個性把握テストが始まって最初はハンドボール投げじゃなく、50m走だった。
・・・いや、だったらなんで最初にハンドボール投げを爆豪にやらしたの?
皆良い記録を出してる、因みに俺は一番最後にして貰った。このクラスは21で二人ずつだから必ず一人だけが出るから一番最後の人、八百万さんに無理を言って交代して貰った。でもなんか感謝された。何故?
「赤鱗躍動」
あの子なにか呟いたと思ったら右眼を中心に赤い刺青みたいなのが浮き出た。
『スタート』
3秒04か、飯田と同じで速いな。・・・やべ、目が合った! いや、咄嗟に逸らしたから大丈夫か・・・?。ホントにユエに似てるからやりづらい。
「不死黒、速く準備しろ」
「はーい」
歩きながら返事をしてスタートラインに着くとクラウチングスタートの体勢をとる。
『スタート』
勢いよく走り即ゴール。その記録は4秒13と良い数値だった。
「不死黒もう一回だ」
もう一度走れと言う相澤に全員が驚く。無論それは不死黒も同様だった。
「何でですか?」
「お前全力でと言った。なら、身に付けてる重り全部外してやれ」
「なんで重りを知ってるの?」
「前にお前が言ったんだろ」
そうでしたー!と言って手首足首に付けてる発目家作のリストバンド型重りを外しもう一度走ろうとするが、相澤に「その靴の重りも」だと言われる。
「相澤さん、靴これしか無いんですけど裸足で走れば良いんですか?」
「あの、よろしいでしょうか?」
「八百万さん?どうかしましたか?」
「此方をお使い下さい」
そう言って俺が使ってるのと全く同じシューズを差し出してきた、無論重り無し。この人の個性は物を作り出すとかかな?
「良いんですか?」
「はい。あとこの袋に重りをお入れ下さい。持っておきますわ」
「何から何までありがとう御座います」
「いえ、順番を変わって頂いたお礼ですわ」
「では」
「・・・え、きゃあ!」
袋に入った全部の重りが思った以上に重かった為に前のめりに倒れそうになる八百万を一騎は咄嗟に支える。
「おっと大丈夫ですか?」
「お、重い!?」
「重りですから」
「そうじゃありませんわ!いったい何㎏有りますの!?」
「50㎏かな」
「ごっええ。とりあえず持って、おきますわ」
若干引きずりながら元の位置に戻っていた。悪いことしたな。 さて、張り切ってやるか!!
『スタート』
「っ!マズった!?」
次の瞬間全員が見たのは走り出した一騎が足を滑らして転けた所だった。
「あはは! な、何してんだよ不死黒!」
見ていた皆は笑う。一騎もあははと恥ずかしそうに笑う。
「おい、不死黒。いままでスタートダッシュで地面抉り返した者なんてただの一人も居なかったぞ」
だが相澤が発した言葉に全員声が留まり、視線がスタートラインに行くと確かに地面が抉れていた。
一騎は足を滑らして転けたのだが、正確には力を込めすぎて地面が抉り返して足場が無くなり転倒したのだ。
「う、嘘だろ」
「地面抉るって。どんな個性だよ」
「不死黒、悪いが地面を抉らない程度に手加減しろ」
「は、はい」
そのあともう一度やり、次は地面を抉らずに走り切れた。記録は3秒56、飯田に続いて2位だった。
第二種目は握力。
「540ってアンタゴリラかよ!! いや、タコか」
「タコって…エロいよね。」
握力では障子の540㎏が最高か。抜かすのは無理そうだな。
てか、八百万が万力で1㌧て記録を出しているんだが…。あれは握力じゃないよね?でも個性把握テストだから有りなのか?あ、もう俺の番か。
「ほんじゃあいっちょ全力で!」
握力計を握るり、呼吸を整えると、腕の筋肉が一回り大きくなり血管が浮き出るほど力を入れる。見ている者はそれでも驚くが出た記録は。
「128か、まあまあだな」
握力計を返すと手を振りながら呟く。
「いやいやいや!128とかヤバすぎだから!」
「?障子って人や八百万さんと比べると普通だろ」
「お前も化けもんだ!」
一騎は上鳴と話ながら移動してると切島や芦戸も会話に入り次に向かう。
第三種目 立ち幅跳び
立ち幅跳びはこれと言って凄いのは無い。強いて言うならさっきからユエに似た子がずっと右眼側に刺青みたいなのが浮かんでいることかな。
それと砂場は一般学校と同じ大きさだった。
「それじゃあ行きまーす!」
右手を挙げてのんきに宣言すると、砂場の縁から助走無しで砂場を飛び越えた。
「おい、助走無しで砂場を飛び越える奴が居るか」
「え? 砂場を飛び越えるの何人かしてましたよ相澤さん」
「彼奴らは個性を使ってだ。お前、無しで越えるなよ」
「じゃあもう一回します?」
「いい。記録は測定不能だ」
「はーい」
この後は反復横跳び、上体起こし、長座体前屈とやったが面白みないので飛ばす。
結果だけ言うと反復横跳びは125回、上体起こしは95回だった。長座体前屈は普通に手の平が足の裏に着くぐらいは出来る。それをすると女性陣に驚かれたよ「自分より体柔らかい!」って。
因みにY字や足を広げて胸を地面に付ける奴も出来ると言ったらホントにやらされた。相澤さんには「なにしてんだ」と言われチョップされた。解せぬ。
第七種目 ハンドボール投げ。
「赤血橾術、赤縛」
赤い紐常の物をボールに巻き付けた? ああ、戦国時代によく使われたという投石か。
・・・ん? なんか血のにおいがする。あの赤い紐はあの子の血で出来てるのか。
そのまま少女はボウルをクルクルと回し初め最後は頭上で回し、シュン!と風を切る音を立て遥か遠くに飛ばす。
「百斂」
突如手をパン!!と合わせると指先を既に見えずらいくらい離れたボールに向け、呼吸を抑え心拍数を落ち着かせる。
「穿血」
呟いた瞬間に合わせた手の中からビーム状に何かを放つ。
まず、百斂で手の中で血を圧縮し、穿血で合わせた手の1カ所から圧縮した血を放ち、ボールにぶつける。既に降下していたボールは穿血がぶつかったことにより更に距離を伸ばす。
そして相澤が見せたスマホの記録は978,6だった。
「スゲ・・・!」
あのビームみたいなのは水鉄砲に近いやり方か?でもあれであの記録か・・・俺超せるかな?
「次は緑谷か。大丈夫・・・ではなさそうだな」
もの凄くカクカクしながらロボットみたいに動いてる。まああんな記録見せられたら当然か。
緑谷の結果、ソフトボール投げ(1回目) 緑谷出久 46m だった。
「な…今確かに使おうって…」
絶望した表情で呟く緑谷。相澤は髪を掻き上げ、そんな彼の姿を“視ていた”。
「個性を消した。つくづくあの入試は合理性に欠くよ。お前のような奴も入学できてしまう(まあ、不死黒のような奴も居るが)」
「消した…!あのゴーグル…そうか!視ただけで人の個性を抹消する個性!抹消ヒーロー・イレイザーヘッド!!」
「だれ? 知ってる?」
「アングラ系ヒーローだよ。極度にマスコミを嫌うからあんまり知られてないんだよ。耳朗さん」
「へー。不死黒って物知りだね」
「いや一度会ってるから」
「SMASH!」
「え・・・は?」
俯いていたが突如顔を上げるとかけ声と共にボールをブッ飛ばした。結果は706mの大記録。
「先生…! まだ…動けます」
スゲぇな。しかも指の痛みに涙を浮かべるながら、変色して腫れ上がった人差し指すらも握り込み、力強い拳を作って相澤さんにアピールか。相澤さんも思わず目を見開きニヤリとしとる。
てか、緑谷は個性持ってたのか?ならあの時に言ってたのは嘘?いや、ソレはないあの時の目は嘘を言ってなかった。
「その日以降に個性が目覚めた?」
そこのまで推測して一騎は悲しい表情を浮かべる。
「お前はそっち側に行ったのか」
最初は悲しく思っていたが、それと同時に嬉しくなり、直ぐに明るい表情に変わる。
(良かったな。個性が発現して! なら俺がしてやれることは応援してやることだな!)
「どーいうことだ!ワケを言え!デクてめぇ!」
そんなことを思っている時に、爆豪はブチ切れて両手を爆破させながら緑谷に襲いかかる。
「させねぇよ」
だが、一騎は即座に反応して爆豪との距離を一瞬で詰める。
そこからは手慣れた動きで、爆豪に足を引っかけ前に押し倒すと直ぐさま右腕を掴み背中に回し手の平を背中に当てる。そして左手も似たように手の平を地面に当て押さえつける。
これにより爆豪は個性を使い抵抗しようと意味が無く完全に制圧される。
「ガァ! 離せやぁクソが!!」
「人が頑張って出した記録にケチを付けるな。そしてテストの順番でも無いのに個性を使うな」
それだけ言うと、抵抗の力が無くなり落ち着いたと思い押さえつける力を緩める。が、次の瞬間に爆豪は勢いよく左腕を振るう。だが一騎は体だけ後ろにそらし楽々避けると爆豪の死角から移動して緑谷に急いで近づき爆豪に向き直る。
「テメェ~、ぶち殺す!」
あちゃ~。頭を冷やしたと思ったら火に油を注いだか。てか脅しで個性使うなよ、ヴィランかよ。
クラスメイトは慌ててるな、ごめん。相澤さんは傍観か・・・?いや、違うな。見極めてるのか。
「なら、やれよ」
両手を大きく広げ無防備な体勢を取る。
「ふ、不死黒君!?」
「大丈夫」
驚く緑谷に優しく声をかけ安心させる・・・ことは出来ないが、大丈夫と告げる。
「無抵抗の奴に個性を使う、暴力を振るう、それはヴィランのそれと何ら変わらない。いま個性を使えば間違い無くお前は除籍だぞ」
「アァ”!」
「雄英は自由が売り文句。個性を使うのも自由。そして生徒の如何は教師の自由。もし暴れればヒーローとしての素質無しとみなされ除籍されるぞ。
除籍がこのテスト最下位の者だけとは限らないからなぁ~・・・・・慎重に選べ」
少しの間を置くと爆豪は「クソが! 覚えとけよ」と悪態をついて元の位置に戻る。
「あ、ありがと不死黒!」
「気にすんな。俺がやりたくてやったことだ。 それより一年前は無個性だったのに今は個性持ち。ちゃんと話を聞かせて貰うぞ」
「う、うん・・・」
「不死黒あとはお前だけだ。早くやれ」
「はーい」
・・・ん? てかオールマイトはさっきから顔だけ物陰から出してこっち見て何してんだよ。体勢が恋するJKなんだよキショい。
「ふふ」
「どうかなさいましたか?」
突如小さく微笑む銀髪の少女に八百万が声をかける。すると彼女は笑みを浮かべ答える。
「やっぱり格好いいなと思って。 百ちゃんもそう思うでしよ?」
「え?ええ、そうですわね。あの行為は立派でしたわ」
「でしょ」
二人は声を抑えて喋り、不死黒のボール投げを見る。
「じゃあ!やるか!!」
そう言って不死黒はボールを軽く上に投げると一瞬だけふわっと浮かんだボールは直ぐに地面に落ちる。そしてまさかのバウンドしたボールを思いっきり蹴り飛ばす。
(((蹴り飛ばしたぁ!!?)))
恐らく初めてほぼ全員の心の声が重なった。そして出た記録は。
『679メートル』
「嘘だろ、蹴りでその記録って」
「どんな増強個性だよ」
「そりゃあ0Pヴィランを駆け上がるだけの脚力あるわ・・・」
「ウチあれ見て開いた口が塞がらなかったもん。流石」
皆は蹴りで出した記録に驚くが、相澤は一度溜め息をすると一騎を見る。
「ダメだ不死黒。もう一回だ」
「なんで!?」
「記録は出たが、ワンバンしただろ」
「・・・あ」
「次は、普通に全力で投げろ」
相澤の意味深な言い方に一騎は少し考えてから小さく笑う。
そして相澤から投げられたボールを掴むとピッチャーの様に構える。
「飛んでけぇええええ!!!」
呼吸を整えてかけ声と共に勢いよく投げ飛ばすと、ボールは瞬く間に見えなくなる。
一騎が相澤を見るのと同時に皆も相澤を見る。すると直ぐに相澤は目を見開き驚きの表情をして皆にスマホの画面を見せる。
『1641メートル』
「「「1㎞超え!!!???」」」
お!そこそこ行ったな。・・・てかもの凄く爆豪に怖い目で睨まれるし、髪の毛が半分赤、半分白に別れてる男にも睨まれてるし。
何よりユエに似た女の子にはもの凄く優しい目で見られてる。・・・なんか爆豪の視線に殺気が乗り始めてる。
最終種目 持久走(5km)
「見ての通り雄英はグラウンドもでかい。カラーコーンを置いたレーンの外周は1周1kmある。5周走れ。他の奴を妨害するなよ。周回数のチェックは機械がしているから、ずるは出来ねぇぞ。スタート位置に着け」
皆スタート位置に向かうが一騎だけは八百万から返して貰った重り入りの袋を相澤の元に置きに行く。そのついでに着ていた上下のジャージを袋の上に畳んで置く。その横には靴と靴下も置き裸足で走るつもりだった。
「不死黒、裸足で走るのか」
「はい。グラウンドとかなら裸足の方が走りやすいので」
「そうか。そのUVカットウェア邪魔にならないのか?」
「ならないと言えば嘘になりますが、慣れてますので。それに俺の体はお目汚ししてしまうので見せたくないんです」
「・・・すまない。 無神経だった」
「相澤さんは優しいですね」
「五月蠅い、早く位置に着け」
「はーい」
気軽に返事をすると位置に着く。それから直ぐにスタートとなる。
みんな早いな。俺は前の方から五番目だ。
1番から、脹ら脛からマフラーが生えた飯田。原付を何時の間にか作ってる八百万。氷を断続的に生成して前方に進む轟。常に爆破を使い推進力を生んでる爆豪。
そして俺の順番だ。・・・そしてスタートからずっと俺の後ろにユエに似た子が居るんだよな。
「・・・あは! 体が温まってきた!!」
口角を吊り上げ笑みを作ると、更に速力を上げる。
あっという間に爆豪と轟を抜かし3位に躍り出る。そしてみるみる轟との距離を開ける。だが一騎の真後ろにはあの女の子も汗一つかかずに追いついていた。
「ッチ」
「クソが!!」
更にどんどん速度を上げる二人の後ろ姿を見ていた轟と爆豪は苛立ちを露わにしていた。
因みにこの後は原付に乗る八百万ですら追い抜かすと言う速度で走った。八百万は原付の規則制限を守っていたから抜かされたのだ。
☆
「んじゃ、パパッと結果発表だ。口頭で説明すんのは時間の無駄だから一括開示する」
相澤は端末をポケットから取り出し、スイッチを押した。すると空中にホログラム映像が現れ順位が発表される。
「うっう」
だがその時、近くに居た臍からキラキラビームを出す青山がお腹を押さえ苦しみだし、一騎は声を掛ける。
「お、おい大丈夫か?」
「うん僕、1秒以上個性を使うとお腹を壊しちゃんだ☆」
「そうか。余り無理はするなよ」
メルシーと言われ、大丈夫だと思い前を向くと既に順位の表示は終わっていた事に「オウマイガ~」と呟いていた。
「ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す合理的虚偽。」
「「「はぁぁぁぁ!?????」」」
数名の者を除いてほとんどがその発言に驚く。最下位だった緑谷は特に驚きすぎてヘナヘナになっていた。
「あんなのウソに決まっているじゃない…ちょっと考えればわかりますわ……」
「それはどうかな。 物は言いようだよ、八百万さん」
「どう言うことですの?」
「恐らくだけど、最下位の人が除籍にならなかったのは、ヒーローに成る素質を見たからじゃないかな?」
「そうでしたの」
「まあ予想でしか無いけどな。それより俺の順位何位か知ってる?」
「見てませんでしたの?」
「ちょっと目を離した隙に消えてて」
「まあ、よそ見はいけませんわ! それで不死黒さんは2位でしたわ」
「そう。ありがと」
「どういたしまして」
2位か。全然ダメじゃんか。このままじゃ、無個性の俺が真っ先に除籍候補か・・・。
「これにて終わりだ。教室にカリキュラムなどの書類あるから目ぇ通しとけ」
そしてその場は解散となった。
教室に戻ると何時の間に置いたのか机の上に明日からの日程表と教科書類が置かれていた。これ全部覚えるのに三日は掛かるかも・・・。
「お、緑谷。お帰り、指はどう?」
「うんリカバリーガールに治して貰ったよ。凄く疲れたけどね」
「そうか。・・・個性のこと聞こうと思ったけどまた今度にするは。今日はもう帰ろう」
「・・・うん。そうだね」
そういってカバンを持って後ろの扉から出ようと、後ろ側に行くと進行方向にユエに似た子が行く手を阻む。
「あのなにか?(気まずい)」
「何でですか?」
「え?」
「なんでずっと無視をするんですか?」
二人の姿に何か少しヤバいのでは?と思う者もいたが全員が黙って二人の事を見ていた。
「今日、いいえ。入試の時にも会ったのになんで声を掛けてくれないのですか?」
「え? だ、だって・・・」
「それとも私が嫌いになりましたか? 私を疎ましく思いましたか?」
「う、うそ・・・だろ」
少女が1歩進む度に一騎は1歩後ろに下がる。
「ねえ」
「・・・あ」
窓側まで下がると、少女に足を引っかけられ胸を押され壁にぶつかり座り込む。
そして少女も一騎の足の上に座ると四つん這いになり顔を近づける。
「お前本当に・・・ユエなのか?」
「やっと気づいてくれましたか。 愛しの・・・お兄様♡//」
ユエが雄英入学・・・だと!?
次回「嬉しい再開」
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