一時間で三題小説   作:光車

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お題
「ペン」
「瞳孔」
「失恋」

さっと思いついた幻想物語。


君と私の道しるべ

 きっと、両想いだった。

 でも、それでもきっと、失恋には変わりない。

 

 だって、付き合うことも、手を握り合う事すらできなかったんだから。

 

***

 

 ある日、学校近くの小さな本屋で奇妙な本を見つけた。

 

『交換日記』

 

 題名は端的だった。

 恋愛ものかな?って興味を持って手に取ったのだけれど、それを見ていた店員さんにこう言われた。

 

『それ、いつのまにか店にあったやつなんですよ。なんなのかもわからないので、もしよければ無料で渡しますよ?』

 

 それなら、と私は本をもらうことにした。

 

 少し楽しみだった私は、家に帰ってすぐさま本を開いた。

 どんな物語なのかな、って思ったんだけど、1ページ目以外は何も書かれていない。

 困惑しつつも私はとりあえず書いてある1ページ目を読んでみることにした。

 

『名も知らぬ方へ

 

 この本は魔法のかかった交換日記です。

 私はちょっとした魔法が扱えまして、それを使って交換日記を作りました。

 この交換日記の次のページに何かを書いてくだされば、私が反応します。

 異世界の方、よかったら私と交換日記をしてみませんか?

 

                         とある魔法使いより』

 

 よくわからない文章だった。

 魔法だとか、そんなものはこの世界には存在しないはずだし。

 やっぱり私は困惑したけれど、とりあえず文章にしたがって2ページ目にボールペンで書いてみることにした。

 

『誰かへ

 

 こんにちは。

 よくわかりませんが、とりあえずこれであっていますか?

                                  』

 

 よくわからないからこその質問。

 けれど、反応はなかった。

 10分ほど待ったけれど、反応はない。

 まぁ、そうだよね……なんて思いながら、私は課題とかやるべきことをやって眠りにつく。

 

 

 次の日。

 家に帰ってきて、たまたま棚の上に置いてある本が目に入った。

 あれは確か、昨日の交換日記。

 思い出して3ページ目を開いてみた所、なんと文章が書かれていた。

 

『名も知らぬ方へ

 

 そうです、それで正解です!

 貴方の呼び方を教えていただけないのは残念ですが、仕方がありませんね。

 私はとあるしがない魔法使い。貴方の世界とは別の世界にいる魔法使いです。

 よろしければ貴方のことを教えていただけないでしょうか?

 

                         とある魔法使いより』

 

 私は驚いた。

 なにせ新しく文章が書かれているのだ。

 びっくりしつつも私は魔法使いさんに文章を返した。

 

『魔法使いさんへ

 

 本当に返事が来るなんて……。

 私はただの高校生です。

 それ以上はちょっと言えません。

 それより、魔法って本当ですか?

 

                                    』

 

 すぐには返事は帰ってこない。

 やっぱり一日ごとに返事が帰ってくるのかな、なんて思う。

 だって交換日記だし。

 

 

 やっぱり次の日まで返事は来なかった。

 その日、家に帰ってきてから本を開くと、そこには当然のように新たな文章が付け加えられていた。

 

『名も知らぬ方へ

 

 高校生……学生、ということでしょうか。

 すみません、私の世界には高校生、という言葉がありませんので……。

 

 魔法は本当ですよ。

 良ければ使い方を教えましょうか?

 

                           とある魔法使いより』

 

 やっていることは交換日記ではなく、ただのメールだったけれど。

 私は、その非日常感が少し楽しくなっていた。

 だって異世界の人と、本でやり取りできるのだ。

 そんな経験、だれもしたことが無いでしょう?

 

『魔法使いさんへ

 

 高校生が学生というのはあってますよ。

 義務教育が終わった後、みんなが自主的に行く学校です。

 実質的にはほぼ強制ですけどね笑

 

 魔法を教えてくれるって本当ですか!?

 私こそよければお願いします!

 

                           異世界の高校生より』

 

 ここで初めて私は呼び名を書いた。

 次の日の昼に本を見ると、喜びの文章と一緒に返事が書かれていた。

 

『異世界の高校生さんへ

 

 初めて呼び方を書いてくれましたね……!

 嬉しい限りです!

 

 義務教育……そちらは進んでいるのですね。

 素晴らしいです。

 

 魔法を教えるのは良いですよ。

 私はこれでも、魔法を教えるのは得意ですので!

 

                          とある魔法使いより』

 

***

 

 次第に私はその本にのめり込んでいった。

 一日に伝えられる話は少なくて、ちょっとしか話せない。

 けれど、誰も知らない、見たこともない人と話せるというのはとても新鮮で、その非日常感はとても気持ちが良かった。

 魔法も教えてくれて、私自身が魔法を使えるようになった時はとても嬉しかった。

 だから完全に、私は非日常に浸かっていた。

 

 それと一緒に、私に親身に接してくれるその魔法使いさんにのめり込んでいったのだと思う。

 

 だからこそ、何百ページと書き続け、残り30ページを過ぎた頃。

 私は、あまり文章を書きたくなくなっていた。

 

『ゆりさんへ

 

 どうしたのですか?

 最近は返事がありませんが……

 

                             ファリスより』

 

 既に名前すら伝え合う仲になっていた私が急に返事を書かなくなったことに、心配したファリスさんがそんな文章を送ってくれていた。

 私はあわてて返事を返した。

 

『ファリスさんへ

 

 ううん、別に特別なことはないの。

 けど、残りのページが少ないじゃない?

 だから、今度沢山話したくなったときに取っておきたいな……って思って。

 

                               ゆりより』

 

 そういえば説明していなかったとか、色々ごちゃまぜになる私の感情を置き去りにして、私は急いで文章を書いた。

 けれど、何日経ってもファリスさんからの返事は来ない。

 なんで、って思っても心当たりしか無い。

 だって、私はここ何十日も返事を書いていなかったんだから。

 

 悲しくなって、辛くなって。

 そこで私は小さな恋心に気付く。

 一緒にいる時間はなかったけれど、この本の向こう側にいる人と話すことができたのはとても嬉しいことだった。

 だから、後1日待ったらとある事をしようと思った。

 

 けれど、次の日になっても返事は返ってこなかった。

 

***

 

「……準備はよし、かな?」

 

 私は交換日記を手に歩道を歩く。

 なんでかって、こんなことをする理由なんて一つしか無いけれど。

 

 本を抱えて、歩道から車道に飛び出した。

 それと一緒に、私は魔法を使う。

 

 ……あの人のところにいけますようにって。

 

 私の体がバウンドして、どこかに飛ばされていくのを、ぼんやりと見つめる。

 何故か、誰かが目を見開いて見ている気がした。




出来が悪い……。

ってか誰にも伝わらなさそうw(残り40秒で仕上げた)
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