午前の最後の授業が終わると拐取したプリントを纏めながら相澤が告る。
「期末テストまで残すところ一週間だが、お前らちゃんと勉強してるだろうな。当然知っているだろうが、テストは筆記だけでなく演習もある。頭と身体を同時に鍛えておけ」
既に期末テストまで一週間を切っていた。
相澤はそう言った後に教室を出て行くと芦戸と上鳴が叫ぶ。
「「全く勉強してねェー!!」」
2人は中間テストで下から数えての1位2位だった。その事で芦戸はアッケラカンと笑い上鳴は頭を抱える。
「演習試験もあるのが辛ぇところだよな」
峰田がドヤ顔で喋る。彼は中間テストはクラス12位だった。その事に上鳴が苦言
「あんたは同族だと思ってた!!」
「お前みたいなやつはバカで初めて愛嬌が出るんだろが……!どこに需要があるんだよ……!」
「"世界"かな」
「あなたどちらかと言うとヴィラン相手にビービー泣きわめいている方が需要有ると思います」
「・・・」
峰田がキメ顔で言うもユエが小声で言った言葉が聞こえたらしく石のようになり固まる。
「芦戸さん、上鳴くん!が……頑張ろうよ!やっぱ全員で林間合宿行きたいもん!ね!」
「うむ!」
「普通に授業受けてりゃ赤点は出ねぇだろ」
元気付けようと緑谷が声を掛け、それに続き飯田や轟も言う。中間テストは上位の成績を残す3人の言葉だ。励みになると思うが、轟の言葉は止めにもなりえた。
「言葉には気を付けろ!!」
現に上鳴にはそれなりのダメージを与えた様で彼は胸を押さえていた。
「お二人とも、座学なら私お力添え出来るかもしれません」
「ヤオモモー!!!」
八百万が胸に手を当てて告げると、芦戸と上鳴は喜ぶ。
「お二人じゃないけど……ウチもいいかな?2次関数ちょっと応用で躓いちゃって……」
耳朗も勉強事で八百万に相談すると、それに続き瀬呂と尾白も頼み込む。
そのことに八百万は嬉しくなり、ハイテンションで了承していた。
「そうとなると、お父様に話を通して講堂を開けて頂きませんと!!」
それからも幸せそうに当日の予定を詰めているときに八百万はユエに目を向ける。
「ユエさんは当日ご予定は?」
「あーごめんね。次の休みの日は本来のクラスメイトの皆に勉強見て~って言われちゃって約束してるんだ」
(((本来の?))))
本来のクラスで皆は首を傾げるが無理も無い。ユエは勉強も戦闘も学年ではトップに入る実力を持っているために皆は忘れているが、ユエは飛び級で雄英に入っている。実際は今年で中三なのだ。
「そうでしたか。・・・・・でしたら不死黒さんは!」
次に期待の眼差しと共に話を振られた一騎は八百万が言ったのと同時に上鳴達にも目線を向けられる。
「あーごめん、用がある」
「えぇ~なんでだよー!お前もクラストップじゃん!お前も教えてくれよぉ~!」
「そうだそうだぁー!」
一騎の断わりを聞いた上鳴が縋りそれに続いて芦戸も縋るが、一騎は気まずそうな表情を浮かべる。
「悪いな、やりたい鍛練があるんだ」
「俺らと鍛練どっちが大事なんだぁー」
「大事なんだー!」
「う~ん・・・鍛練!」
「「裏切り者ぉ~!!」」
2人は迫り囲むが、一騎は上鳴の両手を掴んで行動を防ぎもう片方の手で芦戸の頭を撫でて軽くあしらう。
「本当に悪いって」
申し訳なさそうに謝るも仕方がなかった。一騎は体育祭の後にミッドナイトに内緒で自分の退学条件を聞かされたのだ。
その事により一騎は勉学は何とでもなった。実際に既に一ヶ月半で1年の全教科の教科書を丸暗記したのだから。しかし戦闘面に置いてはそうはいかない。だから鍛練を今まで以上にキツイものにしている。
「ももちゃももちゃん」
「ユエさん?」
一騎が上鳴達に構ってるときにユエが八百万に耳打ちをすると、八百万は手を上げて一騎に質問を投げかける。
「不死黒さん、鍛練は何時もの場所でするおつもりですか?」
「ん?そうだが?」
しつこく絡む上鳴に一騎はアイアンクローをしながら八百万の方を向く。無論手を叩いてギブを宣言する上鳴を無視して。
「でしたら私の家にお泊まりになりませんか!」
「え」
唐突な発言に一騎は手の力が抜けて上鳴を落とし、痛いと言って尻を摩りながら上鳴は八百万見る。当然他の皆も。
「そのですね、私のお家の庭はそれなりに広いですし最新のトレーニング器具も御座いますわ」
「詰まり鍛練できる場所と機具を提供するから一緒にお勉強会どうですか?って感じかな?」
「そうですわ」
「だったら俺もそれに参加させて貰おうかな」
「はい♪」
「やったぁ!不死黒も居れば鬼に金棒!」
「猫に小判!」
ハイタッチをして凄く喜ぶ上鳴と芦戸を見て一騎はとりあえず、どう勉強を教えるか考える。
「良かったねももちゃん」
ユエが八百万にした耳打ちは簡単だった。何度も八百万の家に行ったことのあるユエは良いトレーニング器具があるのを知っている為にそれを餌にしたら一騎が来てくれると教えていたのだ。
「あ、不死黒さんはどのような紅茶がお好きですか?」
「紅茶かぁ~」
腕を組んで少し考えた後に少し笑うと指を鳴らす。
「シャンパンかな」
「何言ってんだ不死黒?」
「シャンパンはお酒だよ~」
「不死黒君!未成年飲酒は!法律違反だぞ!!」
上鳴と芦戸が軽く突っ込むが、飯田はかなり真剣に言って一騎に迫るがその時に八百万が待ったを掛ける。
「不死黒さんが言ってるのはダージリンティーですわね!」
「お、流石は八百万。よく分かったね」
「当然ですわ!」
胸を張ってふんすとドヤ顔をする八百万を見て一騎はついつい頭を撫でてやりたくなったが、何とか我慢して代わりにユエを頭を撫でていた。その時少し残念そうにする八百万に気づかずに。
☆
「教室ではあぁ言ったけど本当に泊まりにいって良いのか?八百万」
話し合いの後、一騎は何時ものメンバーと共に昼食を取っていた。
「勿論ですわ。それにお父様もお母様も常々不死黒さんにお会いしたいと仰っておりましたから」
「会いたい?なんで?」
ご飯を食べながら八百万の返答を聞いた一騎は首を傾げる。
「お兄様はUSJでももちゃんの命を救ったんですよ?そのお礼を言いたいんだと思いますよ。親として」
一騎の疑問にユエが答えると差し出されたお肉を食べてユエは幸そうな表情を浮かべる。
「親ってそう言うもんなのか?」
「ウックン さぁ~?」
親の優しさを知らない一騎が呟くとユエは首を差しげてしまう。そんな2人の姿を見た発目は箸が止り八百万は悲痛な表情を浮かべる。
「そう言えば期末の演習は何するんですかね?」
「? ヒーロー科には期末に演習試験があるんですか?」
「そうなの~。サポート科には無いの?」
「はい」
どうやらサポート科には期末の演習は無いようでユエは「羨まし~」と言っていた。そんな時に一騎の元に2人の女性が訪れる。
「ねぇねぇ!相席いい?」
「あ」
「やっほー。不死黒君」
「波動先輩、甲矢先輩。どうぞどうぞ」
一騎が答えると波動は一騎の横に座り甲矢はその隣に座り、ご飯を食べ初め直ぐに喋る。
「不死黒くん達は期末演習を話してたよね?私知ってるよー!」
「なんですか!それは!」
波動の言葉にユエが喰い気味に問いかけると波動は胸を張って答える。
「それはね!ロボット退治!入試と同じ様なものだよ」
「な、なるほど!確かにそれだと納得ですわ」
「これだったら皆合格出来そうだね」
「・・・・どうしたの?不死黒君」
内容が分りユエと八百万は喜ぶが一騎だけが考えに耽っていた。その姿を見た甲矢が声を掛けると一騎は少ししてから口を開く。
「今年もそうですかね?」
「どういうこと~?」
ユエに自分の魚の切り身を食べさせてあげていた波動は一騎の言葉を聞いて首を傾げて問いかける。
「俺の考えですが、まだ一学期も終わってないのに色々と有りました。オールマイト就任に雄英施設のUSJにヴィラン襲撃にヴィラン連合の存在。そしてこれは俺の所為ですがステインの対敵に逮捕、雄英生徒の首に8千万の賞金。
これらを考えると今年も例年通りの仮想ヴィラン退治とは思えません」
「だとすると今年は?」
「より実戦に似せてプロヒーローか教師との戦闘ですかね」
思いもしない一騎の推察を聞いた八百万達は驚きの表情を浮かべるがユエはなるほどと考え込む。さらに一騎は「最近ヒーロー科の先生達の動きも可笑しいですし」と付け加える。
「そう言えば不死黒くんはヒーロー殺しと戦って勝ったんだよね!」
しかし波動が食いついたのはステイン討伐や賞金首になったことの方だった。
「それに学生で賞金首になるなんて前代未聞だよ!凄いね!それで職場体験続行したんだよね!何で何で!!不思議~」
「ちゃんと答えますよ、先輩」
「~♪」
(不死黒君ねじれを手懐けるの上手いな~)
興味津々で聞いてくる波動に一騎は無意識にユエにするように優しく頭を撫でて上げて、口元に付いているご飯粒を取ってあげる。
そんな姿を見た甲矢は一騎の方が年上に思えてしまい感心してしまう。
「おい、あの席見ろよ」
「無個性の象徴にBIG3の波動だ」
「凄い人の側には凄い人がいるのね」
周りの人達が自分たちを見て話しているのを感じた一騎は会話で波動をBIG3と呼んでいるのが聞こえて気になる。
「・・・?」
その時、ユエが波動の胸を見てから自分の胸を見下ろし手を当てているのを見てしまう。
「・・・・私より遥かにデカイ。てかももちゃんと同等かそれ以上」
(BIG3って雄英で胸の大きな3人って意味なのか)
ユエのそんな姿を見た為に一騎は完全に勘違いをしてしまう。
「そうだ不死黒くん、前に話した二年生の教科書まだ全部有ったから今度持って来るね」
「マジですか!ありがとうございます!」
☆
「「ヤッターーーっ!!」」
教室に上鳴と芦戸の歓喜が響く。
「んだよ、ロボなら楽勝だぜ」
「ホントホント」
演習試験がロボとの戦闘と知った緑谷はクラスの皆に伝えた。
「お前等は対人だと個性の調整大変だもんな」
「ああ!ロボなら放電ブッパで楽勝だー!」
「私も溶かして楽勝だー!」
「人でもロボでもぶっ飛ばすのは同じだろ!何が楽チンだアホが!!」
騒ぐ2人に爆豪の怒鳴り声が届く。
「アホとはなんだ!」
「うっせえな!!調整なんて勝手にできるもんだろ!!アホが!!」
2人に怒鳴った後に緑谷を睨む。
「おいデクッ! 個性の使い方、ちょっとわかってきたか知らねぇけどよ、完膚なきまでに差ぁ着けてぶっ潰す!
半分野郎!それにクソガキと無個性野郎!テメー等もだ」
爆豪が睨む、それにクラスの皆も轟をみてそして一騎とユエを見るが・・・・。
「だから今日の放課後はここの図書室に行って未知の武の本があるか探そうと思う」
「それは良いですね!」
一騎とユエは何事も無いように普通に話していた。
そんな姿を見て全員冷や汗が止らない。なぜなら爆豪の顔がさっき以上にヤバイ表情になり今にも飛びかかりそうな体勢になっていたからだ。
「テメェはつくづく俺の神経を逆撫でするなぁ!おい、無個性野郎!!」
爆豪が一騎に怒鳴る。
「甲矢先輩が言っていた雄英の図書室は図書館並みって。楽しみだな」
「根津校長が集めた本ばかりと聞きますしね。でもお兄様が望むような未知の武の本はありますかね?」
「さぁ~」
しかし当然の様に一騎もユエも爆豪を無視。それどころかいつもと変わらず仲良く喋り続けている。
「っ~! 無視してんじゃねぇ!!つんぼかテメェ!!」
「爆豪君!流石にその言葉は!」
「不死黒さん」
「どうした、八百万」
あまりにも酷い言葉を言う爆豪に飯田が声を上げ八百万がおずおずと声をかけると一騎は普通に反応を見せる。
「どうしたのももちゃん?」
固まって自分たちを見る八百万にユエが声を掛け顔の前で「おーい」と手を振る。
そして未だに自分を居ない者として反応する2人に遂に爆豪が本気でキレる。
「クソがぁ!いつまで虚仮にしやがる、無個性野郎がァ!!」
「はぁ~別に虚仮にはしてねぇよ。ただ俺の名前は不死黒一騎だ。無個性野郎は蔑称、てか差別用語だろうが」
「テメェなんざそれで充分だろうがぁ!」
「はぁ~。名前はちゃんと呼ばねぇ、気にくわないと直ぐに怒鳴る。なんでも1番じゃ無いと気に入らねぇのか? 器の小せぇ奴」
「アァ"」
「お前さぁ、昔から虐めや差別してた側の人間だろ?」
図星を突かれた爆豪は更に苛立ちその場に鞄を投げ捨てると一騎を殺さんばかりに睨む。
「人のこと言えねぇが、お前ヒーローよりヴィランの方がお似合いだぞ。今からヴィランに路線変更したら」
「殺す!!」
「殺す度胸もねぇくせに殺す殺す言うなよ。弱く見えるぞ」
「っ! 表に出ろやァ!!」
「寂しがり屋か?一人で行けよ。俺はお前よりユエと居る方が大事なんだよ」
「シスコンが」
「妹を大事にするのは当然だろ。それじゃぁね、爆豪」
敢えて名前を呼び、手を軽く振ってから教室を出て行く。そして直ぐにユエは八百万の手を握り爆豪にべぇーと舌を出して一騎の後に付いていく。
☆
「目新しい本は無いですね」
「だな~」
図書室に行ったあと武の本が置いてあるコーナーで本を読み漁るも目新しいものが無く肩を落とす。
「どれもこれも呼んだことある本や内容だな」
「収穫は零ですね。・・・・ケホケホ」
やはり個性社会の為か個性無しで徒手格闘術や武器術は個性の無い時代から大して成長しておらず、図書室にある本の内容はどれも一騎が読んだものばかりだった。と言うより世界中のあらゆる武の本を持ってる一騎の方が可笑しいのだが。
そしてやはり個性時代ではこういった本は需要が無いのか本の上には少しほこりが積もり、本を閉じた時に舞った埃でユエは少し咳き込み、違う場所を探しに行く。
(やっぱり彼奴には接近戦技術と捕縛技をメインに修行をつけるか)
一人の人物を頭に浮かべながら一騎は修行内容を考える。
「・・・不死黒さん、先ほどのあれは、その・・・やはり少し言い過ぎなのでは?」
「・・・」
本を戻し違う本を探し始めた一騎に八百万が申し訳なさそうに声を掛け、少しの沈黙の後に一騎は口を開く。
「無個性野郎はただの差別用語だ」
「っ!」
「あんな言葉を平気で言う奴が居るからこの世から無個性差別が・・・いや、無個性差別だけじゃ無い、異形型個性や特殊個性の差別が無くならないんだ」
「そ、れは、そうでしょうが・・・」
「あんな奴がトップに立ってみろ、トップヒーローの影響力で差別の対応が正当化される。・・・そんなこと、絶対に許すかぁ!!」
「ヒッ! さ、さし差し出がましい事をい、いました!も、申し訳ありません!! ごめんなさい」
怒気の籠もった声で言い、怒りの表情で目を動かし八百万を見る一騎。そして目が合った八百万は思わず一騎の姿がエリクと重なり、後退って腰が抜けたかのように座り込むと両手を胸の前で握って頭を下げて謝る。
「あ、ごごめん!違うんだ、八百万に怒るつもりは無くてつい!ごめん、本当にごめん!!」
ハッとして自分が何してるのか気づき急いで駆け寄りしゃがむと八百万に必死に謝罪する。
「いえ、大丈夫ですわ」
支えられ立ち上がった八百万は無理矢理笑顔を浮かべて返事をするも一騎はそんな顔をさせたことに罪悪感を抱き表情を歪める。
「そのような顔をしないで下さい。先ほどの言葉は私が差別される側で生きていなかったからの言葉。完全に私の失言ですわ」
悲痛な顔をする一騎を見て八百万は優しく一騎の両手を握り必死に言葉を続けた。
(不死黒さんは散々無個性を理由に差別を受けました。なら当然無個性野郎と呼ばれていますわ。 っ!気が付くのが遅すぎますわよ、八百万百!!)
自身の考えの至らなさに八百万は内心自身を責める。
そこから少しの沈黙でお互いに目が合う。
「お兄様?ももちゃん。何して、る、の」
だがそのタイミングでユエが戻って来た。
「・・・・・・お邪魔しましたぁ!!」
「ゆゆゆユエさん!?お待ち下さい!なにか誤解していますわ!弁明の!弁明のチャンスを!!」
ダッシュで立ち去ろうとするユエを何とか捕まえた八百万は必死にユエにしがみつき誤解を解こうと頑張る。
「まぁ、ももちゃんもいい歳だもんね☆」
「だから違いますわ!」
「ははは」
「あーわっかんねぇー!!」
「!?」
二人の遣り取りを見て一騎は乾いた笑みを浮かべ近づこうとした時に聞き覚えのある声を聞いてそっちに向かう。
「こら!鉄哲、大声出さないの」
「す、すまね」
「うぅ~日本語むずかしいデース!!」
「ん」
「落ち着け~。分んない為の勉強会だぞ」
声の聞こえる場所には拳藤を初め数人のB組が勉強会を開いていた。
「鉄哲、その数式はコッチと同じ問題だからコッチを応用したら楽だよ」
「お、そうか!サンキュウ!」
「あと、問題の①⑥⑩の答え違うぞ」
「え!?マジか!教えてくれてあんが・・・不死黒!?!?」
「よ!」
お礼を言おうと振り返ると、教えてくれたのが一騎だと知り鉄哲は叫び他のクラスメイトも一騎に気づく。
「B組の皆は勉強会か。・・・久しぶりじゃん、物間」
「うっ」
一騎の目線の先には物間もいた。
まさか自分に挨拶をされると思って無かった物間は声を詰まらせる。
「ひ、久しぶりだね!あーえっとー」
昼飯の時に緑谷に何時もの調子で挑発じみた事をしていたがやはり一騎が相手だとしどろもどろになり目が泳ぎまくる。
「体育祭の気にしてるなら気にしなくて良いよ。あれは無個性差別から来た言葉じゃないだろ?」
「あぁ」
「じゃあ気にすんな」
「それじゃあ!気兼ねなく言わせて貰うけど、今回はA組が目立っていただけでこれからは僕達B組が!「フッ!!」 アッふ!?」
「五月蠅い物間!」
一騎に言われ、何時もの調子を降り戻した物間は立ち上がり椅子に足を置くと一騎に向かって大々的に宣戦布告しようとするも拳藤の手刀により意識を刈り取られた。
因みに拳藤の手刀は一騎が思わず「綺麗」と言ってしまうほどの代物だった。そしてその呟きを聞いた拳藤は方が赤くなっていたとか。
「ご、ごめんね。こいつ心がアレで」
「それぐらい気にしないよ。それで拳藤、3番の問題文の答え間違えてるよ」
「え!・・・あ、ホントだ」
拳藤の謝罪を受けてから一騎は彼女の答えが違う事を指摘すると、言われた拳藤は問題集を見返して気づき、書き直す。
そして答えの指摘ややり方を見て小大が一騎の腕を突っつく。
「どうした?小大さん」
「ん」
「応用で躓いてるのか」
「ん!?」
「そりゃあ何言ってるか分るよ」
「ん?」
「本当だよ」
「・・・ん」
「スゲー本当に何言ってるか分ってるよ」
「俺達でも時折分らないとき有るのに」
ん。しか言ってないのに一騎は何言ってるのか理解して会話が成立したことで言っている小大自身が驚き、珍しく表情に大きくでて、B組の皆も一騎の理解力の高さに驚く。
「ん?」
「ん。それで合ってるよ、小大さん」
「んん」
「ん?」
「ん、ん」
「ん、分ったよ小大」
「なんで普通に『ん』で会話できんだよ」
「意思疎通能力高すぎないか?」
「流石不死黒」
「サシフシ」
「なぁなぁ!これも教えてくれ!」
「良いぞ」
一騎の凄さにB組の全員が驚いている間に鉄哲が問題の質問する。それに続き他の皆も質問をして、一騎は少しだけ勉強会に加わる。
☆
「不死黒サーン!答えこれであってマスか?」
「おう合ってるよ。よしよし」
「えへへ」
「おっとごめんよ。ついユエにする癖で」
「もっとplease! 不死黒サンのなでなで落ち着きまーす!daddyを思い出します」
「出来れば兄ポジションでお願い」
角取の言葉に若干ショックを受け講義する一騎。そんな二人を見て皆は笑っているときに、誰かが背後から一騎に抱きつく。
「お兄様~!」
「おっと」
抱きついたユエは一騎に笑顔を向けて頬ずりをする。そして一騎は角取のなでなでを辞めて代わりにユエの頭を撫でて微笑む。そのとき手を離したときに角取が少し寂しそうな表情を浮かべるが、一騎は気づかない。
「どうしたユエ」
「帰りましょ~と呼びに来ました。あ、ヤッホ~一佳ちゃん」
「ヤッホ~ユエちゃん・・・」
拳藤は一騎に抱きつきながら手を振るユエに手を振り替えし、内心で恋人同士みたいと思う。何故かモヤモヤする感じを無視して見ていた。
「そういえば何で不死黒は図書室に居たんだ?」
「武の本が沢山あるって先輩から聞いて来たんだ」
「結局収穫は0でしたけども!」
鉄哲の質問に一騎が答えてからユエが人差し指と親指で輪っかを作り一騎の言葉の続きを言って答える。
立ち上がると一騎は自分の鞄を八百万から受け取り、皆に邪魔したなと告げる。
「勉強教えてくれてありがとね、不死黒」
「俺がやりたくてやったことだ。気にすんな」
笑顔で言うと一騎はユエ達を連れて図書室を出て行く。
そして拳藤達は気絶してる物間にまで間違えてるとこをメモで残した姿を見て、兄貴みたいと思っていた。
☆
「てか八百万少し疲れてない?」
「ユエさんに先ほどのことを説明しても信じてくれませんでしたわ」
「あぁ~」
「にゃっはははは」
A組兄貴の一騎、B組姉貴の拳藤・・・。
次回「期末テスト②」
それでは、期待せずにお待ち下さい。
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