夜を灯し駆け回る狐面の男〜内に秘める妖傀を想いの炎で焼き尽くす〜   作:桜桃 

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「消えちゃうからさ」

「弥幸お兄ちゃんが最初に言ったのが、1番効率的かつ安全な方法ですね」

 

 弥幸の住む神社に辿り着き、屋敷の中へと足を踏み入れた星桜と翔月。

 翔月は来ること自体初めてだったため、すごく驚き目を輝かせながら周りを見回していた。そして、1つの部屋まで通されそこで待っていると、セーラー服を身にまとった逢花が笑顔で入ってきた。

 

 今四人がいるのは、畳部屋。簡単に言えば和室だった。

 壁側には掛け軸がかけられており、布団が綺麗に畳まされている。

 中心には丸テーブルがあり、四人はそのテーブルを囲い、座布団に座った。そして、逢花に屋上の時の話をする。

 

 星桜にとっては逢花が最後の希望だったため、願っていた言葉では無かったことに肩を落としてしまうり

 翔月も星桜の背中をさすり「ドンマイ」と言葉をかけていた。

 

「でも、成功確率より安全さを取るなら、もう一つ方法はあるよ」

「どんな方法ですか!?」

 

 逢花の希望の言葉に、星桜はバッと勢いよく顔を上げ、体を乗り出した。

 

「これを使うの」

「これって────ロウソク?」

 

 逢花は、どこから出したのか分からない、小さなロウソクをテーブルの上に、置きそう伝えた。

 

「そう。ロウソクに火を点けるね」

 

 そう言うと「弥幸お兄ちゃん」と呼び、彼は溜息をつきながらロウソクに息を吹きかけた。すると、なぜかロウソクには火が灯り、星桜と翔月は驚きで目を開く。

 

「────すげぇな」

「さすがだよ赤鬼君!!」

「うるさい」

 

 二人の褒め言葉を一喝し、弥幸はそっぽを向いてしまった。それを逢花はふふっと笑いながら横目で見たあと、説明を続ける。

 

「この炎を消さないように五分間守り続けるだけ。簡単でしょ?」

「え、そんなことでいいの?」

「うん」

 

 それ以上の説明をしない逢花に、弥幸はゲンナリした顔を向け「誰が優しんだこの外道が」とボソリと口にした。だが、それを逢花が弥幸の手をつねったため、星桜達に聞こえることは無かった。

 

「これさえ成功すれば、精神力をコントロールできるよ。もしかしたら、弥幸お兄ちゃんより強くなっちゃうかも」

「やります!!!」

 

 身を乗り出して、星桜はそう宣言した。

 

「良かった。なら、試しに今からやってみようか。私が教えるから、その通りにやってくれるかな?」

「ご指導よろしくお願いします!!!」

 

 星桜はやる気満々で逢花に頭を下げた。

 

「うわぁ。そんな風にお願いされたら嬉しくなるね。こちらこそよろしくお願いします」

 

 お互い深々と頭を下げていると弥幸が「さっさとやりなよ」と言ったため、星桜は準備をして、逢花はロウソクを星桜の前まで移動させた。

 

「本当に簡単だよ。そのまま左手をロウソクに添えるように近づけて」

「え? 守るんだよね? 風とか起こすんじゃないの?」

 

 ロウソクの火を守るように言われたが、消そうとしているものは近くに何も無い。

 扇風機や団扇などで火を消そうとするからそれから、それから守れってことでは無いのかと星桜は問いかける。

 

「ふふっ。そんなもの無くても大丈夫だよ。どうせ、火は消えちゃうから」

 

 逢花は笑顔のまま星桜にそう言い切る。よくわかっていない様子だが、とりあえず星桜は、言われた通りそのまま左手をロウソクへと近づけた。

 その際、窓は開いていないため風は吹いていない。そのはずなのに、火が揺らぎ始める。

 

 そして、星桜が火に添えた時────

 

「あ、あれ??」

 

 火は何故か、シュッと音を立て自然と消えてしまった。

 

「だから言ったでしょ。どうせ消えちゃうからさ」

 

 楽しげに逢花は、星桜を見る。

 

「え、でもなんで? 翔月、風起こした?」

「なんで俺を疑う。そんなことするわけないだろ」

「だよね。なら、どうしてだろう」

 

 星桜と翔月が消えたロウソクの火を見ていると、逢花が簡単に説明した。

 

「このロウソクは特別性で、精神力が込められた修行専用のロウソクなの」

「修行専用?」

「そうそう。そのロウソクは精神力を込めた炎でしか付けられず、精神力でしか消すことが出来ない。今回は弥幸お兄ちゃんが付けて、星桜さんが消した。精神力っていうのは一般的に考えれば心や意思など。内に秘める力と言った感じだけど、その力は内に秘めるだけじゃなくて、体にも纏われているものなの。だから、その纏っている精神力で今回の火は消えてしまった」

 

 星桜は逢花の説明をしっかりと聞いていたが、それでもピンと来ないらしく眉間に皺を寄せていた。

 それは翔月も同じなようで顎に手を当て思考を整理している。

 

「精神力を風と考えてみて。このロウソクにとって僕達全員、手に扇風機を持っている状態。その扇風機からは常時風が送り込まれている。そんな状態で炎に触れようとしたら、そりゃ消えるよね」

 

 弥幸の補足でやっと理解できたらしく、二人は頷いた。

 

「それで、その風を起こさせないようにコントロールしろってことだよ」

 

 そう言うと、弥幸はそのまま口を閉じてしまう。

 その後はまた、逢花が細かく説明を続けた。

 

「精神力をコントロールするってことは、精神を安定させること。何時でも冷静で取り乱さない。これが最低条件だよ。私の場合、精神力をコントロールする際は、頭の中に炎を浮かべるの」

「炎?」

「そう。今にも消えそうなほど小さな炎。その炎を揺らさないように集中する。そうすれば何故か精神力もコントロール出来て、神力を使うことが出来たんだ。弥幸お兄ちゃんからのアドバイスだったんだよ!」

 

 ニコニコと笑いながら弥幸の方を向くが、その目線から逃げるように彼は、顔を逸らしてしまった。

 

「ふふっ。まぁ、一番大事なのは集中することだよ。取り乱さないこと。さぁ、落ち着いてやってみよう?」

 

 逢花がそう言い、弥幸がまたロウソクに炎を点けた。

 

 星桜は深呼吸をして、気合を入れに直し、ロウソクに左手を近づかせた。




ここまで読んでいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです

出来れば評価などよろしくお願いいたします(*´∇`*)
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