無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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第4話:鍛錬

 

「ハァハァ・・・ゴクン」

「休憩しましょうか?」

「い、いえ大丈夫・・・よ」

「大丈夫に見えません。休憩にしましょう。今が5時40分なので6時まで休みましょう」

 

俺が何時も鍛錬してる場所に連れて来たけど片道だけでバテてしまった。これはちょっと、思った以上に体力が無いのかも?

俺が何時も通る道だと全速力で約10分だけど、才先輩がいるから山道通って来たらそれなりに時間が掛かった。因みに俺が何時も通ってる道は舗装されてない森そのままの道。

 

「一騎くんは何時もどれくらいで来れるの?」

「俺ですか?そもそも此所に来るときに通った山道を通らず地面剥き出しのとこ通ってるので時間は分らないですね」

「そう。因みにその道だとどれくらい?」

「全速力で約10分です」

「え!速!?」

「まあ、山道を通ってここまで来ると遠回りになりますから。それに俺は木の枝を飛び移ったり川を飛び越えたりして来てるので早いんです」

「文字通り道なき道を行く、ね。貴方の為にある言葉ね」

「どうもです。それでですね、話は変わるんですが、今後の鍛錬内容の為に才先輩の個性を差し支えなければ教えて貰ってもいいですか?」

「ええ良いわよ。私の個性は『IQ』 紅茶を飲んで目を閉じている間IQが上昇するの。そして紅茶のブランドで能力上昇に差が出るわ」

 

・・・え、何それ凄!只でさえ頭良いのにこれ以上頭良くなる個性とかヤバすぎ。

IQが上がればそれだけ情報処理も速くなると思うから時間短縮も出来るかも?。でもこれじゃあ確かに後方支援、てか軍師か?対人戦になると確かに不利だな。

 

「分りました。才先輩の鍛錬内容を決めました。てか才先輩に身に付けて貰う技ですね」

「何かしら?」

「身に付けて貰うのは合気道ですね」

「合気道・・・聞いた事は有るけど正確には知らないわね。どういったものなの?」

「時間も丁度ですし体験してみましょうか」

「え?」

「手を出して貰えますか?」

「え?あ、はい」

 

言われた通り先輩は立ち上がり手を前に出してくれる。俺はその手を握ると突如先輩は足に力が入らなくなり座り込む。

 

「え、え?・・・何が?い、たくは無いのに足に力が」

「入らないですよね」

「ええ」

「これが合気道です。まあこの技は上級ですのでまだ先です」

「そいれじゃあ今日は何をすれば?」

「とりあえず、才先輩が何処まで出来るのか分らないので、俺が言うのをやって貰います。腹筋や腕立て、走り込みにスクワット。あと站椿とかですかね」

「はい!・・・え、タントウってなに?」

 

それから午前11時ぐらいまで鍛錬したけど先輩凄かった。全部に付いてきた、まあ付いてこれるように内容はそこそこ楽にしてたけど、疲れたとか無理とか言うと思ったけど泣き言一つも言わなかった。

 

「それでは今日はこの辺にして帰りましょうか」

「は、はい‥‥」

「それで明日からどうします?」

「どうするとは?」

「今日は休日だから良かったですが明日は平日です。朝の鍛錬の時間を減らしますか?はいスポドリ」

「ありがと。一騎くんは何時もどんな感じなの?」

「平日は朝5時から8時までで、放課後は夜8時までですね。休日は丸1日してる時とか有りますよ」

「それは凄いわね。休日何処かに出掛けたりとかわ?」

「出掛ける用事があれば出掛けますけど・・・俺友達居ないので出掛ける理由とか無いですね」

「・・・え?」

「何か?」

「・・・え、友達」

「居ませんよ。ほら」

 

 才子にスマホを見せる。電話帳、L○NE、メール、その登録を見せるが、登録されてるものは一つも無かった。いまではもう目覚まし時計や音楽プレイヤーの役割にしかなってなかった。

 

「ね?」

「ご、ご両親とかは・・・」

「無いですね。あの父と義母は俺のこと嫌ってますし学校では・・・まあ、言わずもがなですね」

「その・・・寂しくないの?」

「慣れてますから。それに俺を人間の様に見たのは妹と才先輩だけですよ」

「妹がいるの?」

「はい。腹違いですけど。あ、一応言いますけど妹は個性持ちですよ。しかも二つとも最強に分類できる個性です!」

「そ、そう。嬉しそうね」

「当たり前ですとも!あ、山道に戻って来れましたね」

「そうね・・・ねえ一騎くん。スマホいいかしら?」

「?どうぞ」

 

 差し出されたスマホを受け取ると才子は何やら画面に打ち込んで数分してから一騎に返す。

 

「はい」

「どうも。なにを・・・!」

 

 渡されたスマホを見るとその画面には才子のスマホの連絡先が登録されていた。

 

「私の連絡先を入れておいたわ」

「良いんですか?」

「何がかしら?」

「俺なんかと連絡先を交換して」

「私がしたいと思ったからしたのよ」

「そう、ですか・・・ふふ」

「?」

「スミマセン。誰かと連絡先を交換できるなんて夢にも思って無かったので。才先輩が初めての人です」

「・・・!(そんな笑顔でそんな事を言うのは反則です)」

「どうかしました?」

 

「な、なにもないわ!//そ、それで明日も今日と同じ時間でお願い。あと今日の夜も一騎くんと同じでお願い出来るかしら?」

「了解しました。でも夜の方は止めましょう」

「何故かしら?体力はある方だと思うのだけれど」

「そうですね。正直最初は全然無いと思ってましたが、予想以上に体力が有りました。でも一気に俺と同じぐらいの鍛錬すると才先輩の体が付いてこれず逆効果になりますので鍛錬時間や内容の方は追々増やしていきましょう」

「そうね。これに関しては一騎くんの方が先輩だもの。全て一騎くんに任せるわ」

「わかりました。才先輩が最高のヒーローに成れるよう全力でサポートします!」

「ええ、お願いするわ。私のお師匠様」

「て、照れますね~//」

「言った私自身照れてるわ//」

 

 それから一騎は才子の為に『目指せ!最高のヒーローへの道!』と言う名の丸1日を考えられた完璧な特訓メニューを作り才子に渡す。渡された当初は驚いたが完璧に組まれていた内容に称賛し、内容に基づいた生活をしていると夏休みの頃には一騎と共に鍛錬場までの短縮ルートを付いてこられるようになっていた。

 

「フ~。やっぱりこのルートは大変ね、勾配がキツいし、途中崖だし・・・」

「でも完璧について来れるようになってますよ?これならもう少し速度を上げて走ってもいいかもですね。はい、水分補給はしっかりと」

「ありがと。でもごめんね、何時も荷物持って貰って」

「気にしないで下さい。俺に取ってはこの程度重荷になりませんので」

「本当に凄いわね・・・。にしても夏は暑いわね、此所は山の中だからまだ涼しい方だけどやっぱりね」

「ならこれからは水中での鍛錬も入れますか?」

「水中?」

「はいこの近くに開けた誰も来ない大きな川が有るので、行ってみます?」

「ええ」

 

そのまま先輩を大きな川の方に連れていくと「綺麗な所!」と喜んで貰えた。少し川上に行くと滝もあるしね。

 

「ここはあの山道からもそれなりに離れてますし道も荒いので誰も来ないんですよ」

「そういえば鍛錬の時もあの場所には誰も来ないわね?かなり綺麗に整備されてる上に小さい休憩所もあるのに」

「ああ、あそこは元々は草木が生い茂っていたんですが俺が鍛錬するために草むしりしたりして整備して斬り倒した木で休憩所を作ったんです」

「なにそれ凄い。てかそれは法的に大丈夫なの?」

「大丈夫でしょ?(オールマイトが来たとき何も言われなかったし)」

「それを願うわね。・・・それで~」

「ですね~。それで明日からは半分は普通の鍛錬をして残りをこの川でしましょうか」

「ええ、よろしく!」

 

 

 

 ☆

 

 次の日、何時もの様に鍛練をしてから川の方まで行き水中鍛練に入ろうとする。

 

「それじゃあ水浴びしますか」

「ええ!・・・あ、でも着替える場所は」

「あの大きい岩の後ろでどうぞ。テンプレの流れは無いので安心して下さい」

 

 ~数分後~

 

「ど、どうかしら?//」モジモジ

「・・・」

 

どうと言われても・・・てっきりスク水とかを予想してたから・・・。薄水色のビキニ、いや下の方は横に結び目があるからタイサイドビキニってやつか?

それで先輩は只でさえ大人っぽくてきれいな人なのに、ポニーテイルでこの水着。しかもフリルの付いたレースパレオが更に大人っぽさと美しさを引き上げてる・・・。

 

「ね、ねえ。何か言って貰えるかしら?その・・・じっと見られると恥ずかしいのだけれども//」モジモジ

「ごごめんなさい!もの凄く綺麗ですよ。」

「そ、そう//(恥ずかしいけど、嬉しくて顔がニヤけちゃう)」

 

 才子は顔が赤くなるのに気づき、顔を押さえ咄嗟に後ろを向く。そして少し気まずい雰囲気が流れるが、ふとあることを思い一騎が口を開く。

 

「・・・才先輩は良いんですか?」

「なにがかしら?」

「折角の夏休みに俺なんかとこんな所にいて。才先輩凄く綺麗な人なんですから、俺なんかとこんな川に居るよりもお友達と海とかに行ったりの方が良いのでは?」

 

 そんな一騎の質問に才子はぽつりと呟く。

 

「良いのよ別に」

「何故ですか?」

 

 首を傾げる一騎に向き直ると真剣な表情で自分より背の高い一騎を見上げる。

 

「ヒーローに成るとか言っておきながら無個性と言う理由で貴方を虐める人達と関わるのは学校だけで十分よ」

「そうですか・・・」

「ええ。それに! 貴方と関わるのは私がしたいからしてるだけ。だから気にしないで。・・・さあ!折角人の居ない綺麗な川があるのだから楽しみましょ!」

「そうですね!」

 

 それから二人は楽しそうに川で泳いだりして遊んでいた。水中では只遊ぶだけでも鍛錬になる為に二人はただただ水浴びを楽しんでいた。だがふと才子が水中鍛錬が何か気になり質問をする。

 

「そう言えば水中鍛錬って何するつもりだったの?」

「ん?・・・ああ水斬りを覚えて貰おうかと思っていたんです」

「水切り?石を投げるやつ?」

「それは違います。俺が言った水斬りと先輩が考えてる水切りは字が違います。こんな字を書きます」

「なるほど。それでどうするの?」

「今見せますね」

 

 そう言うと一騎は川の中心にまで行くと上流に向いて正拳突き構えを取る。そして一つ息を吐くと拳を打ち出す。

 

――ズザンッ!

 

 すると轟音を鳴らし10メートルほどまで()()()()()

 

「・・・うそ」

「まあこんな感じです。・・・才先輩?」

 

 水柱が上がった事により辺りに雨が降る。それにより綺麗な虹が出来るが才子はそんな事を気にしていられず、開いた口が塞がらないまま放心していた。

 

「どうしました?才先輩」

「ね、ねえ。一騎君、つかぬ事を聞くけど貴方本当に個性無いのよね?無個性なのよね?」

「何ですか今更。嫌味ですか?」

「だ・・・だってだって!川を裂くとかオールマイト並のパワーが無いと普通は無理でょ!何をどうしたらこんな芸当出来るの!?」

「やり方ですか?それはですね、大切なのは構えは脱力。途中はゆっくり。インパクトの瞬間だけ鋭く加速。それを素早く、パワーを入れてやると出来ます!」

「やり方を聞いてるんじゃ無いわ!・・・はぁ~なんて言うか・・・貴方、天才・・・いや、天災ね」

「なんで言い直したの!?」

「何年鍛錬しても貴方に追いつけるイメージが湧かないわね」

「あはは」

 

 

 楽しそうに笑い、それからも二人は楽しく遊ぶ。

 

「結局、今日は鍛練という鍛練してないわね?」

「いいんですよ。水中は普段使わない筋肉を使うので、遊ぶだけでも鍛練です」

「それもそうね!」

 

 

 

 ☆

 

 

 

 それから時は経ち、一騎も遂に一年の三学期が始まりる。だが何時もの様にパシられていた時にふと裏庭を見ると才子が数人に絡まれてる姿が目にとまり足を止める。

 

 

才先輩とあれは確か三年のよく俺を殴ってる人達。何してるんだろう?まあ俺には関係無いか・・・いや、気になるし行ってみるか。なんか才先輩が迷惑そうな顔してたし。

 

 

 

 

「今の言葉を取り消して下さい!一騎くんは確かに無個性ですけどその身に付けた技術はそこらの個性持ちを凌駕するほどの物です!それに彼は決して無価値ではありません!」

 

え?これどういった状況?なに、何か来た瞬間にいきなり恥ずかしい台詞聞いてしまったんですが?これいかに・・・。

 

「は?ムカつく。調子に乗んなよ!少し勉強できるからって!」

「調子になんて乗ってません! ただ、一騎くんのへの冒瀆を取り消して下さいと言ってるんです!」

「巫山戯んなアマ!!」

「キャ!」

「才先輩!」

 

 リーダと思わしき男が才子を叩く。その表しに倒れた才子を見て思わず隠れているのを忘れて飛び出し、才子の下に駆け寄る。

 

「大丈夫ですか才先ぱ・・・!」

「一騎くん!?だ、大丈夫よ」

 

 大丈夫と言うが実際は倒れた時に何処かにぶつけたのだろうか、額から血が流れていた。それをみた瞬間に一騎の雰囲気が変わる。

 

「は!やっぱりお前らデキてんのか?!むか「おい」・・・!」

「は、はは。こんなにも怒りが湧いたのは初めてだ。なあ、何してんの?」

「・・・ゴクン」

 

 誰も一騎の言葉に答えられなかった。何故なら彼らは心臓を鷲掴みにされたような感覚になり、背中に嫌な汗が流れ固唾を飲むことしか出来なかったのだ。

 

「なあ、俺はさぁ無個性が理由で虐められるのは別にいいよ。でも才先輩はただそんな俺に優しくしてくれていただけだよ?なのにお前らのそれは可笑しいよなぁ?」

「い、一騎くん?私は大丈夫よ?だから「ダメです」 え?」

「大事な先輩を目の前で傷付けられて黙ってられる奴は居ません」

「何様だテメェ!」

 

 一騎を止めようと動く才子だが、一騎の答えに驚き動きが止まってしまう。その間に男の一人が一騎に殴り掛かる。

 だがその拳は片手で簡単に受け止められてしまう。

 

「軽いな・・・」

「ハ!なら全力で殺してやる!」

「ヒーロー目指す者が人に向かって言う言葉じゃ無いですね」

「テメエら無個性は人じゃ無くただのゴミなんだよ!死ねぇ!」

「ならゴミの力を思い知らせてやるよ」

 

 一騎は両腕を左右に広げ、腹ががら空きになる。そして男は個性を使いそのがら空きになった腹に目掛けて拳を放つ。

 男の個性はパワー系、オールマイトには及ばないが軽トラなら押して動かすことの出来る個性だ。その個性を使って放たれる拳は尋常ではない。

 

――ゴン!

 

 その音は人が人を殴った音では無かった。その例えるのならコンクリートの壁を思いっきり殴った様な音だった。そして膝を着き悲鳴を上げたのは

 

「ぐっああああ!」

 

 男の方だった。彼は殴った右拳が赤くなり所々血が流れていた。そして殴られた一騎は何事も無かったかの様にケロっとしていた。

 

「二虎流 金剛ノ型・不壊。攻撃のインパクトの瞬間に筋肉を締めることで打撃を耐えることが出来る。極めればナイフだって防げる技だ。そして・・・」

 

 一歩、男に近づき何の感情も光も無い全てを引きずり込み、飲み込む様な漆黒の瞳で見下ろし拳を固め振りかぶる。

 

「貴方は人に振るわれる暴力の痛みを知るべきだ」

 

 拳を振るう。

 

「待って!」

 

 だが、その腕を才子しがみつき止める。

 

「才先輩?」

「これ以上はやり過ぎになる。本当に私は大丈夫だから!だから暴力は・・・」

「分りました。・・・暴力は止めます」

「へ?」

「このクソが!!」

 

 一騎の言葉にイラついた男達が殴り掛かる。それに合わせ才子を後ろに下がらせると、一番前にいた男の拳を逸らし続く他の男達の拳や蹴りを綺麗に逸らしてゆく。

 突如力の流れが崩され、お互いがお互いの攻撃を食らわされた男達は地面に伏しながら驚きを隠せずにいた。

 

「橾流ノ型・柳。相手の力を乱し、体勢を崩させる技。簡単に言うと合気道に近い技ですよ。・・・そして」

 

 全員倒すと一騎は直ぐ近くにあるただただ大きいだけの岩の前に立つ。 そのまま一息つくと拳を放つ。

 

「金剛ノ型・鉄砕!」

 

 凄まじい音と共に大岩にはクレーターが出来、崩れる。その光景に男達は恐怖し、一騎に殺気の籠もった眼で睨まれた瞬間に男達はさっきまでの威勢を一切感じさせない小さな悲鳴を上げ歯をガチガチ鳴らし小刻みに震えだす。

 

「良い機会だから今この場にいる人達。耳の穴かっぽじってよーく聞いて下さい。俺を無個性だからと虐めるのはかってですが・・・貴方達の顔面がこの岩の様になっても文句は言えませんからね」

 

 怒気の含んだ声で何時のまにか集まっていた野次馬達に忠告(警告)をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~3日後~

 

 

「ごめんなさい。才先輩」

「気にしないでって言ってるのに・・・」

「だって・・・」

 

あの後は駆けつけた先生達に寄って収集された。それで先輩は気にしないでと言うがそうはいかない。先輩は俺と関わっていた所為で怪我をした、しかも額にだ。

 

「だから気にしないで。私があの先輩達に噛みついたのが原因なんだから。それに、私の方こそごめんなさい。お父様を止められなくて」

「それこそ!気にしないで下さい!あれは当然の行いですよ!」

 

あの日の放課後に才先輩の家に行ってご両親の前で土下座して謝った。そしたらまあ、才先輩のお父さんに殴り飛ばされた・・・。まあ当然だ、無個性野郎が原因で一人娘が怪我をしたんだから。

 

「だったらコレでお互い様ね」

「うっはい」

「時間は・・・まだあるわね」

 

才先輩は今日引っ越す、家の都合らしい。最初聞いた時は『一騎くんが原因じゃ無いからね!』と焦って弁明してくれていた。あの時の才先輩凄く可愛かった。

 

「才先輩は確か、聖愛学院を目指すんでしたよね?」

「ええ、御母様の母校ですから」

「お嬢様学校だ~。まあ、才先輩はあの印照財閥の人だから当たり前でしたね。謝りに行くまで知らなかった。(てかよくよく考えればジャージもお高い奴だったな。)」

「一騎くんは私の家のことを知って私への考えが変わる?」

「どうですかね~?俺にとって才先輩は綺麗な人で俺なんかにもよくしてくれる優しい人ですかね」

「あ、ありがと」

 

「そういえば、なんでお嬢様の才先輩があんな普通の学校に居たんですか?」

「ん?ああ、私の家は主に紅茶と様々な家具を取り扱ってるから、一般人の人達がどういった品質の家具を喜ぶかを知るためよ。アンケート調査よりこういったのが案がい良いのよ。(二年になってからはそっちのけで一騎君と居たけど)」

「なるほど」

 

「・・・そうだ!一騎くん、写真撮りましょ!」

「写真?良いですね!青春の思い出って奴ですね!」

「そうよ!はい」

「では取りますね!」

 

 一騎は渡されたスマホを斜め上に掲げ二人が入るように調整する。

 

「ハイチ~ッ!」

 

 ズ!と言おうとした瞬間に才子は一騎の右腕に抱きつく。スマホにはその抱きついた瞬間が撮られ。その写真は正に恋人同士が撮った写真のようだった。

 

「さ、才先輩・・・」

「なにかしら?」

 

 固まって首だけを動かして才子を見る。そんな一騎を才子は微笑みながら見上げていた。

 

「む、胸が」

「・・・ふふ当ててるの。一騎くんの滅多に見られない顔を見るために♪」

「まさか写真のくだり全部ですか?」

「うん!組み手では一度も勝てなかったもの。こういうときぐらいはね、初めて一騎くんから1本取れたわ!あ、写真は後で送るわね」

「はは、参りました」

 

 その言葉を聞いて才子はやった!と小さくガッツポーズをして、ふと腕時計に目を落とし見るともうすぐ出発する時間だと気づく。

 

「あら、もう時間ね」

「・・・才子先輩!これからも頑張って下さい!俺はずっと応援してます!」

「ありがと。私も貴方がヒーローに成るの応援しているわ、これからも頑張って」

「はい!」

 

 最後に二人は拳を突き出し、合わせる。そして才子は走って待機していた車に乗る。一騎は車が見えなくなるまで手を振り、才子もまた、手を振り返す、無論見えなくなるまで。

 

「これからは連絡は出来ても会えなくなる。それはもの凄く悲しいかしらね」

 

 頬杖を突きながら外の景色を見て才子は呟く。

 

(今なら分る。私はあの時)

 

 思い出すのは、一騎がヴィランを倒しじっと佇んでいた光景。

 

(貴方に一目惚れをした。今では完全に恋をしてるのよね)

 

 才子は撮って貰ったばかりの写真を見る。自分が一騎に抱きついていた写真。

 

「ああー!でも最後のは責めすぎたかしら!?はしたない女と思われたかな!?」

「才子お嬢様!?」

 

 叫び声に運転していた羊の見た目をした執事が驚く。

 

「あ、何でも無いわ」

 

 少し恥ずかしそうに言ってまた窓の外を見る。

 

(もっと頼りになる先輩になってからまた貴方に会いたいものね)

 

 才子はそんな事を思う。そして思われていた男、不死黒一騎は

 

 

「さて!次に会った時に失望されないように頑張らないと!」

 

 ヒーローに成る為の鍛錬に更に気合いが入る。

 

「とりあえず! 30㎏の重りを付けてフルマラソンするか!!!」

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