無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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序章
第1話:無個性少年


この世は不平等だ。不平等という現実だけがこの世に平等に配られている。

この世には『個性』と言う特殊能力を人口の約8割の人が持っている。だが残りの2割はソレを持たない無個性と呼ばれる。

無個性は無価値、生きる価値無し、無意味な存在と呼ばれる。いや、これは俺だけなのかも知れない。

 

「この穀潰しが!」

「がは!ゴホゴホ」

「体だけは丈夫な愚息が」

 

今日も今日とて父に蹴られ殴られてた。俺には個性が無い、普通の人が当たり前に持ってる物を持ってないだけで俺は親から受けるのを愛ではなく暴力だった。でも生まれつき体は凄く丈夫で大の大人の本気の暴力を受けても死ぬことは無く骨折ぐらいで収まる。

 

「あのアマはこんなゴミだけを残して逝きおって」

「・・・っ!」

「なんだその眼は!」

「ガハ!ごは!」

 

母は居ない。俺が生まれて直ぐに死んだみたい。だからかよく父に暴力を受ける、多分ストレス発散だろう。

 

この世に助けてくれる大人は、困ってるときに手を差し出してくれるヒーローは居ない。

いや、正確にはヒーローは居る。この世には個性を悪用して悪いことをする者『(ヴィラン)』が居る。そんなヴィランと個性を使い戦う者達を世間は『ヒーロー』と言う。さっきも言ったが・・・言ったかな?ヒーローは目に見えて困ってる者は助けるけど俺みたいな者は助けてくれない。手を伸ばせてないと助けてくれない。

 

「ハアハアハア。どうせなら貴様が死ねば良かったのになぁ」

 

ああ、俺もそう思うよ。

父は俺を殴り蹴り疲れたのかどっかに行った。どうせ行くならあの世に逝って欲しかった。あれでこの、ヒーロー社会のヒーロー業界を管理している公安委員会幹部の一人なんだよな。だから警察もヒーローも手出しできない。

 

「腐ったミカンのバーゲンセール、なんてね。部屋に戻ろ」

 

この世はクソだ、最悪だ、あの父親と義母もこの屋敷の使用人も全員最悪だ、屑だ。でも

 

「・・・お、お兄様!」

「っ!・・・お兄ちゃんは大丈夫だよ」

「本当ですか?」

「本当に」

「でも血が!」

 

この子だけは別だ。部屋、と言うには名ばかりな小屋?に戻ってベットに座ってたら俺を心配してきてくれたこの子は1個下の腹違いの妹だ。俺の母が死んだ後に父は愛人の女と結婚してこの子が生まれた。

この世はクソだが唯一良かったことはこの子が個性を持って生まれてきたことだ。しかも個性複数持ちというレアだ!そしてなんとその個性も最強級の強さとレア度。俺が唯一良かったと思えたことだな。

ああ、あとこの子の名前は。

 

「ユエ、何時も言ってるけどこの部屋には来ちゃダメだ。また怒られるぞ?」

「話変えたらダメです!それに別に怒られても良いもん!」

「もんって」

「それより怪我治す・・・っ!」

 

右手を俺に翳すけど俺はその手を押さえて首を横に振る。

 

「なんで止めるの?」

「俺なんかに個性を使う必要無いよ。ほら!体は頑丈だから」

「ダメ!」

「・・・でも」

「ダメ!」

「うっ・・・」

「ダメ」

「はあ~。じゃあお願い」

「うん!」

 

あんな涙目で上目遣いは反則だよ。断れないじゃないか・・・兄として。

ユエの1つ目の個性は発動型『治癒』そのまんまで簡単にイメージできるのはゲームやアニメの回復魔法のヒールだと分かりやすいかも。相手に触れることで発動できる。今は切り傷や骨折を治す程度しか出来ないが、いずれは部位欠損も再生出来るとのこと。

 

「治りました!」

「ありがと。よしよし」

「うん♪えへへ」

 

横に寝転んで膝の上に頭を置いてきたから撫でると嬉しそうにはにかむ、ういやつよ。

ユエは顔が整っている。降りたての純白の雪の様な長い白髪に大海原を閉じ込めた綺麗な宝石、ブルーサファイアを思わせるような蒼い目をしている。何が言いたいかと言うとカワイイ妹だ。

 

「ゴロゴロゴロゴロ」

「猫か!」

「ゴロゴロ・・・?人間だよ?」

「そう言う意味じゃ無い」

「?・・・ミャオーン。ゴロゴロゴロ」

「よしよし」

 

ユエは昔は俺に近づいて来ることが無かったがいつの間にかこのように俺に甘えて来るようになった。不思議だよね。

こんなに懐いてくれてるけど三年後の俺が中学生になった時には俺は家を追い出されて1人暮らしをするんだよな。その時にユエは・・・いや、大丈夫だよな?ユエは個性に恵まれているから俺が居なくなっても大丈夫だよな!俺が居なくなったら直ぐに俺の事を忘れて幸せに生きてくれるよな?・・・だと良いな。でもそれは寂しいな。

 

「お兄様」

「何?」

「一緒にヒーローに成りましょうね」

「ヒーローに?」

「はい。憧れのオールマイトを越える格好いいヒーロー!」

 

人気№1ヒーローオールマイト。その者を知らない人は居ない。彼が現れてから日本の犯罪率は6%にまで押さえられた。ヒーローを目指すもので憧れない者はいない。かくいう俺もオールマイトのファンだ・・・でも。

 

「成れるかな」

「成れます!だってお兄様は私のヒーローですから!」

「そうか?」

「はい!ですから約束です!将来一緒にヒーローに成りましょう!」

「分かった。ユエが胸張って自慢できる立派な兄になるためにもヒーローを目指すよ」

 

ユエは起き上がって俺に小指を出す。

 

「はい♪じゃあ、ゆびきりです」

「はいはい」

「言質取りました!」

「そこはげんまんの歌じゃないんだ!?」

「?」

 

一応体を鍛えておいて良かったかも。今日から格闘技と武術・・・武道と武術?どっちが正しい言い方?まあいいか。それらも本格的に鍛え始めないとな。

 

 

 

 

~三年後~

 

 

「ヒックヒック」

「ほら泣くな」

 

今日、俺は家を出て行く(追い出される)。その持ち物の最後の確認を部屋でしているとユエが来て泣き出した。

 

「なんで出ていっちゃんですか?お兄様!」

「一人暮らしだからな」

「此所で過ごしても良いじゃないですか!ヒック」

「それを父も(義母)も使用人達も望まないんだ」

「私はお兄様と暮らしたいです!一緒に居たいです!居なくならないでー!うぇーん!」

「泣くな。俺は笑ってるお前が好きだ」

「だ、だったら居なくならないでぇー!嫌いにならないでーわーん!」

「嫌いじゃ無いよ」

 

ありゃりゃ。泣き止むと思ったが全然だった。とりあえずユエが泣き止むまで抱きしめることにした。

 

 

 ☆

 

 

 

「ヒックヒック」

「よしよし」

 

あれから1時間ぐらい泣いていたがようやく泣き止んでくれた。

 

「お、お兄様は私のこと嫌いになりましたか?」

「ならないよ。この屋敷の中で居ない者、ストレス発散道具のような存在だった俺にユエだけは普通に接してくれた。そんな優しくて大好きなユエを忘れたりは勿論、嫌いになんかならないよ」

「本当ですか?」

「本当だよ」

「うん・・・うん!私もお兄様の事が大好きです」

「ああ、俺もお前の事が大好きだよ」

 

だってお前は大事なだいじな妹だから。唯一俺を一人の人間として家族として見て接してくれた子だからな。

 

「お兄様」

「ん?」

「私は絶対にヒーロー校の『雄英』に行くから待っててね」

「ああ、待ってる」

「・・・すう・・・すう・・・」

「ふふ。お休み、ユエ」

 

安心して寝ちゃったかな?俺のベットに寝かしとくか。でも寝てくれて良かった。最後にユエの額に口づけをして俺は荷物を持って(大きめのリュック一つ)玄関に向かう。

 

「「「・・・」」」

 

玄関に着くと複数の使用人、もしかしたら全員かも。それで父と義母が居た。

 

「あら、ようやく出て逝くのねこの穀潰し」

 

嫌みなババア(義母)てか絶対いくの意味が悪い方だろ?

 

「何か言ったらどうなの?」

「ええ、この家をでて 1人暮らししますよ。安心して下さい」

「おい!なんだその言い草は!・・・貴様などさっさと出て逝って野垂れ死んでしまえ!」

「だったら跪いて手を合わせて神様にでもそう祈ったらどうですか?お・と・う・さ・ま!あとおば様も」

「「!?」」

「なんですかその言い方は!育ててもらった恩をなんだと!」

「アンタに育てて貰った覚えは無いですよ。ヴァンパイア女」

「っ!」

 

――ガッン!!

 

「グッ!」

 

今のは久々に痛かった。てか持ってた扇子で殴ってきたけどそれ鉄扇かよクソが。口の中思いっきり切った、血の味がスゲぇ~このヴァンパイア女が。

 

「とっとと死んできなさい」

「フ」

 

口の中の傷口を舐めながら最後に小さく鼻で笑って屋敷を出た。父と義母そして使用人がどんな顔をしていたかは知らないがどうせ清々してんだろな。

こうなるのを見せたくなかったからユエは眠ってくれて良かった。

 

「さーてと!!」

 

家から少し離れてから俺は顔を天に向け叫ぶ!

 

「無個性でもヒーローに成ってやる!!そしてユエ以外の家の奴ら全員見返したるぞぉぉおお!!」

 

さあ、始めよう。俺の新しい人生の物語を!!

 

 、

 少年は名を母方の姓に変え、不死黒一騎として自分の新たな人生に歩き出す。

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