無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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今回はユエの本当の個性が明らかになるぞ!
そして過去、オリジン的なのも!


第32話:準決勝②

 

「流石はお兄様~♡」

 

 待機室のテレビで一騎の戦いをうっとりとした目で見ていたユエは一騎が退場し始めると出迎えにいく。

 

 

「お疲れ様です!お兄様! 此方をどうぞ」

「・・・ありがと」

 

 ユエに差し出されたスポドリを受け取り喉を潤す。高火力で熱された一騎にとってはキンキンに冷えたスポドリは最高に美味しく感じた。

 だがユエは一騎がペットボトルに口を付けたのを見て少しニヤつく。

 

「ゴクゴク・・・・あー美味しい。凄く喉渇いてたんだよ」

「それは良かったです! と・こ・ろ・で! 私の味しました?」

「ん?ユエの味?・・・ごめん、スポドリの味が強くて感じなかった」

 

 と一言謝ってから何か思いつき飲み口をユエに近づける。

 

「それじゃ、ユエは俺の味が分るか確かめる?」

「ふぇ!!??」

「はは。冗談冗談」

「ムー!」

 

 からかわれた事に気づいたユエは頬を膨らましてすねる。それを見た一騎は「ごめんごめん」と謝り頭を撫でる。するとユエは幸せそうに目を細める。

 

「振るえ止ったか?」

「え、もしかして」

 

 驚いて顔を上げるユエを見ると笑みを浮かべユエの額に自身の額を付ける。

 

「大丈夫。ユエは俺より強いし、俺なんかには勿体ないほど出来た妹だ。だから自信を持っていけ」

 

 離れるとまた優しく笑う。それを見てユエは嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

「はい!!」

 

 笑顔で元気に返事をする。が、何故か次第にその笑みに陰ができ、怖さを感じるようになる。

 

「それでお兄様」

「ん?」

「足の怪我治しますね」

「・・・へ?」

「お兄様、蜃気狼使った時に関節痛めましたよね」

 

 その一言に一騎は表情を引き攣らせる。

 当然のことながら強い力には代償がある。とある空手家が真マッハ突きの完成当てない打撃を繰り出し使った腕がボロボロになり使い物にならなく成ったように。

 

 

 一騎の使った火天ノ型・極二式 蜃気狼も代償はある。

 蜃気楼は火天ノ型の足捌きをフルに使い、かつ穏急を織り交ざた足捌きと身体の動かす。その為に急加速や急ブレーキ、急な方向転換をして膝、足首と言った関節に多大な負荷が掛かる。

 

 結果、いまの一騎は平気そうにしているが両足首は骨折して、膝関節はズレて立っている事も出来ない激痛が立ってるだけで襲っている。

 にも関わらず一騎は普通に行動している。体力もごっそりと6割ほど使いもの凄く横になりたいのにだ。

 

「な、んのこと?」

 

 そしてとぼけて言う一騎にユエは手を後ろで組んで前屈みになり見上げる。

 

「私に嘘は通じませんよ」

「・・・なんで分った。の?」

「女の勘です」

「あぁ~」

(まあ、実際はつま先が4ミリほど外を向いて庇うような歩き方をしていたからですけど)

 

「別に気にしなくて良いよ?」

「良い訳ないじゃないですか」

「・・・治癒お願いします」

「はい♪」

 

 治癒するまで終わらないと悟った一騎は折れ、お願いする。それにユエは返事を返すと一騎を近くのベンチに座らせ足に治癒を施す。

 

「治りました!」

「ありがと。・・・次の試合頑張れ」

「・・・! はい!」

 

 元気に返事してから一騎が持っていたスポドリを取ると一気に飲み干す。

 

「よし! 元気エネルギー(お兄様成分)満タンです!」

「そうか」

「それでは行って来ます!!」

「おう」

 

 

 ☆

 

 

『準決勝第2試合やってくぜ!!

 容姿端麗でしかもめちゃ強!これでホントにまだ14かよ!?次も期待してるぜ!水無月ユエ!!

 (バーサス)

 一に爆破、二に爆破、三四も爆破で五も爆破!!次も爆破を期待しているぜ!!爆豪勝己!!

 

 スタート!!』

 

「おいクソガキ」

「・・・」

「全力で来いよ」

 

 爆豪の睨みながらの言葉にユエが返す言葉は

 

「いやだよ」

 

 即否定だった。

 

「あぁ"?」

「なんで人の名前もちゃんと呼ばない人の言うこと聞かないといけないの。常識を考えて下さい。幼稚園児からやり直したらどうです」

 

――ブチ

 

 年下にそんなことを言われたことで爆豪の中で何かがキレて爆速ターボで一気に接近する。

 

(アレは爆破による中距離攻撃が出来る。だから私は中距離か遠距離。しかし此所は敢えて接近する!)

「シネェ!!」

(ブラッド)(バレット)!」

「!?」

 

 両手を銃の形にして文字通り血の弾丸を飛ばす。その速度も威力も穿血には比べものにならない程下がるが、連射出来る上に当たればかなりのダメージを与えられる。

 しかし流石は爆豪。血銃を見た瞬間に回避行動に移りギリギリで全弾避ける。

 

「当たるか!」

「でしょうね。 赤血橾術、苅祓」

 

 複数の血液を円形状の刃にして高速回転させながら放つ。それと同時に焔丸を作り迫る。

 

(ただ速度を落とすのが目的だもん)

「チッ」

 

 追跡する刈祓を爆破で壊されるもユエは直ぐさま追撃に入る。

 焔丸は大太刀に見え重くみえるも見た目以上に軽く素早く振るえる。その為に爆豪は反撃しようにもユエが速く焔丸を振るい紙一重で避けるのが精一杯だった。

 

「ちょろちょろ逃げますね。赤縛!」

「!」

 

 しかし紙一重で避けれていたのはユエが調整していたためで、ギリギリの時に焔丸の半分を拘束の赤縛に回し爆豪の拘束に成功する。

 そして使うのはオリジナル剣術!

 

「血刀・壱ノ絶刀 (えん)!」

 

 身体を思いっきり捻り回転して繰り出す左薙ぎ。それは爆豪を殺さんと腹を狙う。

 

「しゃらくせぇ!!」

 

 しかし爆豪は地面に向かって強力な爆破をおこない上空に逃げ、爆熱で赤縛を無理矢理解く。

 

「シネェええええ!!」

 

 そして上空からユエ(地上)に向かって大規模ブッパを放つ。

 

(これは攻撃兼目潰しが目的!なら)

 

 残った焔丸を二つの血鎌に変えて構える。

 

「血鬼術・跋弧跳梁!!」

 

 爆破が到達する前に全方位による斬撃を放ちまさかの爆発を切り裂いた!

 

(爆破そのものを切り裂きやがった!!)

「百斂」

 

 降りてくる爆豪を見て血鎌の血を使い高圧縮の百斂を行い着地した爆豪に狙いを定める。

 

「消えろやぁ!」

 

 地面を掬い上げるように爆破でステージを抉り瓦礫片をユエに飛ばし爆煙で姿を隠す。

 

「(貫いても治してあげれば良い。だからあと少し()()()()()退()()()()。・・・・・・・・・・今だ!)

 穿血!!」

 

 高圧縮で放たれた穿血は亜音速に到達した。その威力は会場の壁全てを貫通して会場外に到達し、尚も飛び続ける程の速度と威力だった。

 

「うそ・・・・」

 

 しかし爆豪は発射される直前に天才的な感で地面すれすれまで頭を下げて躱す。しかもその状態で爆速ターボを使い超低空で急接近すると特大爆破を放つ。

 

「本気でやらねぇのなら失せてクタバレぇえ!!」

 

――BOOM!!

 

「きゃぁああああ!」

 

 爆風で吹き飛ばされるも地面を場外を免れる。

 

「グッうぅうう」

 

 が、転がったときに頭を強く打ったのか上手く体が動かなくなっていた。

 

(私が負ける?こんな奴に。お兄様に追いつけずに)

 

 

 

 ~~~~~~~~

 

 

 

私は最初の頃はお兄様が怖かった。

お兄様は何時も虐待で酷い暴力を受けていた。そしてお兄様には個性が無く私が個性を二つも発現してからは更に酷い暴力を受けて毎日、それこ虐待のない日が数えられるほど暴力を受けていた。

 

明らかに服や食べ物、部屋だって違った。私は大きめの部屋なのにお兄様は部屋とは呼べない、それこそ物置小屋と呼べる酷さだった。

 

家では虐待の暴力を受けて学校では無個性差別の虐めを受けてお兄様は常に傷ついていた。

 

そんなお兄様と違って私は恵まれていた。恵まれすぎていた。だからお兄様には絶対に恨まれてる憎まれてる妬まれてると思っていた。だから怖くて近づかなかった。

 

そんな有るとき5歳になった頃かな。クズ父が人から貰った何千万もする壺を不注意で割ってしまった。そんなとき

 

『なにしている!』

 

クズ父に見つかった。絶対に殴られると思った。例え治癒の個性が有り怪我は直ぐに治っても痛いものは痛い。そしてクズ父はお兄様に暴力を振るってる印象が強くて殴られる蹴られると思って怖くてなにも言えなかった。

なのに――

 

『ごめんなさい。僕が不注意で割りました』

 

いつのまにか後ろに居たお兄様がそんな事を言った。それに驚いて後ろを振り向くとお兄様は遠くに居た。いや、蹴り飛ばされて遠くに跳んでいた。

それを見てから私は使用人に抱きかかえられて離れていく。そして私は最後、曲がり角を曲がるときに見た。お兄様と目が合って私に笑いかけてくれた!そして

 

『大丈夫』

 

そんな風に言ったように見えた。それから私は使用人に言った。

 

『ちうの!わったのは私なの!お兄様はなにもしてない、私がぶつかってあの壺をわったの!』

 

泣きながら言ったのに誰も聞いてくれなかった。それから部屋に戻された私は何時間か経ってから窓を見ているとお兄様が部屋に戻る姿が見えた。だから使用人にバレないようにお兄様の部屋に向かった。

 

『・・・え』

 

ドアを少し開けて中に居るお兄様を見て驚いた。だって、お兄様の体は傷だらけ生傷だらけだから。中にはついさっきの暴力で付いた傷も有った。それを見て思わず声を漏らしてお兄様に見つかった。

 

『だれ?』

『あ・・・』

 

服を着てこっちにめを向けられた時、怖くてなにも言えなかった。絶対に何か言われる。いや、寧ろ言われるべきなんだ。だから次にお兄様に言われた言葉に驚いた。

 

 

『ダメだよ。こんな汚い所に来たら。怒られるよ』

 

私への酷い言葉では無くて優しい言葉だった。そして私に向けていた目も凄く優しかった。

 

『なんで』

『ん?』

『なんでそんな優しい言葉を。なんで憎まないんですか?』

『憎む?なんで?』

『なんでって・・・・・だって、だって!私はお兄様の所為にして自分だけ助かったんですよ!いつもいつもいつも!お兄様が暴力を振るわれてるの見て見ぬ振りしてたんですよ!なんでそんな私を庇ったんですか!!』

 

服の裾を力強く掴んで叫んだ。叫んで思いの丈をぶつけた。そして帰って来たお兄様の言葉は

 

『腹違いでもユエは大事な妹。なら、兄が妹を守るのに理由なんて要らないよ』

 

何処までも優しい言葉だった。その言葉を聞いて私はお兄様に大事にされていると知った。知ってしまった。そうしたらもう、涙が止らなかった。だからお兄様に抱きついた。

 

『イッ』

 

勢いよく抱きついたからお兄様は体に痛みが走り苦痛な声を漏らすが、私を突き放すことはせず優しく、ただただ優しく頭を撫でて背中をポンポンと叩いてくれた。

お兄様は怪我で体中が血の匂いをしてた。体中痛いはずなのに、私が抱きついて涙や鼻水で服が汚れるのに気にも止めず唯々黙って受け止め続けてくれた。その優しさが更に私に染み込んだ。

だから、

 

『お兄様お兄様~♡』

『どうした?』

『撫でて下さい!』

『よしよし』

『えへへへ』

 

あの日から私はお兄様にべったりになった。どれだけクズ父に近づくなと言われても毎日お兄様のところに行った。

だってお兄様と居ると学校で私の顔色を伺って接するクラスメイト、気持ちの悪い教師とのことを忘れられるから。

 

でもそれだけじゃない。

お兄様は勉強で分らないところが有れば何でも教えてくれた。

 

そして、

 

私が人に怪我をさせてもその相手の子や親が自分たちに非があると謝りに来ても。ヒーロー公安委員会の娘で元№1の孫の肩書きと権力にびくついて、顔色をうかがって来る気持ち悪い人達。でも、お兄様は間違ってることは間違ってると怒ってくれた。親も使用人も誰も言わないのにお兄様はキッパリと言ってくれる。

 

私の治癒は私にはどんな怪我も病気も直ぐに治すしほぼ常時発動型。だから怪我しても誰も心配なんてしてくれない。でもお兄様だけは何時も心配してくれた。それが嬉しくてよく会うときにわざとハサミやナイフで怪我を作った。そしてそれがバレたときは頬を叩いて本気で叱ってくれた。それがまた嬉しかった。

 

お兄様は私を大事にして守ってくれた。だから私はお兄様がオールマイトに無個性を理由でヒーローに成るのを否定されたのを知った時に決めた。

後ろに居てただただ守って貰うだけじゃ無くて、前とは言わず横にいてお兄様を助けられる存在になると。

 

起きた時にお兄様が居なくなって灰色の景色しか目に映らなくなってもお兄様と再会出来るのを目指した!

その為に勉強も嫌いな人達との人付き合いもどんな努力もして来た! これからもお兄様の為ならどんな努力も出来る!だから!

 

 

 ~~~~~

 

 

(負けられない!コイツに勝って。お兄様にも勝って。体育祭優勝して証明するんだ!)

 

 ゆらゆらと立ち上がる。

 

「(私は守られるだけではなく、守る事も出来ると!だから)

 お前なんかに!負けられるかぁ!!」

 

 右手を天に掲げる。

 

「サキエル!!」

 

 叫びと共に勢いよく地面を叩く。

 見ていた全員なにをしているのかよく分からなかったが、少しして異変が起きる。

 

『えっとー。水無月一体どうした?・・・・ん?なんだ、なんだ!会場が揺れてる!!?』

 

 そう。マイクの言うとおり会場は最初は小さな揺れだったが次第に立っているのもやっとなほどの揺れに変わる。

 

『おいおいおい!!これ震度どんだけあんだよ!?リスナー諸君!決して慌てずぅうううううう!?!?!?なにあれぇええええ!?!?!?!』

 

 言い表すなら大洪水。この言葉が1番しっくりくるだろう。なんせステージへの出入り口からは大量の水が押し寄せてくるのだから。

 

『ま、まさに!! 大・洪・水!!HAY!イレイザー』

『お前ホントに書類読まないな。あれはアイツの本来の個性だ』

『はあああ!?』

 

 マイクが相澤の言葉に驚いた様にA組の観客席に居る八百万も驚いて一騎の両肩を掴んで詰め寄っていた。

 

「不死黒さん!ユエさんのアレは何ですか!?」

「ユエの個性だよ」

「ユエさんは個性が三つも御座いますの!?」

「二つだよ。一旦落ち着いて」

 

 八百万の手を退けて一旦落ち着かせると、次に緑谷が問いかける。

 

「不死黒君、ユエさんの個性って治癒と血液操作じゃ無いの!」

「言ってない」

「え?」

「俺もユエも個性が治癒と血液操作なんて一言も言ってない」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 その言葉に全員が確かにただの一言も二人が二つ目の個性が血液操作なんて言ったのを聞いたことが無いのを思い出す。

 

「八百万が知らないって事は、ユエは中学の時は一度も使わなかったのか」

「ゆ、ユエさんの個性って何ですの?」

「水無月海神の個性は海水操作、クソ親父の個性は水流操作、そしてユエの個性は――

 

 液体操作だ」

 

「え、液体操作!?」

「そう。血液も水も海水も、液体であればどれだけ粘性があっても操れる。それこそマグマだって操れるんだ」

 

 もう、ユエのすごさにクラスの皆はなにも言えなくなる。だか、一騎は更に続ける。

 

「それにユエは言ってたろ?ブラド先生の個性を下位互換だと。そしてユエは俺より強いと俺は言ったろ。・・・どった?」

 

 ユエを見て皆を見ると全員口を開けて驚いて固まってるのを見て首を傾げる。しかしまあ良いか、と判断してまたユエを見る。

 

(大丈夫か?俺が家を出て行った時期では子供用プールのいっぱいの水しか操れなかったはずだ。許容量が増えたにしても、アレはどう見ても1㌧はいってるぞ。大丈夫か?)

 

 

 

「ああ。お兄様と戦うまでは隠したかった。でも、出し惜しみして負けるなんて許されないよね」

 

 大量の水を操りながら呟くユエ。そんなのを気にも止めず爆豪はヴィランみたいな笑みを浮かべ両手をユエに向ける。

 

「シネェエエエエ!!」

 

 大爆破がユエを襲いに行く。しかしそれを見てもユエは焦らない。右手をの前に伸ばし平を上に向けてクイッと何かを上げるように動かす。

 

障波水蓮(しょうはすいれん)

 

 すると高水圧の分厚い障壁ができ、爆破を全て上に流し防ぐ。

 

厄災の波濤(ノア)

「チッ!」

 

 水壁が消えると次に全方位から大量の水が押し寄せ捉えようとするが、爆豪は爆破で跳んで空に逃げる。

 

「逃がさない! 水神龍!!」

 

 ノアで爆豪が立っていた所も水で埋め尽くされるとそこから水で出来た龍が現れ逃げた爆豪を追いかける。

 

(グッ!頭が。流石に操る量と精密度が高すぎたかな。脳が焼き切れ始めた。やっぱ同時使用は無理か)

 

 ユエは子供の頃は出来ていたが今は治癒と液体操作の同時使用が出来ない。

 基本、治癒はほぼ常時発動でユエ自身には怪我や病気は即座に治るが、液体操作の個性を使うと治癒の効果は切られ使用出来なくなる。

 

 その為に液体操作を使いすぎて脳回廊が焼き切れて治癒をするには一度液体操作を止める必要があるのだ。

 

(でも、そんな事をしたら致命的な隙になる!なら、このまま押し通る!!)

 

 その頃、爆豪は龍から会場内を逃げ回る。時には爆破で攻撃するが液体な為に物理攻撃は意味が無かった。

 爆豪の抵抗を見て水滴を自分の周りに浮かべると右手を銃の形にして爆豪に向ける。

 

(アクア)(バレット)

 

 その掛声と共に水滴は弾丸の様に爆豪に飛んでいく。

 

「グッア!」

 

 そして水弾はなんと爆豪の左足を貫いた。

 いきなり来た激痛に顔を歪め、気がそれ瞬間に爆豪は罠にかかる。

 

「ンだこれ!?」

 

 爆豪は気づかなかった。進行方向に薄く張られた水の壁が有ることに。

 足を打ち抜かれ立て続けにきなり水にぶつかったことで思考が止り即座に判断できなかった。その隙に水壁の水が手に纏わり付き、ニトロのような汗を流し爆破が出来なくなり速度が無くなる。

 

「喰らえ! 水神龍・朧喰い!!」

 

 遂に水神龍は爆豪を喰らうと天に向け急上昇する。その間にも爆豪はあばれるが爆破が使えなければ無力。ただ無駄に無意味に体力と残りの酸素を消費するだけだった。

 

「グッフ! ヤバイ。本格的に焼き切れた」

 

 ユエは遂に負担に脳が焼き切れ大量に鼻血を流し、目も充血をし始めたうえに、血涙も流し初める。

 そして決着を早く決めようと片手を上げ勢いよく振り下ろす。

 

「水神龍・朧滝」

 

 50メートル程の高さから水神龍は勢いよく地面に向かい急降下し、遂には激突する。無論爆豪は直で地面にぶつかったのでは無く、ぶつかった水の反動でぺちゃんこになることは無かった。

 

「がは!ごっほごっほ!!」

 

 しかし無酸素状態で平衡感覚を無理矢理狂わされ水中で地面に叩き付けられた事で体力を大きく消費し立っているのでやっとの状態だった。

 

「クソが・・・!」

 

 しかも体中びしょ濡れで体温も奪われた事で汗が出ず爆破が使えなくなっていた。その為にユエを睨む。

 

「・・・」

「なら、殴り合いだ! ・・・・・・あ?」

 

 そう叫び殴り掛かろうとしたが、ユエを見て動きを止める。それに疑問を持ちミッドナイトがユエの元に駆け寄ると、ユエは目を開き血涙を流し立ったまま気絶していた。

 

「ゆ、ユエさん気絶により、戦闘不能!! 爆豪君決勝戦進出!!」

 

 ミッドナイトの宣誓によりユエVS爆豪の戦いは幕を閉じた。

 

 この戦いでユエが操った水の総重量は3.5㌧だった。

 

『へい!パワーローダー含めサポート科は修繕を頼むぜ!超特急で!!』

 

 その支持のあと、パワーローダーの支持の元サポート科は大忙しで会場の修繕に向かう。

 

(凄いな。ユエはあそこまで成長していたのか。もうステージは水鏡みたいに成ってる。総重量は3㌧辺りかな?しかも水も水道だけで下水は一切使わないで観客にも被害を出さない。超絶精密操作が必要。

流石に脳が耐えきれなかったか。

 ・・・爆豪の血液を操れれば良かったがソレは出来なかったか)

 

 一騎が思ったとおりユエは他人の血液も操れる。1回戦でユエが切島に触れた途端に切島が気絶したのも、切島の血を操り血の流れを強制的に止め失神させたのだ。

 しかしコレは相手に触れていないと出来ない。触れずにやると血管を破裂させ殺してしまうから。だからユエが開会式の前に言っていた『殺しが有りならギュッとしてボンで終わり』はこの破裂を意味していた。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 ~保健室~

 

「うっうう・・・ここは?」

「起きたか、ユエ」

「お兄様・・・・私、負けたんですね」

「・・・ああ」

「あ、あっははは。勝てると思ったんですけどね・・・」

 

 空元気に笑うも直ぐに悲しそうな表情になる。

 

「ユエさん!」

 

 その時、八百万を初めA組女子達が入って来る。

 

「あ、モモちゃん」

「そ、その、見てましたわ」

「ユエちゃん凄いやん!ウチなんて手も足も出なかったのに!」

「え、えへへ。あ、お兄様、待機が有りますよね?モモちゃんもいるし、私は大丈夫ですよ」

「そ、そうか」

 

 そう言われ一騎は八百万に小声で「頼む」と言ってから医務室を出る。

 

「・・・・・・・モモちゃん」

「はい」

「負けた」

「・・・」

「負けちゃったよー!!」

 

 悲しそうに叫んでから大声で泣く。それを見て八百万はユエを強く抱きしめる。

 

「私、わたし!負けた1番ダメな負け方をした!」

「いいえ!ユエさんは勇敢でした! 爆豪さんをあそこまで追い詰めるなんて普通出来るものじゃ有りませんわ!」

「違う、違うの!私は自分に負けた!! 自分の個性の負担に耐えられなくて負けちゃった!!」

「っ!」

 

「勝ちたかった。あの爆発魔に勝ってお兄様にも勝ってお兄様の隣で戦える事を証明したかったのに!負けちゃった!!自分に、自分の個性に!!」

 

 ユエのその叫びを聞いて八百万だけではなく、麗日もユエを抱きしめる。彼女も自分のキャパに耐えきれず敗退してしまったから痛いほどユエの気持ちが分った。

 

「ユエちゃん!」

 

 そして葉隠達も抱きしめるとユエは悔しさを吐く出すために更に大声で泣く。

 

 

 

 

「クソ!」

 

 それを部屋の外で聞いていた一騎は自分がいたらユエは思う存分悔しさを口にして泣けないと分かり、妹の悲しみを受け止めてやれない自分に悔しさを持ち、血が出るほど唇を噛み待機室に向かう。

 

「頼りない兄でごめんな。ユエ」

 

 誰が聞くでも無く一言言ってから歩き出すと目の前に携帯を持った飯田が立っていた。

 

「・・・どった?」

「その・・・・ユエ君は・・・・」

「悪いが会うなら後にしてやってくれ。いまは男子の誰も会わせてやりたくない」

「・・・そうか」

「すまん」

 

 謝ると飯田の横を通り過ぎる。その時飯田の表情に気づかず。





はい!ユエの個性は治癒と液体操作でした!違う系統同士を持ってる理由はいずれ!

そしてユエが言っていた「あの女が退いたら」って意味も液体操作を使うと2.5キロ以内だったら感覚的に液体がある場所が分かり、生き物ならその形に添って何処に居るかが分るんです!だから感知能力は一騎より遥かに凄い!

・・・チートだ!

次回「決勝戦」

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