報告集『栄冠なき英雄達』   作:趣味全開人生

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世界が揺れ動く中、日本のとある村では数人の女子高生が己の身に降りかかる理不尽な運命に抗うべく反逆の狼煙を上げていた。




報告書007『反逆の乙女:前編』

 

 

――――日本・某農村地域

 

 

 

夜闇に包まれた校舎に近づく男達。

 

卑しい顔つきをした彼らが校門前まで接近した瞬間、設置されていたクレイモア地雷の起爆ワイヤーに足が引っ掛かり数百個の鉄球の雨をマトモに浴びる羽目になった。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

校門のトラップが起動し侵入者を殺害したのを確認する少女。

 

 

半袖シャツにスカートといった夏季仕様の制服にエルボーパッド、ニーパッド、軍用のハイカットヘルメットにヘッドセット、暗視ゴーグルといった装備を組み合わせた特徴的な容姿をした少女――――石火矢 一羽(いしびや かずは)はヘッドセットのマイク部分を指で押さえながら無線をオンにした。

 

 

「聞こえたと思うけど校門に侵入者が現れた。全員クレイモア地雷でズタズタになったけど」

 

 

 

『了解、こちらも警戒を強めておく』

 

クラスメイトの冷静沈着な声が返るのを確かめながら、一羽は数時間前の事を思い出した――――

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「……は?」

 

村の老人達から聞かされた言葉に一羽は耳を疑った。

 

 

「うん、隣村の男衆を君達の身体でもてなしてやって欲しいんだ」

 

「お友達も一緒だから大丈夫よぉ」

 

 

 

沸き上がる怒り――――しかし、それを遮るように老人達は続けた。

 

「あのな、お前たちが断ったら俺らの田んぼは水を止められるわけよ?」

 

 

 

「そんなの――――どう考えてもおかしいでしょう!?この無茶苦茶な要求を受け入れて傷付くのは私達であってあなた達ではない!」

 

一羽が怒りを滲ませながら抗議するも、老人達はマトモに取り合わない。

 

 

 

「うーん……」

 

「難しいねぇ~」

 

 

 

 

――――魂が腐っている、と一羽は嫌悪の表情を浮かべる。

 

理不尽さと闘わず、それどころか守るべき子供を進んで差し出そうとする卑劣な行いに走ってでも生き延びようと必死なくせに自分が汚れている事を素直に認めず、あくまでも非は子供の方にあると言いたげな振る舞いに堪忍袋の緒が切れ、ちゃぶ台をひっくり返す。

 

 

 

「てめえ、大人しく言う事を――――」

 

一羽を取り押さえようとした老人の一人が頬を強かに殴りつけられ、吹っ飛ぶ。

 

 

 

こうしちゃ居られない――――そのまま走り出す一羽。

 

 

 

 

 

 

――――――――自宅に逃げ帰った一羽が玄関を開けるや否や、祖父と目が合う。

 

 

「爺ちゃん!ごめん、言う事は聞けない!」

 

 

そのまま殴り倒そうとするが、片手で拳を受け止められてしまう。

 

「くっ――――」

 

 

 

しかし、返ってきたのは予想外の返事だった。

 

「一羽、わしらはお前の味方だ――――婆さん、トラックの鍵をくれ」

 

 

 

すると縁側で煙草を吸っていた祖母が鍵を投げてよこした。

 

「武器弾薬と装備、食糧は手配してあるよ」

 

 

 

「一羽、すまん。この村のクソみたいな風習を止めるには奴らがお前達に実際に危害を加えようとする様子を証拠として押さえる必要があった。来い――――」

 

そのまま自宅の裏手にあるガレージに向かうと、そこには祖父が農作物を出荷する時に使う軽トラックが停められていた。その荷台から知っている声が聞こえてくる。

 

 

 

「二菜(にな)ちゃん!無事だったんだ!」

 

「一羽!」

 

 

荷台の奥には二菜以外のクラスメイトも数人乗っているのが見えた。

 

「一羽、既に仲間が高校の校舎に物資を運び込んでおる。――――おそらく村は電波妨害を使ってお前達の端末を使えなくするだろう。通信は物資の中にある無線機を使え」

 

 

 

「軍用規格だからね、素人が作ったような妨害装置なんて問題ないくらい使えるから安心おし」

 

祖父の言葉を補足する形で続けた祖母がニヤリと笑う。

 

 

 

「どうせ県庁は動かないだろうし、村の連中も外部の人間を入れない為に村を封鎖するだろうから衛星通信で助けを呼んどくよ」

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

学校のグラウンドに到着したトラック。その荷台から降りた一羽達は校舎の最上階にある、防弾ケースや段ボール箱が大量に置かれた教室に案内される。

 

 

そして祖父に示されたケースを開けるとそこには害獣や農作物泥棒の撃退で何度か使用した、カラシニコフUSA製の突撃銃が納められていた。

 

 

 

「助けが来るまでここで頑張ってもらうしかない。――――負けるんじゃないぞ」

 

 

「――――ありがとう、爺ちゃん。何て言ったら」

 

 

 

その言葉を遮るように首を横に振る祖父。

 

「礼は勝ってからだ」

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

見張りを交代し教室に戻った一羽が暗視ゴーグルを外すと、男子が全員『かわいい』と呟く可憐な顔立ちが露わになった。

 

 

「ただいま」

 

「お帰り、一羽」

 

 

整備している銃器から目を離さず、出迎えの言葉を口にする水井 二菜(みずい にな)。

 

 

 

「クレイモアで何人かミンチになったけど、それ以外は変わらずって感じ」

 

二菜の隣に腰かけ、チューブ状の食糧を胃に流し込む。

 

 

 

 

「隣村の奴らがこれで諦めるとは思えない――――今はしっかり休んでおけ」

 

 

 

 

――――籠城戦はまだ始まったばかりだった――――

 

 

 

 






――――如何でしたか?

初の武装JKモノですが、細かい事は考えずに悪漢を火力で吹っ飛ばす感じで行きたいと思います。

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