無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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今回は華なり長めです!!お許しを!!


第34話:表彰式

 

「うっうう。・・・・・・ここは?」

「起きましたか?お兄様?」

 

 ベットの上で目を覚ました一騎の顔を頭上から覗き込む形でユエが顔を出す。

 

「・・・ユエ」

「はい、貴方のユエ()です!」

 

 名前を呼ばれたことでユエは眩しすぎるほどの満面の笑みを浮かべる。それを見て一騎も笑みを浮かべると更に意識がハッキリし出すと後頭部に違和感を感じた。

 

「俺って膝枕されてる?」

「はい!」

「そっか。迷惑掛けたな」

「そんなことないですよ」

 

 一言謝ってから上半身を起こし回りを見渡す。カーテンで外は分からないが消毒液の独特の臭いで何処か理解し振り返るとユエは内股座りしていた。

 

「出張保健室か」

「ご名答です」

「・・・俺何時間寝てた?」

「まだ10分も経ってないですよ!」

「本当に?」

「はい。正確には7分位です」

「7分も眠っていたのか!?まだまだ未熟だな」

(お兄様で未熟なら私は永遠に半人前かな?)

 

 一騎が自分の未熟さに呆れてるといユエは自分はどうかと心配になりながら表彰式の時間が来ればリカバリーガールが呼びに来ることを伝える。

 

「何から何まで悪いな」

「そんなことないですよ。それよりどうです?もう少し寝て体力回復しましょ?」

 

 そう言うと太ももをトントンと叩き両手を広げ受け入れ体勢を見せる。すると一騎は少し笑い「お言葉に甘えようかな」と言い仰向けに寝転び頭をユエの膝に乗せ眼を瞑る。

 ユエはニコニコと幸せそうに微笑んでいたが次第に笑みは消え、一騎の顔を覗き込む。

 

「・・・お兄様、1ついいですか?」

「ん~?」

「なんであの時、爆豪勝己のハウザーインパクトをわざと受けたんですか?」

「っ」

 

 ハウザーインパクトをわざと受けたと言われ目をゆっくりと開ける。

 

 ユエはずっと疑問だった。

 脳無の動きすら捕らえる事のできる眼や巫山戯たまでの運動能力が有る一騎ならハウザーインパクトを避けることも躱すことも、なんなら受け流すことも容易に出来たのに敢えてそれをせず、受けきったのだ。

 疑問の果てに導き出した答えは1つだけだった。

 

「あれはお兄様の思うような存在には絶対になりませんよ」

「・・・」

 

 一騎は別に友達にとは思ってない。ただ名前呼びにはして欲しいのだ無個性野郎は中学の時に蔑称で呼ばれ名前で呼ばれたのが少なくて呼ばれていい気にはならなかった。

 テレビとかは基本見ないが、何時の日かソリの合わない2人が思いっきり殴り合って仲を深めるっていうベタベタな青春ドラマをみてワンチャンと考えるも爆豪からは何処までも憎悪しか感じず無理だった。

 

「知ってる。だからそれに関しては諦めた」

「そうですか(それ関しては諦めた方が吉でしょうし)」

 

 少し暗い雰囲気になるもユエは直ぐに笑みを浮かべる。

 

「次にです。当分は蜃気狼も剃も私が直ぐに治癒出来るときだけにしてくださいね」

「え?」

「両方とも脚に負担がデカすぎます。流石に緑谷さんとモモちゃんに武を教えながら新技を作り実戦に持ってくるのは無茶しすぎです。体外離脱で稽古もしてるのは知ってますが」

 

 寝る時間を削ってまで考え体外離脱、夢の中でも鍛練して使い身に付けた。しかし負担がデカいのはユエに即バレして止められる。ので思わず「うっ」と声を漏らす一騎を見てユエは両手で一騎の顔を挟み顔を近づける。

 

「怪我をするなとは言いません。エリクのように人外の化け物が居ますし、鍛練していれば不意についてしまいます。まぁ、もししても私が絶対に治します。

 でも、無駄に不用な怪我をするのは止めてくださいね。もししたら私・・・・・・・・リスカしますよ」

 

「は、はい分かりました気を付けます」

 

 敬語になって返事をする一騎をみてユエはクスリと笑うとさっきまでとは違う笑みを浮かべる。

 

「ねぇお兄様」

「なに?」

「教師の居ない保健室、カーテンは閉めて男女二人っきり。 ドキドキしませんか?悪いことするみたいで」

 

 少し頬を赤らめて言うユエに対して一騎はきょとんとした顔をして見る。

 

「悪いことはしないし、何よりユエとは家に居るとき何時も二人っきりじゃん。風呂や寝るときも一緒だしそう変わらないからドキドキしないよ?」

 

 平然と言う一騎の返答を聞いてユエは真顔になり頬を膨らませる。

 

「ムー」

「どうしたいひゃいいひゃい!どうひてぇほほょひゅねるの?」

 

 頬を抓り、しばしスルーしてから手を離すとユエは身体を起こしそっぽを向く。それに意味が分らない一騎はハテナを浮かべる。

 

「なにもないです。先生が来たら起こしますので寝ていて大丈夫ですよ。」

「そ、そうか。じゃあ頼んだ」

(お兄様は鈍感です・・・)

 

 一騎はそう言うと目を閉じ、浅い眠りにつく。ソレを確認したユエはまた顔を近づけ、垂れた髪が顔に当たらない様にかき上げて耳に掛ける。

 

「(私も一応は女ですよ?妹として見られるのは嬉しいですけど女としても見てくださいよ。)

 キスとかしたら、私も一人の女として見てくれますか?」

 

 そんな事を考え唇を一騎の唇に近づける。その時

 

「そろそろ起きたかね?」

 

 リカバリーガールがカーテンを勢いよく開ける。

 

「ひゃん!!!???」

「ワッツ!?」

 

 思わずユエは身体を跳ねらせ、その振動で一騎は飛び起きる。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「それではこれより!表彰式に移ります!」

 

 ミッドナイトの声と共に台が上がって4人の選手が姿を現す。それと共に盛大な拍手や観客やマスコミから沢山のカメラフラッシュがたかれる。

 そして・・・・・・

 

 

「う"!ゥ"うう"!!んーー!!!」」

 

 2位の台には柱に固定され猿轡をはめられ個性を使う手は手先から肘を覆う拘束具を付けられた爆豪が居た。

 なんでこうなったかと言うと、爆豪は1位・・・・いや、完膚なきまでの1位じゃなきゃ意味がないと言う。だから表彰式もバックレようとしたが教師陣に説得され、そして

 

『完膚なきまでの1位じゃなきゃ意味がねェんだよ!2位なんて何の価値もねェ!! わかったか! クソババアァ!!』

 

 と、ミッドナイトに言ってしまったために教師に実力行使されたのだ(特にミッドナイト)。

 そしてそんな爆豪を見て流石の一騎も2,3歩ほどユエ達の方に寄っていた。まぁ、顔を合わせた瞬間再戦と評して襲われたから尚更だ

 

「メダル授与よ!今年、一年生にメダルを贈呈する人はもちろんこの人!!」

 

 ミッドナイトの紹介の元オールマイトが会場の屋根の上から豪快に飛び降りて来るも、ちゃんと打ち合わせをしていなかったのかオールマイトの言葉とミッドナイトの言葉が綺麗に被ってしまう。

 

「私が!メダルを持って「我らがヒーロー、オールマイトォ!!」き…た…のに……」

 

 悲しさに身を震わせるオールマイトに、ミッドナイトは手を合わせて謝る。そんな2人を見て一騎は鼻で笑い、ユエは冷めた目でオールマイトを見ていた。そしてすぐに気を取り直したオールマイトは早速、メダルの授与に取りかかった

 

「まず、轟少年。良い試合だったよ」

 

 轟は無言で頭を下げてメダルを受け取る。そんな彼にオールマイトが優しく声をかけると、轟は口を開いた。

 

「ありがとう御座います。・・・俺は、不死黒に切っ掛けを貰って覚悟が決りました」

 

 そう言うとしっかりとオールマイトの目を見る。

 

「俺もあなたのようなヒーローになりたかった。ただ…俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃ駄目だと思った。清算しなきゃならないモノがまだ有る」

「顔が以前と全然違う。深くは聞くまいよ。今の君ならきっと清算出来る」

 

 憑き物が落ち、覚悟を決めた表情をする轟を見てオールマイトは抱きしめて背をポンポンと軽く叩いて励ました。そして隣に居るユエを見る。

 最初は気まずそうにするもメディアや観客がいるためにそれらを一旦忘れ、何時もの声で話す。

 

「いやー、水も操れるなんてすっかり騙されたよ!能ある鷹は爪を隠す!!3トンもの水を操るなんて流石だね!水な「アァ"?」 ユエ少女!!」

 

 水無月、そう言おうとした瞬間にユエから表情は変えずにドスの効いた声を聞き急いで言い直してメダルを授与する。

 そして流石に轟の様に抱きしめるとセクハラと言われかねないのでやらず、「素晴らしかったよ」と言って肩に手を置く。そしてユエの反応は

 

「平和の象徴様にそのように褒めて貰えるなんて光栄です!!」

 

 満面の笑みと明るい表情だった。それを見て聞いたオールマイトと轟は驚いて目を見開いてユエを見た。

 

(流石にあの態度だと、どんな個性を持った人に気づかれるか分らないから演技しなきゃ。お兄様に迷惑はかけられない)

 

 そしいてオールマイトは笑みを浮かべたままのユエに「さっさと行け」と、ぎりぎり自分だけ聞き取れる声で言われ爆豪の方に移動する。

 

「爆豪少年っとー。流石にこれは酷いな」

 

 拘束されてる爆豪を哀れに思い猿轡を外すと何かをブツブツ呟いてるのが聞こえ疑問に思った瞬間に爆豪はビキビキと効果音が似合いそうな顔をする。

 

「完膚なきまでの1位意外には何の価値もねぇえンだよ!!クソガァア!」

「ま、まあまあ。これも自分の傷として・・・・(顔こっわ!!)」

「ンなゴミ要るかぁ!!」

「受け取りなっさい!」

 

 これ以上は言っても聞かないと思い爆豪にメダルを掛けようとしているが、爆豪が拒否するから無理矢理口に引っかける。

 

「さて!それでは不死黒少年」

 

 と、一騎の元に移動するが正直言って気まずかった。なにを言ってもウザイ言葉にしか聞こえないとオールマイトは思ってる為になにを言えば良いのか分らなかった。

 一騎達の関係を知ってるA組と数人の教師はハラハラドキドキで見ていた。ユエに関しちゃあ「地獄の罰ゲーム?」なんて思っていた。

 

 そしてオールマイトは永きに渡るヒーロー歴の中で初めてのコミュニケーションの危機だった。

 

「・・・チッ」

 

 なかなか終わらないことに一騎は小さく舌打ちをしてから、オールマイトだけが聞こえる声量で口を動かさず(腹話術で)喋る。

 

「速く終わらせて」

 

 そう言われオールマイトは一言謝ってからメダルを授与して一声掛けて終わる。

 そして表彰台から降りて両手を大きく広げると、観客席に向けて全生徒たちを示す。

 

「さァ!今回は彼等だった!しかし、皆さん!この場の誰にもここに立つ可能性はあった!ご覧頂いた通り、競い!高め合い!更に先へと昇っていくその姿!次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!てな感じで最後に一言!皆さん、ご唱和下さい!せーの!」

 

「「「「プルス『お疲れ様でした!』ウル…えっ!?」」」」

 

「そこはプルスウルトラでしょ!?オールマイト!」

 

「ああいや…疲れただろうなと思って……」

 

 良いことを言ったのに最後にこれで台無しだ。まあ、オールマイトらしいと言えばオールマイトらしいのだが・。

 そしてオールマイトは色んな方向を向いて謝っていた。それを見てミッドナイトは顔を押さえて締まらない、と考えていたそんなとき、ユエがミッドナイトに耳打ちをしてなにかを聞いたミッドナイトは悪い笑みを浮かべる。

 

「オールマイトさん!まだ1つやるべき事を残しています!」

 

 ミッドナイトの言葉はマイクを通して響き会場は静かになり、オールマイトは「またやらかした!?」と驚き、相澤とマイクはそのような予定はないから首を傾げてから怪訝な目を向ける。

 

「優勝者であり!雄英史上初の快挙成し遂げてきた不死黒くんからの言葉です!!」

 

「ファァ!?!?」

 

 いきなりそんな事を言われて一騎は驚き、ユエがミッドナイトに何かを吹き込んだと即座に理解してユエを見ると3位の場所には居らず、何時の間にか八百万に高級一眼レフカメラを作って貰い、一騎を撮るには最高のポジションでカメラを構えてワクワクした表情を浮かべていた。

 

「あ、逃げられない」

 

 ユエのそんな表情と会場の大型モニターに自分が映ってるのを見て諦めて腹を括り、差し出されているマイクを掴みスイッチを入れる。

 

「あーまず、決勝戦で俺や爆豪がコンクリ片とか投げてたけどよい子は絶対に真似しないように!それは犯罪にまりますからね!」

 

 と、カメラに向かって言うがこれは必要だ。酒やタバコが出てきた時に※飲酒喫煙は二十歳になってから、とかの忠告と似たような物だ。そして次からが一騎に取っての本題。

 

「それで、さっきオールマイトが言ったように此所には誰が立っても可笑しくはなかった!だから来年は優勝出来る様に個性云々の言い訳せずに努力しろよ?俺みたいな人間()を簡単に越えられるように!!」

 

 そこまで言うと心橾の目を見て「な?」と告げる。それを見て心橾は覚悟を決めた眼を向けると、一騎は嬉しそうに微笑む。

 

 

 

「最後に!これを見ているかも知れない、無個性なんて巫山戯た理由で差別にあってる同類達!待っていてくれ!何年、何十年かかるか分らないが、俺が必ず!

 無個性なんてクソくだらない色眼鏡を通した理由で差別されなず、笑って暮らせる世界を作ってみせる!!!」

 

 右手を前に伸ばして力強く握って微笑む。その姿はカメラを通して全国に放送された。

 そして少ししてから至るところから「格好いいー!」「ファンになった!」「応援するぞ!」などの声が叫ばれる。

 だが、一騎は似合わないことを言ったからか耳まで赤くしてしまい、その姿にギャップがあり一部からは「カワイイ~」などの声も聞こえてこれ以上は無理と考え一騎は無理矢理流れをキル。

 

「はい!終わり!それでは最後は皆さん流れが分りますね!!」

 

 と、言ってから大きく息を吸う。

 

「更に向こうへぇええ!!!」

 

「「「「プルスウルトラァー!!!」」」」

 

 今度はしっかりと会場の言葉が重なりミッドナイト達教師陣は安堵し、会場からも「良くやったー!!」と言った声が上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時を以てエリクが予想していた動くと思われなかった、否、動くどころか有るとすら思われなかった無個性者の為の歯車が一騎の手で回り出す。

 

 そして一騎の姿を見て色々の者達が動き出そうとする。

 

「あの子がここまで成長するなんてねぇ。やはり弔の為に欲しいね」

 

 悪の帝王はクツクツと楽しそうに笑う。

 

 

()(わっぱ)よの。この者の種を取り込めば、儂も安泰。 稟花(リンファ)美花(ミーファ)!今の仕事が片づけば即座に日ノ本に()くぞ!」

「「明白了」」

 

 赤い狐の面を付けた女性と思われる人物はテレビに映る一騎を見ながら臍下を優しくさする。

 

 

「・・・・・・・・・人類に救済を」

 

 真っ青な肌が特徴的な中年男性は巨大なモニターに映る一騎を見て、手に持つ本を撫でて呟く。

 

 

「素敵です!血まみれでトキメキでした! 一騎君になりたいです」

 

 連続失血事件の容疑者の少女は決勝戦で血まみれになっていた一騎に歪んだ恋心を向ける。

 

 そして

 

 

「はは! やっと見つけた!!」

 

 一年会場での観客席の通路からウサギの様な耳と尻尾を生やし、バニーのようなコシュチュームを着た女性は一騎を見て不敵な笑みを浮かべる。

 そして首元のファーのようなものを引っ張り服の中から人参型のロケットペンダントを取り出し中の写真を見ると不適な笑みから優しい笑みに変わる。

 

強姉(きょうねえ)、15年もかけてようやく果たせそうだ」

 

 懐かしそうに写真を見てからロケットペンダントをしまいその場を立ち去る。そして両口角を吊り上げ、三日月の様な笑みを浮かべる。

 

 

 

 

「あっはははははは!!良い!!実に良いぞぉ!!!一騎ィイィイイイイ!!」

 

 エリクは一騎の言葉を聞いて大きく笑う。

 

「お前のその言葉はある意味、世界!いや、この(時代)に対する宣戦布告!!いいねぇ~♪」

 

「嬉しそうねエリク」

 

 大きく笑うエリクの後ろにエリザベートがそっと立つ。

 

「当たり前だ!こんな高揚したのはあのアフォと島一つ海に沈める喧嘩した以来だ!」

「そう(なにが喧嘩よ。あれはもはや戦争だったでしょ。しかもその後のスサノオとの戦いも凄かったし)」

 

 クルリと振り返りエリザベートの方をみる。

 

「さあ、かえ・・・あれ?ハンターは?」

「え?あら、本当に居ない」

「・・・置き手紙?」

「ホントね」

「なになに『暇つぶしにアメリカ行ってくる』だってよ」

(・・・嫌な予感しかしないわ)

 

 二人は呆れたような顔をしてからエリザベートは帰ろうとするがエリクが呼び止める。

 

「スマンがエリザベート、もう少し付き合ってくれ」

「ええ、良いわよ」

 

 

 ☆

 

 

 

 一旦教室に戻った一騎達は明日、明後日が休みと伝えられ解散となった。

 

「失礼します」

 

 が、一騎だけは会議室に来るように言われた。

 

「疲れているだろうに来て貰ってすまなかったね」

「いえ、大丈夫です」

 

 部屋の中には根津を初め相澤やブラド、オールマイトにミッドナイトがいた。

 

「先ずは、体育祭優勝、おめでとうなのさ!」

「ありがとうござい」

「うん。それで本題だけど、呼んだ理由は2つ有るのさ」

「?」

 

 首を傾げる一騎を見て次に相澤が喋る。

 

「本戦の爆豪と麗日の戦いの時、お前はわーわー騒ぐ観客に黙らせたよな」

「はい」

「あの時、放送システムを使ってたがどうやってした」

「あ・・・ごめんなさい。一年会場の放送システムを乗っ取りしました」

 

 綺麗に土下座して謝る。それから質問されやり方と、何回したかを答える。

 

「まるほど、今回とマスコミが侵入した時か」

「待って、それじゃあ開会式の時はどうしたの?」

「?」

 

 ミッドナイトが言った言葉に首を傾げる。開会式の時とは一騎が無個性だと言った時にモニターに学生書が表示されたことだった。

 しかし一騎はアレは教師陣の誰かだと思っていた。その所為で根津は第三者が関与していると決め、以後はしないように注意喚起だけですました。

 

 寛大な処置の理由は一騎の過去を勝手に調べたりしたからあまり強く言えなかった。それと抜け道が分かりシステム強化できるからだ。

 

「次は物間寧人の処分についてだ」

「・・・・は?」

 

 相澤の口から言われた処分、それに一騎は間の抜けた声を出すも相澤はそれに気も止めず淡々と続ける。

 

「物間は除籍処分。騎馬の円場硬成、回原旋、黒色支配は1ヶ月間の停学処分だ」

 

 語られたことに一騎は反応出来ず、少ししてから声を出す。

 

「待って下さい!処分? 罰は反省文だけでは?」

「あれはその場での罰だ。今回しでかしたことは洒落にならん。全国放送中に無個性差別する発現。これはヒーロー校云々の前に道徳論理を教える学校として看過できん」

 

「・・・で、でも!退学は酷すぎませんか!」

「そう判断させることをしでかした彼奴の自己責任だ」

 

 反論するも返されるのが正論でそれ以上言えなかった。しかも既に教員で決めたことの可能性が高い。なら尚更1生徒の自分では覆せない為に押し黙る

 

「本当にそれで良いんですか?」

 

 ことは無く喋る。それに相澤や他の教師が反応を見せたのを見ると不適な笑みを浮かべる。

 

「それで除籍して彼奴が恨んでヴィランにでもなればそれこそ雄英はお終いです。彼奴の個性は厄介ですよ」

「・・・」

「それに、そういうとこを矯正していくのが学校では?なにより、彼奴のあの発言は確かに痛かったですよ?でも、アレは勝つためでした。ただの無個性差別からきたものじゃ有りません」

 

「詰まりは赦すと?」

 

 一騎が言い終わると根津が尋ねる。それに一騎は不適な笑みから普通の笑みに変える。

 

「はい。赦すことだけが優しさじゃない。それは知っ

てますが、1度ぐらいはチャンスがあっても良いかと。全国放送中に言った事で評価は散々なことになってるでしょうし、罰はそれでも十分では?

 それに口の悪さは簡単に「死ね」とか「クタバレ」とか、名前じゃなく無個性野郎と言ってくる爆豪や昔の奴らに比べれば100倍可愛いもんですよ」

 

 笑顔で言い切る。そして数秒の沈黙の後に相澤は深い溜め息をつき、根津は笑う。

 

「君ならそう言うと思っていたのさ!」

「?・・・あぁ試されました?」

 

 根津は物間達の処分に否定していた。何故なら一騎なら否定すると分っていたから。だから罰の判断を一騎の返答に任せた。

 一騎がそれを聞いてなにも言わなければ相澤が言ったのが決り一騎が否定したらもう一つの方の罰になる。その罰が。

 

「なら、物間君も他三名と同じで1ヶ月間の停学処分で良いかな?」

「えぇ十二分です」

 

 根津と一騎はお互いに悪い笑みを浮かべる。

 

「最初っから試されてることを知っていたんじゃないかい?」

「さ、どうでしょう。・・・・さて、話はこれだけですか?」

「いや、あともう一つ聞きたくなってね」

「?」

「君はどうして何時も笑っていられるんだい」

 

 根津の質問はある意味、雄英教師全員が知りたがっていた。騎馬戦であんな事を言われても直ぐに笑みを取り戻し、本戦の轟や爆豪との戦いの時も常に笑みを浮かべていた。何より、過酷な過去を持つのに。

 

 そんな質問に一騎は一旦目を伏せると直ぐに開き両中指で口角を吊り上げるようなポーズを取る。

 

「決ってます、常に笑って苦難や困難に挑める奴が強いんです!そして笑って何事にも挑める人が成長する。

 なにより、俺が笑ってないとユエが悲しむし、心配するからです!!」

 

「!!」

 

 一騎の答えに皆は驚く。特にオールマイトは一騎の台詞が恩師と過去によくチームアップをしていた女性と被って仕方無かった為に。

 

「そうか。ありがと!今日はゆっくりすると良いのさ!」

「はい。失礼します」

 

 根津に促され、一騎は一礼すると部屋を出て行き、教室に向かう。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「・・・拳藤、さん」

 

 一騎が呼ばれた頃、ユエは一騎と一緒に帰る為に待っているとき、トイレの帰りにばったりと拳藤と遭遇してしまった。

 

「あ、えっと~さ、三位おめでと。すっごく強いね」

「ありがとう、御座います」

 

 もの凄く気まずかった。それに耐えきれず拳藤がじゃあと言い、横を通り過ぎたときだった。ユエが呼び止める。

 

「あ、あの!」

「っ! なにかな?」

「そ、その・・・えっと~あの・・・・

 

 言おうとするも段々と声が小さくなり、消える。それでも拳藤は帰らずにしっかりと次の言葉を待っていた。それを見て覚悟を決めユエは勢いよく頭を下げる

 

「騎馬戦の後!殺気を込めて威嚇してごめんなさい!!」

「えっ」

 

 騎馬戦の後、拳藤が一騎を呼んだときにユエが威嚇したことによる謝罪だった。

 

「貴女が無個性差別なんかしない人だとは騎馬戦で見てて分ってました!お兄様の顔の傷跡をみて心から心配してくれる優しい人だとも!

 でも、怖かったんです!お兄様は無個性と知られた途端裏切られて騙されてきて傷ついて来ました。それで万が一、いえ億が一有るかもと・・・・・・いえ、コレは言い訳です!ヒドイ事言ってごめんなさい!!」

 

 再度深く頭を下げるユエを見て拳藤は頭を上げるように促し、ユエが頭を上げると今度は拳藤が深く頭を下げる。

 

「私の方こそ物間の暴走を止めれなくてごめん!」

「拳藤さんはなにも悪く無いですよ!」

「うんん!私は謝る側であって謝ってもらう側じゃない。水無月さんが不死黒の為にあぁしたのは分ってたから!むしろもっとなにか言われても仕方無いとも思ってた!」

「でも、やっぱり拳藤さんが謝ることはないですよ」

 

 

 ユエは無理矢理拳藤の頭を上げさせると二人は目が有ってクスリと笑い合う。

 

「じゃあこれで水に流すってことで良いかな?」

「はい! 改めて、これからよろしくお願いします!」

「こっちこそ(あぁー言い方が本当に不死黒に似ているな)」

 

 二人はしっかりと握手をしてまた笑い合う。

 

「あ、私、水無月って呼ばれるの好きじゃないので、ユエって読んで下さい♪」

「うん!じゃあ私も一佳ってよんで」

「はい一佳ちゃん」

 

 新しく友達となり、二人は笑う。その時、丁度話題の人物が現れる。

 

「あれ?ユエ、拳藤。どうした?」

「お兄様!ぱんぱかぱーん、一佳ちゃんとお友達になりました!ね~」

「ね~」

 

 ユエがそう言って拳藤に話を振ると拳藤も同じ反応をして答える。その光景を見て一騎は嬉しそうに笑う。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「にしても最後が1番疲れたー!」

 

 一騎達はあのあと、いものように八百万が車で送ってくれるらしく駐車場に向かっていた。因みにこれは良い判断だった。校門には一騎の出待ちをしていたマスコミがわんさかと居たから。

 

「お疲れ様です。お兄様」

「・・・ユエの所為でしょーまったく」

「きゃぁー」

 

 閉会式の最後のアレで今までにないぐらいに疲れた一騎にユエはニコニコと満面の笑みを浮かべる。それを見て一騎は最初はまったくって顔を浮かべるも直ぐにユエの頭をわしゃわしゃする。

 それをユエは叫ぶも嬉しそうに子供みたいにキャッキャと喜び叫ぶ。

 

「まあまあ、不死黒さんその辺で」

 

 2人を見ていた八百万は良い頃合いかと思い声をかける。それにユエは八百万「モモちゃ~ん」と言って抱きついて一騎はやれやれとよいったポーズを取って八百万達の元に歩く。

 

「女性の髪は丁寧にし「一騎くん!」 え」

「あ!」

 

 八百万が女性の髪の大切さを説明しようとした時に話を遮るように一騎を呼ぶ声が聞こえ、そちらを見ると大きめのハンチング帽子を深く被ってリムレス眼鏡をかけた女性、才子が居た。

 

「ホントに仲が「才先輩!」 え!//」

 

 仲が良いと言おうとした瞬間に一騎は才子の元に駆け寄り両手を掴み、満面の笑みを浮かべる。いきなりの行動で才子は顔を赤くして八百万は困惑する。

 

「才先輩のお陰で俺勝ちましたよ! あの時正直言って一度ぐらい休んでも良いと思ったんですけど才先輩の喝のお陰で勝ちました!!」

「そう、良かったわ」

 

 一騎の言葉を聞いて才子も喜ぶ。正直才子は悩んでいた。あの時は戦うことを選択させるべきではなく、放棄を進めるべきではなかったのかと。酷いことをいってしまったと。

 なにより一騎の夢を勝手に大勢の前で言ってしまった事に。最後、一騎は自ら全国に野望を話していたがソレは自分が勝手に言ったからではと負い目を感じてずっと悩んでいた。

 だからこの言葉は凄く嬉し、心が温かくなった。

 

「あ、そうだ!見てください! えっと~・・・あった、金メダル!」

「すごいわね(あー、今の一騎くん撮りたい!)」

 

 無邪気な子供みたいな笑みを浮かべながら金メダルを取り出す一騎を見て才子は滅多に見られないハイテンションの一騎を凄く写真を撮りたい衝動を必死に押さえ込む。

 

「金メダルって100%純金なんですかね?」

「違うわよ。100%純金だと落としただけで変形したりするし、噛んだりしたらその歯形が付いちゃうの。だから純銀に6g以上の金メッキをしてるの。あとは硬化剤とかを混ぜて強度を上げてるとかよ」

「へー」

「一騎くんはそう言ったのに興味有るの?」

「俺も一応は男ですよ?興味有りますよ」

「そう(100%の純金上げたら喜ぶかしら?)」

 

 

「・・・っ」

 

 一騎と才子が仲良く話すのを見て八百万は胸の中にモヤモヤしたのを感じ胸元で手を握る。

 

「どうしたのももちゃん?」

「あの方は?」

「お兄様を私以外で初めて人扱いしてくれた才ちゃんです」

「才、ちゃん。・・・もしや印照才子さんでしょうか?」

「お!よくわかったね。知り合いだった?」

「ええ、お父様の仕事の付き合いで何度か会ったことが御座いますの。それに、テレビや雑誌にもよく天才高校生探偵として出ていらっしゃいますわ」

「そうなんだ」

 

 少しの沈黙の後にユエは横目で八百万見ると思い出したように声を出して言葉を続ける。

 

「因みに才ちゃんはお兄様の・・・一番弟子だよ」

「え!? ほ、本当ですの!」

「本当だよ。数ヶ月間の間だけどマンツーマンで教えてたってお兄様が」

「そう、ですの・・・・・・・」

 

 八百万は更に胸の中にモヤモヤしたものが大きくなるのを感じる。そしてそんな八百万を見てユエは右手で口元を隠してニヤリと笑う。

 

(やっぱりももちゃんも脈有りだ)

 

 内心ガッツポーズをするユエ。

 そしてその後は本来八百万が送ってくれるはずだったが、才子が送ってくれることになった。因みに発目は先に両親と共に帰った。

 

 

 

 ☆

 

 

「どうぞ、ユエさん」

「ありがとー!」

「明さんもどうぞ」

「どうもです!」

 

 一騎達は家に帰ってから発目家と一緒に発目家で祝勝会をして今は食後に才子の入れる紅茶と一騎の作ったガトーショコラを堪能していた。

 因みに才子はトウシとメトリの誘いでご一緒した。

 

「才ちゃんの入れる紅茶美味し~!」

「そうですね良い香りです」

 

 ユエと明の感想を聞いてからトウシとメトリも紅茶を飲むと幸せそうにする。

 

「ホントに美味しいわね」

「そうだな。最高だ」

「ふふ、お気に召して頂いたようで何よりです」

 

 4人の感想を聞いてから才子は軽くお辞儀をしてから座って紅茶を飲む。

 

「才先輩の入れる紅茶にたどり付ける気がしない」

「私は一騎くんの入れる紅茶もスイーツも好きよ」

「お世辞でも嬉しいです」

「にしてもあの印照家の人が入れる紅茶を飲めるなんてな」

「どういう意味ですか?」

 

 トウシの言葉に一騎が首を傾げて問いかける。

 

「不死黒君は知らないのか? 印照の人が入れる紅茶は超が付く程の一流で店に出ればいっぱい千円からはザラな程に高価なんだよ」

「・・・え!? まじ?」

「ええ、印照家たるもの、入れる紅茶は常に一流であるべし。・・・・・これは家の家訓よ」

「違う!そうじゃない!! え、才先輩の入れてくれる紅茶は千円もするんですか!?」

「・・・世間ではそう言われてるみたいね。でも一騎君は別に気にしなくて良いわよ」

 

 優雅に紅茶を飲む才子をみて一騎は思わず顔が引きつってしまう。そして才子は目だけをトウシ達に向けると口を開く。

 

「驚くなら私より発目夫妻のお二方よ」

「え」

「ヒーローサポート界で2人を知らない人は居ないのよ、無論作る物は折紙付き。そしてお二人が作る人は気に入った人だけなの。だから日本ではコスチュームからアイテムまで全て発目製のヒーローは数えきれるほどしか居ないわ」

「・・・」

「因みに、フルオーダーの場合、下手すると億行くわよ」

「わ、ワーオー・・・」

 

((((思考停止した))))

 

 思わず思考停止した一騎をみて全員クスクス笑う。

 そして才子はガトーショコラにクリームを付けて一口食べて幸せな顔をして紅茶を飲み、一旦落ち着くとメトリ達の方をみる。

 

「にしても発目一家が此所に引っ越してきたとは驚きました。いきなり引っ越して何処に行ったかも分らず依頼が成功なされても何処に居るかが分らないと界隈では色々と話されましたから」

「前の家は良い場所だったけどスカウトの声が鬱陶しかったんだ」

 

 才子の言葉にトウシが答えメトリはチラリと未だに停止している一騎を見て言葉を続ける。

 

「それで、とある男性に勧められた此所に引っ越してきたの」

「そうですの」

「ってことで私達が此所に居ることは」

「ええ、勿論口外は一切いたしませんわ」

「「ありがと」」

 

 二人は礼を言う、そして才子は紅茶を飲み目を閉じる。

 

(あの日本のデヴィット・シールドと呼ばれたこのお二人が一騎君の近くに引っ越してくるなんて偶然・・・な訳無い。先の言葉で出てきたとある男・・・まるで誰かが裏で動いてるかのよう。

 特にメトリさんが一騎君に時々向ける目は我が子に向けるのと同じだった。・・・情報が足りないわ)

 

 そして才子は個性を使い考えるが、情報不足で考えるのを止める。

 

「才ちゃん」

「どうしたのユエさん」

「紅茶お替わり!」

「お気に召して良かったわ。少々お待ちを」

「・・・は!俺はいったいなにを!?」

 

((((あ、覚醒した))))

 

 また動き出した一騎を見て全員同じ事を考えた後、才子はユエに新しく紅茶を入れて一騎のは温かい紅茶と入れ替える。そんなときユエは才子の左耳にしている菱形の飾りの付いたピアスに目が行く。

 

「いま気づいたけど才ちゃんのそのピアス可愛い」

「でしょ。私が聖愛に受かったお祝いで一騎くんが作ってくれたの」

「がんばった!ピアス型デバイス」

「流石はお兄様!センスが良いですね!!」

 

 ユエの感想を聞いて才子は胸を張り、嬉しそうにするが此所で一騎が言ってしまう。

 

 

 

 

「ユエにも作ろうか?同じやつ」

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

((((うわーー))))

 

 その言葉を聞いた途端全員一瞬で一騎に冷たい目を向ける。あの明すらも。しかし一騎はそれに気づかない。

 

(お兄様、流石にそれはないです)

(一騎くん、それは才ちゃんが可哀想よ)

(不死黒君、流石に女心を知ろうぜ!)

(不死黒さんらしいですね)

 

「フン!」

「イッタい!!」

 

 才子は座る前に一騎の右足を思いっきり踏みつける。流石に油断していた一騎は声を出して足を押さえる。

 

「え!? なに!?なんで足踏むんすか!才先輩!!」

「あら、ごめんなさい」

「なにか怒ってます?」

「べつに」

「いや、怒ってますよね?」

「べ!つ!に!」

「あ、はい。ごめん、なさい」

 

(一騎くんのバカ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

「さて、やってきました。日本最高監獄」

 

 





ユエは露骨にアピールしてるのに一騎と来たら・・・鈍感!

そしてやっぱユエと拳藤は仲良くして欲しいですね!


次回「その後①」

それでは、期待せずにお待ち下さい!
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