
「ふむ、日本は至って平和……と。ハイメイジェンはどうかな」
司令官がテレビのチャンネルを切り替え、映像が変わる。
『――――間もなく改号式典が始まります――――この式典をもって、エイジャン連邦共和国は正式にハイメイジェンと呼ばれるようになります』
ニュース映像の中でハイメイジェンの新たな国旗が掲げられた式典会場をバックに報道するキャスター。
「確かKMCがここに本部機能を移転するんだったな。いや…既に本社設備の建設は完了しているから後はネットワーク上の権限移譲を経て正式な本部になるんだったか」
ニュース映像を見ながらKMCとの取引手順変更に係る書類が表示されたタブレットに目を落とす司令官。
「はい。発注の際のメールアドレスや郵送先住所も変わりますので暫くはいつも以上に発注ミスに注意する必要があるかと」
手に持ったタブレットで情報を確認しつつ答えるベクター。
と、その時。
オフィスの電話が鳴った。
――――――――――――――――
その電話は、突然の来客を告げるものだった。
『客はこちらの女性の方です――――なんでも助けて欲しいとか』
PCに表示された監視カメラ映像に映った顔に司令官が既視感を覚える。
その客――――20代前半の可憐で整った顔立ちをした東洋系の女性を凝視する司令官。
「ベクター、この女性どこかで見なかったか?」
「――――――――もしかして……メイクは違いますが、さっき見たアイドルの子、りりるちゃんでは?」
そう言われて再びモニターに表示された女性の顔を見る。
「確かに彼女だ――――通せ。話が聞きたい」
――――応接間に通された女性。
「私のプロデューサーさんを助けてください!!」
悲痛な表情と共にそう切り出す女性。
――――なんでも、大手プロダクションの社長がプロデューサーへの資金援助や便宜を条件にりりる――――安里 莉里(あさと りり)と寝たいという要求をしてきたそうだ。
それに対してプロデューサーは強い権力を持つ社長に対して毅然とした態度で断り、その日から姿が見えないというのだ。
「――――この件、確かに引き受けました。直ちに調査させます」
そう言う司令官の言葉は力強かった。
――――――――――――――――
BMS(ブラックマンバ・セキュリティ)本社
「はい、こちら調査部――――だ、代表!?」
調査部の男がスマホを持ちながらもう一方の手でPCのキーボードを叩く。
「はい――――日本でこの男について調査するのですね。はい、直ちに」
通話を終えた男が部下を呼び、詳細な指示を飛ばし始める。
――――BMS最上階オフィス
「さて――――あのクソ野郎、どう料理してくれようか!」
POCU司令官経由で聞いた標的の極悪ぶりに青筋を立てる女性――――上芭 巳栖嶺(うわば みすね)。
――――――――――――――――
数日後:POCU本部
BMSから上がった報告をPCで確認する司令官。
「むう……」
予想以上の情報に唸る司令官の横からPC画面を覗き込むベクター。
「――――なんですか、これ…いくら芸能界の大物とはいえ大掛かりですよ」
――――――――――――――――
日本:某所
山岳地帯の道路を走る1台の高級車と複数の護衛車両。
その車列はやがて山に掘られたトンネルに入り、巨大な鉄製の扉の前で止まる。
門を警備する兵士達――――戦闘服を纏う、欧州系やアフリカ系の屈強な男達が車両をスキャンし、運転手にIDカードの提示を求めた。
やがて問題ないと判断したのか、門が重々しい音と共に開き、その先へと車列が進む。
施設の奥で停止した車両から降りた恰幅のいい中年男性がスーツ姿の護衛を伴って更なる奥へと歩を進める。
――――途中のエリアで牢の中から10代~20代の女性達の泣き声や怯える声が聞こえてきたが中年男性はそれを全く気にしていないようだった。
そして目当ての部屋に辿り着き、扉を開けると椅子に縛り付けられた傷だらけの青年の姿がそこにあった。
「やあ。りりるちゃんを差し出す気になったかね?プロデューサー君」
如何でしたか?今回は久々に事情酌量の余地がない悪党をボッコボコにする展開でいきますので次回もお楽しみに!!