世界的な犯罪組織『ポーリュプス』はPOCUや各国軍により次々と制圧されるものの、その残党が大規模な戦力と共に極東無政府地区に潜伏している事が判明。
POCUはこれの殲滅を決定、作戦準備が進められる――――
ミストルテ国・POCU本部
「司令官、面倒ごとをあなた方に押し付ける形になってしまい申し訳ない」
電話の先でホワイトハウスの主が詫びる。
「いえ、極東無政府地区は政治的にデリケートな地域です。今回の判断は妥当かと」
司令官が相手に非はないと念を押すように受話器に話しかける。
「それに今回は大掛かりな作戦になりますから、むしろ我々だけの方が後々に無用な混乱を招かずに済むでしょう」
「感謝します。せめてガソリンスタンドは用意いたしましょう」
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アメリカ合衆国・アラスカ州:POCUアラスカ支部
滑走路に次々と着陸する漆黒の機体。その数は数十機におよび大規模な作戦の準備が進められている事は誰の目にも明らかであった。
「次はギガノト隊が来る!やっこさんは大所帯、気合入れていくぞ!」
地上クルーのリーダーが部下たちに檄を飛ばす。
そしてリーダーが言った通り、F-15E、F-15EX、Su-34、Su-24Mの大群が次々と滑走路に着陸し、地上スタッフが慌ただしく誘導を開始し始めた。
――――誘導があらかた済んだ所に戦闘機とは異なるエンジン音を響かせながらAC-130U、それに続いてB-52H、B-1Bが着陸し地上を震わせる。
基地に並ぶ漆黒の機体の威容に圧倒される戦闘員たち。
「これは……デカい畑を耕そうっていうのか?」
伍長のひとりが思わずそんな言葉を口にする。
「自分もそのような気がいたします。これだけの戦力で攻めて倒れない敵などいないでしょう」
部下の戦闘員が似たような感想を漏らしていると、部隊長が副長と共に現れた。
即座に敬礼した伍長とその部下に答礼した部隊長が口を開く。
「大規模な作戦になる。しっかり休むように」
「はい!」
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司令官は副官のベクター、そして統合調査局長と共に一室に集っていた。
「こちらがコンガマトー戦略偵察隊から送られてきたデータです」
統合調査局長がスクリーンに表示した空撮写真には大規模な基地の光景が写っている。――――強固なコンクリート製の防壁と砲台に囲まれ、内部の建物自体もちょっとやそっとの攻撃では崩れないくらい堅牢に思えた。
「ご覧のように敵基地は要塞化されており、地上部隊による制圧は極めて困難でしょう。事前にミサイルおよび航空戦力による徹底的な打撃を加えるのが宜しいかと愚考いたします」
その言葉に頷いたベクターが司令官の方を見る。
「事前に洋上作戦部隊をベーリング海峡に展開しておいて正解でしたね」
「ああ。本音を言うとモビーディック計画が間に合っていれば良かったんだが贅沢は言えんな」
司令官がベクターと統合調査局長の両方を交互に見る。
「いいだろう、作戦を実行段階に移す。ベクター、通達を」
「はい、司令官」
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数日後の早朝、空がうっすらと明るくなり日の出が近付きつつあるなかPOCUアラスカ支部は慌ただしい空気に包まれ次々と離陸する戦闘機のエンジン音が空気を震わせていた。
明けの空にハッキリと浮き上がる漆黒のシルエットはまるで死を運んでくる執行人のようだ――――
――――ミストルテ国・POCU本部
「ギガノト隊およびレックス隊、タルボ隊、アクロカント隊、ヴェロキ隊、アトロキ隊、イベロ隊、シノプリオ隊、シギル隊は目的地に向かって飛行中。アルバート隊、アベリ隊、デルタドロメウス隊、アラスカ基地から発進しました。この後ベーリング海峡に展開している空母デイノスクス、空母龍鶴から発進するバリオニクス隊、オキサライア隊と合流し、敵基地の“残存する”対空火器を沈黙させる予定です」
巨大なモニターが設けられた部屋でオペレーター達がそれぞれのデスクのモニターを見ながら随時報告する中、ベクターが司令官に報告する。
「間もなくベーリング海峡の艦隊からミサイルが発射される時刻です」
「そうか――――そういえば今回叩く奴らはポーリュプスに組み込まれる前は無政府地区で略奪や強姦、虐殺を好きなままにやっていた犯罪集団がルーツらしいな」
ベクターから手渡されたタブレットを操作し、報告書を見る司令官。
「はい、ポーリュプスに組み込まれてからは力を得てますます好き放題するようになり、場所が場所だけに各国政府も手を打てない状況です」
丁度よかったじゃないか――――そんな呟きを口にし、司令官はモニターを見つめる。
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ベーリング海峡に展開するPOCU海上作戦部隊の艦隊。
クレトキシリナ級ミサイル駆逐艦およびカルカロクレス級アーセナルシップ、バシロサウルス級アーセナルシップのVLSがその蓋を開いたかと思うと、ツィルコン極超音速ミサイルが発射され、それにトマホークが続く。
その様子はデイノスクスと龍鶴からもハッキリと見え、無数の発射炎によって一時的に艦の姿が見えなくなったという者もいた――――
「よし、バリオニクス隊とオキサライア隊を甲板に上げろ!発艦する頃にはアラスカから飛び立った連中も来ている筈だ。それから“後続”の準備も進めておけ!」
艦長が周囲にそう命ずる。
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極東無政府地区・ポーリュプス残党拠点
基地――――より正確に言えば対空火器の警備にあたっているギャングのひとりが空を見つめる。
この前までは基地の外に繰り出して手ごろな村から金目の物を奪い、好きなままに殺し、気に入った女を犯し、やりたい放題できていたのに、突如として顔を青くしたボス達から外出禁止を言い渡され毎日基地の警備をやらされている。
「早くこんな退屈な日々が終わんねえかな。早く手頃な女を攫って犯したいぜ」
そんな事をぼやいた次の瞬間、頭上から極超音速で飛来してきたツィルコンによって彼の退屈な日々は終わった。
次々とツィルコンによって粉砕される対空火器――――そうして対空目標への対処能力が著しく下がった所に時間差で無数のトマホークが飛来し、要塞を、滑走路を、とにかくあらゆる建物を次々と粉砕していく。
その念入りな攻撃によって、携行式の対空ミサイルを携えたギャングも巻き添えを食う形で炎に吞み込まれていった。
しかしながら、ギャング達の絶望はこれで終わりではなかった。
――――トマホークから更に遅れて到着し、上空を飛行するPOCU航空部隊・第1戦術飛行隊《アルバート隊》のF-35A、第4洋上飛行隊《バリオニクス隊》のF-35B、第8洋上飛行隊《オキサライア隊》のJ-20Bが機首のEOTSを駆使して地上をくまなく監視し生き残った対空火器や施設に次々と対地ミサイルを撃ち込んでいく。
戦闘機――――幸運にも離陸できた機や近隣の基地から飛来してきた機がレーダーに映らない敵機をどうにか排除しようとパイロットの目視で索敵し、そうして見つけた漆黒の機体に襲い掛かるが、第12戦術飛行隊《アベリ隊》のYF-23と第13戦術飛行隊《デルタドロメウス隊》のSu-57とS-70によって容易く捻り潰されるのだった。
と、そこへ第7支援戦闘爆撃群《ギガノト隊》の一部が飛来するとの連絡が入る。
「――――さあ、外道ども!地獄のパーティーはまだまだこれからだぞ!」
パイロットのひとりはその言葉と共に酸素マスクの下で口角をつり上げるのだった。
如何でしたか?圧倒的火力パーティーはまだまだ続きますのでお楽しみいただけると幸いです。