ヒカセンinダンまち:ファイナルファンタジーだんじょんず 作:TAKUMIN_T
2分割になったよ。文章量増えたよ。
これぐらい書かないと満足できなくなってるよ。本性表し出したよ。
(1話3万字前科あり
住宅街にある細い路地というのは、住宅の隙間という隙間を蟻の巣らしくどこまでも広がっていく人口の迷路。住民は仕事に出掛けているのが大半か、とても静かだ。そんな場所の日陰となっている薄暗い路地というのは、恐怖と好奇心が子供心としてひょっこり現れる。
遠くから聞こえてくる。足音が……てくてくてくてく――と、二人分。楽しそうな話し声もする。
「助かりました。僕、まだオラリオに来たばっかりで、このへんはまだ知らなかったんです」
「ふふっ、そうじゃないかって思ったよ。この辺りは用事が出来ないと来ないことも多いからね」
その
実際のところは、金髪ショタのほうが。
「君、名前は?」
連れ添っている。まさかの真逆だ。
「ベル・クラネルです。最近冒険者になりました」
「あぁ〜、冒険者になりたてだったんだね。僕はフィン・ディムナ。ロキ・ファミリアの団長をしてる」
「へ?」
足音はちょうど一人分減り、伴っていた気配もすすすーと、歩いたぶん離れていく。あれ?とハテナを浮かべて振り返る。
――今この人はなんと言った? ロキ・ファミリアの団長と言った。なぁんだ、ファミリアの団長かー。それもロキ・ファミリアかー。
へ?
あとのベルはお察しください、である。
フィンは消えた気配に振り返る。思考停止中な表情のベルに疑問を浮かべながらも「あはは……」と苦笑い。
「どうしたんだい?」
「――――」
「……えっと」
「はっ――ろ、ろろろ、ロキ・ファミリアの団長さん――なんですか――⁉︎」
冒険者となったからには、探索系ファミリアの二台巨頭の片方【ロキ・ファミリア】の名を耳にしないわけがない。しかもその団長と名乗っている人物が、いままさに目の前にいる。大事件だ。
フィンはなんだそのことかと言わんばかりに微笑む。
「そうだよ。その反応を見るからに、もしかして僕のことはあまり知らなかったかな?」
「え? あ、す、すいません」
「いいよ謝らなくて。同胞と冒険者以外で興味がなかったらさすがに知られていないだろうからね。これでも、もう42歳だよ?」
「お、思ったより歳上……」
「
「えっと――知識にはあるんですけど、この街で初めて見ました……」
「あ〜、なるほどねぇ」と納得したようにうなずく。そうなると、この子は相当田舎なところから出てきたのかもしれない。
フィンがファミリア以外で、ここまで初々しい冒険者を見かけたのは久しぶりだ。ベルには失礼ではあるが、冒険者にはとても見えない。しかし、その様子がとても微笑ましい。
「ふふっ」
「でぃ、ディムナさん?」
「そんなに堅苦しくしなくていいよ。フィンでいいから」
「は、はい、フィン……さん」
「……まだ固いなぁ」
自分の立場もあるし仕方ないかなぁ、と苦々しく笑った。
「ん? ロキ・ファミリアにも来たのかい?」
「あ、はい。門番の人に門前払いされちゃったんですけどね……」
「え?」
ロキ・ファミリアの団長として、その話は初耳だ。とても聞き流すことのできない言葉でもあった。
「……入団したい人が来れば、誰が来ても通すように言っていたんだけどなぁ」
「そ、そうだったんですか……?」
ファミリア外の人が内部の事情を知っている訳もない。疑問げにするベルというのも当然としか言いようがない。
「すまない。僕の方から謝らせてもらうよ」
「いえいえ! フィンさんが謝る必要は――」
「いや、ロキ・ファミリアの団長としてこの不手際はしっかりと謝らなくちゃいけないんだ。だからベル君には素直に謝罪を受け取ってほしいんだ」
「は、はい……?」
「うん、それくらい気軽に受け取ってほしい。それでそのあと、ファミリアには入れたのかい?」
「はい。全部のファミリアに行ったんですけど、入れてもらえなくて……」
「全部巡ったんだね……でも、今は冒険者になれているんでしょ? どうなったんだい?」
「ファミリアを作ろうとしてる神様が僕のことを誘ってくれたんですよ。それで、僕が初めての眷属だったんで……」
「あー、新興ファミリアなんだね。じゃあ僕と同じ団長って立場になるのかな」
「え⁉︎ 団長、ですか⁉︎ 僕が⁉︎」
「まだ一人だから団長とかそういうのはあまり関係ないだろうけどね。気にするのは人が増えてきてからでいいさ。でも、無事にファミリアに入れているのはよかったよ」
「あ、ありがとうございます」
ベテラン冒険者からこう言われるのは、なんだか照れ臭い気持ちになる。
「ところで」と前置きして、フィンは本題を尋ねる。
「ベル君はここで何をしていたんだい?」
「えっと……神様からここらへんで音楽を演奏している人がいるって聞いて、さっそく今日来てみたんです。けど……迷子になっちゃって」
「そっか。だからこんな場所でブラついていたんだね」
「もしかして……フィンさんも探しているんですか?」
「うん、そうだよ。昨日メンバーからこの話を聞いたから、今日早速ここに来たんだよ。――偶然にも、探しているのは一緒なんだねぇ」
「そうですねー」
「せっかくだから、ベル君についていこうかな」
「え?」
一体なにがどうして、ついていこうかなっ、と思ったのか。しかもロキ・ファミリアの団長さんに。
口を開いたら予想外とか、どうしてですかっとかしか言えそうになさそうに、またもやオロオロするベルの様子。フィンはなだめているかのように「当然じゃないかな」と軽く表情を緩める。
「僕達が探しているのは、この地区で演奏している吟遊詩人。君も一緒だよね?」
「えと、吟遊詩人かどうかは、あんまりわからないですけど……まあ、そうですね」
「吟遊詩人の成否はおいておくとして。ベル君は街に来たばかりでことあまり知らないんだよね? だったら案内役が必要じゃないかなって思ったんだ。ある程度だけど僕でも案内ぐらいはできるからさ」
「え、フィンさんが案内してくれるんですか⁉︎」
「うん。門前払いのお詫びも兼ねてね。いいかな?」
「いえいえ! こっちからお願いしたいところですよっ!」
「うん、じゃあ決まりだね」
じゃあよろしく、ベル君とフィンは右手を差し出した。
「よろしくお願いします、フィンさん!」
ベルも同じく右手を差し出して、そのまま握手を交わした。
▼
道に立ち並ぶ店舗の店先には、その場ですぐご購入へと移れる〈店の看板〉としての様々な品が棚に陳列されている。道すがら通りがかった人が
ここへ初めてきたベルは、その全てが目新しいものばかり。ただ知らない場所に興味津々、なんてのもあるかもしれないが、棚から棚へ、そのまた棚へと目移りさせる。
「ここって色んなモノがあるんですねぇ……」
「個人でやっている人がここら辺は多いんだよ。メインストリートの店に卸している人もいるらしいから、知る人ぞ知る人が多くいる地区みたいだよ」
「もしかしたら掘り出し物もあったりします?」
「あるかもしれないけど……探すのは大変かなぁ。ここに住んでいたり入り浸っている人じゃないと、詳しく知らないだろうねぇ」
「そういう僕もあまり知らないから」と、フィンも興味深げに品々を
「いやいや、それだけでもありがたいですよ!」
ベルからすれば、案内があるのは心強かった。一人で来ていたなら、本来の目的をすることだって難しかっただろう。この地区に来て真っ先に迷子人と化して、店舗をひとつひとつ見物する余裕は生まれるわけもなく。
「冒険者のを扱っているお店、あんまりないですね」
「ここで扱うぐらいなら、冒険者が多く訪れるところに店を構えているだろうね」
「冒険者を相手には聞かしていないってことですかね?」
「いや、冒険者自体音楽をあんまり聞かないからじゃないかな? 聞くくらいならダンジョンに行くだろうから、相手にしてもそこまで集まらないと考えているのかもしれないよ」
「あー、確かにそうかもですね」
――――。
「……ん?」
急に立ち止まるベル。彼の様子に、フィンは不思議がる。
「どうしたんだい?」
ベルは耳を澄ましてみる。
――――。
「フィンさん。これって……音楽、なんでしょうか?」
「えっ?」
そう言われてフィンも耳を澄ましてみる。響いてくる喧騒がすこし邪魔だ……………………もう少し……音色が聞こえた。
「――そうっぽいね」
「あの、フィンさん。行ってみますか?」
「そうだね、行ってみようか」
さすがにそこまで大きな音で演奏している訳ではないだろう。聞こえるということはすぐ近くのはずだ。
音色を道標に、聞こえてきた方向に少し歩いてみる。
「あ、人混みがありますよっ」
「本当だ。意外と人がいるね……」
道の片隅で数十人が何かを取り囲んでいる。道標にしていた音色がその人混みから聞こえてくるということは、探していた奏者というのはこの人混みの中心にいるのだろう。
「ベル君。僕達、運がいいみたいだよ?」
「ですね!」
「よし。そうなれば……奏者が見えるところに陣取りたいところだね」
「意外と人、いますねぇ……」
二人で演奏を邪魔しないように人混みに近づく。できれば奏者が見える位置に居たいが、二人並んで見られる場所以前に、空いている隙間がなかなかない。それだけ奏者の近くで聞きたいという人が沢山いるのだろう。
ベルは右側に回ってみる。
「あ、ここからなら演奏している人が見えますよ」
「本当かい?」
ベルが示した場所は、ちょうど
「よし、ここから見よっか」
「はいっ」
ちょっとすいませんと二人は人の隙間を縫って進んで、隙間にすっぽり入るように陣取る。奏者もちょうど見える。
ベルが、えっ、と言いそうに目を見開いた。
「女の人だ……」
まさか奏者は女性なのか。フィンも予想外とばかりにベルが目を奪われている奏者のことを見る。
「本当だ……」
オラリオに暮らしてもう長いフィンも、その奏者の装いは見たことがなかった。手に持てるほどの小さなハープも、彼女を吟遊詩人と呼称するには疑問が生じる。
思い切り見えている胸元は、ベルに奏者の性別を強く認識させる。とんがり棒から出ている耳や彼女の背後で揺れている尻尾の特徴は、フィンが知っている種族に当てはまらないとも。
「キレイですね……」
「……そうだね」
すこーし、両者の食い違いが起きている気もしなくもない。
〈容姿〉としてなら、彼女は間違いなく可愛い系美人だ。健康的な身体をして、運動にも心得がありそう。まあ、一部の人は胸元へと目移りしているようでもあるが……。
〈演奏〉としてなら、常日頃から音楽に親しまない人が聴いていても、綺麗な音色だと思わせられる。
どちらなのか……それは語る必要もないことだったりする。
二人が可憐な音色を聴き始めて、はや数十分。瞬時にわかる時計が影しかないオラリオでは、時の流れが緩やかでもあり、早くもあり。ふと気が付けば、影は真下にある。
彼女が最後の
――
いいものを聞いたとばかりの大きな拍手へ応えて、軽く一礼。向きを変えて、また一礼。観客らは今日も良かったと演奏の感想を満足げに呟いて、
フィンとベルも例外へ漏れない。
「いい演奏だったね……」
「僕達、すっごい偶然に来れたんですね……」
初めて聴いた噂の奏者の演奏。聞いたことのない楽曲ではあったが、二人とも楽曲の世界観へ一瞬として引き込まれてしまった。これは本当に無料で聞いてよかったのだろうか、奏者はチップを要求しようともしていない。小さな劇場であれば即座に満員御礼の看板が立てられてしまうだろう。
ほとんどの観客がいなくなると、奏者は片付けをし始める。片付けとはいっても、奏者の付近で所持品と言えそうな物が、手に持っているサウスハープと、足元に置かれているなにやら水色の結晶がついている弓の二つ。弓を背負い、サウスハープは腰につけたら、そのまま帰路へつきそうだ。
「フィンさん、どうします?」
「うーん……僕は少し話してみたいんだよねぇ。聞いてくるよ」
奏者へ近づく。サウスハープを腰に丁度つけ終わった。
「その、ちょっといいかな?」
歩き出しをやめて、声の方へ向く。金髪ショタを認識する。
「昨日ウワサを聞いてここにやってきたんだけども、想像したよりすごくいい音楽でよかったよ」
「そうです! こうなんというか――キレイですごかったです!」
……とっても、具体的な表現がない曖昧な感想。どうにかして言葉という言葉を絞り出して、行き着いてしまったのがコレなのだろう。
彼女は微笑ましいとばかりにあははっと笑った。
「無理して感想出さなくてもいいんだよ? でも、ありがとね」
「うぅ――!」
気さくに気を遣われて、ベルの耳が赤くなる。仕方ないなぁと言わんばかりに、フィンが続く。
「貴女のことを話に聞いて、気になっちゃったから早速来てみたんだ。吟遊詩人って、オラリオだとあまり話に聞かなくてね。貴女は吟遊詩人でこの街に訪れたのかい?」
「いや、そもそも吟遊詩人じゃないよー。吟遊詩人
つまり、吟遊詩人の真似ごとは出来る。だから路上演奏している。
……だからで処理するにはあまりにも勿体なさすぎる。
ベルはボソボソ反芻している。許容量を超えてしまったか。フィンはきちんと額面通りに受け取れたようだ。
「吟遊詩人じゃない……としたら、一体なにを?」
「そんな大層なことじゃないよ。私もオラリオに住んでいるし」
「
「うん。ただ街中でハープ弾いてる、一端の冒険者だから」
「「え?」」
フィンは拍子抜けと口が半開き、ベルもおくち半開き。
街頭演奏で大勢の人を集められ、おひねりも貰えそうな程の演奏をできる人が、ただの一端の冒険者宣言。
誰がこの奏者を、冒険者だと思うことができるのか。少なくとも、ベルにはそう見えなかったようだ。
「え、お、え、お、お姉さん、ぼ、冒険者なんですか!?」
「うん。ファミリアは入ってないし、ダンジョンに潜ってどうのこうのだったり、ギルドへの登録はしてないけどね」
あまりに常識外れな事を、ごくごく当たり前のように喋る彼女。フィンが首を傾げるのも当然だ。
「ファミリアに入っていないで冒険者を……?」
あまりにも危険な行為。
考え込むフィンを傍目に、彼女は大きいつばの帽子を上げた。
「エリ・ティンバー。エリかティンバーのどっちでもいいよ」
顔の右半分をもこえてだいぶ侵食している薄紫の髪と翡翠色の目を持った、可愛らしい少女顔の美人。右から髪が少し伸びているが……あらわな左目は、確固たる
ベルの心臓が、跳ねた気がした。
業務連絡。
グ・ラハと
あと「時系列ぐちゃぐちゃじゃね?」と思ったから、置き換えで誤魔化せるようになったよ。