「手伝ってもらってごめんなさいねぇ」
「いいえ〜、お構いなく〜」
ゲンガー達と共に、暮らしている幽霊屋敷は限界集落レベルで老人しかいないど田舎なので、配信をしていない時間はよく老人達の手伝いをしている。
例えば、趣味で家庭菜園をしている俺よりも多くの畑を持って農作物を植えている農家や力仕事が必要な家を回って手伝っている為、彼女達から生活する上での色んな事を教えてもらった。
作物を育てる為、土に鍬を入れる時に力の入れ方や季節ごとに植える時期や収穫の時期、家周りで修理するやり方や人との付き合い方など多岐に渡っていたが、それと同時にポケモンを受け入れてもらう様に説明して回った。
彼らと俺の関係から始まり、熊などの従来の獣と何が違うのか、その危険性について、どう扱えば適度な距離を保てるのかなどだ。
また、説明と同時に老人達が困っている事をポケモン達と共に手助けしていったので、時間は掛かったものの今では日常の一部分に組み込んでもらえている。
そんな活動の最中でも、ある事を欠かさなかった。
「さて、と。こんなもんかな」
そう呟きつつ、ポケモン達に必要な必要なポロックやポフィンを作り終えた。
本来、ゴーストタイプのポケモンは幽霊などに等しい存在なので物理的な食事に加えて魂など、精神的な部分で食事を取るのでポロックなどは嗜好品に近い存在だ。
以前なら、頻繁にやってきた不良グループを襲って恐慌状態にする機会はかなりあったのだが、噂が広がってからよっぽどの物好き以外は来なくなってめっきり減ってしまったのでかなり暇になってしまった。
つまり、遊び相手がいなくなって退屈になったので暇つぶしにポロック作りなどで暇を潰しているのだが、今回のポロックはまずまずの結果でゲームで例えるならレベル60代半ばでなめらかさが20台半ばと言った感じだろうか?
一応、ルビサファやリメイクのORASはやっていたが何年も前にプレイしたきりだったからポロックなんかのレベルに関してはかなり忘れてしまった。
まぁ、楽しめれば万事オッケーな俺からすればどうでもいい事なのでポロック作りの後は、自分の飯を作ってからテレビがあるリビングでテレビを見ながら食べる事にした。
『では、次のニュースをお伝えします』
「………遂に動き始めたか」
アナウンサーの言葉と共に、ポッポがたいあたりで成人男性を吹っ飛ばしている光景が映像として映し出されたので感慨深く呟いた。
何しろ、今までは1人で寂しく活動していく内にポケモンが徐々に認知されていったのだが、全国ニュースで放送されたという事は少なくとも日本全国でポケモンが活性化したという事になる。
神様特典でトレーナーになった奴らが何人いるか、なんて分かりっこないが向こう数年は経済や法律、社会的に大きな変革が起きる事ぐらいは予想が付く。
となれば、どうやったら立場的に利益が1番出るポジションに就くのかを考える必要があるなと思いながら、食事を終えて食器を片付けると唐突に翼が生えた女性が現れた。
「初めまして、ゴースト使いさん。特典の程は如何ですか?」
「確保ーっ!」
「きゃあ!? 一体、どうしたんですか!?」
そして、何ら警戒をしていなかった彼女に対して俺がそう言うと寛いでいたゲンガー達が急に動き出して、あっという間に取り押さえたので翼の女性は何もできずに捕まった。
「どーしたもクソもあるかよ。いきなり俺だけ、記憶が曖昧な状態で3年前に送り込んだ事に関して何も知らねぇっつー言い訳は通用しねーぜ」
「さ、さささ、3年!? しょ、少々お待ちください!」
俺の言葉に、慌てた様子でどこかにコンタクトを取っている様子で暫くの沈黙の後にこう言ってきた。
「申し訳ありません。こちらの手違いと言うより、担当の者の気紛れによって本来の世界とは別の世界に転生してしまった様です」
「で、その担当者は?」
「日頃から、あまりの勤務態度の悪さが目立っていた神様でしたので他の神様達の判断によって能力の剥奪と共に普通の人間へと堕として、この世界とは別の世界に転生させた様です」
「つまり、担当者が変わったが改変させた影響がデカすぎて元に戻せないんだな?」
「そうなります」
彼女の話をまとめるとこうだ。
まず、世界は色んなアニメや漫画の様に多次元世界や並行世界と呼ばれるようにいくつもあるのだが、それぞれの世界は決まったルールがあってそれに従って歴史が進んでいく。
しかし、いくつもの世界線を監視する事ができる担当者のうちの1人が暇潰しの一環で世界を改変する行為を勝手に決めて実行してしまった為、他の担当者達が話し合ってその担当者を追放したとの事。
そして、本来なら改変前まで戻すのだが今回の場合は余りにも杜撰な改変を行なった為に下手に戻すと世界が崩壊する可能性が浮上する為、こうなったらちゃんとアフターフォローを入れようとの判断になって俺の他にも選ばれた人達に平等の得点を付ける事になった。
普通なら、俺にもその恩恵が得られる筈だったのだが今では元神様となった奴の気紛れによって、俺の存在は巧妙に隠されていた為に発見が遅れて今まで気が付かなかったそうだ。
それを聞いて、俺はゲンガー達に合図を送って彼女を解放すると転生云々は何も言わない代わりに、今いる世界に散らばる他のポケモントレーナー達と同等の道具が欲しいと伝えた。
今までは、他のトレーナーがいない事を前提にポケモン以外は屋敷内の物置部屋に収納されていた物を活用して切り抜けてきたが、他のトレーナーがいる以上は彼らと同じ道具が使えない事が不利に働く。
ポケモン図鑑やマルチナビ、モンスターボール類やキズぐすりを始めとする各種道具など、今の俺にはない物ばかりなので意図しない形で転生されたからにはこれぐらいの道具の融通はしてもらいたい。
「わかりました。今の担当者にお伝えします。他に何かありますか?」
「そうだな………この世界におけるポケモントレーナーって、世界各国でどのぐらいの人数なの?」
「転生した貴方以外で100人です。ランダムで選出されましたから、偏りがあるかもしれません」
「それだけ、分かればいい。後は道具の事をよろしく頼む」
「わかりました。迅速にご用意致します」
そう言って羽の生えた女性、天使さんが消えたので深くため息を吐いてからソファに腰掛けた。
何しろ、俺以外にも世界各国にポケモントレーナーがいて互いにコンタクトが取れる様になっているとなれば、少し出遅れた感じがするのだが彼らと同じ装備が支給されればこのぐらいの出遅れは取り戻せる。
その為、他のトレーナーとコンタクトを取った際の行動についてゲンガー達と戯れながら考える事にした。