前回の作戦から数ヵ月後。世界は小規模な争いが続きつつも大きな戦乱はなく平和とは言えないまでも比較的穏やかな日々を過ごしていた。
しかし、POCU本部が置かれているヤマ大国を起点に大きな動乱が起こる。
報告書004『熱砂の国:前編』
――――――――ヤマ大国・軍港
同国の防空レーダー施設からもたらされたその一報は湾内で警戒にあたっていたクラーレン共和国海軍・ヤマ駐留軍所属の駆逐艦に届けられた。
駆逐艦:CIC
「レーダー施設からのリンク情報によれば、この港に5機の航空機がマッハ1で接近、針路が変わらなければあと20分でここに到着するとの事です」
「迎撃準備、警戒を怠るな!」
艦長の号令で慌ただしくなるCIC。しかし、次の瞬間レーダーが更なる危機を告げる。
「何だ!?」
「航空機から飛行物体が合計10機分離――――速度、マッハ3!」
超音速で艦艇を貫く一撃必殺の長槍――――超音速対艦ミサイル!
駆逐艦や港に停泊していた各艦艇のVLSから次々と対空ミサイルが打ち上げられ、遥か彼方へと飛び去っていく。
レーダー上で、味方のミサイルが敵ミサイルを示す赤い光点めがけて接近するも次々とすれ違い、空しく消えていった。
それを固唾をのんでクルーが見守る中、追加で打ち上げられたミサイルが赤い光点と重なり、双方とも消える。
「や、やったか!?」
クルーのひとりが思わず声を漏らすも、「油断するな」と艦長に窘められた。
「まだ1発しか落とせていない!全力で迎撃しろ!」
2発目……3発目………そして迎撃ミサイルが尽きる。
「諦めるな、CIWSで迎撃するぞ!」
駆逐艦のCIWSが天を仰いだ次の瞬間、空に複数の光が見えたかと思うと対艦ミサイルが超音速で突っ込んできた。
CIWSが吼え、必死にミサイルの軌道を追いかけるが中々当たらない――――――縮まる距離――――クルーの額に噴き上がる汗――――
ギリギリの所でCIWSの20ミリ砲弾がミサイルを撃ち抜き一瞬だけ駆逐艦がオレンジ色に染まった。
艦艇を沈められるだけの炸薬がもたらす破壊力から完全に逃れる事は出来なかったのか、艦橋の窓は砕かれるかヒビが入り、レーダーも被害を受けたもののクルー達は自分達の幸運に感謝した――――が。
残り6発のミサイルが天空から一気に艦艇を刺し貫く銛となって港に停泊していた艦船に容赦なく牙を突き立てていく。
「何てこった、あれじゃあ相当死んでるぞ!」
艦橋に上がったクルーの1人が信じられないと言わんばかりに燃え盛る港を見つめる。
――――――――
港を襲撃した敵機は海面ギリギリの低空で編隊を組んで帰路についていた。
「こちらパンサー01、任務は完了した。これより帰投する」
『ご苦労。奴らに対する強力なメッセージになった事だろう』
満足げに頷いているであろう上司の声を最後に沈黙した通信機から隣の編隊機に目を移す。
「このままあと数百キロは低空だぞ、気を抜くな―――――」
次の瞬間、上空から浴びせられた機関砲弾が部下の機を貫く!
部下の機はそのまま海面に突っ込み、爆発音と共に立った盛大な水柱が指揮官機を濡らした。
「―――――――――来たか……!」
指揮官が上を見上げると同時に、どこまでも広がる蒼空において自らの存在を示すかの如く漆黒の塗装を纏った戦闘機が複数機、上から襲い掛かってくる。
そして、機体には鮮やかな赤文字の『POCU』が。
「全機、散開!Su-33だ!」
――――――――
Su-33 コックピット
『白昼堂々、随分とやってくれたじゃないか?』
獲物を前に酸素マスクの下で唇をなめるパイロット。
『何処の連中だ?ドニエステルの残党?PLD?レギオン?』
『傭兵連盟やP&D社の回し者かもしれんぞ』
『それは然るべき部署に任せればいい。我々は我々の任務を果たすだけだ』
無線機が部下の言葉で賑やかに喋り出すのを窘めた隊長の両目が海面から飛び上がってくる敵機を見据える。
『この不届き者どもを狩り尽くすぞ、純愛保護機構戦闘部隊の名にかけて』
如何でしたか?今回はベナトル氏のPOCU世界観を取り入れてみました。
これから、より一層この世界観を鮮明に表現出来たらと思います。