機動戦士ガンダム 天使の飛ぶ空   作:からすにこふ2世

1 / 27
ダイスはNTレベルのみ1D10、それ以外は以外1D100
性別 女
年齢 14歳
名前 レオナ・ネーレイド
出身 北米
家庭 5(ド底辺)

ステータス
指揮 24
魅力 87
射撃 54
耐久 89
反応 90
格闘 90
NTレベル 3(素質はある)
階級 二等兵
アライメント
82、100ほど善なので割と善人(花売りでスラム出身なのになんでやねん)
MS適性 66 MA適性34 車両適性49 飛行機適性99 艦船適性99



少女大地に立つ

 0079年1月10日、ジオン軍はスペースノイドのゆりかごであるコロニー、サイド2アイランド・イフィッシュを、地球へと落とした……その過程と結果により、地球・宇宙の両方で、多くの、という一言で片づけるには多すぎるほどの人口が、消滅した。

 以降、ジオン軍は地球へ降下し、モビルスーツ・ザクを使用した電撃作戦により、地球の大部分を制圧した。

 

 

「……クソジオンめ、クソったれの宇宙人がよ……あいつらのせいでみんな、みんな死んだんだ。クソ、クソ……」

 

 薄暗い部屋の中。暖房のあまり効いていない寒い中で、少女の上で文句を言いながら腰を振る男は、腕に包帯を巻いている。名誉の負傷。しかしそれを称賛する人間は部屋にはいない。惨敗して撤退している最中に、飛んできた破片で負ったかすり傷程度で褒められるほど、戦況は温くない。

 その下に敷かれている少女の方が、よほどひどい傷を負っている。主に心に。

 

「くそぁ!!」

 

 男は少女に、八つ当たりじみて拳を振り下ろす。ぼぐ、と鈍い音を立てて、少女の端正な顔に痣がつけられた。少女は痛みに顔を歪めることはなく、悲しむどころか逆に怒りを顕にして……

 

「商売道具に傷つけやがってフニャ●ン野郎!」

「!?」

 

 下から思い切り殴り返した。殴り返されるとは思っていなかったのか、それとも少女の力が見た目以上に強かったのか、その両方か。男は体格差があるにも関わらずベッドの上から転げ落ちた。殴られた頬を抑えて何がなんだかわからない、といった顔をして、一呼吸置いて自分が一体何をされたかを理解したら、今度は顔を赤くして激昂した。

 唇から血が垂れている。

 

「このガキ……!」

「女を、しかも子供を殴っといて、殴り返されたら怒るのね。情けない男!」

「買われた備品のくせにぃ!!」

「備品を大事にしないから出世できないんだよ早漏短小包茎素人童貞のドヘタクソ!」

 

 男が少女に飛びかかるが、少女はベッドシーツを投げつけて視界を潰し、後ろに回り込んで玉を蹴り上げた。

 

「ォヴっ!」

 

 非力な少女の体であっても、その全力で玉《男の急所》を攻撃されれば、どんなに屈強な男でも白目をむいて泡を吹いて倒れるしかない。シーツに包まれてベッドの上でもがく男に、少女はベッドサイドのスタンドライトを握り、土台の方を思い切り頭に振り下ろした。

 これで男はおとなしくなった……気絶しているだけで、呼吸はある。死んではいない。今は。

 

「おめでとう。名誉の負傷が増えたわね……さて。じゃあ、代金をもらっていくわ。もちろん割増で……あらあら、こんな手持ちで女を買おうだなんて。本当、情けない男」

 

 服を着て、男の服を漁り財布を取り出し。大した額でもない現金を全て自分の懐へ収める。

 

「なんの音だ!」

 

 騒ぎを聞いて別の兵士が部屋に飛び込んできた。そこで目にしたものは、シーツに包まれて動かない裸の兵士と、壊れたスタンドライト、その兵士の財布を漁る少女。

 この場面を見て、それまでの過程を想像できるわけがなく。兵士を騙し討ちして金だけ盗もうとしていると誤解されるのは至極当然であった。

 

「MP(軍警察)来てくれ!」

「待ってください、これには色々あったんですよ! 先に殴ってきたのはそいつです、見てくださいこの顔、この痣を!」

「やかましい! どうせ抵抗された傷なんだろう、おとなしくしろ!」

「ちっ、話を聞かない、これだから男は嫌いなんだ……」

 

 捕まえようと手を伸ばした男の手をすり抜ける。少女は膝裏を蹴って姿勢を崩し、背中から抱きついて、首に手を回して、両腕で、全力で締める。振り払おうにもガッチリ背中に張り付いているせいで離れない。そうこうしている間にも首は締まる。

少女の力でもきっちり頸動脈を押さえていれば十秒もあれば意識が沈む。スラムで女一人生き残るために学んで、身につけた技術だ。

 

「かっ……ぁ……! ……」

 

 その技術は完璧に発揮されて、期待通りの成果をもたらした……が、意図したわけではない。ついつい反射でやってしまっただけだ。おかげで状況はさらにややこしくなる。男が叫んでいたからもうじきMPが来る……バタバタ足音が聞こえるから到着まで時間はない。この場を見られればどうなるか、わかったものではない。逃げようにもここは地球連邦軍の基地のど真ん中。出入り口は当然封鎖されている。まさか基地の人間を全員伸して逃げられるわけもない……おとなしく捕まって、事情を話せば大目に見てもらえるだろうかと期待するが、果たして『備品』がどこまで優しくしてもらえるか。

 いっそ大事にしてしまえば、偉い人が出てきて話を聞いてくれる可能性も高まる。抵抗すればするだけ、捕まったときにはよりひどく痛めつけられる。挑戦するべきか否か……考えている間に、MPが駆けつける。

 

「動くな!」

「何事だ!」

 

 銃を持っているし、一度に三人は勝てない。少女は素早く判断して、抵抗はやめておこうという結論に至り、おとなしく両手を上げて降参する。

 

「話を聞いてもらえます?」

「……まずはついてきてもらう」

 

 どういう状況なのかよくわかっていないという顔のMPに、少女はおとなしく手錠をかけられる。財布を漁っているところは見られていないから心象はそこまで悪くないはずだ。

 

 そのまま尋問室に連れ込まれ、テーブルに座らされる。

 

「何があったのか、答えてもらおうか」

「シーツに包まっている男の人にサービスしていたら殴られたので、殴り返しました。そうしたら飛びかかってきたので、こう、玉を蹴って。仕返しが怖いと思ってたら、気がついたらライトで殴ってしまいました」

「もう一人は」

「誤解を解こうとしたのですが、話を聞いてもらえず飛びかかってきたので。つい、身を守るために締めてしまいました」

「大の男が、こんな子供にやられるとは考えられん! まさか他に誰か居たりはしないだろうな!」

「スラムの出で、護身術には自信があるんで」

「……」

 

 MPは微塵も信用していない。信じられない気持ちもわかる。下っ端とはいえ訓練を受けた兵士が二人も、か細い14歳の少女に気絶させられるなど、いったい誰が信じられるものか。誰も信じられない。

 

「それともこんな昼間から工作員が侵入して暴れていたとでも?」

「……監視カメラを見ればわかることだ」

「カメラを確認してきたぞ。どうやら、やったのはその娘で間違いないらしい。部屋には気絶している二人とその娘以外誰も入っていないし、出てもいない」

「馬鹿な、信じられん……!」

「信じたくないから三回も見直した。疑うなら自分の目で確かめてくればいい」

「……基地司令になんて報告すればいいんだ」

 

 頭を抱えるMP二人。そこへもう一人が部屋に入ってくる。

 

「二人とも気絶しているだけで、命に別条はない。司令官になんと伝えればいいんだか」

「事実を正しく伝えれば、少女の売春婦一人に大人二人がノされた、だが……基地司令に伝えて、信じてもらえるかどうか」

「二人も医務室送りにされたんだ。俺たちが伝えなくてもすぐ耳に入る。職務怠慢で怒られる前にありのままを伝えるべきだ」

「情けない、とお怒りになるだろうな。訓練がきつくなりそうだ」

「ジオンの連中が訓練する暇をくれればいいんだが、な……」

「連中の基地に行って頭下げれば許してくれるんじゃないか」

「そんなことより報告は誰が行く。俺は嫌だぞ、そんな罰ゲーム」

「俺が行く。ポーカーの負けが越しているからな、これでチャラにしてくれ。その間に報告書作っといてくれよ」

 

 風紀を取り締まるためのMPが自ら賭けを行うとはどうかしている。少女は軍規に詳しくはないが、そのくらいはなんとなくわかる。呆れながら痛む頬を擦った。

 

「サービスの内容も含めて、話を聞かせてもらおうか」

「その前に氷をもらえませんか。殴られたところが痛むので」

「……内線で食堂から取り寄せよう」

 

 MPはめんどくさそうにつぶやいた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。