第四十八話
奏side
ある日俺は家でくつろいでいた。時期的には今は冬であたり、あたりの木々には雪が積もっておりとても綺麗な風景を生み出している。
「主〜お使いを頼んでもいい?」
「いいけど…何か足りない物あったか?」
後ろを振り返ると愛妻のハウラがいた。
今日は一段と寒くモコモコっとした寝巻きを着ていて少し可愛く思うがその思考を振り払う。
「うん、醤油と砂糖が切れて予備がないんだ」
なるほどな別に今日じゃなくても良くないか?と思ったがよく考えたら明日から天気が崩れるらしい。
「わかった、行ってくるよ」
「ありがと〜」
そして俺は着替えて外に出た。
外に出るとそこは一面銀景色だ。俺が歩いていく度に後ろには足跡がつく。
「さむ〜」
本当に凍るのではないかと言うほど寒い。
吐く息は白く、吸う息は肺を針で刺すような痛みをもたらす。
「これは異常気象だろ…」
そんな言葉を吐きながら雪を踏み締めゆっくりと人里へむかって行くのだった。
「ふぅ、やっと着いた。」
数十分後、俺は人里にいた。
流石にこの寒さなので出歩いている人はかなり少ない。
お店がやってあるか少し不安になるが、その心配は無用だった。
お店に入ると暖かい空気が漂ってあり、人もまぁいた。
俺はハウラに頼まれたものを買うためにカゴを持ちお店の中を探索する。
「よし、無事買えたし帰るか」
バックの中にはハウラに頼まれた醤油に砂糖、プラスでおつまみも買っておいた。ハウラには秘密にしておこう。
「……ん?」
ふと、通り過ぎた建物と建物の隙間に人型の雪が見えた。
雪だるまかと思って通り過ぎようとしたが何かがおかしい。
「っ!まずい!」
違和感に気づき雪を振り払うとそこには1人の少女が立ったまま気を失っていた。体温も低すぎる…っ
俺は少女を抱え全速力で家に向かう。
移動する際に降りかかる衝撃は全て破壊していき、行きは数十分かかった道だが帰りは5秒もかからなかった。
「ハウラ!!!」
中へ移動させ暖を取らせる。
くつろいでいたハウラは俺の声で少し驚きつつも聞き返してくる。
「どうしたの?!…この子は?」
「一刻を争う。話はあとだな」
「わかったよ。とりあえずは私がしておくから」
「ああ、ありがとう。俺はとりあえず何か作ってくるよ」
???side
気がつくと私は知らない場所にいた。
暖かいベットに包まれ隣には知らない女の人が椅子に座りながら寝ていた。
「ここ……は……?」
その時、部屋のドアが開いた。入ってきたのは黒い和服を若い男性だった。
「良かった。気がついたんだね」
「っ…………」
何故だか言葉が出ない。……これは恐怖心?心の中を恐怖と困惑が埋めつくしている。
男性は何かを察したのか
「大丈夫だよ。落ち着くまでそのままでいいから」
優しい声と笑顔で私に言う。
私は振り絞り声を出す。
「こ……ここは何処ですか?」
「ここは俺の家だよ。君は人里で立ったまま雪に埋もれてたんだ。」
埋もれていた?なぜ?
そんな疑問がどんどんと浮かんでくる。
「そういえば自己紹介がまだだったね。俺の名前は佐伯 奏。そこの嫁はハウラって言うんだ。」
「奏さんに…ハウラさん」
「そう。それで君は?」
「私の名前は…………あれ?」
思い出せない。名前も今までの出来事も。
頭の中にぽっかりと穴が空いたような感覚。そのことを考えようとするとノイズが走り思考を遮る
「わから……ないです」
「……そうか。」
奏さんは少し悲しそうな表情をしてこちらを見る。
「まぁ、今は体を休めようか。横になってていいよ。」
「……はい」
「また何か困ったことがあったら言ってね。」
奏さんは寝ているハウラさんを抱きかかえて部屋を後にした。
1人だ……
部屋にある時計が秒針を刻む音が響く。
記憶がないと言っても物の名前なんかは分かるらしい。
私の心に1つある感情が湧き上がる。
この感情は寂しさ……
「うぅぅ……」
私の思考とは無関係に涙があふれてくる
ボロボロと借りている布団に涙がこぼれ落ちていく。
「どぅ…して…」
必死に涙を止めようとするが止まらない。拭っても拭っても雨粒のような涙が出てくる。
「1人は……いやだよぉ……」
誰かが出てきましたね。キャラ設定があまり決まってないのはここだけの話。