報告集『栄冠なき英雄達』   作:趣味全開人生

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世界的な犯罪組織であるポーリュプスの跋扈は各地に混乱をもたらし、あらゆる犯罪組織を活発にさせていた。


その被害を受けている国のひとつであるハイメイジェンで、とある犯罪組織のトップ達が極秘裏に会合を行うとの情報を掴んだプロジェクト・オーダーはトップ達を一網打尽で仕留めるべく一般人の巻き添えも厭わない無差別攻撃を敢行しようとする。




報告書033『鋼鉄の獣たち:前編』

 

 

――――ハイメイジェン・某所

 

 

とある地域を通過中の高速鉄道、その中でも豪華な個室に集う3人の男。

 

彼らはカーコルド連邦・ハイメイジェン・サウデスト帝国それぞれに拠点を持つ犯罪組織のトップであった。

 

 

彼らが取引する品は様々だったが大きく分けて武器、麻薬――――そして女性に分類される。

 

 

 

そしてそれぞれの国の女性は他の国では珍しい愛玩奴隷として高く売れる。今回の会合はそうした愛玩奴隷の取引に関するものであった。

 

 

 

――――その列車の進路方向、列車の現在位置から約200キロ。

 

 

所属不明――――否、プロジェクト・オーダー所属のKF51パンター戦車が次々と姿を現し、列車の進路を塞ぐべく線路へと向かう。

 

 

 

当然、ハイメイジェン軍が何もしないわけがなく警備にあたっていた99B式戦車のA部隊と100式戦車、100式支援戦闘車で構成されるB部隊が即座に戦闘態勢に入った。

 

 

「我々A部隊は正面から敵戦車を迎え撃つ!B部隊は静音走行で敵の背後から回り込め!」

 

指揮官がヘッドセットのマイク越しにそう命じ、モニターを睨む。そして数分後、B部隊から信じがたい報告が入る。

 

 

『指揮官どの、凄い数であります!おおよそ50台!』

 

 

 

100式支援戦闘車から発進したドローンによる偵察映像がネットワークを通じてA部隊の戦車に転送される。そのモニターに映るのは地上を蹂躙せんとする勢いで鋼鉄の車体を走らせる多数のパンター戦車の姿だった。

 

 

(――――馬鹿な、A部隊とB部隊を合わせても20にも満たない数でこれをどうにかしろと?)

 

 

激しく動揺しつつもそれを必死に隠し、脳を必死に回転させる指揮官。

 

 

 

「A部隊は砲撃準備!B部隊は後方から砲撃しつつ距離を保て!マトモに殴り合わず無人機との連携で敵を減らせ!」

 

 

既に上に連絡は行っている――――空軍の支援が来るまでどうにか粘るしかない。

 

 

 

『こちら司令部、たった今援軍がそちらに向かった。何とか持ちこたえてくれ』

 

司令部から入った通信に安堵しつつ、目の前の脅威に備える。

 

 

 

「A部隊全車、間もなく敵の先頭が射程圏内に入る。射撃準備!」

 

砲手がスコープ越しにパンターを睨み、命令を待つ。

 

 

 

「A部隊、砲撃開始!」

 

99B式戦車の125mm滑腔砲が咆哮し、数台のパンター戦車が爆炎に包まれる――――だが行動不能にできたのは2~3両程度だった。

 

 

「頑丈だな…!」

 

 

そこへB部隊から敵の後方を取ったとの通信が入る。

 

 

『B部隊、これより敵を攻撃します!』

 

部隊配備後に従来の105mm砲から換装されたETC砲(電熱砲)が吼え、その大幅に向上した貫徹力はパンター戦車を次々と破壊して見せた。

 

 

「B部隊各車、あまり近づきすぎるなよ!」

 

B部隊の隊長が指揮下の車両にそう命じ、モニターに視線を移す。

 

 

まだ40両近く残っているが――――焦らず確実に破壊していけばこれ以上の侵攻を許さないまま全滅に追いやれるだろう。

 

 

――――その時、1両の100式戦車が横に砲撃を喰らい、行動不能になる。

 

 

「――――何!?」

 

砲撃が飛んできたのは、パンター戦車の部隊が進軍してきた方向からだった。

 

 

 

「まさか、こいつらは囮!?」

 

飛来してくる砲弾から逃れるように散開しつつ、ちょうど飛来してきた無人機とリンクを繋げる。

 

 

――――無人機のカメラが捉えた映像には新手の戦車の姿が映っている。

 

 

「――――T-14、だと?シベリアン・ロシアの最新鋭戦車がなぜここに!?」

 

 

 

――――――――――――

 

 

プロジェクト・オーダー所属・T-14部隊

 

 

「すまんな、ハイメイジェン軍の諸君」

 

口ひげが特徴的な白人の男がモニターを見つめる。

 

 

「だが、外道共を確実に葬るために必要な犠牲だ、許せ」

 

 

その言葉と共に数十両のT-14戦車がエンジン音を響かせながら前進する。

 

 

 

――――40両近いパンター戦車に加えてほぼ同数のT-14部隊の出現に、ハイメイジェン軍の指揮官は険しい表情をしていた。

 

 

約80両近い敵を20にも満たない戦車で防ぐ――――無人機の支援があるとはいえ容易なことではなく、空軍の援護が来る前に部隊が壊滅することは目に見えている。

 

 

 

しかしここで逃げれば鋼鉄の獣たちの牙が後方にいる丸腰の人民達に容赦なく突き立てられるであろう。

 

 

「――――部隊全車に通達、後方にいる人民を護るべく生命を賭して任務を完遂せよ」

 

 

その言葉に一瞬、部隊が沈黙する――――が、次々と『了解』が返ってくる。

 

 

 

「A部隊、前進せよ!B部隊と連携してまずは目の前の敵を排除する」

 

 

エンジンの唸り声と共に99B式戦車が次々と前進し、125mm滑腔砲が吼える。

 

 

 

(――――どれだけ奴らを道連れに出来るか、だな)

 

 

そんな覚悟を決め、モニターを睨んだ次の瞬間だった。新たな車両の反応が現れたのは。

 

 

 

 

 

『こちらPOCU機甲科所属、タラルラス隊。我々はこれよりハイメイジェン軍を援護する!』

 

 

その通信と同時に無人機の映像が鮮明になり、漆黒のエイブラムス戦車が数十両ほど映し出される。

 

 

 

「先ずはパンター戦車を叩く!各車、自由攻撃!」

 

 

タラルラス――――アンキロサウルス科に属する恐竜の名を冠した部隊のワッペンを腕に着けた指揮官の号令と共にエイブラムスの120mm滑腔砲が吼え、攻撃を喰らったパンター戦車が数両ほど行動不能になった。

 

 

 

「か…勝てるぞ!この戦い!」

 

 

ハイメイジェン軍の指揮官が生還の希望に満ちた表情になる。

 

 

 

「A部隊とB部隊はPOCUのタラルラス隊と連携してパンター戦車を叩く!各員、任務を遂行しつつ生還の努力を怠るな!」

 

 

頼もしい援軍の登場が戦場の空気を一変させた――――

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

ミストルテ国・POCU本部

 

 

 

「そうか、タラルラス隊は間に合ったか――――」

 

 

ベクターの報告に司令官が安堵する。

 

 

 

「ですが、襲撃があった位置は列車の現在位置からかなり離れています。そこで襲撃があったポイントにはタルボ隊のみを向かわせ、レックス隊は列車の方に回しました」

 

 

「――――なるほど、別動隊か。彼らは標的を確実に仕留める為なら他の乗客を巻き添えにする事も辞さないだろうからな」

 

 

 

 

――――――――ハイメイジェン・某所

 

 

『ハイメイジェン軍の連中は囮部隊に釣られたようだ。――――あと20分で列車が来る。そろそろ動くぞ』

 

 

プロジェクト・オーダー側の指揮官が部隊に行動を開始するよう命じると共に森に姿を隠していたリンクス120軽戦車およびKF41リンクス歩兵戦闘車の部隊が動き出す。

 

 

 





如何でしたか?次回はPOCUのA-10部隊が大暴れします。お楽しみに!

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