気が付いたら幽霊屋敷の主人になってました。   作:八雲ネム

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第1話 生配信

「正直に言って、きのみを取った後の樹木が速攻で灰になる光景は未だにビビってる。だってそうだろ? 植物が灰になるなんて燃やさないといけないんだしさ」

『相変わらず、すげぇよな』『慣れたけど普通に考えればありえない光景だからな』『ほげぇぇええ』『植物ってなんだっけ?』『少なくとも既存の種類じゃないな』

 

 朝、家庭菜園で育てている植物の様子見を兼ねて昨晩のうちにきのみを植えた鉢を置いてある場所で、きのみを収穫して木が灰になる瞬間を撮影しながら生配信をしていた。

 何しろ、派手なバトルは見るものを圧倒するものの今の手持ちはゴーストタイプを中心に据えているのでワンパターンになりやすいし、家庭菜園は録画時間をカットや倍速で編集した物を投稿したら大体の事がわかってしまう。

 その為、きのみの採取をする傍らでポケモン関連の問題を聞いて解決案を探るお悩み相談室を中心に据えているのだが、チャンネルを開設した当初は散々な結果だったのは言うまでもない。

 

 何しろ、創作物としてのポケモンすらないので『妄想乙』なんて言われる事が度々あったし、悪質な特定班によって騒音被害や作物が荒らされる事もあった。

 当時は、ポケモンなんて存在が明らかになっていなかったので前者は仕方ないとは言え、後者に関してはこちら側にも被害が出ているのでゲンガー達をけしかけてSAN値をゴッソリ削ってもらい、全員を漏れなく発狂させたので幽霊屋敷の噂が補強されて今では殆どの人が寄り付かなくなってしまった。

 とは言え、そんな輩達を撃退した事で100メートル間隔で家がある様など田舎の地元の人達からは、ゴミのポイ捨てやゴロツキが通らなくなった事で感謝される様になったのであまり気にはしていない。

 

 いくら、ど田舎で周りから幽霊屋敷とか、現代の妖怪がいる屋敷とか、俺を怒らせると連れ去られて食われるって言う噂が広まっていてもそれ以上の事をすれば文句は言われないだろうよ。

 

「よし。今日、採取できるきのみは採取したから回復用以外はポロックやポフィンに変えようと思う。腐らせても仕方ないし」

『だな』『ポロック?ポフィン?』『←ポケモンで言う所のお菓子みたいなもんだ』『きのみは需要がないのがキツイわなぁ』『私も早くトレーナーになりてぇ』『寧ろ、彼のトレーナーになり(ry』『デトロ!開けろイド警察だ!』

 

 そんな訳で、きのみの採取が終わって満載になったカゴを持って台所に向かっているのだが、撮影はカメラ付きのモバイル端末に取り付いた電気・ゴーストタイプのロトムに任せてあるので問題はない。

 最初こそ、他の人がいるんじゃないのかと疑われたがパソコンからの配信時にロトムの事を紹介したのでかなり驚かれたが、結局はポケモンをよく知る俺だから仕方ないよねで受け入れられて今に至る。

 そして、ここからが転生者特典というべき代物でポケモンに関する周辺機器の全てが屋敷に入るように設置してあって、小型ではあるがポケモンセンターやフレンドリィショップは勿論、ぼんぐりから作れるモンスターボールやポロックを作る為の装置まであるのでポケモンに限れば困る事はない。

 

 とは言え、生活する上で俺自身に必要な日用品は近くのスーパーに行かないと揃えられないから、18歳になってからすぐに運転免許を取得する為に合宿へ行ったし、ポケモンの事を広く知らしめないといざという時に取り返しのつかない事に成りかねない。

 それを防ぐには、俺1人の力では限界があるからネットサーフィンで情報を集めながら配信者として活動すれば、他のポケモントレーナーに出会えるのではないかと思っていたが結果は芳しくない。

 このままだと、俺の行動は意味がなくなっちまうと思いながらゲンガー達が待っていたポロック製造機の所に向かいながら今回、どんなポロックを作るのかを話していると気になるコメントがあった。

 

『私もポケモントレーナーです。連絡、取れますか?』

「………嘘だろ?」

『どした?』『他の予定を思い出したのか?』『ポケモンの事でも思い出したんだろ』

 

 その反応に、他の人は気が付かなかった様だがそのコメントは俺にとって重要な情報であり、ポロック作りをしている場合じゃない。

 

「ポケモントレーナーの人! 概要欄にメールアドレスがあるんで手持ちのポケモンと共に写った写真、今すぐ添付して送ってもらえませんか!?」

『ぬぉっ!?』『めっちゃ食い付くやんけ』『第二のポケモントレーナーか!?』『ポケモントレーナーってマ?』

 

 急に真剣になったので、コメント欄は驚いた様子だったが構っている余裕はなく、ロトムが気を利かせて配信者として使っているメールを開いてくれたので、待っていると一通のメールが届いたので開くとそこには1人の少女と共に写る本物のリオルの姿があった。

 その事実に、体が震えて暫く何も言えずにいたが感極まって両手を握り拳にして上げながら歓喜の声を上げた。

 

「ふぉぉおお!! 他のトレーナーだ! 初めてやり取りができた!」

『めっちゃ喜んでる』『そりゃ、今まで1人だったしな』『男の喜び顔もっと見たい。見たくない?』『それな。今までは本当に独りぼっちに見えたし』

 

 とまぁ、俺が喜んでいる間にコメント欄の反応も悪くなかったので一先ず、互いの電話番号やチャットのIDなんかを交換し合って後で個別の相談に乗るとして、残っている放送枠はいくつかのポロックを作る事にした。

 

 

 

 数十分後

 

「つまり、神と名乗る存在から専用の端末と何かしらの特典を貰ったって訳か」

『他の人も含めて私の所はそうなんですが、そちらはそうじゃなかったんですか?』

「いや、俺は何の説明もなしに放り出されたからな。お陰で今に至る3年間は寂しい思いをしたよ」

 

 リオルのトレーナーである少女、山下 薫ちゃん(15)の説明では神様と呼ばれる存在が何人もの人達を1か所に集めて、ある程度の事情説明をした後でいくつかの特典を貰った上で解放されたとの事だった。

 つまり、今まで1人だったのは神様(上位存在)側の何かしらの手違いか何らかの目的があって先に転生させたかの2択だろうとの事だった。

 

(全く、神様って奴は存外にウッカリし過ぎてるんじゃないか? それとも本当に何かしらの目的があって先に派遣したのか? それを俺が思い出せないだけで………だめだ、わからん)

 

 ここまで、作為的に時間差でポケモントレーナーが誕生するとなるとウッカリ誕生する時期を間違えたか、向こう側に何かしらの意図があるのではないかと疑いたくもなるがそれを確かめる術がない以上、できる事をやるしかない。

 その為、翌日からのニュースを確かめながら様子を見る事で意見が一致したので互いにどの県に住んでいるかを確認してから通信を切った。

 

「………さて、道具の確認でもするかな」

 

 ポケモントレーナーが他にいる、という情報が来た以上は日本に限らず、世界規模で情勢が大きく変わると予想できるので今ある道具を改めて確認する為に腰を上げた。

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