報告集『栄冠なき英雄達』   作:趣味全開人生

9 / 37

『村の水源確保の為に、隣村の男衆に若い娘を差し出す』という悪習に抗った女子高生達は無事にPOCUに救い出された。

しかし、POCUの介入を知った隣村の村長が逃亡を図り――――!?




報告書009『反逆の乙女:後編』

 

 

 

 

――――――――1日前・POCU某基地

 

 

 

 

「人身売買だと?日本の農村で?」

 

 

報告を聞いた基地司令が眉をひそめる。

 

 

 

 

「はい、なんでも農耕に必要な水源を止められたくなければ若い娘を差し出せ、だそうで。売買対象となった子供達は武器を手にして抵抗しているそうです」

 

 

「――――なんと。周りの大人達は何をしている?これまでに通報が無かったのは何故だ」

 

 

 

 

部下が報告書のページをめくり、該当する内容の所で手が止まる。

 

 

「外に助けを求められないよう、妨害電波が発信されており民間の無線は使用できないようです。今回の通報は軍用無線の周波数で来ました」

 

 

 

 

 

ガンッ!

 

 

 

机を叩く音が執務室に響く。

 

 

 

「直ぐに救出の準備を整えろ。司令官には私から報告しておく」

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

――――――――現在

 

 

 

道路を疾走する高級車。その後席で必死にスマートフォンを叩く村長。

 

 

「くそ…!出ない!何で出ないんだ!」

 

 

 

 

“商品開発”にあたって製品の性能を実証する環境を提供していた相手は全く応じてくれない。

 

 

 

――――その時、村長の背中に冷たいものが走った。

 

 

 

「!?」

 

 

殺気がした方を向くと、そこには漆黒のヘリの姿が――――

 

 

 

「スピードを上げろ!奴らだ!」

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

スーパーハインド・コックピット

 

 

「機長、標的です!」

 

「人身売買の首謀者か――――だが…」

 

 

 

カメラの映像で標的の周辺を見回した機長の言葉が止まる。

 

 

「今攻撃すれば周囲の民間人にも当たる――――」

 

 

 

と、そこへ無線機のコール音が響く。

 

 

『こちらバリオニクス01。こちらは密集地用の装備を持っている、任せろ』

 

 

 

その通信と共に、ジェットエンジンの音が響いてきた。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

村長はPOCUが民間人を巻き添えに出来ない事を悟り、笑みを浮かべていた。

 

 

「その情の深さが仇になったな!このまま逃げ切らせて貰うぞ」

 

 

 

 

――――――――次の瞬間、上空から飛来したミサイルが村長を車共々叩き“潰した”。

 

 

『お前らみたいな奴が出てくるのも想定済みなんだよ、外道が』

 

 

上空で発せられたその言葉は、肉片となった村長には届かなかった――――

 

 

 

 

 

 

 

「こちらバリオニクス01。無爆薬対地ミサイルは標的に命中、周囲の民間人の被害はゼロだ」

 

 

EOTSからHMDに送られてくる映像には後席部分だけミサイルが突き刺さった高級車の姿が映し出されていた。

 

 

 

「それにしてもF-35は凄いもんだ。こんなにスマートな仕事が出来るんだから」

 

 

 

 

『バリオニクス01、無駄口叩いていないでさっさと帰投しなさい』

 

 

向こう側のオペレーターはユーモアが足りないようだ――――パイロットは心の中でそうぼやきながら操縦桿を倒し、機体を基地へと向けた――――

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

――――数日後

 

 

 

「遺伝子操作だと?」

 

 

司令官に提出された報告書。その内容は驚くべきものだった。

 

 

 

「はい。村の犯罪勢力を掃討した後の調査で判明しました。あの子供達はデザインベイビーの実験体だったようです」

 

 

 

事実、救出した女子高生達は同年代の少女に比べて妙に成長の度合いが早い印象があった――――あれは『そう作られていた』のだ。

 

 

 

「地方の小さな自治体にそんな大掛かりなプロジェクトを実行する予算も技術力も無い筈だ。奴らに協力した組織が居る――――だが、そもそも何の為に?」

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

――――その頃、POCUの計らいでリゾート地に保護された一羽達はビーチを散歩していた。

 

 

 

 

「ウチの村もあの村も行政の手が入って当分は県知事直轄になるみたいなのです」

 

 

先ほどスマホのニュースで見た内容をそのまま皆に伝える三月。

 

 

 

 

 

「村の解体と県への編入も含めて色々と動いているようだ」

 

 

「もともと人が少なくて運営が行き詰まってたみたいだし、そうなるよね~」

 

 

内容を補足した二菜に柚子の言葉が続く。

 

 

 

 

 

 

「あんな村、無くなって当然よ!せいせいするわ」

 

 

桜の言葉に皆が頷く。

 

 

 

 

 

「――――――――そんな訳で私達は自由。これからどうしようか?」

 

 

そして最後に一羽が皆に問う。

 

 

 

 

 

「何だかんだでもう普通の生活には戻れないよね~」

 

 

「むしろ自分達のスキルを活かして食べていく方法を見つけるのですよ!」

 

 

「私は皆に付いていくだけだ」

 

 

「少しは主体性ってやつを持ちなさいよ……」

 

 

 

 

――――あれだけ色々と暴れたのだ。もう普通の生活は厳しいかもしれない。

 

 

 

それでも――――

 

 

 

 

「――――皆とだったらどんな道も怖くないよ」

 

 

 

一羽の笑顔に皆もつられて笑う。

 

 

 

自分の生き方を自分で決める。そんな本当の人生がようやく始まったのだ――――――――

 

 

 






ひとまず武装JK編は今回で終了です。


ただ、今回きりで一羽達の出番が終わるのは惜しいのでまた何らかの形で登場させられたらと思います。



次回以降は再び世界の騒乱に舞台を移して物語を進めていきますのでお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。