無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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うん。こんかいは色々と・・・・・・うん。

今回は色々と原作キャラ達が精神的に追い詰められるので、ご覚悟を!


第21話:USJ④

 

 全員いま起きている状況が理解出来ていなかった。

 死んだと思った一騎は生きており、瀕死の状態でありながら瞬く間に脳無を殺害したのだ。

 

 皆が唖然としている中一騎は脳無の脳を右手で鷲掴みにして力を込める。するとまるでハンバーグのタネをこねてるかのようにグチャグチャと音を立てる。

 その度に脳無の体がびくんびくんと動くがそれでも止めず、遂には脳をもぎ取ってしまった。

 

 脳無は脳が無くなった事で体は動かなくなり再生すらしなくなった。脳無がその名の通り脳の無い者に成り代わった瞬間だった。

 

「はあ? お、おい。何してる脳無!なんで再生しないんだよ! ・・・ヒッ!」

 

 死柄木は脳無に呼びかけるが、もう死んでいるために動くことは無い。そして一騎はもぎ取った脳を地面に落とすと踏み潰し数歩死柄木の方に足をゆっくりと進めると止る。

 

「な、何してる黒霧! 帰るぞ!」

「す、すみません。体どころか個性すらまだ使えません」

「なんなんだよ、なんなんだよ!! オールマイトは居ないし!脳無は無個性のバグ野郎に殺されるし!! あああああ!!」

 

 死柄木は癇癪を起こした子供のように怒り首を掻きむしる。

 

「はいはい!もう終わり!」

 

 だがそんなとき不釣り合いな明るい声で喋る者が居た。

 全員がそっちを見ると八百万達の横にエリクが何時の間にか立っていたのだ。エリクが喋るまで誰も存在に気づかなかった為に急に現れたのに全員が驚く。だが、それを気にせず彼は黒霧の元まで行く。

 

「動けないの?」

「はい。人間の電圧がなんとかかんとかと」

「なるほど。それ」

「ぐああああああああ!!」

 

 急にスタンガンを取り出すとなんの躊躇も無く黒霧に押し当てる。それにより黒霧も苦しむもそれも一瞬ですぐに止ると体が動くようになっていたのだ。

 

「ど、どうして!?」

毒をもって毒を制す(電気をもって電気を制す)だよ。さて、あの遺体を持って早く帰れ」

「はい」

「巫山戯んな!」

 

 黒霧がゲートを開き撤退しようとした時に死柄木がエリクに怒鳴る。

 

「あのガキの始末はお前がする予定だったろ!!」

「始末するとは言ってない。相手をすると言っただけ」

「だったら今すぐあのバグ野郎を殺せ!!」

「嫌だ」

「ああ”あ”あ”あ”」

「全く五月蠅いな」

 

 エリクは呆れたように呟くと誰の目にもとまらない速さで死柄木に腹パンをキメ気絶させる。そして前のめりに倒れた死柄木の頭を踏みつける。

 

「調子に乗るなよクソガキ。そもそもレベル1のSRキャラがレベル100のNキャラに勝てるかよ。そもそも自身で考えない欠陥品が一騎に勝てるわけ無いだろ?あれ、同じ意味か。

 まあ、負けたのはテメエがちゃんと作戦も考えずにバカみたいに乗り込んだのが原因だろうが!」

 

 語尾を強くして言うと死柄木の頭を少し強めに蹴り黒霧に顔だけを向ける。

 

「黒霧。速くこのガキを連れて帰れ」

「は、はい。もとよりそのつもりです」

「そう」

「貴方はどうしますか?」

「俺は自分で帰るよ」

「了解しました」

 

 返事をすると黒霧はワープゲートを開き死柄木と脳無の遺体共々姿を消す。

 そして残ったエリクはドサリと何かが倒れる音が聞こえ振り向くと一騎が前のめりに倒れていたのだ。

 

「やっぱり殴られた時から意識は無かったか。・・・はあ~ッチ」

 

 エリクは少しだけ生徒達を見ると深く溜め息をつきイラつくかのように舌打ちをして足を進める。

 

「一騎、お前は可哀想にな。お前はクラスメイトを友を守る為に命を賭けて戦ったのにその守った奴らはお前の命なんてどうでも良いみたいだ。

 誰一人としてお前の怪我の手当どころか近づく者すら居ない」

 

「「「「「ッ!!」」」」

 

 そしてエリクは一騎の元に行くと仰向けにして手当を始める。

 

(目に刺さってる奴は下手に抜くのはダメだな、脳に達してないといいが。左指は最悪だな。素手で刃を握ってたから小指薬指は切断、中指人差し指は千切れかけか。肋骨は殆どが砕けてる。脳無の攻撃を受けたにしては粉砕じゃない?ああ、ギリギリ不壊を使えたのか。そして内臓はヤバイな、肝臓は潰れてる。エリザベートからポーション()を貰っといて良かった。少しはもつ)

 

 手当を始めると少し生徒を見ると少しニヤつき口を開く。

 

「可哀想にな一騎。お前は幼少の頃から努力して無個性と分っても努力してここまで来たのに、個性が有るだけで大した努力をしてない奴らを守ってお前の人生は終了だぞ?

 貴様らは良いよな~個性があるだけで此奴みたいな大層な野望も無く、有名になりたい金の為モテたいからとくだらない理由や無個性に対して来世は個性が宿ると信じて屋上からワンちゃんダイブとか倫理観欠如したこと言う奴もヒーロー目指せるんだからな。・・・なんでお前らは一騎を助けようと動かない?

 

 (個性)の無い此奴は守る為に脳無と戦ったのになんで(個性)あるお前らは何もしない?お前らは分不相応な戦場に足を踏み入れて此奴を死に追いやっていたんだぞ

 ああ~それともアレか?やっぱりお前らに取って無個性の奴は死んでも良いということか」

 

「な、にを!」

「ナニ?」ギロ

 

 最後の言葉に切島は否定しようとしたが睨みつけや放たれた威圧に怯み後退ってしまう。するとエリクは少し鼻で笑うとまた口を開く。

 

「殺気も籠もって無いのに怯むのかよ。お前らマジでさぁ本気でヒーロー目指してないんだったら今すぐヤメロよ。・・・そして、八百万家の嬢ちゃん、お前どうやって責任取るんだ?」

「え?」

「え?じゃねぇよ。一騎の怪我は酷い、命は助かってもヒーローの道どころか普通の人生すら送れなくなるぞ。どう責任取るんだ?此奴が死ぬまで人生全てをかけて介護し続けるか?いや、ああ、責任は取らないか。四大財閥のお前は家が金で黙らすか。此奴は親にも捨てられて1人暮らし、もみ消すのは簡単だな」

 

「そ、それは、あああ」

「知ってるか? 力を伴なわない綺麗事は悪だ。力も無いのにそんな事をほざけば自分か周りを殺す・・・今みたいにな。結局主犯には逃げられ一騎は瀕死。最低だな、お前のせいで此奴は一生夢を追えないかもよ

 

 『無個性も笑って暮らせる世界』と言う夢を」

 

 その言葉に全員驚き、暗い顔をする。

 

「そ、そんなのあんたらヴィランが来た所為でしょ!!」

 

 だが、耳朗が否定する。一騎の怪我はヴィラン襲撃のせいだと。

 

「そこを言うか。確かにそうだな。だがな、そもそもヒーローは誰かを手助けして助け戦い守る者だ。ヴィランとの戦闘はしょっちゅうだ。なのにコイツの怪我は俺達ヴィランが来た所為だぁ?それを本気で思って言ってんならお前はヒーローに相応しくねぇよ!」

 

「なっ!?」

 

「そもそもなぁ、本来の一騎ならこんな怪我をしなかった。お前らが戦いもせず・・・いや、戦えないくせに出しゃばり戦場に足を踏み入れ邪魔な位置で突っ立ってたせいだぞ?

 それを人のせいにするか?てか、お前らは気づいていたか?一騎はずっとお前らを庇いながら戦ってたぞ。お前らが巻き込まれないように・・・まあ何が言いたいかと言うと、お前らさえ居なければ一騎は怪我をせずに主犯を捕まえ全て丸く収まっていたんだぞ。そこをどう思う?なあ」

 

 正論過ぎた。全員自分たちがいなければどれだけモット一騎が楽に戦えたかと今さらになって気づいた。そして一騎が瀕死になったのも自分たちの所為だと理解する。そうすると何も言い返せない。八百万を初め殆どの者が涙を流していた。

 

「お前らは分ってる?お前らさえ、いなければ一騎が脳無を殺すことは無かった。お前らが一騎を人殺しにしたんだよ!分っているのか!」

 

「「「「・・・・」」」」

 

「答えろよ!!」

 

「「「「「ッ!」」」」

 

 エリクは怒鳴る。しかし、それでも誰も怖くて答えられない。それはヴィランに対する恐怖から来るものじゃない。親や教師に怒られて怖くて答えられないのと同じ恐怖だった。

 それを見たエリクは失望したとでも言うかのように溜め息をついて一騎の手当を終わらせる。

 

「さて、手当終わり」

 

 そう言うと一騎を優しくお姫様抱っこの様にすると優しく微笑み語りかける。

 

「行こうか一騎。表の世界では無理でも裏の世界ならお前の怪我を治せる。無理でも体の大部分を改造して機械にしたら生き延びれるからな」

 

 そして歩き出した瞬間にusjの扉が爆発したかの様な轟音を鳴らし壊される。そこから現れたのは知らない人は居ない、平和を体現した男、オールマイトだった。

 

「皆、もう大丈夫。何故って?私が来た!!!」

 

 その顔に浮かんでいるのはいつもの笑みではなく、怒りだった。

 

(不甲斐ない!生徒がどれだけ心細く怖かったか!後輩がどれだけ頑張っていたか!飯田少年が校舎前で気絶させられているのにも気づかないなんて。本っ当に不甲斐ない!!・・・!)

 

 自身の不甲斐なさに怒りを抱いてる中オールマイトの目に一騎を抱きかかえた見知らぬ男をとらえる。その時点で敵だと確信し、瞬間移動かと思える速度で目の前まで移動する。

 しかも来る途中に立っていたヴィラン達を数名気絶させていたのだ。生徒達はそれで驚くもエリクだけは冷め切った目で全てを見ていた。

 

「ヴィランよ、その子を返して貰おうか!」

「うるせぇ黙れカス。死ね」

「っ!?」

 

 とてつもない気迫に晒されてもエリクの態度は変わらずそれどころか言い返したのだ。

 

「返せ?巫山戯てる?お前に一騎を助ける資格も守る資格も無いんだよ!」

「どう言う意味だ」

「ならストレートに言ってやるよ。無個性差別したテメェにこの子を助ける権利はねぇんだよ!」

「ッ!」

「え?」

「は?」

 

 突然の言葉に全員驚きオールマイトですら動揺した。一騎を無個性と理由で夢を否定した事を知ってるのは教師陣だけだと思っていたからだ。

 

「一騎が幼少の頃からしてきた努力も知らないで、無個性と言う色眼鏡でしか見なかったお前が助ける?バカも休み休み言え」

 

「ック。そう、私は彼が無個性と言う理由でヒーローになるのを否定してしまった。だから!例えこの命と引き換えになるとしても不死黒少年を助けなければならないのだ!」

 

「傲慢だな。・・・そもそも一騎がお前なんかに助けられたいと思うか?助けられたと知ったら自殺するかもよ?そしてそんなことで許してくれると思ってるのか?」

 

「許して貰えずとも私は何度も助け、守り、そして導く!」

 

「あのさあ、そう言うきれい事は良いが。もし、お前が無個性差別してたことが世間に知られたらどうなると思う? マスコミとかはお前を非難するだろう。だが、お前の極度のファンはどう思う?お前が悪いと思うか?答えはNO悪いのは無個性のくせに分不相応な夢を見た此奴のせいだと思い此奴に差別の牙を向け傷付ける!」

 

「そ、そんな事はあり得ない!」

「あり得ない、ことはあり得ないんだよ。お前は今のご時世無個性がどの様な仕打ちに合ってるか知ってるか?男ならサンドバック扱い。女だと酷ければ慰み者、只の性処理道具扱いだ」

「な!」

「テメェが関わるだけで一騎は傷つくんだよ。分ったら一騎に関わるな、とっとと失せろ! ブチ殺すぞ!!

 

 とてつもない殺気を放つ。見えて無いはずなのにエリクの後ろには何処までも暗い死の様な物が広がるのが皆は見えた。

 そしてエリクが一歩踏み出す度に全員死が近づいてくるのを感じた。

 

 そのとてつもない殺気にオールマイトは一歩後退してしまい生徒達は全員腰が抜け座り込んでしまう。チンピラヴィランは殺気に当てられて気絶する者も出始める。

 

――ぺちん。

 

 だが、そんなとき何かを優しく叩いたかわいらしい音が鳴る。そしてその理由を全員は見ていた。見て、驚愕した。それは気絶しているはずの一騎が腕を上げエリクの頬を叩いたのだ。

 

「は、はは。あっははははは! なあ見たか?! 此奴は例え瀕死で気を失ってても誰かを守る為に動く。素晴らしい!これこそヒーロー!たかだか殺気をぶつけられたぐらいで怯む奴らとは違う」

 殺気を納めると嬉しそうに笑顔を作り一騎の額に少し頬ずりをする。

 

「一騎は無個性と分っても努力をし続けた。自分を徹底的に追い込み鍛えた。時には困ってる人を助けた。

 迷子の子の手を引いて親を探してあげたり迷子センターに連れて行ったり。それに今のヒーロー共は目立つことを考えるがコイツは違う。周りに馬鹿にされ指を刺され嗤われ続けても奉仕活動をしていた。

 お前が一騎と出会ったあの場所だって、元は大量の不法投棄が有ったんだ。それをコイツは一人で綺麗にしたんだよ」

 

「ッ!」

 

「なあ、なんで一騎を無個性の色眼鏡でしか見なかった?お前は一騎を見限ったろ?無個性を理由に。今更都合良すぎるんだよ」

 

 エリクは殺気などぶつけず静かに怒る。その姿を見る者は全員思った、まるで父が息子のために、兄が弟の為に怒る。そんな姿だと。

 

「一騎こそが真のヒーロー、いや、英雄になるべき男だ」

 

「・・・綺麗」

 

 チンピラかはたまた生徒側かは分からないが誰かが呟いた。一騎に向けて微笑みかけるエリクの姿を綺麗だと。

 今の二人は親子、否、エリクの見た目は二十歳前半な為に少し年の離れた仲の良い兄弟に見えた。絵を描けば美術館に飾れるほど美しいモノに。

 

 

 そしてエリクは歩きだす。だが、通すまいとオールマイトが行く手を阻む。それに舌打ちすると周り聞こえない音量で話す。

 

「お前さぁ№1の称号に調子乗ってたんじゃ無いか?」

「何?」

「今のお前を()()()()()が見たらどう思うかな?」

「な、なんで貴様がお師匠を・・・貴様は一体何者だ!?」

「俺の事はどうでもいい。なあ、なんで一騎じゃ無く、戦いのたの字も字らない、自分から進んで努力もしなかったアイツを選んだ?お前は無個性差別どころか只の差別もしたんだ」

 

「ち、違う!私は――」

「菜奈ちゃんはお前の夢を否定したか?無個性で有りながら平和の象徴になると言ったお前をイカれてるとは言ったが否定はしなかった。応援されたろ。なのに何故、一騎の夢は真っ先に否定した!」

「わ、わた・・・しは」

「今頃菜奈ちゃんは草葉の陰で泣いてるぞ。お前の愚行を見てな」

「あ、ああ」

 

 その瞬間オールマイトは想像してしまった。絶対にあり得ない、恩師の言わない言葉を。

 

『俊典、なんでアンタは応援してしてやらなかった?なんで否定した?アタシは悲しいよ。無個性として生きる大変さを知ってるアンタには、アンタだけには・・・無個性の子供の夢を応援してあげて欲しかった。

 残念だよ俊典、さようなら』

 

「あ、ああああああ!!」

 

 オールマイトは膝を着き戦意喪失してしまった。生徒達は次々来る情報に処理が追いつけなくなっていた。自分たちの所為で一騎が瀕死になりオールマイトが来るも彼が一騎の夢を無個性という理由で否定して敵に屈してしまった姿。

 ただ理解出来たのは一騎を取り返せない。自分たちでは殺されるだけだった。

 

「あ、そうだ」

 

 皆がそう思って見過ごすことしか出来なかったとき階段を上ろうとしたエリクは立ち止まり振り返る。

 

「八百万家の女。お前の個性が要る、付いてこい」

「え?え?」

 

 いきなり付いてこいと言われた八百万は動揺して行動を起こせなかった。それに舌打ちすると階段を上り始める。

 

「結局お前は一騎を見殺しにするんだな」

 

 そう言われると八百万は立ち上がり叫ぶ。

 

「も、申し訳ありませんわ!やりますわ。いえ、やらせて下さい!不死黒さんを助けられるのでしたら何でも、どんなことでもいたしますわ! お、お願いします!!」

 

 エリクは八百万の声を着ても振り返るどころか立ち止まらない。

 

「そう思ってるのなら早く来いよ。愚図のノロマ女が」

「も、申し訳ありません!すぐに行きますわ」

 

 転けそうにもなるが、走ってエリクの元に行く。

 本来、ヒーローを目指す者がヴィランの良いなりになる事は有ってはならないが、今の八百万の心の中にあるのは自分の所為で一騎が死んでしまう事だった。

 もし死んでしまえば、中学で最初に出来た親友であるユエに憎まれ恨まれる事に恐怖を覚えていた。その為にもし自分が死ぬ事で助かるとなれば恐らく死を選ぶほどに精神的に追い詰められていた。

 

「久しいな、ハツカネズミ、いや根津と名乗っていたか」

 

USJを出るとそこには雄英教師陣が立っていた。エリクは多くのプロヒーローに睨まれても尚堂々として根津に話しかけていた。

 

「私の生徒を返して貰えるかな?」

「下に居る屑も同じ事言ってたな。どう見ても返す前に手術だろ。死ぬぞ?」

「そうだね。リカバリーガール、頼むよ」

「おいおい。ソイツと俺、どっちが医療に優れてるか今さら言わなくても分るだろ?お前は俺を覚えてるのだから」

 

 そう、エリクは昔にも根津やオールマイトと出会っていた。それこそオールマイトがまだ無個性の八木俊典の時代から。ただ彼は忘れていただけだが。

 そして二人が話してるときに八百万がエリクの袖をを掴み、すがるような声でエリクに何をすれば良いか聞く。

 

「あ、あの!わたくしは何をすればよ、よろしいですか」

「ああ、あそこにブルーシートをひいてコットを作れ」

「え?コット?」

「ッチ! そんなのも分らないのか! 簡易ベットの事だ!」

「も、申し訳ありません!た、直ちに作りますわ!」

 

 その八百万の態度と表情を見て教師陣は驚く。しかし八百万は気にせずに言われた通りの物を急いで創造する。

 

「まだ悩むか。ならこう言おう。借りを返せいま」

「・・・」

「どうする」

「君に任せるのさ」

「校長!」

「良いのですか!?」

「此奴はヴィランですよ」

「責任は全部僕が取るのさ」

 

 根津のその言葉に全員黙り次の指示でusj内に残ってるヴィラン殲滅、生徒の保護を命じられ全員行動に移す。

 その間にエリクは用意されていたコットに一騎を寝かせる。

 

「それじゃあ初め・・・いや、俺よりも良い奴が来た」

「え?」

 

 そう言うエリクの目線の先を追うとこっちに向かってくるユエのすがったがあった。

 

「ゆ、ユエさん」

 

 ユエは一騎の様子を見ると顔面蒼白となり今にも泣き出しそうになる。

 

「お兄様!」

「・・・っ」

「声で少しつなぎ止めたか」

 

 ユエの声を聞いた一騎は少しだけ反応を見せる。それに安堵の声で呟くエリクを見てユエは目を見開き明らか驚いた表情を見せる。

 

「な!なんで貴方が!?いや、それよりお兄様に何をした!」

「原因は俺じゃなくてそこの女」

「え、モモちゃん?」

「ゆ、ユエさん。ふ、不死黒さんは」

「いや、あとです。今はお兄様を」

「そう良い判断だ。まず此奴の体内を見ろ、お前の個性なら容易いだろ」

 

 コクリと頷くと目を瞑り一騎に手を翳す。しばらく経つとエリクが口を開く。

 

「よし。把握出来たな。そのまま治癒だ」

「はい」

 

 すると一騎の体が蒼白く光り出す。だがエリクは顔を顰める。

 

「ダメだ全体過ぎる。その個性は一部に限定すれば速度は倍近く上がる。まずは完全に砕けてる骨からだ。内臓は刺さってる骨を全て抜いてからだ」

「分かった」

 

 返事をした後にユエの左の赤い瞳が光る。

 

(目の色が変わった。ゾーンに入ったかな?)

 

 

 ~十数分後~

 

 

「お、終わった」

「よくやった。後は一騎の精神の問題。・・・さて行くか」

 

 振り向くとヴィラン搬送が終わり教師陣が戦闘態勢で見ていた。それに不適な笑みを見せ近づくがユエが呼び止める。

 

「待って!なんで貴方がお兄様の側に居たの!」

「・・・フッ。ユエ、一騎を死なせたくなかったらずっと手を握って側に居てやれ。死んだと思い込んでいたら二度と目を覚まさないからな。手を握り続けるのは案外効果的だぞ」

「・・・は?いやまって答えになってない!」

 

 呼びかけるも答えず、大人しく手錠を掛けられ専用の護送車に乗り込んだ。ユエはそれをただ黙って只見ていることしか出来なくなった。

 

 その後運ばれてきた重傷の相澤と13号を見ると目を見開き急いで駆け寄り治癒を施した。無論一騎との約束が有るので後遺症が残らない程度にはだが。そして終わり振り向けがクラスの全員が自分を見ていた事に気づく。

 

「あ、あのユエさん。不死黒さんの怪我は私の所為なんです。っ私が・・・!」

 

 自分の所為だと言った時にユエが近づいてきたことで叩かれると思いながらも続けて喋ろうとしたが、ユエが自分に何もせず、何も言わずに横を通り過ぎたことに驚き振り返る。

 するとユエはストレッチャーに乗せられる一騎の側に行くと振り返り口を開く。

 

「大丈夫ですよモモちゃん。お兄様は優しいから皆を守る為に庇ったんですよね?それに聞きました。相手してたのはオールマイトを殺す兵器だったんでしょ、だったら流石のお兄様でも無傷では居られません」

「あ、ちちが」

 

 違うと言いたかった。本当は脳無に完膚なきまでの勝利を収めていた。だが自分が余計な事を言って余計な事をした所為で一騎が瀕死の重傷を負ったと言わなければいけなかった。でも怖くていえずに居た。

 

「それにねモモちゃん。大丈夫」

「え?・・・!?」

 

 そんなときユエになを呼ばれ、初めてユエの顔を見て息を飲んだ。 何時もはアクアマリンの様な綺麗な蒼い瞳とルビーの様な紅い瞳が、今は何処までも飲み込む様な黒く濁った目をしていた。

 それを見た瞬間に八百万は心の底から震えだしそうになるのを感じた。

 

「ゆ、ユエさん何が大丈夫なんでしょうか」

「それはね、もしこのままお兄様が死んでしまっても私は・・・・後を追うだけですから」

「!?」

「お兄様の居ない世界に価値も無ければ生きる意味も無い」

 

 一騎が死ねば自分も死ぬと言うことを聞いた八百万は開いた口が塞がらなくなった。そして必死に声を出そうとするが声は出ず、ユエはそんな八百万を見ると薄ら笑みを浮かべ横を通り過ぎ一騎の乗せられた救急車に乗る。

 

「あ、ああああああ!!!」

 

 八百万は遠ざかる救急車を見てその場で泣き崩れる。

 教師や警察は何が有ったのか分らず心配して駆け寄るが、A組は全員暗い顔をして俯いているだけだった。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

 そして八百万はただひたすらに謝罪を繰り返していた。

 

 

 

 ☆

 

 

「ふっふふ~ふ~」

 

 護送車に乗せられ目の前に雄英教師ミッドナイトとスナイプが自身を睨んで居るにも関わらずエリクは楽しそうに鼻歌を歌っていた。

 

「ねえ、貴方達の目的は何」

「なんのことかな?」

 

 怒気を含んだ声でミッドナイトが聞くがエリクは首を傾げて聞き返す。

 

「何故雄英を襲撃した!」

 

 その態度に憤慨したスナイプが口を開く。

 

「知るかよ。それは主犯に聞け! まあ逃げられたか、あっははは! そもそも俺の目的は一騎だけだし」

「なんで貴方が不死黒君を狙うの!」

 

 エリクの目的にミッドナイトが声を上げる。それをみてエリクは笑みを浮かべて口を開く。

 

「だって凄いだろアイツ! お前ら教師陣は知ってるだろ?アイツの過去を勝手に調べたんだから、アイツの実の親も」

「な!なんでそれを」

 

 そう、雄英側は根津を主体に一騎の家庭環境と過去を気になり面接した日に探偵に頼み調べたのだ。そして一騎の過去を面接をした雄英教師+オールマイトは知った。

 

「なんでだろうな。それでだ、俺はアイツを気に入ってる!何故ならアイツは常に逆境に立ち向かう!無個性と分る前から差別を受け親に愛されず!そして3年前には№1のオールマイトに無個性ではヒーローに成れないと言われてなお!諦めずにここまで来た!!これほど素晴らしいものは無い!!あっははははははははははは!」

 

 何処までも嬉しそうに楽しそうに笑うエリクにミッドナイト達はイカれてると判断した。

 

「お、もうポイントまで来たか」

「何言ってるの?」

 

 いきなりの言葉に首を傾げると突如行く手を阻むように人が立っていると連絡が来る。

 

 護送車が走っているのは高速道路だが、その前方50M先に立っているのはハンターだった。

 

「さあ行くか」

 

 嬉しそうに呟きクラウチングスタートの構えを取る。

 

 

 

「ちょっと立っているってどう言うこと!」

「スタート」

 

 エリクは呟くと手錠を引き千切り、スナイプにタックルを仕掛ける。それに二人は驚くがそれが致命的だった。

 銃を奪いスナイプの腹に数発撃ちミットナイトの両肩にも一発づつ撃つ。

 

「さあ、気を付けろ」

 

 すると強い衝撃と共に体が浮遊状態になる。

 

 

 

 

「おー飛んだな」

 

 ハンターは瞬時に護送車に近づくとアッパーを打ち車を空に飛ばしたのだ。

 大きな音を立てしばらくすると服に血は付いているのに掠り傷一つ無い無傷のエリクが出てくる。

 

「お疲れ~」

「ああ。そっちもなハンター」

「マテ」

 

 二人が話していると護衛車からエクトプラズムが現れ、それに続き全身血まみれのミッドナイトがスナイプを護送車から引っ張って出てくる。

 

「あらら」

「めんど、ハンターやって良いよ」

「おうよ」

 

 まずエクトプラズムが個性を使い増えるがそれを意に介さず一瞬で本体に近づくと首を鷲掴みにして持ち上げる。

 

「ぐっう!」

「知ってか?人間には生体電気が流れてる。それを狂わせてやるよ」

「止めなさい!」

「黒雷」

 

 ミッドナイトが叫ぶがハンターは躊躇無くエクトプラズムに大量の電気を流す。

 

「ガガガガガガガガがアアァア!・・・」

 

 数秒して電撃が止るとエクトプラズムは口から黒い煙を吹き出し気を失うと個性で生まれたエクトプラズム達は消え失せる。

 次に現れた警察達に左手を向ける。

 

「獄炎」

 

 すると手から黒炎が放たれ警察数十人を焼き焦がす。

 

「終わったよ~」

「おう」

「てかエリク後ろきてる」

「ん?」

 

 言われ後ろを見ると騒動を聞いたヒーローが五人ほど駆け付けて来るも、エリクは面倒そうな顔をしながらヒーロー達の距離を瞬時に詰め全員の首の骨をへし折る。そして何事も無かったかのようにハンター下に行く。

 

「そろそろ帰るか」

「だな。って~ん?何この煙」

 

 二人の周りに薄紫色の煙が漂う。それを首を傾げてるとミッドナイトが笑う。

 

「これで終わりよ。私の個性、眠り香。これを吸えば男女関係なく眠るわ!」

「・・・だって」

 

 だが二人には効果が見られなかった。

 

「なんで効かないの!?」

「俺にこんなちんけな個性効くかよ」

 

 ハンターが答え次にエリクが答える。

 

「俺は個性の性質上状態異常は効かないの! ばーか」

 

「「あっははははははは」」

 

 二人は高笑いをする。何処までも馬鹿にするように。

 

「さあ、十分笑ったし帰るよ。お遊びはこれまで」

「だな」

 

 エリクはハンターの肩に手を置くと二人は一瞬でその場から消える。残されたミッドナイトは血が滲み出るほどに唇をかみしめ叫ぶ。

 

「なんなのよ彼奴ら!!」

 

 

 ☆

 

 その頃一騎が運ばれたセントラル病院の病室ではユエが一騎の手を握りしめていた。

 

「お兄様、早く起きて下さい。泣きそうです」

 

 目に涙を溜めて震える声で一騎に祈るように呟く。






うん。なんか色々とごめん。原作キャラ!

次回「その後」

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