ある日鬼滅の単行本を読みながら寝ていると
鬼滅世界に来てしまった。しかも五十里(いかり)茂(しげる)という少年を依り代に。という事でもとに世界に帰る為奮闘する。らしい
鬼滅本編とは少し違う世界なのでIFらしいよ
第零話 邯鄲の夢
七草なずな 唐土の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に ストトントン
鬼滅の刃を見て思ったことがある。もし俺がその登場人物になったらどう物語に作用するのだろう?
多分路傍の石なみに物語に関わらない端役だろう。呼吸だって使えないし鬼に食われる役どころが関の山だ
誰だった主役になりたいと思う
誰だって物語で活躍したいと思う
でも何でかな。この殺伐とした世界で生きたいとはとても思えない。
だから漫画に読みふけるだけで十分だ。この世界の主人公になったという妄想と気分だけで十分楽しい
そんな理解をただ共有する。俺に主役は無理だろうな。そんなことをおかしく思いながらごろりと寝転んで漫画を読んでいると
―突如、自室から光が消える。視界が、眩む。世界が、暗転する。万物が、流転する。
―漂白の海に投げ込まれどぼりと沈んでゆく。ぼこぼこと泡を立てて底へ底へただ落ちていく
―上下がわからない。左右がわからない。上っているのか下りているのかわからない
何が起こった?奇妙な酩酊に酔ったように気分が悪く三半規管がシェイクされていく
解けていく 融けていく 溶けていく 鎔けていく 蕩けてゆく意識は白い海と同化して
固体が液体に、液体が線に、線が絡み合いあやとりに。そして紡がれた糸は俺となる
悪い夢だ。どうやら漫画を読みながら眠ってしまったらしい。わかっている。そんなことはないと
だがそう思わなければ我を失ってしまいそうな、神の摂理を冒とくしている悪夢がぐるぐると渦を巻いている
俺が二又に分かれたウワバミの舌の先に。ちろちろと舌を出し入れし、とぐろを巻きながら鎌首をもたげて世界を飲み込み嚥下した
何なんだこれは…意味が分からない。言葉にしても理解できない。本当に悪夢だ
堕ちていく 落ちていく 奈落の底へ落ちていく 井戸の底には水はなくただ暗闇が充満している
そして嬰児が産み落とされる音と共に。光と共に俺の意識は覚醒した
―古い母屋。木床のにおい。知らない天井。柱と梁。・・・どこだろうここは…?
両手を見る。知らない手だ。誰の手か分からないがどうやら夢の主の手だと予想する
上体を起こす。ぱちぱちと囲炉裏の中の材木が焼けた音がする。木の焼けるにおい。
辺りを見回す。娯楽を楽しむものはなく最低限の生活水準のものしかおいていない。
エアコンもパソコンもゲームもテレビもない。枕は歴史の教科書に載っていた箱枕で綿の掛布団と敷布団で俺は寝ていた。まるで昭和以前の日本の家のようだ
ああ、そうかつまり…俺は鬼滅を見て寝ていたから。ここは大正の時代の家なのだ
「はえー鬼滅の夢か。初めて見た…」
立ち上がろうとすると床がきしみを上げる。古風な木造建築なので木材が劣化しているようだ。その床には絨毯のようなものは一切敷いていない。布団もそこまで上質ではないので固い床を緩和せず背中が痛い
「夢でも痛覚はあるんだな」
といってもしょせん夢だ。すぐに覚めるだろう。なら覚める前に少し楽しむのも一興だろう
軽く背を伸ばし深呼吸をする。さて、何をしようか
―鬼滅の世界に来たのならまずは…呼吸だ!
「すう~~~~~~~~~~~~はぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ…」
「全集中!水の呼吸 伍ノ型 干天の慈雨!!・・・なんてね」
いくら夢でもフィクションの再現などできっこない。あれが再現出来たら人を辞めてる
大正時代の娯楽は知らないが現代っ子の俺には合わないだろう。なので本当にやることがないのでまたのんべんだらりと横になって瞼を閉じる
夢と言えど、鬼滅の世界はおっかない。藪蛇はごめんだ。痛みがあるならなおさら
と、眠りにつこうとした瞬間
「くォらぁ!!!!おきんかい五十里茂ゥ!!!修行初日から寝坊とは何事か!!!!!」
「ふぁ!???」
突然引き戸を開けて二十歳そこそこの女性が声高に叫んできた
ていうか五十里茂って誰よ!?あ!この夢の主人公か!つまり俺だ
でも俺はこの人のことを知らない。夢の補正がかかっていないのかわからないが
「あ。お…おはようございますッ!!今日もよいお日ごろで」
「なーに言ってんだい!飯の時間だよ!そして食ったら呼吸の訓練だ!早く支度しな!!」
「イエスマム!!!」
「?い、いえ?…何だいその言葉…?」
「わかりました!着替えるんでちょっと出てってもらえますか!!」
「良い気合じゃないか!先に食べてるよ!!」
そう言って彼女は引き戸を占めとたとたと食卓に向かったようだ
なんというか。気風のいいというかアネゴ肌っつーか男前やな…こんなキャラいたっけ?というか五十里茂なんてキャラ初めて聞いたぞオイ
「まあ、夢だからな…とりあえず服を着替えよ」
寝間着を脱ぎ正装に着替える。長袴に羽織…洋服は一般普及されてないのかもな。とりあえず下着があるのは幸運だった。ふんどしだけど
そんなくだらないことをつぶやきながら着替え終わり楊枝で歯を磨き右往左往しながらも廊下であの人が待つ場所へ向かった
適当に戸を開けてみるとそこにあの女性がいた。
「よう来たかい。なかなか図太い根性してんねえ。今日から鬼殺隊入隊の為の鍛錬があるってのにさ」
「あーえー。そうですね…」
言葉に困りながらとりあえずいただきますの会釈をし食事を進める
食事をしながらしゃべるのはマナー違反だが聞いてみたいことがあった
「あの…」
「ん?何だい?」
「ここはどこで俺は誰で貴女はどなたでしょうか?」
「・・・ふざけてんのかい?」
「いえ、いたってまじめです。気が付いたらこの家で寝ていたんです」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
沈黙が続く。怖い。なんというかこの人威圧感がすごい…すると閉じていた口を開いた時この女の人はひどく悲しそうな瞳をしていた
「・・・どうやら、家族を殺された衝撃が強かったんだね。軽い伸身耗弱を起こしている。町医に連れて行った方がよかっただろうな…」
「!??」
家族…殺された?どうやらこの少年五十里茂君はハードなバックボーンをお持ちのようだ
まあそれは置いといて…
「何があったんです?」
変な質問をするとこじれそうだからまずは現在の状況を知っておきたい。そして女性は神妙な面持ちで語る
「覚えていないのかい…?アンタは鬼に家族を殺されアタシの許まで逃げてきたんだよ。そして鬼を斃すために継子にしてくれって頼み込んだのを」
「------------」
現実じゃなくてよかった。だってそうだ。もしこれが現実なら俺は五十里君の人生を踏みにじっていることになる。そんなの耐えきれるはずはない。どこの誰だか知らない俺に成り代わる現実何てあってはならない。だからこれは夢なんだと自分を落ち着かせる。深呼吸をして落ち着かせる。呼吸って大事なんだな。これだけである程度感情が抑えられた気がする
「まあ、覚えてないほうが幸せなのかもね。あんな…、ごめん」
「いえ、良いんですよ。教えてくださってありがとうございます」
不快な記憶を思い起こさせそうになりバツが悪い表情の彼女にお礼を言う。それを言うのは俺ではなく五十里茂君だから
「それと…貴女の名前なんですが…」
「それも忘れちまったのかい?あたしは阿武木 由真。アンタは自分の名前を憶えているかい?」
「・・・五十里、茂。ですよね」
「よしその通り。じゃ、辛気臭い話はナシにしてさっさと食べな。次はキツーイ呼吸訓練だからね」
「はい師匠!!」
聞くところによると阿武木さんは育手らしく草の呼吸の使い手という話だ
草の呼吸。それは幾多の呼吸の中で『最も弱い』呼吸とされている。草の呼吸で柱になった者は一人もいないほど使い手も少なく強くはないと聞く。
「じゃあ、ほかの呼吸になぜ鞍替えしなかったんです?」
「それは草の呼吸の真意は強さじゃないからだ」
「???強くなきゃ意味ないじゃないですか?」
当たり前だ強い鬼を倒すには強い力が必至だ。なのになぜこの呼吸を使うのか。そしてなぜ失伝していないのか疑問だったが
「確かにある程度強くなければ鬼の頸は切れない。頸を切り落とす力はあるがこの呼吸は雑草のような『しぶとさ』が要なのさ」
「しぶとさ…耐久力ですか?」
「そう、そしてそれだけじゃない。草の呼吸は治癒能力にもたけている。他の呼吸に比べ回復能力が極めて高い。強い鬼を斃す力があっても体力や重傷を負っていたら斃すも斃せない。それにどんな鬼も旭には弱い。夜明けまで戦い続ければあとはお天道様が滅してくれる。これほど鬼に対して厭な戦術はないだろう」
・・・得心がいった。筋力自体は蟲の呼吸や蛇の呼吸よりちょっと強い程度だが問題はそこではなく日が昇るまで耐え忍び戦うのが草の呼吸の強みなのか
「確かに…生きていればいつかは倒せます。日光が弱点ならなおさらですね。まさに雑草のように力強い呼吸です」
「理解が早くて助かるよ。さてその呼吸だが…実は適性があってね。昨日調べたけどアンタは草の呼吸の適正者になりうる素養がある。後は音を上げずに修行を完遂できるかだけど」
・・・正直、自信がない。運動音痴の俺が人並外れた呼吸使いになれというのは不可能だ。だが幸い今の俺は本当の俺ではない。そしてこれも夢なのだから何とでもなるだろう
そんな楽観的なことを考えていた時期が俺にもありました
まずは走り込み二十週。体づくりの為らしく持久力を強みにしている草の呼吸にとって必要不可欠の試練。
しぬる…俺本体じゃなくて五十里くんだからできたことだ。本来の俺なら半周もできなかった。
なぜなら山の頂上まで休みなく山頂まで走り抜けた後同じく走って下山するという普通なら死んでもおかしくないことを平然と師匠は課してくる。鬼だ。そしてその後
師匠は言った。草になれと。意味不明である。そして俺は土に埋められタケノコ状態。
落とし穴に突き落とされ即座に超人じみた速度で土を盛られ暗闇と土のにおいと酸欠状態というやばい状況だ
し、死ぬるとしゃべる酸素すら惜しい状況。脱出しようにも粘性の高い土が絡みついて思うように動けない
そして拵えている刀が引っ掛かり地上に出る邪魔をしている。想像以上に重く時代劇のように振るえるわけがない。邪魔だよこの刀…!!
「おーい!早く出てこないと危ないぞぉー」
(どうする…?)
土に埋められ身動きどころか呼吸もままならない状況。打開するには…呼吸を使うしかない
だが下手に使えば無益に酸素を減らすだけ。窒息を早める悪手にしかならない。
このまままごまごしていても同じこと。一か八か。やらなきゃここで死ぬだけだ
夢に何マジになってんだろ…本当にこれは夢なのか?本当に俺は死んでしまうのか
脳裏に色々走馬灯のように記憶が流れていく。酸欠であえぐ呼気を潜め目を閉じ意識を内側に収束させる
感じろ。信じろ。条件はそろっているはず。じゃなきゃこんな無茶は師匠が強いたりしない。
神経の筋を体中に伸ばし血管と同調、脈拍を高め赤血球に乗っている酸素を総身に加速させる
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ……」
吸い込み吐き出し。無駄な呼吸を殺す。今なら全身に何が起こっているか分かるような感覚と共に力が爆発し
累積していた土を薙ぎ払い土の蓋を突破した
「はあ…はあ…ぜえ…はあ…」
息も絶え絶え。一瞬の呼吸に総てを掛けたので無理な荷重が全身を襲う。ふらつき倒れそうな体を師匠は受け止め頭をなでる
「よくやったね…これを突破しないと…鬼は斃せない」
優しい抱擁。少し疲れが取れた気がした。でもこれはまだ序の口
次の訓練は素振り二万回というハードスケジュール。腕がちぎれるかと思った
その次は筋肉痛だった体を休め超回復を図る午睡
そして壱から漆の型の基礎の練習。
壱ノ型
弐ノ型
参ノ型
肆ノ型
伍ノ型
陸ノ型
漆ノ型
見てわかるようにこれらは七草がゆの食材の名だ
それだけ聞くとダサい名前に思えるが生命力に特化した草の呼吸にとってこれほどぴったりな名はない
七草がゆは長寿祈願の膳ゆえに
壱の型
弐ノ型
草の呼吸に分不相応な高度な剣術の為悪戦苦闘した。この型は体得するには至らずこれから頑張っていこうと思う
参ノ型
肆ノ型
伍ノ型
陸ノ型
これは危機的状況以外に使用するなと念を押された。なのであまり訓練できなかったから会得したかはわからない
そして最後の型。漆ノ型
なぜと問い詰めるもこの型は家族への思いに比例するといったもの。すでに家族のいない俺には会得不可能と断じられた。一通りの型は習ったがどうにも中途半端だ
「師匠。七つ全部の型が完全習得できてないのですが大丈夫でしょうか?」
「問題ない。草の呼吸は型ではなく忍耐と持続が重要だ並外れた回復と生命力で戦えば鬼は撤退。もしくはほかの鬼殺隊が退治してくれるだろう。あくまでこの呼吸の使い手は守りに徹することが肝要なんだ」
「なるほど。では師匠。後三つの型を教えてください」
「血気盛んでいいな。では教えよう。と言いたいが。・・・実は玖と拾の型は存在しない」
「え!?」
「もともと型に寄らない剣術だからな。未完ではあるがこれでかつての草の呼吸使いは幾度も戦ってきた。そして玖と拾は…お前が作るんだ」
・・・弱ったな。剣術は習ったものは何とかできるが一から作れといわれてもできっこない。ならせめて
「捌の型はいったいどういうものなんですか?」
すると師匠は渋ったような表情を浮かべ
「・・・
「
「壱と漆の型を同時に放つ技ゆえに膨大な体力を持たなければ使用できない絶技だ
「鬼の再生能力を妨げる…?そんな方法があるんですか!」
「ああ、それは草の呼吸による回復能力を鬼にぶつけるんだ」
「それじゃ、相手を回復させるだけじゃないですか…!」
「ところが、巧みな回復能力を持つ鬼にとってそれは仇になるんだ。回復に回復、そうしたら細胞が耐え切れなくなる・・・つまり、わかるな…」
「・・・!回復過多による細胞の壊死…!」
「ご名答。急速な回復が追い付けず細胞自身が負荷に耐えられない。だから非力な草の呼吸でも十分戦えるのさ」
なるほど…それなら力が弱くても十分頸が切れるし再生を妨害できる
「ならなおさら、型を身に着けた方が」
「急造では五十里の身が持たないだろう。だから、これから山中にて一年、あんたには山籠もりをしてもらう」
「・・・え?」
「なんだいその間の抜けた声は?一朝一夕でたやすく身に付くわけないだろう?言ったはずだ。過酷な修行になると。鬼を殺すならこれくらいはこなさなければ殺されるだけだ」
冷たく、師匠は告げた。そうだ、これをこなせず何が鬼殺だ。俺は生き残るために戦う。だからここで死を賭さなくてどうするというんだ
覚悟を決めろ。これをクリアしなければ。俺に未来はない。師匠のお世話になるわけにもいかないし何よりも…これが夢じゃないともうわかってしまったから。何か原因があるはずだ。それを絶たねば俺は元の世界に帰れない。
意を決する。俺は元の世界に帰りたい・・・だから
「・・・行きます!俺は鬼殺隊に入りたい!!」
そうしなければ答えが見つからない気がするから。五十里君の無念も晴らすためにも
「良い返事だ。といっても今すぐ行けとは言わない。もう少し時間をやる。その間は休んでおきな」
修行に入ってから半年がたつ。おかげで貧弱な体も鍛えられ呼吸のおかげか腕力も脚力も常人を超えている
お言葉に甘える。正直ぶっ続けで訓練していたので疲労も困憊だ。筋肉痛はもうなくなっているが蓄積された疲弊までは治せない。師匠の家に戻るや否や地面に倒れ込む。
「おいおい、休むなら部屋にしてくれよ。木床じゃ体が痛むぞ」
「いいんです。もう動けないんで」
散々鍛えられたおかげかその程度何も感じなくなっていた。ただ休みたい。睡魔はないが体を休めたいと体が訴えている。こればっかりは呼吸でなんとかならないので困りものだ。
すると俺の横で師匠も同じく横たえ天井を仰いでいた。そして
「・・・なあ、五十里。アンタ、何か隠してないかい?」
「・・・・・・・・・・・」
「無理に応えなくていい。ただ心因的なものの記憶障害じゃないのは見ればわかる。時折話す異国語だって不自然だ。あんな教養ここいらで身に付くはずがない。」
「・・・・・それは」
どうやら師匠には筒抜けのようだ。さすがに五十里君の体が挿げ替えられたなんて突飛なことは予想できないと思うが。言っても信じてはくれるだろう。だが
怖い。五十里君の人生を奪ったことを伝えるのを、言葉にするのがなにより怖かった
伝えるべきかと横を向くとすうすうと呼吸音が聞こえる。寝息を立てて先に師匠が眠ってしまったようだ。部屋まで運んだほうが良いかと思ったが。俺も疲れていたのでそのまま目を閉じた。
いつの間にか、家族は殺されていた
退屈で外に遊びに行っている間に何かに殺された
僕≪わたし≫は悲嘆にくれた。なぜ僕≪わたし≫は生きているのか?
ひ熊でさえこんな残酷な殺しはしない。見た瞬間吐き気をもよおすほどの血の臭気
殺した相手は多分遊び半分だったのだろう。そう見て取れるほどの玩弄された死体は見るに堪えない
その場にいたら僕≪わたし≫も一緒に殺されていた。一緒に死んでいた方が幸せという感情よりもこんな所業を成したやつへの憎悪が噴出する
ふつふつと煮えたぎる嫌悪感。ただ見つけ次第そいつをなぶり殺してやる…!!
見下ろす僕と見上げる私。視界に映るのは同じく家族だったもの
ひしゃげた四肢に壁に縫い付けられたはらわた。捕食された痕にぽっかりと穴が開き、食い残しを使って人形遊びをして捨てた後が脳裏によぎる。それを表すかのようにくたびれみっともない屍(かぞく)が投げ捨てられたように散乱していた。この記憶は決して消えることはないだろう。そいつを殺すその時まで
二人の、夢を見た。取り残された二人の夢を
一人はこの体の持ち主の五十里茂君。家族の遺体を見下ろし愕然としていた
一人は少女。遺体の上に覆いかぶさっていたことで難を逃れた女の子
一人は人間、一人は鬼。だが芽生える感情は同じく一つ
本当に、この二人がなにをしたというんだ…
エタ不可避