大地を照らす灼熱の太陽。
その光を一身に浴びながら、我々雄英高校生徒一同は汗を垂らしてフィールドを駆け回る。
「愛生、右から来てる!」
「おうよっ!」
「うっそ、後ろからも!?」
「かかってこんかい!」
「氷氷!地面凍ってる!」
「足滑らすなよ!!」
忙しなく変化する戦況に、俺たちはひたすら食らいついていた。
制限時間15分のうち、既に5分が経過している。まだ俺たちのポイントに変動はない。追って追われてを繰り返し、先の読めない状況に対応していた。
この騎馬戦で勝ち残るには、上位4チームまでに入らなければならない。チームの総得点が多い順になるのだが、俺たちの今の順位は6位。このままでは次の種目に進むことは出来ない。どうにかしてハチマキを手に入れたいところだ。
「くっそー、こんだけ入り乱れてると誰を狙ったらいいのかも分かんねーな。みんな、なんか作戦とかない?」
「転ばす」
「ぶっ叩く」
「背後からうらめしや」
ろくな奴がいねぇ!侮りがたしB組女子!想像以上にぶっ飛んでやがる!
とは言うものの、先へ進むにはどうしてもポイントは必要だ。
こうなったら、近くにいる奴らから手当り次第にかっさらってくのが一番か?
「あははははッ!!愛生ィ、キミ女子達に担がれて恥ずかしくないのォ!?男なら1人で3人くらい持ち上げてみせたらァ!?ご自慢の超能力とやらでさァ!!」
よし、カモがネギを背負ってやって来たな。記念すべき初得点は物間にしよう。
「突撃ッ!!!」
俺が声を上げると、3人は一気に物間チームの方へと距離を詰めてくれる。迎え撃つように、物間チームも肉薄してきた。
「見てたよ開始前のキミの痴態。誰にも相手されずに地面に這いつくばるその姿。あーあ、そのまま辞退でもしてくれりゃ良かったのにゲベフっ!!」
「はいよー、いただきー」
空気を押し出す形で発射した衝撃波を物間の顔面に直撃させ、外れたハチマキをキャッチしてその場を後にする。さてさてポイントは…105ポイント、悪くない。
「やったじゃん!初得点!」
「物間、凄い顔してた」
「アイツにはいい薬だよ」
良かった。同じクラスの男子が可哀想な目にあっても、この子らは特に思うところは無さそうだ。仕返しされる可能性もあるけど、そん時はもう騎馬から引きずり落としてやる。
いただいたハチマキを首にかけ、次のターゲットを狙いに行く。お次は誰にしようか。出来るなら高得点持ってる奴がいいな。
周りを見渡していると、聞き覚えのある甲高い声が耳に入ってきた。
「愛生ィ〜!!テメェなに女子とチーム組んでんだよォ〜!!万死に値する…万死に値するゥ!!!」
「カモがぶどうをつけてやって来た!」
「カモかどうか確かめてみろやーッ!!!」
怒り狂う峰田が、頭のもぎもぎを乱射してきた。てかあの騎馬なに?障子?機動力高すぎて、あっという間にこっちまで距離詰められそうなんだけど。
そして、峰田のもぎもぎと同時に飛んでくるものは他にもあった。細長いピンク色の…これはまさか…?
「ケロ、羨ましい状況ね愛生ちゃん」
やっぱり梅雨ちゃんか。ムチのように伸びてくる舌と、引っ付いたら離れないもぎもぎの嵐。これ結構厄介だぞ。
「アヒャヒャヒャ!オイラのもぎもぎで動けなくしてやるよ!お楽しみはそれからだァ!!」
「目…目が血走っとる…!よし3人とも、一旦引くぞ!」
このまま峰田チームとやり合うのは厳しいと判断した。峰田と梅雨ちゃんの妨害はもちろんのこと、障子の安定感と機動力は馬鹿に出来ない。1人で2人を背負ってるのがむしろメリットになっている。悔しいが、逃げの一手だ。
「
俺は自信を含めた計4人を念力で浮かせ、峰田から距離をとる。逃げんなー、と峰田の声が響き渡ったが無視。あいつら何気に良いチームな気がする。
「わー、空飛んでるー」
「着地すっぞ」
充分な距離が稼げたところで、一度地面に降り立つ。流石に4人も一気に浮かすのは、脳に負担がかかる。自分1人とは訳が違うからな、あまりやり過ぎないようにしとかねーと。
峰田チームを退け、改めて周りの様子を伺おうとした時、俺の体に何かが貼り付いた。
「うわっ!なんだこれ!テープ!?」
「千晴、瀬呂の仕業だ!あそこ!」
「大正解ッ!それだけじゃないけど…な!」
「うおおおおお!!!」
そのまま引っ張られ、体が強引に騎馬から離れさせられる。宙に浮きながら眼下に視線を注ぐ。瀬呂と芦戸と切島の組み合わせか…いや、あと1人いるだろ!クソ厄介なやつが!
「ぶち殺すッ!!!」
「ここで来るかよ、爆豪!!」
待ち構えていた爆豪が、爆破を付与した腕を振りかざしてきた。間一髪のところでそれをバリアで防ぎ、体に付けられたテープを強引に剥がす。てかこれ騎馬から離れてるけどいいの?騎馬戦だよね?
「落ちろやッ!!!」
両の手のひらから火花が散り始めた。爆破を起こす為の準備。バチバチとした音が次第にデカくなる。
「させるかよ!」
それを右足で蹴りあげ弾き飛ばす。狙いの外れた爆破が、明後日の方向へ向けて放出された。そのタイミングで、爆豪に白いテープが巻かれる。
「テープ!まだやれたわ!」
「無茶言うな。空中戦じゃ愛生に軍配が上がるだろに」
「あぁん!?オレが負けるかッ!!!」
吠えとる吠えとる。爆豪に言うこと聞かせんのは骨が折れるだろうな。と言う俺も絶賛自由落下の途中なのだが。
「キャッチ!って危な、重力!」
そんな俺の腕を掴んだのは取蔭だった。上半身だけを体から切り離して、俺の体を掴んでくれた。これは助かる、個性を使いすぎるとすぐにバテるからな。
「オーライオーライ」
そこに手をデカくさせた一佳が待っていた。安全に降り立ち、再度騎馬を作り直して前方を見据える。爆豪チームも体勢を建て直し、こちらを睨みつけていていた。
「避けては通れないってやつだね。どーする?大将」
取蔭の問いに、俺は一言で答えた。
「正面突破」
「そうこなくっちゃ」
俺は超能力で地面を軽く砕く。
「柳」
「分かってる」
砕けて散らばった地面の破片を柳が浮かせて、そのまま爆豪チームへと弾丸のように撃ち放つ。
「小賢しい手ェ使いやがって」
それらを爆破で吹っ飛ばす爆豪。仲間殺しな対策だが、そうか切島か。前騎馬が奴ならある程度の衝撃に耐えられる。
「酸!滑ってけ!」
「あ、し、ど、み、な!ちゃんと名前で呼んで!」
芦戸が酸を足から放出し、まるでスケート選手のように滑走してくる。ああいう使い方もあるのか。
そして迫り来る爆破の弾丸とセロハンテープ。爆豪の奴、しっかり考えたチーム組んできてるな。
「くそ、攻撃が止まない!」
一佳がそう嘆く。繰り出される波状攻撃に、俺たちは徐々に追いつめられていく。
「死ィねぇッ!!」
接近してきた爆豪の右の大振り。それを左腕で防ぐも、後からやってきた爆破をモロに喰らう。熱と衝撃で肌がヒリヒリする。こんなの何度も受けてられないぞ。
「カスがっ!!考え無しで組んだチームで、オレに勝てるかよッ!!!」
爆豪の闘志をこれでもかと言うくらいに詰め込まれた爆破が、俺たち4人を包み込む。その威力に、体が騎馬から吹っ飛びそうになる。
何て容赦のない一撃だ。こっちは女子が3人もいるというのに。けど、そんなことを理由に手加減する男じゃないのは知ってたハズだ。選手宣誓でも言ってただろ、"1位"になるって。自分でかけたプレッシャーに、コイツは負けじと抗っているんだ。
「奪った!!!」
「千晴ッ!!」
しゅるりと頭からハチマキが離れる感覚がした。この競技の命とも言えるそれが、爆豪の手の中にあるのが見える。勝ち誇ったような顔で、こちらを満足気に見る爆豪も。
「残り5分──!!!」
ミッドナイトの声が轟いた。
もう時間も少ない。
俺たちの持ち点は0。
どうする?どうしたらいい?
思考だけが頭の中でグルグルと回り続けるも、ロクな答えなんて出てこない。
「立ち止まってる余裕なんて無いだろ!!」
カクンと上体が傾く。一佳の声が、俺の頭に亀裂を入れるように響いてきた。それと同時に、騎馬が爆豪チームへ向けて接近を始める。
「一佳…」
「やられっぱなしで終われるのか!?私は嫌だぞ!このまま何もしないでトンズラこくなんて、私にはできない!!」
一佳の感情が、ビリビリと肌に伝わってくる。そうだ、昔からこいつはそうなんだ。誰よりも負けん気が強くて、常に先にあるものを捉えていて、自分というものを決して曲げたりはしない。
「まだ私たちは、負けてないんだから!!!」
いつだって全力。ただ前だけを見て進み続けるのが、拳藤一佳という女だ。他者を引っ張るその気迫が、一佳の最大の武器だ。
「取蔭!柳!ビビらず行け!俺が絶対に点を取り返す!!」
「うん!」
「りょーかい!」
今はただ、目の前のポイントにだけ集中する。
「返り討ちにしてやるよォ!!」
悪役のような台詞を吐く爆豪に向かって、俺は衝撃波を発射。
腕をクロスしてガードされるが、それは想定内。爆豪なら対応してくることも織り込み済みだ。
「しょうもねぇなぁ!!そんなんでオレから、点を取り返せると思ってんじゃねぇぞぉ!!」
衝撃波の牽制を対処すると、爆豪は両の手のひらを突き出し、爆破の準備行動に移る。
さっき空中で見せたアレだ。
あの時は脚で弾いて事なきを得たが、今回は俺が対策する前に爆発が展開された。
「チッ…バカスカ撃ちまくりやがって…!3人とも平気か!?」
黒煙の中、3人はコクリと頷く。それが確認できると、すぐさま爆豪チームの捕捉に思考を変える。
現状、俺たちのポイントは0。ということは、爆豪たちがわざわざ俺たちの相手をするメリットは全くない訳だ。爆破で巻き上げられた煙で、姿をくらまされる可能性は充分にある。
「ハッ!!」
一佳が、巨大化させた拳で地面を叩く。それにより巻き起こった突風で、砂煙が一気に晴れた。クリアになった視界の中から、爆豪チームを探す。
「いた!けどあんな遠くに!」
「芦戸の酸かよ!」
見つけた時には既に、爆豪たちは離れた所に場所へ移動していた。芦戸の個性で地面を滑りやすくし、そこに爆豪の爆破で加速している。あっという間に豆粒サイズだ。
「クソッタレ!!」
意を決して、俺は騎馬から飛び出した。そのまま空中を飛行して爆豪チームを追う。体力の消耗とか、そんなのはもう気にしていられない。
「爆豪っ!愛生のヤツが来てるぞっ!」
切島の声に爆豪が視線をこちらに向ける。すると、爆豪は更に距離を取るのではなく、何故か俺の方へ飛んで向かってきた。
「は!?何やってんだオイ爆豪!!」
「っせえ!!コイツはここでぶちのめすっ!」
「なんの意味があんだよ!!」
俺でさえそう思う。この爆豪の動きにメリットなんて無い。けど、俺は選手宣誓後の爆豪の言葉を思い出していた。
──テメーには死んでも負けねぇ。
「こいつに背中向けるなんて、死んでも御免なんだよ!!!」
爆破の勢いで回転をしながら、爆豪は突撃してくる。まるで小さな核弾頭のようになって、視線は逸らさず、ただ真っ直ぐに俺へと。
「あああああっ!!!」
俺は右腕を前に突き出し、その攻撃を正面から受け止める。手のひらが焼け焦げる匂いがしてきた。ヒリヒリなんてレベルじゃない、熱による痛みの最上級が全身に伝わる。いくら手のひらにバリアを展開しているからと言って、ずっと耐え続けられるものじゃない。
気持ちで負けちゃダメだ。いくら痛くても、どれだけ熱くても吹っ飛ばされそうになるのを堪えなきゃ。今ここで爆豪からハチマキを奪わなきゃ、俺たちは先へ進むことができない。
ただ競技を通過することだけが目的じゃないんだ。自分たちの夢のために、立派なヒーローになるために。ここで妥協なんてしてられない。
「うおりゃぁぁぁあああ!!!」
「──ッ!?弾かれただと!?」
回転の威力を殺し、収まってきたところに衝撃波で弾き返す。プスプスと焦げ付く音と痛みがあるが、まだ動ける。
「チッ!まだだッ!!!」
再び肉薄してくる爆豪。
頭痛もし始めてきた。
震える手を固く握って、迎え撃つ体勢を作り、俺は空中を駆ける。
「クソがァァァ!!!」
「うぁぁあああ!!!」
突き出した拳が、爆豪の顔面に刺さる。
そのまま力いっぱい振り抜く。
「爆豪ッ!!」
「千晴ッ!!」
「「ハチマキを!!!」」
宙に舞う爆豪のハチマキは5本。
俺と爆豪は同時に手を伸ばし、その白い布を手中に収める。
「はい撤退!!!」
またまた駆けつけてきた取蔭に引っ張られ、俺は騎馬に着地する。
「ハァハァ…なんとか…3つ取って…きた…!」
「ちょっと、手ぇ大丈夫!?火傷なんてレベルじゃないでしょそれ!」
「へへへ、めっちゃいてーよ。爆豪め、絶対に許さん」
柳が心配する気持ちも分かる。自分でも思っていた以上に酷い傷だった。あんなのを手で受け止めようなんて、どうかしてた。けど、そのおかげでハチマキも手に入ったんだ。万事OKってやつさ。
「見て、3位だって!このまま逃げ切れるよ!」
巨大電光掲示板には、選手たちの順位とポイントが映し出されている。そこに俺たちのチームは2位、960ポイントで載っていた。
「千晴の体も心配だ、後は逃げに徹しよう。爆豪も絶対に追いかけてくるから、今のうちに──つ!?」
一佳の言葉が途中で途切れる。
その理由はすぐに分かった。
形成される氷山、視界の端に映る黒い影、どこかで聞いたことのあるエンジン音。
そして、緑色の光を放つクラスメイト。
「残り30秒──!!!」
最後の最後に入り乱れてきやがった。轟とデクか。1000万は…轟が持ってるみたいだ。こいつらも、俺と爆豪のように取り合いをしていたんだろう。
「デクくん、チャンスだよ。敵は増えたけどハチマキも増えた」
「うん、ここで一気に巻き返す!」
デクたちがスピードを上げて猛進してきた。見たところアイツらの順位は6位。残り少ない時間で、特攻を仕掛けてきた。
頭がズキズキする。まるで脳内で誰かが暴れているようだ。正直しんどいけど、踏ん張りところだ。せっかく取り返したポイントを、みすみす奪われる訳などない。
「クソデクぅ!!」
爆豪チームも混じってきた。あいつらは…4位か。
四つ巴の戦いが始まろうとしている。
残り20秒。
誰が、どう動く…?
「上鳴!」
「うぇいっひ!!」
轟の声が響いた直後、黄色い閃光が地面を駆け巡る。
爆豪は射程外。
轟はシートのようなもので防御。絶縁か?
デクは常闇のダークシャドウに電撃を受けてもらっている。
「あばばばばばば」
「デクくん!あそこから取れる!」
まともに喰らったのは俺たちだけだった。
シビレて動けないでいる俺たちを見て、デクチームがすぐさま詰め寄ってくる。まずい、このままじゃ。
「行け、ダークシャドウ!」
「アイヨ!悪イナ!」
常闇の腹部から生えてきたダークシャドウが、俺の首にかけられたハチマキをかっぱらっていった。しかも全部。ここにきてまさかの、0ポイントに逆戻りになってしまった。
まずいなんて状況じゃない。
「んなことある!?」
取蔭の悲痛な叫び声が鳴り渡る。
時間は残り20秒。
こうなったら狙いは1つしかない。
「一佳!!!」
叫ぶと幼馴染は、すぐに行動を開始する。
手を巨大化させ、俺を乗せて勢いよくぶん投げた。
行先は勿論、1000万。
見たところ上鳴はアホ面をかましている。
なら電撃は来ない。
「八百万!」
「はい!」
轟が名前を呼んただけで、八百万は鋼鉄の盾を創造した。
もう何度も、この競技中に創っているんだろう。
慣れた手つきで轟へとパスをし、轟はそれを構える。
あの盾をぶち破って轟への道を切り開き、首に巻かれた数個のハチマキの中から1000万を掴みとる。
それが唯一、俺たちに残された勝利への道しるべだ。
頭の内側からノックされているような感覚を味わいながら、俺は再び力を集中する。
もう個性を使う力なんて残ってないかもしれない。
だけど、余力がなくても絞り出さなきゃ。
ここまで戦ってきた全てが無駄になる。
──ドクン。
そう、心臓が跳ねる音が聞こえた。
身体を流れるほんの僅かなエネルギーが増幅し、加速する。
疲弊した身体に、エネルギーが満ち溢れてくる。
一体どこからこんな力が湧き上がってきているのか。
その理由は、今知らなくてもいい。
ただ俺は、新しい扉を開いたような気がしていた。
伸ばした両腕から衝撃波を放つ。
今までにない威力だった。
その空気の波はいとも容易く轟の持つ盾を吹き飛ばし、飯田のメガネのレンズを割った。
「ま、前が見えない…だと…!?」
そんな飯田をよそに、俺は念力のターゲットを轟のハチマキに絞る。
今なら繊細なコントロールも、簡単に出来る気がしていた。
イメージ、イメージをするんだ。
轟のハチマキを浮かして手繰り寄せるイメージ。
箸で大豆をすくうような感覚、今ならそれも簡単に。
正確に…素早く…1000万を…。
「ぐっ…!」
その時、ズキンとひときわ強い痛みが脳内を駆け巡った。
それにより集中が途切れ、ハチマキのコントロールが乱れる。
すぐさま力を整えたが、さっきまでとは感触が違う。
いつもと同じ状態だ、けど今はもうそれでいい。
再び頭痛に苛まれ、ターゲットと出力が乱れる。
轟のハチマキを捉えていたハズが、力の矛先は少し下へ。
そのままずり下げるような形で、俺の力が轟に作用された。
『タイムアーップ!!!』
プレゼント・マイクの終了の合図が、会場中に響き渡った。
「第2種目騎馬戦、その栄えある1位を手に入れたのは…愛生チーム!!!得点は1000万!!!」
気づけば取蔭に浮かせてもらっていた俺は、彼女から1つのハチマキを受け取る。そこには1000万の文字があった。
「…一応、バレないように後ろから取ってたんだ。テキトーに取ったのが1000万のハチマキで運が良かった…ね」
「お、おお…」
1000万ポイント、1位で通過。確かにそれは嬉しい。けど、それ以上に衝撃的な状況が目の前にはあった。
勿論これは俺のせいだ。俺が個性のコントロールを誤ったから。けどまさかこんなことになるなんて、思ってもみなかった。
「なぁ…愛生…」
轟が俺の名前を口にした。
「俺がいったい…何をしたって言うんだ…」
そこには、下着を全国に晒された轟焦凍が天を仰いでいた。
轟焦凍④
・ボクサーブリーフの男。