命の危険を感じてブラック企業を退職したのに…… 作:オリジーム
※半日以上前※
「────私だ」
「……忌み嫌うはずの私へこうやって連絡を寄越すとはどう言う風の吹き回しだシルバーアッシュ……いや、お前の事だ。こうやって突然、私へ連絡すると言う事はただ私の声が聞きたかったなどとアイツのようにふざけた理由なはずが無い。さっさと要件を言え、でなければ切る」
「ッフ、相変わらず辛辣だなドクター……まぁいい。それで今回の内容だが実は、カラド貿易のCEOではなく私個人としての急を要する依頼だ」
「……こちらはお前の知っての通り単なる製薬会社だ。多数が思いき、考えるような企業資本を意味なく掲げ、金の為に命を無意味に刈り取るような集団である傭兵ような無法者達とは違う。日夜研究を重ね、人の命を刈り取るのではなく人の命を延命し、成長させる薬剤を探し出しているのだ。だからこそ私達にそんな暇は無い、完全にお門違いだ。悪いが他をあた────」
「依頼内容はレインの救出だ」
「────訂正しよう、どうやらこの案件は私達が適任のようだ。詳しく話せ」
「現在、我が国の中枢たる神殿の奥深くにて我が友は囚われの身となっている」
「国内ならば自分で救い出せば良い……っと言いたい所だが、今回の件は別でお前も手が出せない相手と見た。毒を持つ生き物が自身の毒で死なないように外的要因では無く、内部犯の犯行では相手次第では手が出せない案件なんだろう。それで主犯は?」
「嘆かわしい事に巫女様だ。直接的な犯行にはマッターホルンも関与している」
「ふむ。やはり、か。バクテリアのように繁殖した病原菌が体内に燻り、今か今かと発病しかかっていたのは対面時に察し、知りはしていたが等々それが芽吹き、直接的な実力行使に移ったのか……対象は無傷か?」
「あぁお前の時とは違い。まだ、手は出していないようだ。だが、巫女様が抱くあの異様なまでの執着心を考えるに時間の問題とも取れる」
「わかった。今こちらがすぐに出せる戦力はA6、あと密偵だ。しかしそれ以上は無理難しい。古来より注がれる酒に限りがあるよに我が社に人的余力は皆無だ。それに加え今回の依頼は内容的に即座な対応に迫られる。その為、現在他所で活動しているオペレーターを呼び戻す時間もない。……最悪私の基準に合致する救出メンバー数が満たなかった場合、外部にも話を回すが良いか?」
「あぁ……だが、出来るだけ手練れで頼む」
「了解した……奴とも繋がりのあったペンギン辺りが適任だろう。今思えば何故奴らが大物のかかった釣り糸を引き上げている途中で切るような真似をしたのか私には理解出来ないがな」
「細かい内容は使者を使わせ追って伝える。合流ポイントは過去に使用したあの場所だ」
「了解した」
あるCEOとある名医との会話。
「改めて数年ぶりの再会ですねアルペジオ、お変わりありませんでしたか?」
「‥‥」
あ、アレ? おっかしいな。エンヤってこんな妙な雰囲気漂わせてたっけ?
エンヤの言葉がヤケに響き渡る謎の空気感。誰もがその空気に飲まれ、一言も発する事の出来ない。まるでイェラグの国土内に存在する氷山の如く凍り付いたような空気の中、俺でも出来ない事を成し遂げたのはCEO……つまりはメンタル鋼なエンシオディスが口を開いた。
「エンヤ、すまないがアルペジオは眠りから覚めたばかりなんだ。
おう、言ったれ我らがC・E・O!!! 他の貴族をバッタバッタと倒してきたその手腕を活かして自身の妹も倒────
「彼の準備が整い次第────」
「特に問題はありませんシルバーアッシュ卿。彼と私との仲なのです、そう気を使う必要ないでしょう? それよりもカランド貿易のCEOである卿には外せない会議がコレからあるはずです。このような場所でコーヒーを楽しむほどのいとまはないのでは?」
「──―ッ!」
────せないかぁーい!!?
思わず口に付けてたコーヒーカップを置いて心の中でそう突っ込むけど、この子怖っわ。らしくも無く突然早口になって。何言ってるか分かんないぜ。辛うじて聞き取れる部分の情報を合わせて判断するに早くこの部屋から出てけって言ってるのは分かったけど……エンヤって昔からこんな酷い事言う子だったっけ? 昔はエンシオの後をお兄様お兄様と付いて行ってたイメージだけど……あ、いやそういえば昔そんな事あったわ。俺がエンシオの屋敷にただ飯もらいに入り浸ってた頃、彼が間違って彼女のフルーツサンドを食べた時に言ってたな。アレか、また間違って彼女の物食っちまったのかぁ……バッカだなぁ。
「お、お姉ちゃん。そんな風にお兄ちゃんに意地悪しなくても……」
そのお次は彼女の妹であるエンシア。恐る恐るって感じだけどやんわりとエンシオへと放った言葉を咎める彼女だけど、飯の恨みは割と深いモノ。エンヤの放つ鋭い眼光は変わらず、明らかに激おこモードだ。食べ物の恨みって結構酷いからなぁ。分かるぞー、俺もどこぞのサメに特製イカ飯を全部食われた時は海の中に引きずり込んでやろうと何度考えたか……あ、思い出したら腹立って来た。
「……エンシア、貴方はまず病人でしょう? 病人は病人らしく大人しくベッドで寝ていなさい」
え、マジ!? エンシアって病人だったの???
俺は驚きのあまり言葉を失う。どう見てもエンシアちゃんは元気いっぱいな健康体だ。けど、そんな彼女の体を蝕む病魔とは……人生とはままならないモノだ。確かに彼女の言う通りベッドに放り込んどかなきゃいけないかも、もし悪化しちまったら俺ってば立ち直れねぇ。
思わずエンシアちゃんの方へ目を向けると彼女も俺へと向けており、その顔に浮かぶ表情にはハッキリと悲し気の感情が浮かび目には涙が……いや、そんな涙目で見られても俺には何にも出来ねぇんだけど。アレか? ベッドに戻りたくないからそんな顔してんでしょう、それは流石に駄目だぜ。もしその結果、悪化でもしたらこっちが泣くわ。そんな俺の思いは他所に結果的に言えば二人はこの部屋を出て行く事となる。
「やっと二人っきりになれましたねアルペジオ。ようやく二人っきりに……」
「……」
そして俺とエンシアちゃんと二人っきりに……ねぇ久しぶりなのは良い事だけど、この鎖を外してくれませんですかね?
なぁーんて事はさも言えず、この凍った空気に俺はビビるばかり。や、やべぇ、何故かはわからないが腕の震えが止まらねぇぜ。思わず空を見てしまうがそこに見えるのは晴天の空……ではなく、吹雪舞い荒れる空しか見えねぇ。アハハ、イェラグの天候は変わりやすいって言うけど激変し過ぎでしょ。あ、でもコーヒーは美味い。
「久しぶりの再会だと言うのにだんまりですかアルペジオ」
「……すまん」
「謝らないでください。私にはわかってます、黙っていた理由はそのコーヒーを味わっていたからなのでしょう?」
「うぃ」
エンシオの淹れたコーヒーは美味いからな、仕方ないね。どんな天候であろうとこの一杯は最高だぜ。……ってかエンシオディスとかで思い出したけどアイツってば相当苦労したんだろうなぁ。この極寒地では小麦などは容易に用意出来たけど果実系がてんで育たないで甘味不足。今でこそ甘いリンゴが名産だけど当時のリンゴは酸っぱくて不味く、食えたものじゃなかったんだぜ。
「リンゴ……」
だからこそ、それでもこの地で美味しい甘味を作る為に俺が外でレシピを手に入れたんだよなぁ。まぁ、速攻シルバーアッシュ兄弟には見つかったが。
それで何やかんやあって当時の俺は料理未経験のエンヤちゃんと一緒に作ってたっけなぁ……アップルパイを。
この極寒の厳しい大地であるイェラグ国内で取れたリンゴは絶品。熟せば甘く、デザート作りの材料でもそのままでも頬が蕩けるほど美味い物だからな……あぁ懐かしい。あのリンゴって高級品でもあるから最近ご無沙汰なんだよなぁ。最近まではエクシア特製のアップルパイでリンゴ成分補給してたけど最近じゃ足りなくなってんだよな……昔はエンヤが失敗作を多く量産するおかげで嫌となるほど食べたってのに、不思議だよな。まぁその影響で俺の大好物がアップルパイになったのは笑えたけどな。
「ふふふ……」
ありゃ、声に出てた? そんな疑問に答えるかの如くお上品に笑っているエンヤ。だけど、その笑いは止まる事はない。それどころか笑う彼女の様子がすっごく変だ。な、何だ何だ!? 彼女らしくない長い笑い声が続き、その声はどんどんとダミー声が混ざったようにも聞こえて来る……こんなんじゃまるで別人だぜ。
「バレた。流石、カリュウドサン」
「ッな!?」
口調が変化し突然帽子を剥ぐかの如く自身の皮を脱いだエンヤ。そして現れるはエンヤの髪質とは違う、シルバーの如き輝く長髪が目に入る。そして彼女が何処からか懐から取り出すは真っ赤なコート。そしてそれを身に纏った彼女のその顔に俺はすっごく見覚えがあった。
「お、赤ずきんちゃんじゃん。おひさぁー」
「久しぶり、カリュウドサン。レッド、寂しかった」
わふーっと向い側に座っていたはずの彼女が視界から消えると、気付いたら俺の上へ覆い被さるかのように両手を背へ回し、抱き着いて来る赤ずきんちゃんことレッド。彼女とは昔色々とあったけど今はどうでもいい。今は彼女との再会を祝おう。俺はそれに答えるように抱き返した結果、彼女が俺を押し倒す結果となり席から転げ落ちて床へ倒れる事に。そして胸に顔を擦り付けて来る彼女だけど、俺の考えはそんな事に構ってるほど暇では無かった。だって目の前でブンブンと振り回すかの如く高速で揺れる魅惑のメトロノームがあるのだから……か、可愛い。
「落ち着いたか赤ずきんちゃん。いきなり熱烈なハグをかまして来るなんて俺ちゃんビックリしちまったぜ」
「ごめん。レッド、我慢できなかった」
彼女が落ち着いたのは多分それから数分後。ゆっくりと押し倒した形から体を起こし馬乗り状態になる彼女だけど……俺はそれどころじゃね。だって危うく気絶しかけてたんだからな! 危ねぇ危ねぇ、モフモフに体全体を包まれてた結果意識飛んでた。幸い彼女にはバレてないみたいだけどもう少しモフモフが目の前にあったら理性の壁を越え、ループスを襲うループスになるところだったぜ。
「それは別にいいけど……そういえば赤ずきんちゃん」
「何?」
「どうしてこんな所に?」
俺の疑問を聞くや否やスタっと立ち上がると俺へと手を差し伸べ、俺が起きるのを手伝ってくれる。あ、コレはご丁寧にどうも。で、俺の場所へと来た理由は?
「レッド、カリュウドサンを、逃がす」
「逃がす?」
バッキンっと甲高い金属を断つ音が響くといつの間にか俺に繋がれていた鎖は砕けていた……え、何で砕けてんの??? 俺は思わず目を丸くしてしまうが良く見てみると砕けた鎖がある位置には何だか見覚えのある黒い光沢のナイフが……あ、コレって昔俺が使って彼女に譲渡した奴じゃん、懐かしい。
「コレは良い物……そして大事なモノ」
床に刺さったナイフを回収した彼女は大事そうにその真っ赤なコートの内側にあるフォルダーへと仕舞う。赤ずきんちゃんに渡して、俺が彼女達の元から離れて結構時間が経ってるってのに……大事に使ってくれてんだな、何だか嬉しいぜ。
「そっか」
へへっと鼻の下を擦っていると赤ずきんちゃんは俺の開いた手を取る。指を絡ませるかのように掴んだその手はまるで恋人繋ぎのよう……赤ずきんちゃん、このつなぎ方をする癖、まだ治ってなかったのか。
「さぁカリュウドサン、行こう」
「だな、逃げるか」
そして俺と赤ずきんちゃんは走り出す。俺達が目指すはこの館の出口だぜ!
「何だ貴様ら侵入者か!」
────見つかったぜ!
待った?
※誰かさんに対する好感度表
・平均値
交流の無い一般龍門市民:0%
交流のある友人龍門市民:50%
交流のある親しい龍門市民:100%
恋愛関係にある龍門市民:150%
・交流のある人物達一覧
テキサス:?39%
エクシア:?82%
クロワッサン:??8%
ソラ:-999%
モスティマ:?90%
W:?00%
シャチ:???%
修道女:???%
マッターホルン:100%
シルバーアッシュ:143%
クリフハート:???%
プラマ二クス:?94%
謎の名医:???
レッド:??1%←new!
???:数えるのもバカらしいほど高い。
???:あんたら血が繋がってるだけに男の好みは同じですかぁ????
元カノ:測定不能
クエスチョンマークを取って欲しいキャラ
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モスティマ
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プラマ二クス