夜を灯し駆け回る狐面の男〜内に秘める妖傀を想いの炎で焼き尽くす〜   作:桜桃 

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「待っていたよ」

「あははははははっ!!!!」

「笑い事じゃないよ逢花ちゃん!!!」

 

 屋上では、お昼休みが終わるチャイムがなってしまった。そのため、三人は慌てて屋上を出ようとしたが、一人はサボる気満々たったため星桜が耳を引っ張り無理やり教室へと向かった。

 

 授業が終わり、弥幸は真っ直ぐと帰宅してしまう。

 星桜と凛、翔月はお昼の話が終わっていない事が腑に落ちなかった。そのため、話し合いこれから屋敷に突入しようということで話が纏まった。

 

 場所は星桜が覚えていたため問題は無い。

 途中で弥幸に遭遇しないかの方が不安だったが、彼の姿はなかったため何事もなく辿り着くことが出来た。

 

 木製の扉を叩くと、着物を身にまとった女性が出迎えてくれる。事情を話すと、快く部屋に通してくれた。

 

 弥幸の部屋には偶然逢花もいたため、星桜は今日の屋上での出来事を話したのだ。その際、さすがに予想外だったらしく弥幸は「は?」という声を上げていた。

 

「それにしても、それでここまで来るなんて凄いね」

 

 涙を拭きながら逢花は、三人に目を向ける。その後ろでは、周りの目など一切気にしない弥幸が、座布団を枕代わりに横になり目を閉じていた。寝息が微かに聞こえている。

 

「私達は本気なんです!」

「本気で力になりたいんだよ。妹はどうにかできないのか?」

 

 翔月は眉を下げ、不安そうに逢花に問いかけた。その様子を見て、彼女は腕を組み考え始める。

 

「うーん。そもそも、伴って意味を理解してる?」

「え、力を分けてもらうとかは聞いてるけど、意味って何?」

 

 凛が首を傾げ質問する。それには星桜と翔月も同じだったらしく、逢花の次の言葉に耳を傾けた。

 

「伴っていうのは、付き添い人──とはまた違うか。うーんとね。眷属(けんぞく)って知ってるかな?」

 

 逢花は上手い説明を探すため、言葉を選びながら話している。

 

「眷属は知ってるけどよ……」

「なら良かった。それと似たような感じなんだよね。つまり、一度伴になると力を分けてもらえるけど、ずっと弥幸お兄ちゃんを護らないといけないの。一度結んでしまった伴は、絶対に解除する事なんてできない。だから、もっと真面目に考えた方がいいよ。伴になるということは、戦闘が当たり前の生活になるってこと。それを踏まえてしっかり考え直して」

 

 逢花は、笑みを浮かべながら二人にそう説明した。

 

「つまり、一度した契約は二度と破棄することは出来ないって事?」

「そういうことだよ。だから、戦闘から逃げたくても、それは許されない。怖くても、痛くても苦しくても。最後まで弥幸お兄ちゃんのそばに居続けなければならない。その先に、何が待っていても──」

 

 そう口にする逢花の顔は本気そのもの。

 弥幸を裏切ることなんて絶対に許さないというように、翔月と凛をギラギラと光る瞳で見ている。

 

 二人は先程までとの表情の違いと、逢花から放たれる圧により肩を震わせ顔を青くする。

 星桜はそんな三人を見つつ、当の本人に目を向けた。

 

 当の本人である弥幸は、我関せずという態度を貫き横のまま眠っている。

 その姿を見て苦笑いを浮かべる星桜だったが直ぐに顔を引きしめ、三人の会話に耳を傾けた。

 

「それでも伴になりたいのなら、私も弥幸お兄ちゃんも止めないと思うよ」

 

 星桜が視線を戻すと、いつの間にか逢花の表情はいつものニコニコと人懐っこい笑みに戻っていた。

 翔月と凛も安堵の表情を浮かべ、息を吐く。

 

「時間はまだあるから、ゆっくり考えっ──」

 

 逢花は二人に話は終わりというように目を閉じたが、凛が「それなら」と言葉を挟む。

 

「それなら、私──」

 

 その言葉に続く言葉を逢花は予想しているらしく、口元に笑みを浮かべながら目を伏せ俯く。

 その言葉に続く言葉は恐らく「やめておく」などといった言葉。だが、凛の次の言葉は予想外のもので、逢花は驚きに目を見開いた。

 

「それなら、私にとって都合が良いってことね」

「──え? 都合が良いって、何?」

 

 凛の予想外の言葉に、逢花は思わず声を上げる。

 

「だって、私達は裏切ることを許されない。それはつまり、赤鬼も裏切ることなんて許されないってことでしょ?」

「ま、まぁ。そうだけど」

「なら、心から安心してあいつの隣に立っていられるってことになるのね。それなら喜んで伴でも何でもなるわよ!!!」

 

 凛はキラキラと目を輝かせ、胸に手を当てそう宣言する。その隣で、翔月も口元に笑みを浮かべ凛と同じように宣言した。

 

「俺も。絶対に裏切らないし、必ず力になる。自分なりに頑張るよ」

 

 その二人の言葉に、逢花は驚き目をパチパチとさせる。星桜は手を叩き「やった!!」と大喜びだ。

 その声に弥幸は目を覚ましたらしく、呑気に欠伸をしながら起き上がる。

 

「なに、話は終わったの?」

「呑気に寝てんじゃないわよ……。あんたのことなのに」

「僕じゃなくて君達の問題でしょ。伴になるならないとかどうでもいいし、なるとしても僕は力を与えるだけ」

「適当すぎない?」

「君ほどじゃないから安心していいよ」

「私はいつでも大真面目よ!!!」

 

 弥幸と凛の口喧嘩が始まりそうになり、星桜はそれを慌てて止めに入る。

 その光景を翔月と逢花は優しく笑みを浮かべながら眺めていた。




ここまで読んでいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです

出来れば評価などよろしくお願いいたします(*´∇`*)
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