無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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今回は一騎が殆ど登場しない!そしてあの元ヒーローがメインだぜ!

それと前話で物間の処遇が軽いとのコメントを貰いましたが、ちゃんと理由があります!いずれわかります!!


第35話:その後①

 

 

~体育祭翌日の夜21時~

 

 本土から5km離れた沖に建てられ、高い壁と海に囲まれ厳重な警戒体制を敷いており、入り口まで来れる道は橋一本で繋がれている建物、名を

 

 ――タルタロス。

 

 神の名を冠したそれは正式名称は対"個性"最高警備特殊拘置所。他に(ヴィラン)犯罪者特殊収容施設が使われている。

 便宜上は拘置所であるが、国民の安全を著しく脅かす、或いは脅かしたヴィランを厳重に禁固し監視下を置くため実質的に刑務所である。

 

 そこの1つの独房にピンクとダークブルーのバイカラーの毛色が特徴の女性が寝ていた。

 

「うっうぅ・・・・は! はぁはぁはぁ」

 

 魘されて目が覚めた彼女の名は元プロヒーロー、レディー・ナガン。本名、筒美火伊那。

 彼女は元ヒーロー公安委員会専属の暗殺者で昔、水無月邸で幼き一騎を見捨てたヒーローの一人だった。

 

 ナガンは必要悪としての任務を全うし続けていたが、学生時代に思い描いたヒーロー像とはかけ離れた現実を目の当たりにし、徐々に精神を蝕まれていき、最後は助けを求める目で見てきた一騎を見捨てた事で完全に疲れ果て前公安委員会会長を殺害する。

 

 その後にナガンの事を表に出ることを恐れた現会長はナガンをヒーロー殺しの罪でタルタロスに幽閉した。

 既に疲れ果てていたナガンはそれでももういいと思っていたが、ナガンの心の中に既に居た一騎はそれを許さなかった。タルタロスに入ってからほぼ毎日夢を見る。

 

『・・・』

 

 あの日、見捨てた場所で目の前には一騎が居る。そして

 

『助けてよ』

 

 声をかけてくる。声なんて聞いてない。声色も喋り方も知らないのにリアルな声で。

 

『なんで誰も助けてくれないの?助けてよ! ヒーロー!!』

 

 いつも助けを求める。

 

『ねえ、なんで無視するの?』

 

 そして時間が経つにつれ、目に見える怪我が増えていく。

 

『痛いよ』

 

 ガタリと前に倒れ

 

『苦しいよ』

 

 自分の足もとまで這いつくばってくる。

 

『た、す・・・・・け・・・』

 

 そして自分の足に触れる・・・・・・その前に事切れる。

 手を取ろうとすると直ぐに一騎の手は白骨化して塵になって消える。そして目が覚める。

 

 

「ごめんね・・・・・・・・ごめん。ごめんなさい」

 

 その夢を見た日はただズッとベットの上で膝を抱えて一騎に謝る。

 

 

「それは自分が許されたいからの謝罪かぁ~?」

「ッ!?!?」

 

 気配を感じなければ自分しかいないはずの独房の中にもう一つの声。それを聞いた途端にナガンは顔を上げて警戒をする。

 居たのは黒髪に紅い瞳が特徴でジーンズに白いTシャツに逆十字のネックレスをしたエリクだった。

 

「どうやって」

「ん?あ、既にダミー映像とダミーデータは流れてるから安心して」

「・・・だれ?」

「え、俺のこと忘れー・・・そういえば会った事なかったな!」

 

 ポンっと手を叩きナガンの言葉になっとくしたエリクは穏やかな笑みを浮かべる。

 

「俺の名はエリクサー。気軽にエリクと呼んでくれ。」

「エリ、クサー!?」

 

 名を聞いたナガンは驚き目を見開く。それを見たエリクは不敵な笑みを浮かべる。

 

「・・・・・オールフォーワンを追ってる時に何度か聞いた事が有る。容姿、年齢、経歴不明だが、存在だけは確認されたヴィラン」

「yes!ヴィラン。さて質問です! ヴィランが拘置所に居ます、俺は捕まったのでしょうか?はたまた、捕まってないのでしょうか」

「・・・」

「まあ、それは置いといて」

「・・・・・・っ!」

 

 段ボールを横に置く動きをしてから鋭い目付きでナガンを見る。そのことでナガンは更に警戒するも心臓を鷲掴みされてるかのようになり、冷や汗を流す。

 

「今回来たのはお前を誘いに来た」

「誘いに?」

「そ、でもその前に。今年の雄英って凄いんだぜ知ってる?」

 

 外の情報が一切入ってこない場所に居る自分になにを聞いてるんだとジト目を向けられるもエリクはヘラヘラ笑い続ける。

 

「とある男が入学してな。ソイツは――」

「何の話」

「黙って聞けよ」

「っ」

 

 いきなり話し出したエリクに怪訝な目を向けて質問したナガンは、とてつもない重圧のを放たれ低い声で言われ思わず黙り込む。

 

「ソイツは雄英を首席で合格。とある日にはオールマイトを殺す兵器を相手に圧勝。そして今日開かれた雄英体育祭を優勝したんだよ。それで、ソイツの個性は何だと思う?」

「・・・」

「答えは・・・・・・・・・無個性だよ」

「・・・・はぁ?」

「無個性なんだよ。無個性で雄英の実技入試を歴代最高記録を出し、強個性持ちが居る中頂点に行き、体育祭を優勝した。凄いだろ」

「・・・・・・っ!?」

 

 いきなり関係のない内容。と、ナガンは思うも本当にそうかと悩む。現役だった頃はオールフォーワンの情報は良く入って来ていたが、エリクの情報は殆どどころか全くない。

 そんな男がいきなり現れてこんな話をする。関係ないわけない、何かある。そう思い考えると思い出す、この男は自分がしてた謝罪の意味を知っている。その為にまさかと思った、この男が言う無個性の男はあの頃見捨てた男の子じゃないかと。

 そう思った瞬間に顔に出ていたのかエリクは口角を上げニヤリと笑う。

 

「そう!お前の想像通りだ! お前が見捨て、お前がヒーローを辞める決定打になった少年!

 不死黒一騎、いや、旧名 水無月一騎だ!」

「・・・・ッ!!」

 

 一騎の名を聞いた瞬間にナガンは個性を使う。個性は右腕の肘をライフルの銃身に変形させ、自身の毛髪からライフル弾やスコープといった補助具を作成することが出来る。

 

「あの子に何するつもり!」

 

 ナガンの荒げた声と共に銃口を向けられてもエリクは一切同様しない。

 

「・・・おいおい、個性を使えば従業員が来るぞ(前線を離れて既に10年ぐらいなのに動きは一流のままか)」

「アンタが最初に言ったんでしょ。既にダミーのデータと映像が流れてるって」

「そうだった。で、何するつもり? 簡単だよ――」

 

 エリクは大きく両手を広げ、声を上げる。

 

「彼奴にはヒーローなんてちっぽけなモノじゃなく! 唯一無二の騎士に! 不死身の魔王を殺せる英雄になってもらう!!

 良いだろ! 最底辺に居た奴が努力して上り詰め世界を壊そうとする魔王を殺し英雄となる! 最高の物語じゃないか!」

 

 予想だにしなかった返答にナガンは思わず呆気にとられる。その隙をエリクは見逃さず即座にナガンに近づき銃身を外に弾き首と左手首を掴み勢いのまま体勢を崩させベットに押し倒し、首を掴んでいた手は銃身を掴む。

 

「そして、それにお前を使いたいから誘いに来た。別にお前が居なくても望む終焉は訪れる。ただ、誘いに来たのはお前がいれば一騎は更に成長させる事が出来ると思ったからだ。

 悪く無いだろ?お前はズッと悩んでたろ。一騎に出会い前会長を殺すまでの間考えてたんだろ? あの男のやってることを世間にバラせば一騎を助けられるんじゃないかと、それか自分が引き取ればと。

 

 でも無理、バラせば一騎や妹が路頭に迷うことになる。そしてお前は既に自分の手が血に染まって汚れてることを知ってるから一騎を引き取っても汚い自分では育てられないと思ったんだろ?

 それで考えて考えて考えて、考え疲れた。そして選んだのがあの事件。でも投獄されても尚、一騎のことを考えてたんだろ。まだ生きてるか、もう死んでしまったのではっと。

 今の時代も政治家や権力を持った連中は身内が犯罪をすれば隠蔽したりする。時には殺し屋を使い消し、その死すら利用するもんな。一騎もそうなったのではと常に考えてたんだろ?苦しいんだろ?」

 

 そして耳元で囁くよ。

 

「だから償うチャンスをくれてやる」

 

 顔を離すと笑顔を浮かべる。そして両手から力が抜けたのを感じて掴んでいた手を離してナガンの上から退いて元いた場所に戻り壁にもたれる。

 

「因みに目的を果たせたら、報酬として政府が手を出さない国の土地と大金を用意する。一生安泰でいれるよ」

 

「・・・ねぇ、聞かせて」

「なに?」

 

 起き上がったナガンは乱れた服を整えてエリクに目を向けて問う。

 

「なんであの子はヒーロー目指すの?あの子にとってヒーローなんて利己利益を取り、助けてと言って手を伸ばさないと助けない最低集団でしょ。綺麗な所なんてない醜い所しか見てないのに」

「お前は二つの誤解をしている」

「二つ?」

「そう。一つ、彼奴は助けてと手を伸ばしてもヒーローは誰も助けず見捨てたよ。お前が会う前日にもな」

「!?」

「そして、二つ、彼奴は別にヒーローになりたい訳じゃ無い。彼奴は野望を果たす為にヒーローに成るんだ」

「野望?」

「今の個性主義社会を壊して無個性も生きやすい世界を作る。そしてなにより、妹のユエが胸を張って自慢できる兄になる。その為にヒーローになるんだ。ヒーローはただの踏み台だよ」

「・・・・そう」

 

 ナガンは俯いて少し考えた後にエリクの目を見る。

 

「その誘いを受ける。ただ、報酬なんて要らない。その代わり」

「その代わり?」

「お前があの子を殺すようなことをすれば私はなにをしてもどんな手を使ってもお前を殺す!誰を巻き込んでも」

「・・・良いね~契約は成立だ。叛逆のヒーロー、レディ・ナガン。いや、綺麗なヒーローに憧れ焼け落ちた筒美火伊那」

 

 ビリビリ痺れる殺気をぶつけられても嬉しそうに言ってから右手を差し出すもナガンはその手を無視。それを見てエリクは手を引っ込める。

 

「それで、いつ、ここから出してくれるわけ。てかどうやって」

「その辺は安心して。俺、こう見えてタルタロスとかの建設には2、3枚噛んでたからね。大丈夫。そして出すのは今年中に此所に超大物ヴィランが収容される。その時に出すよ」

「わかった」

「それと、二つの前金を持ってきたんだ」

 

 そう言うとエリクは懐から茶封筒を取り出しナガンに渡す。

 ナガンは貰った茶封筒を首を傾げて見て、中のモノを取り出す。

 

「!!」

「もう一つは直ぐに届く」

 

 出てきたのは体育祭で優勝して表彰台での言葉で手を前に伸ばして力強く握って微笑む姿と退場するときに子供みたいに金メダルをキラキラした目で見る一騎の写真だった。

 

「これは!・・・・・・え」

 

 写真を見た後に顔を上げると既にエリクは居なかった。

 壁に、床に、天井に、穴は開いていない。なのに姿形は何処にもなく文字通り消えた。それに慌てエリクが居たところを調べるもなにもなかった。

 

「どうやって・・・・?」

 

 ベットに座り一瞬でどう現れて消えたのか思考を巡らせてるときに独房のドアが開く音が聞こえ直ぐに写真を枕の下に隠す。その直後看守が入って来る。

 

「貴様に荷物だ」

「?」

 

 看守は荷物を渡すとそのまま出ていく。そして荷物の宛先人は

 

「水無月水重・・・!」

 

 一騎とユエの実父の水重だった。しかしあの男がこんな事をするとは到底思えないナガンはこれがエリクの言ってた『二つの前金』そのもう一つだと理解する。

 

「タブレット?」

 

 そして中身は一つの最新機種のタブレットだった。そして電源を入れるとネットには繋がらないが一つの動画が有りそれを再生する。

 

『雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!』

 

 それは今年の雄英体育祭一年の部だった。

 

 

『さあ!やろうじゃないか、歴史に残るような! 心が踊り!魂が燃えたぎる!そんな熱い戦い(青春)を!!』

 

 

「・・・ふふ

 

 大胆に宣戦布告をした一騎の姿を見て嬉しかったのか小さく笑う

 

 

 ~~~~~~

 

 

 

「さて、駒はあと三つか四つだな。」

 

 エリクはナガンが入ってる独房の有る建物の屋上に立ち、強い海風に服を靡かせながら嬉しそうに言う。そして不意にスマホを見ると更に笑みを浮かべる。

 

「お、もうネット民が沢山食いついている」

 

 

 この日、ネットには3つの投稿があった。投稿者や書き方はバラバラだが、内容は全部一緒だった。

 

 1つ、一騎は小中では無個性差別を受け、個性での虐めを受けていた。

 2つ、3年前の武装した異形型ヴィランの立て籠もりの事件。それを解決したのが一騎であること。

 3つ、1年前のヘドロ事件。ヒーロー達が手を拱いていたヘドロヴィランを一人で人質と飛び出した学生を助け一撃で撃破した。

 

 この3つが投稿され、1時間もしないうちに日本の殆どのネット民が食いついた。

 こんな投稿されても親の話題は作為的に書かれていなかった。

 

 

「さぁ、根津も要望を聞いてくれたし(脅迫で従って)これから楽しくなりそうだなぁ~」

 

 嬉しそうに笑い、近づいてきたエリザベートと共に陰に沈むように消える。

 

(あ、一騎のファンクラブも作ろ。面白そうだし)





ナガンのヒーローを辞めた決定打が分らないので一騎にしました!

次回「その後②」

因みに、その後は自分の気晴らしだったり、伏線的なの置いたり、書きたいからだけだったりします。ごめんなさい!!無視して貰っても大丈夫?です!!


それでは、期待せずにお待ち下さい!
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