君が好きだと叫びたい!   作:みかんフレーク

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#90 女の子になった日

 ──女子に生まれ変わった。

 

 文面だけ見たら「?」となるだろうけど、これは嘘でも冗談でもないホントのことである。

 

 肩甲骨あたりまで伸びた、我ながら鮮やかな青髪。出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる、凹凸のハッキリしたボディライン。そこに発目が入手してきた女子の制服を纏えば、それはもう立派な女子だ。

 

「…!?テメェ…千晴か…?」

 

 その日最初に顔を合わせたのは勝己で、女になった俺を見て訝しげな表情をしていた。それから頭のてっぺんから足の先までをサラッと見流し、「ケッ」とだけ言ってどこかへ去っていった。何その反応。

 

「えぇ!?千晴くん!?何で女の子に!?」

 

「分かった、発目の仕業だろ」

 

 デクは想像通りの反応をしてくれた。轟、お前は少し察しが良すぎるわ。でも女子になって髪型とか変えてもすぐに俺だと分かるということは、その人から出ている雰囲気とかに性差は無いんだな。

 

「うえぇ!?誰だこの女の子!?」

 

「千晴だ」

 

 とか思ってたけど、いつメン以外のクラスメイトは、顔を見てすぐに俺だとは分からないやつの方が多かった。まぁこればっかりは親交を深めてるかどうかとかで決まってくる。仲のいい轟たちだったからすぐに分かったんだろう。

 

「おい…ウソだろ…なかなかどうして…ボンキュッボンな…!」

 

「なんだ峰田、この身体に興味があるのか?」

 

 そこには目が少しだけ血走っている峰田が居た。ハァハァと息も荒くなっているみたいだ。まぁ確かに?こんな絶世の美少女が居たら、男どもは気が気でないだろう。

 

「ほれほれ♡こんなのはどうだ♡」

 

 わざとらしくスカートをピラピラさせて、峰田の情欲を煽る。ポピー!と凄い勢いで鼻から息が飛び出てきていた。お前…俺一応男なんだけど…。

 

「くそぉ…分かってるのに…こいつは愛生だって頭では理解できるのに…」

 

「むっふっふ…今ならパフパフしてやらんでもないぞ?」

 

「おねがいします」

 

 即答かよ。すごい峰田、漢の面構えをしている。いいのか?後ろで女子たちが冷ややかな目で見ているぞ?

 

「えい、パフパフ♡」

 

「あっ…」

 

「パフパフ♡パフ♡」

 

「うぷぷぷぷ」

 

「さらにオマケにパフパフ♡」

 

「…ふぅ」

 

 こうして峰田は息絶えた。天へと昇った峰田の魂は綺麗に洗われ、別の人格として新たな肉体をつけて地上へと戻ってくることになる。

 

 今日からA組は19人体制となった。

 

 

 

 

 

 

 

 ○

 

 

 

 

 

 

 

「いやいやいや、なにしてんのお前は」

 

 目の前には呆れ顔の一佳。それに対して俺は、照れくさそうに頭をかいていた。

 

 ヴィランとの激戦の余熱が冷めぬ頃、俺達ヒーローは救助活動や復興支援に尽力している。その最中、一佳と顔を合わせたので女子に生まれ変わったことを伝えた。

 

「──という訳で、今日から千晴ちゃんということでよろしくゥ!一緒にお風呂入れるぞ☆」

 

「入るかたわけ。でもアンタそれ、服とか下着とかどうしてんの?」

 

「ああ、発目に用意してもらったよ。最初は"私の使います?"とか言ってたけど、流石に断っといた」

 

「当たり前だろ」

 

 だよね。流石にこっちも同じ女子になったからと言って、同級生の服とかそのまんま使うのは色々とアウトだよね。発目は恐らくそういうことあんまり考えてないから、そういう発言が出てきたからであって。

 

「まぁ…借りてても多分サイズが合わなかったかもしれんし…」

 

 発目って意外とスタイル良いからな…。女子になった俺もなかなかだと思うけど、アイツはそれ以上に女らしい体型をしている。なんか…変なギャップがあるよね…!タンクトップとか着てていい子じゃない。

 

「は?なんの?」

 

「いや発目ってなかなかの体つきしてんじゃん。それで多分サイズ感とか違うんじゃないかって──ハッ!?」

 

 その瞬間、俺は全てを悟った。同時に自分の失言を恨んだ。

 

 目の前の一佳がぷるぷると体を震わせている。スライムの真似かな…?

 

「へぇ…千晴は女の子のそういうところしか見てないんだ…?発目は確かに魅力的だもんね…」

 

 ま、マズイ…!何とかフォローを入れなくては…!

 

「なに言ってんだ一佳!お前だって負けず劣らずのいい身体してんじゃねぇか!ほら胸だって平均よりは全然上だと思うし…!」

 

 その時、俺の脳がとてつもないプレッシャーを感じ取った。これアレだ、強敵が現れた時と同じ感覚のやつだわ。目の前から感じ取ってるわ。

 

 

「最低…!」

 

 顔を真っ赤にした一佳が、しっかり拳を巨大化させて俺の顔面を捉えた。鈍い衝撃が頬から脳みそに伝わり、軽く数メートルは吹っ飛ぶ。壁にぶち当たったところで、俺の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

「あら愛生さん、今度は病室にゲームは持ち込んだらダメですからね」

 

「へへへ、またお世話になりやす」

 

 俺は再入院となった。街の復興を手伝える日は遠い──。

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