今日は職場体験当日。A組は雄英の最寄り駅、雄英前駅に集まって相澤先生の話を聞いてる。てか、雄英前駅って名前ダサイよな。
「コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりするなよ」
「はーい!!!」
「伸ばすな。返事は「はい」だ芦戸」
「はい!」
「それとユエは話聞いてるのか」
「聞いてますよ!聞いていますとも!ええ、聞いてますよォ!!」
芦戸は素直に言い直すが、ユエは見て?分る通りご機嫌斜めだ。右腕に強くしがみつき涙を流す程に。
「せんせー!不死黒は既にコスチュームですがー」
「俺は体験先からそうする指示を出されてるンだよ瀬呂」
「そういうことだ。それじゃくれぐれも失礼のないように!じゃあ行け」
相澤先生の言葉に全員で返事をしてからそれぞれ自分の乗る電車が来るまではその場で会話をしていた。のだが・・・。
「嫌だ!行きたく無い!お兄様とミルコさんの所が良い!!」
「ユエ・・・」
ユエはまあ、うん。ミルコさんの所に行けなくなった。ミルコさんはあの日の約束通りに指名を出してくれたよ。でもクソ親父が裏で何かしたらしくユエはホークスの所に行かないといけないらしい。・・・なんでホークス?
「なんで私があのハーピー擬きの所に行かないと行けないの!やだー!」
「その言い方はダメだよ」
「ムー!」
拗ねるを越えて今生の別れの様な程泣いて顔を腕に擦り付けてくる。そんなこんなしてる間に常闇がそろそろ電車が来ると教えに来てくれた。
「仕方有るまい。№3からの指名は誇らしい物だぞ」
「・・・なにワクワクしてるの?どうせアイツが貴方を選んだのは鳥仲間とかUSJのことを詳しく聞きたいとかだよ」
「・・・」
「ユーエ」
「ぁ、ごめんなさい」
「いや、いい」
流石に言った言葉が八つ当たり気味だったのを感じたからか素直に謝罪した。けど
そんな見て分るほど落ち込まなくても・・・。仕方無い。
「ユエ、職場体験が終われば二人っきりでどっか出掛けよ」
「それはデートですか!」
「そう」
「じゃあ頑張ります!」
嬉しそうにいうと常闇と共にホームに向かった。と、思ったら走って戻って来たぞ?
「お兄様!」
「どうしおっと! どうしたいきなり抱きついて」
「デートの約束、破ったら
「分ってる」
そう答えるとユエは今度こそいった。てか、耳元で囁かれると意外に驚くね。不覚にもなんか心臓がドキッてした。
さて俺はミルコさんが迎えに来てくれるから少しま・・・飯田。
確か兄がステインにやられて二度とヒーロー活動出来なくなったってラジオで聞いたな。・・・体育祭のあの日、保健室にユエに会いに来ていたのは治癒が目的だろうな。・・・すまん飯田。
関係のない俺が何かを言っても逆効果になるよな。緑谷は声をかけていたけど俺には無理だ。・・・けどアイツの体験先、保須なんだよな。
「絶対にステイン目的だよな」
☆
「不死黒さんは出発しませんの?」
「八百万か。ミルコさんに此所に居るように言われたんだ。そう言う八百万は?」
「私はB組の拳藤さんと同じウワバミさんの所でして。今は拳藤さんをお待ちしておりますの」
「そっか」
「先ほどはユエさんと抱き合って話してましたがなにをお話に?」
「あーユエが行くの拗ねてたから、職場体験終わったらデート行こうって約束してたの」
「あーなるほど。・・・ファ!? でででデートですの!?」
「そうだよ」
何故か顔を赤くして驚く八百万に首を傾げてると、八百万の待ち人の拳藤を視界に捉える。
「拳藤来たよ」
「あー八百万お待たせ! ごめんね。待たせた?」
手を会わせて謝る拳藤に八百万は笑みを浮かべてそれほど待ってないと答える。
「てか不死黒は?なんでコスチューム?」
ついさっき八百万にした説明をしてから、まだ少しじかんがると3人で話してると何とB組でも一騎がミルコからスカウトされたとう話は広がっているのを知り驚いていた。
そして思い出したように拳藤は話し出す。
「そういえばさ、物間のこと気を使ってくれてありがとね不死黒」
「なんのこと?」
「小耳に挟んだ話じゃ物間が退学になりそうだったんでしょ?それを不死黒が阻止したって」
「違うよ。俺は俺の事で誰かが退学になるのが嫌だったから阻止しただけ。それに俺が赦しても雄英の名誉毀損したのは事実。そっちでの退学までは俺は止めてない」
体育祭の件で雄英側は裏口入学は完全否定してその事に物間家を訴えたが、直ぐに示談となった。そのことに世間は疑問の声を上げるもネットに投稿された
『一騎は物間の差別発言を虐めからでは無く、勝つために口から出たことと知り、寛大な心で赦した。そして雄英は大人としてそんな一騎の顔を立てた』
との1つのコメントで直ぐに終わった。
一騎は時の人状態で色々と無個性の人達や個性を原因でヒーローを諦めた人達に持ち上げられており、その人達が『子供の一騎が赦したのなら顔を立てるのがいい大人だろ』等のコメントが増え、今回のことで一騎は聖人の様に持ち上げられ、そのうえそれを面白がったネット民により、更に持ち上げられ物間の件は簡単に終わった。違和感を覚えてしまうほどに。
ただ物間の世間での評価は一騎を無個性を理由に差別していた学校の人達と同等にかなり低くなっているが。
「それでも不死黒のお陰はあるよ。流石にアレは物間の自業自得で庇うことは出来ないけど、やっぱり同じクラスになった以上は全員で卒業したいじゃん」
ニカッと太陽のような笑みをする拳藤をみて一騎は「拳藤らしいな」と思い小さく笑う。
「よー。ちゃんとコスチューム着てきたな」
そのタイミングで一騎の体験先のミルコが来る。
振り返ると片手を上げて軽く手を振っているミルコを見て一騎は軽く頭を下げる。
「ウッス!」
「妹は来なかったのか?」
「・・・はい。そのー色々と問題がありまして」
「そうか。そりゃー残念。それじゃあ行くぞ」
「はい! じゃあ八百万、拳藤、職場体験がんばれ!」
「不死黒さん、お気を付け下さいね」
「不死黒もがんばれー!」
2人に手を振ってミルコさんを追いかける。
「それで、何処に行くんですか?」
「とりあえず適当に事件がありそうな所に向かう」
「はい」
・・・いや事件のありそうな所ってなんだよ。
てかやはり流石と言うべきか周りの反応が凄いな。殆どの人が写真撮ってる。
「舌噛まないようにしろよ」
「はい。・・・はい? それはどう「よっと」 え?」
なんで俺はミルコさんにお姫様抱っこされてるの?え、まってマジで状況がつかめない。
「あのー」
「じゃあ行くぞ!」
「まってぇぇえええええええ!!」
ジェットコースターぁああ!! 落ちる落ちる落ちるぅう!!しっかり捕まらないとマジ洒落にならん!!
うわー!落下したぁああ!!と思ったらまた上がったー!!
「目ぇ開けろ不死黒」
「え、・・・・うおースゲー!飛んでる!!」
「飛んでるんじゃ無くて跳んでるんだよ」
「わ、分ってる」
☆
一騎はミルコにお姫様抱っこされた状態でかれこれ30分ほどが経ち既に県を越え東京に入っていた。
「あのーミルコさん」
「なんだ?トイレか?」
「違う!何時までこうしてるんですか?」
「既に東京だからなそろそろ事件が・・・・お、良いのがあった」
「へ?」
ミルコの声を聞き、目線の先を追うと数人のヒーローを相手に3メートルほどの筋肉質な人間が暴れ回っていた。
それを見た一騎は嫌な予感を察して顔を引きつらせながら振り向くと好戦的な笑み浮かべてるミルコの目がグリンと動き目が合う。
「う、そ。ですよね?・・・ね! 何ですか!何ですかその笑み!! 何か言ってください!!」
「死ぬなよ」
「はあああ!?!?」
「行ってこい!!」
「嘘だろぉおおおお!!!!」
30メートル程の高さからミルコは一騎を抱え治すと勢いよくヴィランに向けて放り投げる。
投げられたのがいきなりで碌なことできずに一騎はヴィランに向かって急降下するも、空中で前転して体勢を整えヴィランの後頭部にライダーキックをたたき込む。
「チェストォーー!!」
「ウゲェエエエ!!!」
途轍もない威力で後頭部を蹴られたヴィランは前のめりに倒れ、一騎は「シュタット!」と言って綺麗に着地する。そして辺りは歓声よりも騒然とした声が広がる。
「誰だあのヒーロー」
「お前知ってるか?」
「知らね。あんな黒ずくめこの地域に居ないぞ」
「そうね」
「きみは一体――」
「ご迷惑お掛けしましたぁ!!」
全員が騒然としているなか一騎は立ち上がると頭を下げて謝るが、返ってきた言葉は。
「「「「不死黒一騎ィ!?!?!?!?」」」
驚愕の声での名前呼びだった。それに対し一騎は「はい!」と顔を上げて返事をすると同時に一騎の真横にミルコが降り立つ。
「ちゃんと出来たじゃないか」
「まあねぇーって! 酷いですよミルコさん!! いきなり放り投げるなんて!!」
「無事だから問題なし!」
「え、えぇー」
「ミルコが雄英生をスカウトしたって話事実だったんだ」
「しかもそれがあの
「てかあのこ空中から来たよな?」
「そうだな」
一騎が文句言ってるのに対してミルコはそれを笑って躱す。そんな2人の遣り取りを見ている数人のヒーローはなにも言う事が出来ない。
ヴィランを倒したのが仮免も無い学生の為に叱らないといけないが、一騎は無個性のために戦闘しても違法活動にはならないし、保護管理者がミルコの為に誰もなにも言えない。その上、ミルコかチラリとヒーロー達を見たときに
『文句は私に言え!』
と、言ってるように感じなおのこと言えなかった。
☆
「それで、資料二枚に名前を書けば一枚は自分に、もう一枚は警察に。これでヴィランの身柄の受け渡しは終了だ」
5分ほどしてから到着した警察に未だに気絶してるヴィランを引き渡し、書く資料の一連の流れをミルコは意外にも丁寧に説明する。
「事務所があれば書類はデータで渡して貰うが私の場合はこの書類を貰う。今日はお前が持っとけ。
「はい」
「その書類は後で公的機関に通して受理されると給料に繋がる大事な物だから無くすなよ!」
「はい!え!?それ俺が持っていて良いの!?」
二度見して驚く一騎に笑みを見せ「無くしたら責任取って貰うぞー」などと肩を組み若干の脅しを入れるミルコ。一騎は思わず頬を引きつらせ、絶対に無くさないようにと綺麗に折りたたむと胸ポケットにしまう。
「因みに折るのも厳禁な」
「え!?」
「うそ」
「嘘かよ!?」
ツッコミに楽しそうに笑い次に行こうとした時に対応をしていた警官が一騎に声を掛ける。
「あ、あの! 不死黒さん!」
「はい?」
「じ、自分! 昔はヒーローに憧れていたんですけど没個性で諦めて警察になったんです。でも!雄英体育祭で貴方を見て心を打たれました!!
不死黒さんの作る未来を応援しています!!」
「ありがとう御座います!」
「あの、記念に写真良いですか!」
「良いですよ」
一騎と警察は一緒に敬礼をして写真を撮る。
「ありがとう御座います!」
礼を言うと次にサインも貰おうとするも時間が押して断念して留置所に向かう。
「それじゃ行くぞ」
「はい。それで今からはこの辺りをブラつくんですか?」
「そうだ。このまま都市部に行く。そして何かあれば駆け付ける」
「了解です」
「それとこれを持っとけ」
「おっとと、これは?・・・!?」
ミルコは後ろに居る一騎に何かを放り投げる。それを慌ててキャッチして投げられた物を見て目を見開く。
「これヒーロー免許証じゃないですか! しかもミルコさんの!!」
「おう、だから無くすなよ」
「いやなんで持たすんですか!!」
「体験中は戦闘もある。私が居ないときにお前がして警察かヒーローに何か言われたときはソレを見せてこう言え。『文句はミルコに言え』ってな」
「ソレってつまり・・・」
振り返り勝ち気な笑みから真剣な表情を浮かべるのを見て一騎は固唾を飲む。
「そう。この体験中は戦闘をミルコの名の下に許可する」
「っ!?」
「お前は口でグチグチ言うより体験する方が成長するタイプだろ?だからこれを気に出来る者全てを自分のもんにしろ。良いな」
「はい!!」
「それじゃっと、電話か。・・・此所で待ってろ、あたしは電話してくる」
「・・・わ、分りました」
ミルコは少しスマホに表示された名前を嫌そうな顔で見てから一騎に告げて路地裏に入り電話にでる。
一騎は元気に返事をしたが、やはり呆然と免許証を見てどうしようか悩むもまあ良いかと思い免許証をベルトに着いてるポーチに大事に仕舞う。
「あー!テレビに出てた無個性君だ!」
「っ!?」
「マ?マ? あ、マジじゃん!!」
肩を軽く叩かれハイテンションで呼ばれた一騎は驚いて肩を跳ね上がらせ声の方を向く。そして声をかけたのは紺色のハイソックスやルーズソックスに大きめのダボッとした緩いセーターを着た明らかギャルで、
一人は黒髪に青のメッシュを所々に入れて、もう一人は茶色の髪をポニーテイルにして前髪の一部に白髪がある女子の二人組だった。
「こんな所で有名人に会えるとかマジヤバタン!」
「それな!まじでエモい! ねえねえ!写メろー!」
「え?え?」
一騎の返答も聞かず二人のギャルは一騎を挟む様にしてスマホを構える。それに一騎は初めてのノリに更に困惑する。
「ほれほれ!ピースピース!」
「しゃーないか」
二人が構えながら速く速くと目が急かしてるように感じノリがあうように合わせる。
「イエーイ!」
「「イッエーイ!!」」
一騎はポーズを考えて出たのは奇しくもギャルピースだった。それを見たギャル達もノリの良さに驚いてテンションが爆上がりして更に写真を撮りまくる。
のだがその中で一騎は自分のキャラが違うことを分ってるから余りの恥ずかしさに顔が赤くなる。
「え~顔めっちゃ赤いじゃん」
「なになに~あーしらに挟まれて照れちゃった?(いきゃめんかよ?!)」
「違います」
「じゃあお姉さん達の胸が当たって照れた~? むっつり~」
「だから違うって! そもそも同い年だろ!」
「あーしら高2だよ」
「マ?」
「まじまじ~」
「ナマ言ってすんませんでした!」
「マジメか! てか、見てみてぇ~。さっきの写真載せたらさぁ、1分もしないうちに100いいね来た!!」
嬉しそうに茶髪のギャルがスマホを見せると確かにいいねは百を超えいまも数が凄い勢いで増えていく。しかも「いが~い」「ノリ良い!」「顔真っ赤WWW」「きゃわゆ~♡」と、様々なコメントが来ていた。
それを見た一騎は手ごとスマホを掴み凝視する。
「なに載っけてんの!?」
「えぇー良いじゃん! 今もいいねが爆上がりだし! あ、300いった今年初!」
「あーしも載せよ!」
「えぇー!! まあ、いいか」
「「良いんかい!!」」
一騎の反応にギャル達はノリの良いツッコミを入れて笑う。三人のその姿に周りも集まり一騎と一緒に写真を撮ったりし始める。
その時、黒髪に青のメッシュを入れたギャルが有ることを気になり声をかける。
「ねね! いっくん」
「いっくん!?」
「確か下の名前は一騎っしょー?だから、いっくん!」
「あーね」
「それでーいっくんのヒーロー名ってなに?」
「・・・いきなりシリアストーン」
前屈みになり、下から見上げるように一騎の顔を覗き込む。その姿に少し咳払いすると満面の笑みを浮かべ名乗る。
「俺は無個性ヒーロー、イノベーター。以後、お見知りおきを」
ボウアンドスクレイプお辞儀を軽くして名乗ると、かなり様になってたからか辺りから更にシャッター音が多くなる。
「イノベーター?どう言う意味?」
「それはアレっしょ!えっと~・・・あーしも知らないや」
二人の反応に苦笑いをすると名前の意味を話すと「ほへ~」と言った反応を返される上に青メッシュのギャルが思いついたように手を叩く。
「じゃあ名前長いからイノで!」
「イノ!?・・・良いね! 言いやすくて!」
「だーしょ! イノ!」
「イノ!」
「イノ!」
「「「イッエーイ」」」
「ってちがーう!!」
一騎はギャル達と仲良くハイタッチするもキャラが違うことに叫びorz状態になる。
「こんなチャラいキャラは上鳴なのになんで俺が・・・」
「なにやってんだ?」
「あ、ミルコさん」
「「「「ミルコ!?!?」」」」
「スゲぇ。本物だ」
「生で見るとホントヤベー服!」
「筋肉ヤバ」
「てか、不死黒一騎ってミルコのとこに体験行ってんの?」
「確かミルコが受け入れるの初だろ?」
「ああ」
「ミルコさーん!写メOK?」
「おう、良いぞ。てか、お前ら学生だろ?学校は?」
「「・・・あ」」
「サボりか?」
「これはヤバタン!」
「これはあれだね!」
「「爆速!/爆逃げ!」」
二人は走って逃げて行く。それをミルコは「たっく」と呟いて仕方無いなといった表情を浮かべ見送る。その時二人は立ち止まり振り返ると一騎に手を振る。
「いっくーん!あーしら」
「いっくんに!ファンだから!」
「「これから頑張って!!」」
そう言われ、一騎は元気に手を振り返事を返すと二人は走っていく。
「じゃあ行くか」
「はい!」
ミルコに着いて行こうとした時に次に一騎の前に5.6歳の男の子が出てくる。一瞬疑問に思うも男の子と目線が合うようにしゃがみ込む。
「どうしたの?」
「あ、あの! ぼ、僕は翼と言います!」
「翼君ね。それでどうしたの?」
「僕、お兄さんと一緒で無個性なんです!!」
「っ!?」
こんな所で自分と同じ無個性の子に会うとは思っておらず、思わず目を見開く。それで直ぐに何時もの表情を浮かべて、次の言葉を待つ。
「それでも、ヒーローを目指していて、でも周りの皆にはヒーローになれないって言われて・・・諦めたんです。でも! テレビでお兄さんを見て思ったんです!
僕も! お兄さんのようにヒーローになれますか!!」
その質問に一騎はオールマイトに縋るように、祈るように、最後の望みのように質問した過去の自分に姿を重ねて直ぐには答えられなかった。
「翼君、その質問にはちゃんと答えられない」
「え」
「俺がなれると言っても君がなるための努力をしなかったらなれないし、俺がなれないと言っても君がなるための努力をしたらなれる」
「?」
言ってる事が難しのか、翼は首を傾げる。
一騎はそれを見て少しだけあははと笑うと優しく頭を撫でる。
「君はヒーローになりたいんだよね?」
「うん」
「なら覚悟が要る」
「かくご?」
「そう。俺達無個性がヒーローになるには個性持ちの数百倍、数億倍の努力をしてようやく個性持ちの人一倍の努力になるんだ」
「・・・」ゴクリ
「どれだけ痛くても、辛くても、苦しくても、周りに後ろ指を刺され笑われても、馬鹿にされても、決して諦めず、止らず、進み続ける。その覚悟が要る」
「えっとー?」
やっぱり言ってるのが難しすぎて翼は首を傾げる。そして一騎は説明がムズいと思い頬を少しかく。
「つまり、無個性でヒーローに成るのは凄く大変ってこと。それでも、ヒーローになろうとするなら頑張れ!
無個性の俺がヒーローになって、無個性では成れないなんて言う奴らを黙らしてやる」
片膝を着くと優しく男の子の頭を撫でる。
「君が後輩になるの、楽しみに待ってるよ」
「! うん!」
「あ、でも最初はお母さんやお父さんを守れる格好いい子になるんだよ。お兄さんとの約束だ」
「うん!僕頑張る!」
翼が元気に返事をすると周りから何故か拍手が起き一騎は困惑する。しかも翼の母親が出てきて泣きながらお礼を言うのに更に困惑する。
「あ、あの! 一緒に写真! いい・・・ですか?」
「良いよ」
指を付き合わせながら聞く翼に笑顔で答えると「特別だよ」と言って肩車をしてあげると更に子供の母親は泣きながら写真を撮りまくる。その後はゆっくりと下ろす。。
「さ、サインも!良いですか!」
「あぁ。 良かった」
「?」
首を傾げながらも差し出されたノートにサインを書きながら嬉しそうに笑顔を浮かべ呟く。
「初めてサインを書いてあげる子が無個性の子で」
一騎は大勢では無く、本当はたたった1人を守れるヒーローでも良いと思ってたんですよね。
次回「職場体験②」
それでは、期待せずにお待ち下さい!
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