無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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今回は一騎が八百万を泣かしちゃうぞ!

一騎「え!?マジ!?」

もも(やはり私は不死黒さんに憎まれて)

ユエ(モモちゃん絶対に違う想像してるな)


第24話:救助訓練!

 

 

 体育祭の開催宣言を聞いたA組は現在USJに来ていた。

 

「まああんなことはあったけど、授業は授業。というわけで救助訓練、しっかり行ってまいりましょう」

「13号先生!怪我は大丈夫なんですか!?」

 

 USJの中でみんなを出迎えた13号を見てファンである麗日が怪我の心配をして尋ねる。

 

「はい。ユエさんのお陰で戦闘は無理ですが動けるようになってきましたよ」

 

 13号の体の無事も分ったところで全員安心し、相澤は授業を進めようと歩き出す。が、そこで緑谷が呼び止める。

 

「相澤先生!前回は13号先生と相澤先生、あとオールマイトが見てくれるはずでしたけど、オールマイトは……?」

「知らん。ほっとけあんな男」

 

 だが、緑谷の質問は素っ気なくあしらわれてしまった。

 そして相澤の元、案内されたのは山岳ゾーンの谷があるところだった。

 

「ではまずは山岳救助の訓練です。訓練想定としまして、まず登山客3名が誤ってこの谷底に滑落。1名は頭を激しく打ち付け意識不明。他2名は足を骨折し動けず救助要請という形です」

 

 13号先生の説明を受けて切島と上鳴が谷を覗き込み始めた。

 

「うわあ!?ふっけええ!!?」

「2名は良く骨折で済んだなあおい!?」

「切島くん上鳴くん!何を悠長なことを!!一刻を争う事態なんだぞ!!大丈夫ですかあああ!?安心してください!!必ず助け出しまああす!!」

「おめえは早すぎんだろ」

「まだ人いねえよ」

 

 飯田が切島と上鳴を注意したあとに谷底に向けて叫び、谷底に耳を澄ますが誰も居ないために切島と上鳴が全うなつっこみを入れる。

 

「うおおお!本格的だぜ!!頑張ろうね!デクくん!!」

 

 そして麗日は説明を聞いてやる気十分に成り緑谷に声を掛けていた。

 

「じゃ!怪我人役は適当に決めたこの三人で!」

 

 といって13号が選んだのは緑谷、麗日、飯田の定番コンビだった。そして救助役に選ばれたのは八百万、轟、爆豪、常闇の四人だった。

 のだが、やはりというべきか爆豪が轟と同じ班だったことにキレ散らかし、轟が売り言葉に買い言葉で喧嘩に発展しそうになった所を八百万が叱りつけて統率を取って何とかなった。

 その事に皆が感心する中、峰田だけは八百万が前屈みになった事で強調されたお尻を見てよだれを垂らす。それを見たユエが鋭い目付きで峰田を見ると睨み付けてから相澤に声を掛ける。

 

「相澤先生、この女の敵であるエロブドウの眼瞼挙筋を切ってしばらく目を開けれなくして良いですか?あとで治癒するので」

「・・・峰田の自業自得だ。俺は知らん」

「キタコレ☆」

 

 相澤の返事を聞いた峰田は血相を変えてユエを見ると、既にその両手には血刃が握られていた。

 それを見た峰田は残像が残る程の勢いで首を横に振り、誰かに助けを求めるが全員無視。一騎ですら葉隠と話して無視していた。

 

「NO!NO!NO!!」

「じゃあ選んで、一生その目を閉じるか、自分の番が来るまで眼瞼挙筋を切って目を閉じるか、瀬呂さんのテープを目に張って目を閉じるか。今すぐに選んで、あと5秒以内に選ばないと強制的に眼瞼挙筋を斬る」

 

 ガチの目をしていたのを見た峰田は大人しく瀬呂のテープを目に貼って光を遮断した。

 その事に周りからは「自業自得」や「ユエちゃん良くやった」と言った声がちらほらと。

 

「ユエちゃん凄いね不死黒君」

「まあ、八百万は親友みたいだからな。親友にあんな目を向けられると怒るよ」

「それもそっか!あれ?そういえば不死黒くん刀とかのサポートアイテムは?」

 

 一騎はいま防刃グローブと体温保護シートのアイテムしか身につけていない。硬質篭手はエリクに、銃一つは死柄木に使われたから撃って弾いて壊し、もう一つは脳無の殴りで壊れ、刀も脳無に壊され殴り飛ばされた衝撃で最初の二つ以外の身に付けていたアイテムは壊れてしまったのだ。そして今は修理中。

 その事を説明すると葉隠は見えないがシュンとして俯く。

 

「ごめんね。無神経だった」

「気にするな」

 

 落ち込む葉隠の頭を撫でながら言う一騎。そして葉隠は撫でられて「えへへ」と少し恥ずかしそうにする。

 それから順調に他のペアも終わり、最後は救助役は一騎、ユエ、葉隠、尾白で怪我人役は八百万、耳朗、切島となった。

 

 

「どうする?不死黒」

「俺が指示して良いのか?」

「お兄様が適任ですよ!」

「そうそう!」

「わかった」

 

 三人からの推薦で一騎が指示する。事になり軽く考え、思いついた指示を行なう。

 

「まず尾白は垂直降下か道具無しで谷底まで行ける?」

「ああ、垂直降下なら多分いける」

「(多分か)ならCプランで行くか」

 

 そういってから指示を出す。まず最初にロープで救助用担架の角四カ所を括り水平でつるせるようにすると、渡橋の上でユエと葉隠を乗せ尾白と共に谷底まで安全に下ろす。次に一騎が一人で尾白に救命具を持たせ下ろす。

 下ろしたあとは救助用担架とロープをそのまま下ろし、一騎は崖をなんの躊躇も危なっかしさも無く駆け下りる。

 

「救助に来ました!」

「助かりましたわ!」

「お願いコイツ意識が無いんだ!」

 

 怪我側は切島が意識不明で八百万と耳朗が骨折役だった。それを見た一騎は即座に切島のトリアージ確認を行ない、八百万達が他に怪我が無いかの確認をしてから救助方法の指示を出す。

 

「先ず、切島を担架に乗せて俺と尾白で運ぶ。ユエは八百万を、葉隠は耳朗を背を背負って緩やかな斜面の方まで行って上に上がるよ。」

「了解です!」

「わかった!」

「わかったよー!!」

 

 三人の同意を得てから準備が終わると、一騎が先頭で移動を開始する。

 

「ユエ、葉隠、もし背負うの疲れたら言ってくれ、代わりに俺が背負うから。因みにロープで俺と担架を繋いで担架は引きずって行くから尾白も安心してくれ」

「「はーい」」

「わかった。けど、不死黒って凄いよな」

「何が?」

「いま重りいくら付けてるの?」

「丁度100かな」

 

 今一騎の身に付けてる重りが合計で百キロだと知るとユエ以外全員驚愕の表情を浮かべる。

 その後は安全に緩やかな斜面になってる所まで付く。

 

「不死黒さん、質問よろしいでしょうか?」

「なに?」

「なんで安全に登れる場所を知っているのでしょうか?」

「それウチも気になってた」

「俺も俺も!」

 

 一騎が迷い無く歩く姿に疑問を持った八百万が質問する。その疑問は耳朗達も思っていたらしく、興味津々だった。

 

「襲撃の日、俺はエリクと隣の森林ゾーンで戦ってたんだよ。その後は八百万達が居た山岳ゾーンに移動してるときに此所にも誰か居ないかざっと見たんだよ」

「その時の記憶を元にですか?」

「そう」

 

 一騎の回答にユエ以外は心から「スゲー」と思い、ユエは「流石はお兄様です!」と言って胸を張っていた。

 それから上まで上がり救助クリアになると13号から評価を貰い次に一同は倒壊ゾーンに移動する。

 

 

 ☆

 

 

 簡潔に纏めると倒壊直後という設定で4人が残りの17人を探し出すと言った物だった。

 そして17人中9人は声を出してはいけないと言う物だった。

 

「かくれんぼだー!!」

「まあ、簡潔に言うとそうですね」

 

 芦戸がかくれんぼと言うのを13号は肯定する。そのあとに一騎が手を上げて声を掛ける。

 

「先生ー」

「どうしましたか?不死黒君」

「俺とユエは気配探知の能力が有りますがどうします?俺はユエほどでは無いけど倒壊ゾーンの半分は探知できますよ」

 

 その言葉に全員驚くも戦闘訓練の時に一騎とユエはそれを遺憾なく発揮して出来る事も言っていたために全員納得する。

 そして13号は少し考えてから声をかける。

 

「ではお二人は隠れる側オンリーか見学でお願いします!」

「「はーい」」

 

 それから13号は探す側と声を出してはいけない人達の抽選する。

 

「お兄様、気づいてますか?」

「ああ。でも先生は何も言わないから大丈夫だろ」

 

 二人は13号の邪魔にならないように小声で喋す。そのあとに探す側が緑谷、麗日、爆豪、峰田と成り始まる。

 因みに峰田が変なことを言って皆がゴミを見る目で見てる中ユエは「女子に変なことしたら眼瞼挙筋斬るから」と脅して考えを止めさせる。

 

「では!出動!!」

「とりあえず散って「指図すんな!!」」

 

 訓練開始で緑谷の指示に爆豪がキレながら拒否し「俺に付いてこいカス共」と言って爆破で移動を開始する。

 その後峰田が文句を言ってから三人は散って探索に向かう。

 

「気づかれ無かったですね、お兄様」

「だなー。気配モロ出しだったのに」

 

 見つけて貰えなかったことを残念なりながら瓦礫から現れ相澤達の元に行く。

 

「お前ら何出てきてるんだ」

「だって気配モロだしなのに見つけて貰えなかったんですもの。流石に私もお兄様も驚きですよ」

 

 勝手に出てきた理由を聞いた相澤と13号はそれ以上何も言えなくなり、救助側の誰かが来るまでは四人で話すことにした。

 そこからしばらく経ってから轟音が響き渡り、尾白が急いで一騎達の元に駆け寄ってくる。

 

「先生!!ヴィランの残党が!!」

「ナンテコッタ、オレタチハマダケガデタタカエルカラダジャナイ」

「では!?」

「では?では……逃げてください!正面出口まで!早く!」

 

 相澤は棒読みで13号は演技臭い芝居をする事に一騎とユエは思わずジト目を向けてしまう。

 

「逃がしゃしないさ!全員まとめて、死にさらせぇ!!」

 

 その言葉とともに、ヴィランは震脚で衝撃波を放って周囲一帯を更地にしてしまった。

 

「先生」

「不死黒君!しっかりして下さい!恐怖に屈しては」

「あれオールマイトですよね」

「・・・なんでわかった」

「軸足の向き、歩き方、重心の動かし方。それらだけで簡単に分ります。武の心得がある人なら見れば誰だって分りますよ多分。それに俺もユエも倒壊ゾーンに入ってから気配を感じてましたよ、相澤先生」

 

 そこまで聞いて相澤達は一騎の居る領域にもはや驚くを通り超して呆れるしか無かった。

 

「で、あれはなに?」

「実はですね」

 

 そこから13号からの話では

 一つ、ヒーローは常に危険が伴う事を理解して欲しい為。

 二つ、USJで恐怖を味わったために同じ場所でもう一度強力な力を持ったヴィランと敵対し、恐怖を乗り越えること。

 だった。

 

「なるほど。じゃあ俺もそれに乗ってやろうかな」

「お兄様?」

「オールマイトは嫌いだけど、皆が成長して欲しいと思うのは一緒だからな」

「不死黒君。すみません」

「先生が謝ることはありません。これは俺がやりたくてやることなんですから」

 

 そう言うと一騎は眼下に広がる凹んだ更地で戦う爆豪と敵を見る。良く見ればその右手には轟を持っているために彼も協力していると気づく。

 と、同時のタイミングで爆豪が足を掴まれた事で、振り回され遠くに投げ飛ばされる。

 

「かっちゃん!?」

「嘘だろ爆豪!!」

「あんなバケモンとどう戦えって言うんだよー!!!!」

 

 爆豪が吹き飛ばされ脳が揺れたのか直ぐに立ち上がれないのを見て全員驚愕し恐怖する。まあ、クラスのトップスリーの内の轟と爆豪がやられたのだから当然の反応ではある。

 そして峰田が叫ぶ。

 

「何してんだよ!?助けてくれよ不死黒ぉぉぉおおお!!!!!」

 

「二虎流! 金剛ノ型・飛斧脚!!」

 

 助けを求める声が響いた瞬間、一騎は勢いよく駆け出し、威力の乗った蹴りを放つ。

 

「「「「不死黒(君)(さん)(ちゃん)!!!!」」」」

 

 一騎の登場に全員が歓喜の声を上げる。自分たちは邪魔になる位置に居ないから一騎が居ればもう大丈夫と思ってしまった。浅はかにも思って仕舞った。

 

「ほおー良い蹴りだ」

「ハ!」

 

 敵はそう評価してから着地した一騎に左腕1本で攻撃を仕掛けていく。その攻撃速度は徐々に上がっていくが、その悉くを一騎はいなしていく。

 

「よお、オールマイト」

「な!?」

「アンタの演技と目的に乗ってやる。この後わざとバランス崩すから合わせろよ」

 

 二人は軽く話し合ってかユエの叫びに近い声が響く。

 

「ダメです!お兄様!! お兄様の右膝はまだ完全に治っていません!! いま下手に動けば完全に壊れます!!!」

「しまっ!?」

 

 ユエの叫びの直後に一騎は右膝から崩れるように地面に膝を着く。それに合わせ敵は一騎の腹に一撃を入れ吹き飛ばす。

 しかし一騎も攻撃に合わせて後方に大きく飛んだ為に見た目以上に威力はないが、吹き飛ばされている間一騎はなんと吐血していたのだ。

 

「ガハ!!」

「お兄様!?」

 

 地面に落下した一騎の元にユエが駆け付けるが、緑谷達はその姿がUSJのあの時と重なり絶望と恐怖し、何人かは座り込んでしまう。八百万に限ってはもはやこの世の終わりの様な顔をしていた。

 

「みなさん! お兄様の怪我は私が治します!! 皆さんはヴィランの対処を!・・・・・・・・・・・・・・・戦場で呆けない!!!」

 

 その言葉で全員なんとか意識をつなぎ止め敵の対処に移動する。

 

「お兄様吐血の為に舌を噛み切ったんですか?」

「まあな。それよりユエから見てどう採点する?」

「甘くて20点。普通でマイナス寄りの0点。辛口で-100点ですね」

「だよな」

 

 二人は簡単に話し合ってからみんなの頑張りを見届ける。

 

 まずは復活した爆豪が戦っている間に隙を突いて、緑谷が麗日の個性で重力を消し蛙吹の舌に巻かれ投げ飛ばして貰う。

 そこから轟に近づくともぎもぎが付いている手を伸ばし轟のコスチュームにくっつけて救出する。そして、緑谷は緊急Uターンしてもぎもぎの付いた手袋を投げ捨てるとデコピンの風圧で攻撃をする。

 だが、それだけではやられなかったが、懐に潜り込んだ爆豪が大火力ブッパして敵を吹き飛ばす。その先には峰田が前もって瓦礫に大量のもぎもぎをくっつけており敵を拘束する事に成功する。

 

 作戦が上手く行ったことに全員喜び、爆豪は止めを刺そうと近づく。

 

「うっ動けん」

「止めだクソヴィラン!」

 

 それまで必死でもがいていたオールマイトだったが、ようやくマスクが外れて顔が晒された。

 

「私が来てたぁ!!!」

「「オールマイト!!?」」

 

 緑谷と爆豪の声が重なり他のA組全員も驚く。前もって知ってた人以外。

 

「HAHAHAHA!!実はちょっとサプライズ的にヴィランが出た際の救助訓練をと思ってね!!ほら、前あんなことが起きたばかりだし!!いやぁしかし皆思いの他テキパキしてて!!流石雄……ぇぃ……」

 

 そこまで話して、ようやくオールマイトの周りに集まってきている皆の視線がおかしいことに気が付いたらしい。

 

「なんか……すいませんでした……」

 

「「「やりすぎなんだよオールマイトぉ!!!!」」」

 

 一部の男子生徒から袋だたきにされる№1。なんだったら耳朗のイヤホンジャックが突き刺さったりしている。

 そこで轟が普通に歩いてるのを見て緑谷は驚き爆豪は怒鳴る。

 

「轟君!?無事だったの!!」

「テメェもこのクソサプライズの共犯か半分野郎!?」

「ああ」

 

 それを見ていた八百万は何かに気づき周りを見渡す。

 

「で、でしたら不死黒さんは!?」

 

 八百万のその言葉でオールマイトを袋叩きにしてた面々も動きが止る。

 

「呼んだか?」

「ひゃん!」

 

 いきなり後ろから声をかけられた事で八百万は驚き振り向き、ピンピンしている一騎を見て全員安堵するが爆豪はまた怒鳴る。

 

「テメェもか無個性野郎!!」

「そう。てか俺はアレが出てきた時にオールマイトって分ったから、目的を先生に聞いて合わせただけだよ」

「不死黒君、なんで分ったの?」

「軸足の向き、歩き方、重心の動かし方で分った。ただそれだ・・・・け・・・・」

 

 色々と説明している時に八百万が自分の前まで来て俯いてるのに疑問を持って声を掛ける。

 

「八百万? っ!」

 

 すると顔を上げた八百万は泣いていた。

 

「なんで泣いてるの?」

 

泣いている理由を理解出来ない一騎は首を傾げると八百万はポツポツと話し出す。

 

「わ、私本当に心配しましたのよ。不死黒さんが飛ばされた姿があの時のボロボロの姿に重なって。本当に・・・ヒック・・・本当にこわ、こわぐて・・・」

 

 そこからボロボロと泣き出し手で涙を拭う姿を見て流石にヤバいと思うも一騎はどうしたら良いのか分らず戸惑う。すると、ユエが八百万の後ろに立ってるのに気づく。

 

「ユエ?」

 

 ユエはジェスチャーを取る。それは腕を広げて自分を抱きしめるジェスチャーだった。それを見た一騎は八百万を抱きしめろと言ってると理解する。 

 

「ごめん、八百万」

「・・・あ」

 

 抱きしめられた八百万は一瞬驚くも直ぐに一騎の言葉に耳を貸す。

 

「まさかそこまで心配するとは思わなかった。ほんとにごめんな」

 

 優しく抱きしめ背中をさする。何時もは恋愛関係に目をキラキラさして食いつく芦戸は流石に空気を読んで何も言わない。

 しかし此奴は違う、一騎の姿を見た峰田が何か文句を言うが、瞬時に瀬呂がテープで簀巻きにしてオールマイトの横に転がしておく。

 

「不死黒さん」

「なに?」

「もう少し強めに」

「わかった」

 

 抱きしめる強さを強くすると八百万は一騎の胸に耳を当てる。

 

 

「ちゃんと体温も心音もありますわね」

「生きてるからな」

「ゴホン!感動の所申し訳ありませんが、講評方よろしいでしょうか?」

 

 13号は本当に申し訳なさそうに声を掛けると、二人は急いで離れる。

 

「講評ですが、不死黒君頼みましたよ」

「俺!?」

「お前が適任だ」

 

 相澤にそう言われると一度息を吐き、鋭い目付きに変わり皆を見る。その目を見て皆も話を聞く姿勢に変える。

 

「まず、なんでお前らはヴィランが一人だと思った?思い込めた?」

 

「「「「っ!?」」」」

 

「何故、索敵を怠った。耳朗!障子!お前らの個性は索敵に長けてるだろ?なのに何故お前らが索敵しない。他の奴らも何故索敵指示を出さなかった!」

 

「「「「・・・」」」」

 

「答えられないか。まあ、これで俺やユエが居たからなんて言えば殴っていたが」

 

「「「「っ!?!?」」」」

 

 その一言に皆驚くが、この言葉に関しては一騎は本気で思ってた。何なら少し怒ってる。

 だって、一騎はオールマイトの前に立ちはだかった時に見てしまったからだ。全員がもう大丈夫と安全といった顔をしたのを。

 

 だからもし皆が自分やユエが居ることで「大丈夫。全て解決する」なんて思って言っていたら、失望を通り超して皆の思考に絶望をしていた。だって自分たちはそんなに凄い人物では無いのだから。だから言わなかったことがせめてもの救いだった。

 

「お前らは残党の意味を知ってるのか?他にもヴィランが居たらどうしてた。戦場での思考停止は=死だ。いいな。

 次、爆豪!!果敢に攻めるのは良いがもっと捕まってた轟の事を考えろ。オールマイトが気を使って無かったら轟巻き込んでたぞ!」

 

「ッチ!」

 

「次に緑谷! お前のあの雑すぎる助け方はなんだ!轟は気絶した状態で捕まっていたろ、つまりは攻撃を受けたって事だ! 脳に異常が有ったかも知れない、骨が折れていたかも知れない。お前のあの助け方だと轟の状態を悪化させていたかも知れないんだぞ! 現に助け出した際に轟は両手を酷く擦り剥いて血を流している!」

 

「え!?ご、ごごごごめんね!轟君!!」

「いや、気にするな」

「はあ~。ユエ、お願い出来る?」

「わかりましたお兄様!」

 

 轟の怪我が彼自身で負った怪我なら無視していたのだが、流石に雑い助け方で怪我したでは忍びなかった。

 それに痛いのか手を握ったりチラチラ見ていたから尚更だった。

 

「・・・轟さん、他に痛いところが有ったら言って下さい。治しますので」

「いや、手だけで良い。助かる」

「助けるのなら緑谷じゃ無くて足の速い飯田がするべきだった。お前はUターンからの反撃の時に轟を若干放り投げたろ。全く」

 

 次に一騎は大きく溜め息をつき、失望っと言った表情を浮かべる。

 

「最後に、お前らはオールマイトを拘束したときに喜んで話していたな?なんでそんな事が出来た?最初に言ったけど他にもヴィランが居たかも知れないのになんで簡単に隙を見せる事が出来た!!もし居てたらお前らはそこを突かれて最悪死人が出てたぞ!!分っているのか!!

 ストレートに言うが、お前ら全員あの襲撃でなにを学んだ?」

 

 そこまで言うと全員の表情はかなり暗くなっていた。13号も内心「凄く辛口!?」と驚愕するぐらいに一騎の言葉は的を正確に射貫いていた。

 そして一騎は全員の暗い表情を見た後に穏やかな表情になり優しい口調で話し出す。

 

「でも、良かったところも有った。お前らは俺が殴り飛ばされたときに脳無にやられた時と重ね合わせたろ。そして動けなくなった。でも、ユエの言葉が有ったとしてもその恐怖を乗り越えたことは凄い事だ。良くやった、偉い」

 

 最後の言葉で全員顔を上げて驚いていた。ソレを見た一騎は更に優しい表情に成り、言葉を続ける。

 

「お前らは俺と違ってヒーローの素質が有るんだ。俺はまだヒーローへのスタートラインに向かってる途中だけど、お前らは既にヒーローに成るスタートラインを進んでるんだ。そんなゆったり歩いてると俺が追いついて追い抜かすぞ。・・・よし!こんなので良いですか?」

 

 言いたい事を言った一騎は相澤に話をふり、あとを任せることにした。

 そこから相澤からもお小言を貰い解散となった。

 

 帰りのバスの中で一騎は1番後ろの窓際に座り外の景色を見て考え込んでいた。横でそれを見ていたユエが声を掛ける。

 

「・・・」

「どうしました?お兄様」

「いや、緑谷の奴、個性の扱いが勿体ないなと思って」

「やはりそう思いますか」

「ユエも思っていたか」

「はい」

「アイツ、指の腹、指全体、手、腕全体、足、と様々なところで個性を使えている。範囲調整可能、なのに最初っから体全体に纏う感じで使うと考えていない。その上、個性発動したら直ぐ使うってのが前提条件になってんだよな。そこが勿体ない」

 

「その事を教えますか?」

「いや、教えない。何でもかんでも答えだけ教えても成長はしない。自分で考えて見つけて貰わないと」

「でも自力で見つけれなければ?」

「・・・体育祭の日にでも教えるよ」

「じゃあ今日の鍛練どうします?」

「緑谷はユエに任せる。答えは無論ヒントは無し。威力調整を感覚で掴んで貰う。八百万は俺が見るよ。槍術辺りを教える」

「分りました。・・・モモちゃんを弟子にするんですか?」

「しないよ」

 

緑谷、どうしよう。彼奴なら絶対にまた自分の命を顧みず危険な所に行く。その前に戦うすべを付けさせないと本当に取り返しが付かなくなる。

USJでもそうだったのに今回でもそれが分った。全く

 

死に急ぎ野郎め。




一騎ってなんで個性持った人以上にその人に合った鍛練内容思いつくんだろうね?

因みにこの日を境に数日間八百万は一騎の側にピッタリとくっつき、荷物を持ったりと召使いの様なことをしていたとか。

次回「宣戦布告」

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