世界的な犯罪組織『ポーリュプス』の残党が潜伏している極東無政府地区の拠点に大規模な攻撃を行い、大きな打撃を与えたPOCU。
そしてポーリュプスに最期の時が迫ろうとしていた――――
トマホークの雨を浴びて壊滅状態になった要塞ではギャング達が瓦礫をどけて仲間を救出しようとする者、まだ使える武器を探す者、消火を試みる者でごった返しになっていた。
――――その上空を飛行する第7支援戦闘爆撃群《ギガノト隊》所属のAC-130U。
《目標を確認、対地攻撃を開始します》
火器管制官がヘッドホン越しに機長に報告する。
《慈悲など無い、クソ野郎共を吹っ飛ばせ》
機長の無慈悲な死刑宣告と共に105mm榴弾砲が火を噴き、ギャングがある程度集まっている場所に正確に命中した。
悲鳴と共に逃げ惑うギャング達――――しかし天空の死刑執行人はそんな彼らに対して40mm機関砲と25mmガトリング砲の狙いを定め、鋼鉄の雨を降らせる。
――――ほぼ同時、要塞から離れた場所に秘匿されていたポーリュプスの航空基地
そこから離れた空域でギガノト隊所属のF-15E、F-15EX、Su-34、Su-24Mの混成部隊が攻撃命令を待っていた。
《間もなく時間だ》
指揮官の声が無線に響いた数秒後、遠方のB-52Hから発射されたAGM-158巡航ミサイルが滑走路や格納庫、管制塔に次々と命中していく。
《よし、仕上げにかかるぞ》
その声と共に混成部隊が一斉に高度を下げ、航空基地に爆弾の雨を降らせていく――――
次々と破壊される建物、航空機――――そしてパニックになるギャング達。
《生き残れるなどと思うな、クソ野郎共》
その無線と共に別行動で低空侵入してきたB-1が爆弾倉を開くとそこから現れた機関砲が吼え、地上を逃げ惑うギャング達を容赦なく粉砕していった。
――――ミストルテ国・POCU本部
巨大なモニターを見つめながら作戦の推移を見守る司令官。
「目標はほぼ壊滅しました。攻撃に参加した機は順次帰還、後続部隊と交代して上空警戒にあたる予定です」
ベクターがタブレット端末を確認しながら報告する。
「うん、後は残敵掃討だな」
そう言いながら一息つく司令官。
――――ベーリング海峡上空
任務を終えてアラスカ支部への帰路につくPOCU航空部隊。その前方に英雄を出迎えるかのように姿を現したのは数機のKC-46ペガサス空中給油機だった。
《ウチの大統領の奢りだ。遠慮なく飲め!》
米軍パイロットの陽気な声が無線越しに響く。
そして空はKC-46とその周囲に集まるPOCU航空部隊の無線で賑わうのだった。
――――――――――――――――
――――数日後
ハワイの某リゾートホテルで休暇に訪れていた米大統領はレストランで『バカンスで偶然同じホテルに泊まっていた』シベリアン・ロシア大統領とテーブル越しに向かい合っていた。
「極東無政府地区のあの一帯は政治的なしがらみのない複数の国家を中心に再開発を行い、治安を改善する――――といった所がちょうどいい落としどころでしょうか。我がシベリアン・ロシアも貴国アメリカも再開発の中心メンバーにはならない」
「異論はありません。決まりですな」
話が纏まったことを祝して注文したワインに舌鼓を打ちながら米大統領がふと口を開く。
「それにしても、あそこを占領していたギャング集団が壊滅してくれて助かりましたな」
「全くです。あそこに軍を派遣することは政治的なリスクが大きく、虐げられる民の声が聞こえぬフリをするより他なかった――――」
そう言い、ステーキを咀嚼するシベリアン・ロシア大統領。肉を飲みこみ、何かに思いを馳せるような口調で続きを語る。
「今、あそこの民の安寧があるのは彼らのお陰だ――――しかし世界は彼らの活躍を知ることはなく、功績は歴史には残らない」
その言葉に米大統領は暫し沈黙し、穏やかな笑みを浮かべる。
「たとえ栄誉が無くとも悪がある限りそれを討ち続ける――――それが終わりのない道だとしても。彼らはそういう人々です」
空になったワイングラスに給仕がワインを注ぐ。
そして再びワインで満たされたグラスを2つの国のリーダーがそれぞれ手にした。
「――――乾杯」
米大統領がグラスを掲げる。そしてシベリアン・ロシア大統領も同じようにグラスを掲げた。
「――――栄冠なき英雄達に」
今回でプロジェクト・オーダー編はひとまず終了となります。(とは言っても完全に終わるわけではなく後日談的なシーンは今後も入るかもしれません)
POCUの二次創作を許諾して下さったベナトル氏に改めて感謝の意を表します。
今後は悪党(外道)を討ちまくる日常回(?)を書かせて頂こうかと思っておりますので引き続きお楽しみいただければ幸いです。