無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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映画編は4話ぐらい有ります!!そして一騎は移動手段のアイテムを手に入れるぜ!!


映画編 2人の英雄・2人の無個性
第54話:I・アイランド


 

 

 

「さぁ始めるか」

 

 現在一騎は雄英体育祭、個人戦で使われたステージに立っていた。

 そして一騎の反対側に立っていた対戦相手は普通の人の眼では見えない速さで距離を詰め拳を振るう。

 

「うんいける、ちゃんと眼で追えてる」

 

 しかし一騎は三日月の様に口角を上げ笑い眼前に迫る・・・・・・脳無の拳を見据えていた。

 

 振り下ろされた拳を前のめりになるだけで避けると同時に拳を突き出しカウンター気味に下から顎をカチ上げる。

 

「・・・ギャァァアアアアアア!」

 

 本来顎へのカウンターは脳を激しく揺らすが、脳無は脳が剥き出しになっているために脳震盪が起きない。しかもこの脳無はショック吸収も持っているために更に効かない。

 結果、一騎の顎へのカウンターは意味が無くただ一瞬隙隙を作るだけだった。

 

「おっと」

 

 豪腕で一騎を抱きしめようとするが一騎はバックステップで避けるとジャンプして脳無の顔に飛びつきそのまま。

 

 ――グチャッ!

 

 脳無がもう一度一騎を捕らえようと前のめりになった勢いと一騎が飛びついた勢いの両方を使い脳無の脳を抉り取り握りつぶした。

 脳が無くなると同時に脳無は前のめりに倒れ動かなくなると直後にノイズが走り消える。

 

 それを確認すると息を吐いて数回深呼吸し一騎は呼吸を落ち着かせる。

 

「ふぅ~。脳無の速度なら片目でも十分追えるな」

「はは、そんな木偶を壊して(殺して)なにいい気になってんだ?」

 

 セメントスが座っていた審判椅子に座り脚を組んで観戦していたエリクが声をかける。

 

「ショッピングモールでボコしやがって」

「それは本体の俺に言ってくれ。俺は所詮お前のイメージなんだから」

 

 そう、このエリクが言うようにいま一騎の目の前にいるエリクは本物では無く、一騎が睡眠中に行うイメージトレーニング『体外離脱』で作り出した偽物のエリクだ。

 

 体外離脱とは一騎がエリクに教えて貰った睡眠中に行うイメージトレーニングだった。

 脳内で現実と同じ環境を作り、対戦相手のイメージと戦闘をすることで反復学習と戦闘経験を積むことができるが、相手の実力を一部しか見ておらず情報不足の場合、例え行っても仮想敵の強さは不完全なものとなる。

 

 ただ、一騎はこのエリクは自分が生み出したと思っているが実際はエリクが一騎にあった頃に一騎の深層心理に自分という情報をすり込んだ。その結果、一騎が体外離脱をした時には必ず出てきて稽古を付けてやっていた。

 因みにだが、一騎が作ったオリジナル技『金剛ノ型・棍棒』を初め『火天ノ型・極二式 蜃気狼』『水天・橾流ノ型極み 消力』はこの体外離脱で作り出した。

 

「じゃぁやるか?」

「あぁ」

 

 エリクもステージに立つと2人は数泊の後に走り出す。

 

 ――火天・金剛ノ型 鉄砕・爆!

 

 お互いに不壊の要領で肘から突進し、激突する。

 

「ウッ!?」

 

 結果、一騎が押し負ける。

 

「まだまだ、ぶつかった時に踏ん張りが甘いな」

「なめんな!」

 

 跳ね起きると勢いよく走り出し、火天・金剛ノ型 瞬鉄・砕を打ち込む。

 

「スピードも威力も充分。しかし、その攻撃は直線上過ぎる所為で受け止めやすい。こんな風にな」

「イッ!」

 

 手首を掴まれそのまま捻り上げられ苦痛の表情を浮かべるが、即座に足払いでバランスを崩させ更に『柳』を使い天地逆転させる。

 

「おぉ良いね。けど甘い!」

 

 そう言うとエリクは一騎の腕を掴み足首を一騎の首に絡み付けて絞めつつ、 片腕を取って腕十字ひしぎのような体勢で関節を極める。

 

「水天ノ型・双魚之縛」

「うっう”う”!」

「今のは流石に焦ったぜぇ~」

「うそ!つけぇ!!」

 

 叫びと共に一騎達を中心に爆発のような物が起きる。

 軽く口笛を吹きながらエリクは爆発の余波を使い後方に軽やかステップで下がり姿が変わった一騎を見て口角を上げる。

 

「前借りとお前が編み出した全集中の呼吸を同時に使用した状態、モード阿修羅か」

い、くぞ!・・・っ!

 

 一騎が攻撃を仕掛けようとした瞬間! 会場がぐらぐらと揺れ動き所々崩壊を始めるのを見て一騎は阿修羅を解いてエリクが口を開く。

 

「外部の誰かがお前を起こしてるな」

「そろそろか」

「もう着くな」

「・・・次は勝つ!!」

「これで151回目だな」

 

 

 ニヤニヤと笑みを浮かべエリクが答えると同時に会場は完全に崩れ視界が暗転する。

 

(無事に観光楽しめよ)

 

 ☆

 

 

 

「んっ」

「あ!起きた! おはよ~」

「おはよ、不死黒君」

「どうも」

「不死黒君ぐっすり寝てたね~。眠たいの?夜更かしでゲーム?膝枕してあげようか?」

「夜更かしで鍛練、早起きで早朝鍛練で合計2時間ぐらいしか寝てなかったんです。膝枕はまた今度お願いします」

(コレが本当に先輩後輩の会話?)

 

目を覚ますと目の前にいたのは波動先輩と甲矢先輩の2人。

なんで目の前にこの2人がいるかと言うと今俺は飛行機に乗り有る場所を目指して居る。そこが・・・。

 

「わ~♪やっと着いた!I・アイランド!」

「ねじれ~速く席に着いてベルトしなよ」

「は~い」

 

言われて元気に席に戻る姿は先輩と言うより子供みたいだ。まぁこの飛行機は雄英側が用意してくれた専用機だから他に客がいないんだけど。

 

 

I・アイランド、世界中のヒーロー関連企業が出資し、個性の研究やヒーローアイテムの発明などを行うために作られた学術研究都市。

世界中の発明家が憧れる場所。なんで俺がそこに行くかと言うと、雄英体育祭で優勝した俺はIエキスポのプレオープンの招待状を貰ったから。と、言うのは嘘で実際は有る人物に誘われたからだ。

 

体育祭が終わってから一週間ころたってからかな?パソコンに一通のDMが来た。初めてだったから警戒したが内容は端的に言うと、その人がI・アイランドに住んでいて、俺と同じ無個性で是非お会いしたいとの事だった。

名前はメリッサ・シールドと言う女性だったかな。

 

「I・アイランドの入場手続きも終わり!」

「全部自動でしたね」

「ただ移動廊下に立ってるだけで良かったの凄かったね!」

「だね。そう言えば不死黒君は用事があるんだっけ?」

「はい。会う約束をした人が居るんです」

「そっか~残念。それじゃぁね!不死黒君!」

「またね~!」

「はい。迷子にならないでくださいね、波動先輩」

「ねじれちゃん!」

「え?」

「ねじれちゃん」

「・・・ねじれ先輩」

「ねじれちゃん」

「ねじれせん「ちゃん!」・・・ねじれちゃん」

「うん!迷子にはならないよ~!」

「私が居るから大丈夫」

 

「では。(俺も待ち合わせ場所に向かうか)」

 

Iエキスポはペアチケットで誰か誘えたからIアイランドに最初はユエを誘ったが父のスポンサーしてる所のパーティーに行くのに着いて行かなくてはならず無理だった。才先輩も似たような理由。

発明がメインだから来るかな?と思った明はトウシさんの両親の方に顔を出しに行った。ミルコさんには即答で興味無いっていわれたから一人で来た。

 

・・・・・一人には慣れてるはずなのになんで寂しさを感じるんだ?

 

 

 

「よし!いくか。ハローアミ」

 

《ようやく私の出番ですかマスター》

 

「なんか怒ってる?」

 

《いえ別に最後の登場が職場体験の時だったからといって怒っていません。所詮私はマスターの道具ですので!都合のいい道具ですので!」

 

「やっぱり怒ってる!? ごめんって!許して!」

 

《別に怒っていませんよ?えぇ怒ってませんとも》

 

「許して!本当に!!」

 

《許すも何も別に怒ってません。ですがどうしても、どーしても!というのでしたら私のアイコンを作ってくださっても良いんですよ?》

 

「うん!可愛いの作るから!」

 

《勝ちました! ピースピース!》

 

「それ何処で覚えた?」

 

《ネットです。それでマスター、どのようなご用でしょうか?》

 

「あぁ花の時計広場って所教えて」

 

《分りました。・・・ルート確認完了。画面に表示します》

 

「ありがと」

 

ここから五キロほど、全力で走れば10分位で着くか?信号とかも含めたらもう少し掛かるかもな。

それにしても凄いな・・・・。I・アイランドは個性の使用が自由だからあちこちで個性をつかったパフォーマンスが行なわれてる。

沢山の人達、コレでヴィランが居ないことが驚きだ。

 

「あの」

「はい?」

「やっぱり不死黒一騎さんですよね!」

 

誰だ?この服は・・・あ、I・アイランドのスタッフさんか!

 

「そう「イノベーター!?」!?」

「本物だ!」

「生だとやっぱりかっけー!」

「さ、サインください!!」

「俺も!」

「え、いやちょまっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「疲れた・・・」

 

結局サインや 握手等の対応で1時間ぐらい掛かってしまった。けど無事に目的地には着いた。

 

「待ち合わせ時間まであと1時間半ほど有るな・・・・寝よ」

 

 

 時計から目を逸らすと時計台の裏側にあるベンチに座り背もたれにもたれると青空を見て頬を撫でる心地の良いそよ風を感じながらゆっくりと目を閉じる。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

「いや~参ったねHAHAHAHAH」

 

 オールマイトは顔中に着いたキス痕の口紅を拭いていた。

 

 彼は昔からの知り合いに誘われIアイランドに訪れていた。だがその時に封筒されていたチケットはペアであり、彼はとある生徒を誘った。

 

「でも同行者って普通は家族とかでは?」

「既に緑谷少年は血より固い絆で結ばれているさ!ワンフォーオールという絆でね」

「っ!」

 

 そう、オールマイトが誘った生徒はワンフォーオールの後継者である緑谷出久だった。

 会う人の話を聞き緑谷はどのような人物なの考えていた。

 

「あれ?緑谷?」

「え?ふ、不死黒君!?」

「不死黒少年!!?」

「と・・・・・・・・オールマイト」

 

 突如背後から聞こえた声に二人は驚き振り返ると時計台のは背後から現れた一騎を見て驚愕する。

 オールマイトは個性云々の話を聞かれたと思い冷や汗を流し、緑谷は一騎への後ろめたさに襲われ顔を真っ青に変える。

 

 そんな二人とは違い一騎は緑谷とオールマイトを交互に見てから何かを察したような表情を浮かべ軽く溜め息をついてから口を開く。

 

「二人が会っていようがなんとも思わないよ。それに他人の交友関係に口出しできる資格俺には無いし」

「不死黒少年は何時からあそこに?」

「言う必要ある?・・・まあ1時間半前から」

「1時間半前!?」

「ま、まぁさっきまで寝てたけど」

 

 オールマイトの質問に怪訝な目を向けるもちゃんと応えてあげると次に緑谷が驚きの声を上げた為に若干驚き訂正を入れる。

 この時オールマイトは個性の話を聞かれていないことに安堵した自分に気づき嫌悪感を感じてしまう。

 

「不死黒君はなんでI・アイランドに?」

「人と会うためにだよ。もうすぐで・・・・・・」

 

 発目明が作ってくれたお手製腕時計を見ながら答え視線を上げると上の階からホッピングに乗って金髪のロングヘアーに青緑色の瞳の美少女が現れる。

 彼女はオールマイトに近づくとホッピングから飛び降り「マイトおじさま」と呼び抱きつく。因みにホッピングは一騎が上手に片手で受け止めた。

 

「メリッサ!大きくなったね!」

「あの頃とは違い重くなったでしょ?」

「なんのこれしき!」

 

 一騎が会う予定だった女性、メリッサ・シールドはどうやらオールマイトとは旧知の仲のようでオールマイトは自分の胸に飛び込んできたメリッサを受け止めると抱き上げる。

 緑谷はオールマイトから会う人がフルからの親友と聞かされていたが、メリッサはどう見ても自分たちと同い年ぐらいの見た目のために『不老』とかそういった個性なのかと思考を巡らせているが一騎はホッピングに興味津々だった。

 

 

「マイトおじさま、そちらの方は?」

 

 下ろして貰ったメリッサはオールマイトの横に立ち自分を見ていた緑谷に目を向けニコッと笑う。

 

「オールマイト、その方は?」

「ああ、この子は私の親友の娘で」

「初めまして、メリッサ·シールドです」

「あ、そういう事か······あ、いえ、は、初めまして、雄英高校ヒーロー科一年緑谷出久と言います」

「雄英高校···という事はマイトおじさまの!」

「はい、生徒です!」

 

 軽く自己紹介した後にメリッサは2人の後ろに居る一騎を見つけると駆け寄りホッピングを持ってない方の手を両手で掴み満面の笑みを浮かべる。

 

「初めまして!不死黒君!」

「初めましてメリッサさん」

「不死黒君と会えて光栄だわ!」

「俺も嬉しいです」

 

 再開したときと同等の笑顔を浮かべ話すメリッサにオールマイトは微笑ましく見るも時間が押してることに気づく。

 

「うおっほん。あ~メリッサ?そろそろデイヴの所に案内して貰えるかな?」

「あ、はい。・・・早くパパを喜ばせてあげなきゃよね、こっちですマイトおじさま!」

 

 笑顔で返事をすると一騎が持っていたホッピングのボタンを押すとリストバンド形状になり腕に装着されるとメリッサは走り出し3人はその後を追う。

 そして一騎はメリッサの脚が速いことに「脚はや!」と内心驚いていた。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「だってパパの娘だもん!」

 

 メリッサの父が居る場所に向かい扉の近くで中の話し声が聞こえるとメリッサは笑みを浮かべ部屋に入っていく。

 

「今日はパパにサプライズがあるの!」

「サプライズ?」

 

 言われた言葉を口にしながら首を傾げると部屋にオールマイトが現れる。

 

「私が!再会の感動に打ち震えながら来た!!」

「ト···いや、オールマイト!?何でここに」

「メリッサが招待してくれたんだよ」

「パパを驚かせようと思って」

「あはは···ああ、驚いたよ。久しぶりだな、オールマイト」

「ああ、デイブ。こうして会うのは何年ぶりだ?」

「止めてくれ、お互いしたくないだろ、歳の話は」

「全くだ、HAHAHA!!」

 

 久々の再開に喜び合う2人を見てメリッサは企画して良かったと微笑む。

 

「ああ、紹介するよ。私の教え子で雄英高校ヒーロー科の」

「緑谷出久です!!デヴィット·シールド博士ですよね!!個性研究の第一人者にして、数々の賞を受賞し、多くのヒーローのサポートアイテムの礎を築いた天才博士!!そして、オールマイトのコスチューム、ヤングエイジ·ブロンズエイジ·シルバーエイジ·ゴールデンエイジ、その全てを手掛けたパートナー!!」

 

「お、おぉ・・・・。挨拶する必要は無いようだね」

「・・・」

 

 オールマイトファンの1,2を争うであろう緑谷の迫力に若干引気味になるも直ぐに笑顔を浮かべて答えると、扉付近に立ち何かを考える一騎に気づく。

 

「君は・・・」

「あ、失礼しました。俺の名前は」

「不死黒一騎君だね」

「およ?貴方ほどの方に認知して頂けているとは光栄です」

 

 会釈して答えるも一騎は今日会うまでデヴィット・シールドという人を知らなかったし、失礼だが緑谷が色々言うまで過去の功績も知らなかった。

 

「あぁ、雄英体育祭を見た後にメリッサが凄い凄いと君のことをずっと話して褒めていたからね」

「ほへ~」

 

 悪戯っぽくデイブが言うと一騎は意外とでも言うかのような声を出してメリッサを見ると彼女は顔を赤くしてデイブの元に行き頬を膨らまして抗議する。

 

「もう!パパ!」

「あはは、ごめんごめん」

 

 メリッサは一騎と同じ無個性。彼女は幼き頃は周りと同じでヒーローを目指していたが5歳になっても個性が発現せず病院で検査したところ無個性と判明した。

 そこから落ち込みながらも気丈に振る舞っていたある日出会ったオールマイトに、ヒーローの在り方は一つではないことを示唆され、メリッサは父のような科学者を目指した。

 

 しかし、雄英体育祭で自分のできなかったことを体現している一騎を知り感動と共に感銘を受け、一騎の過去を知っていくうちに彼女は一騎のファンになっていった。

 

 

「・・・ゴホ」

 

 かわいらしく怒るメリッサの頭を撫でながらデイブが謝っているときにオールマイトマイトが小さく咳き込む。それを見たデイブが声をかけようとした時に一騎が口を開く。

 

「さて!メリッサさん、緑谷、若者の俺達は退散しましょう」

「私も久々にオールマイトと話したい事が有るんだ」

「うん、分ったわ! 行きましょ、不死黒君、デク君」

 

 一騎と緑谷を連れて部屋を出て行くメリッサをデイブは見送リ助手のサムにも声をかける。

 

「サム、君も休んでくれ。二人っきりで話したい事も多々あるからね」

 

 

 

 ☆

 

 

 オールマイトが咳きをした後に一騎がああ言ったのは自分たちに速く彼と居させてくれと合図だと思ったからだった。だが、そうなるとやはり何でI・アイランドに緑谷を連れてきたのか考えてしまう

 

(オールマイトと緑谷が一緒にIアイランドに来ていたのは緑谷にデヴィットさんを紹介するためか?・・・・・・)

 

「此所が私の研究室よ」

 

 メリッサの使う研修室に向かい歩きながら考えていた一騎は何時の間にか着いたことに意識を戻すと親近感のある部屋に思わず笑みをこぼす。

 

 

「発明家のラボと似てるとこ多いな」

 

 なんとなくそう思いひとりごちったのがメリッサには聞こえたらしく彼女は一騎の身に付けているコシュチュームとアイテムに目を向け軽く触る。

 

「不死黒君の使ってるコスチュームとアイテムの全て発目製品よね?」

「よく分かりましたね!」

「当然よ?この業界では発目夫妻は凄く有名だもの」

 

 そう言うとメリッサは「ちょっとまってて」と言い部屋の奥に行き別の部屋に行く。

 

(確か才先輩もそんな事言ってた気がするな・・・?)

 

「ねぇ不死黒君」

 

 仲良く話す2人を見て最初に2人が会う約束のようなことを話していたのを思い出しそれを聞くといろんなアイテムを持って来たメリッサが答える。

 

「私が会いたくて連絡したら来てくれたの」

「連絡?」

 

 首を傾げた緑谷を少し見てからメリッサはサポートアイテムを机に並べながら淡々と答える。

 自分が無個性であること、体育祭で一騎を見て尊敬したこと、そしてそんな一騎に自分の作ったアイテムを使って欲しいことを答えた。

 

 そんな中で1番緑谷が驚いたのはメリッサが無個性であることだった。

 

「無個性」

「?」

「人が当たり前に持っている物を持っていないと言われるのは「関係無いわ」 え」

 

「確かに最初はショックだったわ。でも私にはすぐ側に憧れが居たもの」

「憧れ・・・?」

「パパよ♪ それに今はもう一人、最高の憧れが居るもの」

 

 笑顔で言うメリッサの顔はもの凄く眩しい物だった。そしてそのメリッサの向けた目線の先には自分の作ったアイテムをキラキラした目で見ている一騎の姿だった。

 

「メリッサさん!このアイテムは何ですか?」

「っ」

 

 子供が買って欲しい玩具を見るかの様な顔をする一騎を見て格好いい姿とは違うギャップにメリッサは言い知れぬキュンとした感覚に襲われ反応が遅れる。

 

「?」

「あ、ごめんなさい」

 

 そして一騎が手に持っているのは両端にフックみたいなのが着いた少し長めの鎖だった。

 

「それは起動したら鎖が飛び出て最大50メートルまで伸びる代物なの。強度は大体200キロまで引っ張れるわ、その名も――万里ノ鎖。」

 

 

「・・・万里ノ鎖」

「でも難点が1つあるの」

「難点?」

「物が物だけに扱える人が居なかったの。ヒーローの人達も使える人が居たらそれはそういった関連の個性を持った人達だけだったの」

「へー」

 

 難点を聞いても一騎は手に持ったアイテム、万里ノ鎖への興味は削がれ無かった。元々沢山のアイテムが有る中、最初に一騎の目にとまったのがこの万里ノ鎖だった。正に運命。

 

 未だに手に持っているのを見てメリッサの提案で隣接している隣の部屋で用意して貰った仮想敵に試しに使い万里ノ鎖を伸ばし振り回す。

 

(凄い・・・本当に()()の言うとおり凄い運動神経ね)

(!?)

 

 使い慣れた武器を使うかの様に万里ノ鎖を扱う一騎を見てメリッサは驚くが、緑谷はそれ以上に驚く。何故なら一騎の姿が相澤の戦法、捕縛術にそっくりだったからだ。

 

 一騎の使う豊富な戦闘技術の中には当然捕縛術もある、ただ我流ではあるが。それでも相澤に似ているのは偶々だった。

 

「メリッサさん!コレ凄く良いですね。強度は抜群、なにより丁度良い重さです」

「ならソレは不死黒君にあげる!」

「良いんですか?」

「うん♪ 代わりに、大事に使ってね」

「はい!」

 

 万里ノ鎖を貰えることになり一騎はこれからの戦法や移動法の幅の広がりに、新たに新技を作れることにワクワクして心が高鳴るのを感じていた。

 

「あ、緑谷も見て貰ったら?最適なサポートアイテムきっとあるよ」

「デク君?」

 

 一騎の提案で緑谷の動きを見せて貰ったメリッサは緑谷が力をセーブしていることを一目で見抜き、以前オールマイトを参考に作ったサポートアイテム『フルガントレット』渡す。

 

 

 ☆

 

 

 

 

「デクくん、本当にマイトおじさまが大好きなのね。あのときはすごい勢いでびっくりしちゃった」

「あっ!すいません、つい、その……クセで……」

 

 アイテムの試し運用は明日することにして今はメリッサにIエキスポ内を案内してもらっている。そして最新のヒーローアイテムを展示しているパビリオンに入り見学をしていた。

 

「緑谷はヒーローオタク?で、特にオールマイトの大ファンなんですよ」

「それじゃぁ不死黒君も?」

「え?」

「不死黒君もマイトおじさまのファン?」

「いや、俺は・・・・」

 

 ファンどころか嫌いな部類。だがそれを正直に言える分けもなく言葉が詰まり黙るが、オールマイトよりミルコの方が好きだからそう言おうとした瞬間、大事な人の声が届く。

 

「お兄様~!」

「え!ユエ!? うおっと」

 

 某帰国子女艦娘の様なダイナミックに振り向いた一騎に抱きつく。

 ここ(Iアイランド)で会えると思って居なかった一騎は当然驚くもしっかりと飛び込んできたユエを受け止め抱きしめる。

 

「なんでここに居るの?ユエ」

「あれ?言いませんでした?アレの付き添いで此所に来ると」

「聞いて無い!」

「お兄様も用があると言ってませんでしたか?」

「あれ?俺は人に会うから此所に来るって言って無かった?」

「聞いて無いですね」

 

「「・・・あははは」」

 

 

 お互いにぽかんと顔を見合い少しして笑い合う。

 そして抱きついているユエは笑顔を浮かべて此方を見ているメリッサを見ると彼女に近づき抱きつく。

 

「メリッサちゃんお久しぶり~♪」

「うん!久しぶりねユエちゃん♪」

 

 水無月水重はデイヴィッドの大口スポンサーである為に毎年Iエキスポに訪れており、ユエは毎回着いてきていた。その時にメリッサと出会い彼女が無個性であることを知りユエは八百万と同等までにメリッサと仲良くなり信頼していた。

 

「2人が知り合いだなんて俺聞いてない」

 

「「言ってないもん」」

 

 息ピタリな2人を見て一騎は軽く笑い、ユエは思いだしたかのように話す。

 

「そう言えば此所に居るの私だけじゃないですよ」

「え?」

 

 ユエが指を差す方を緑谷が見るとほぼ真後ろに麗日がつもの笑顔とは違う、どこか平坦な笑顔を浮かべていた。

 

「うわ!?」

「楽しそうやったね、デク君」

「う、麗日さん!?どうしてここに?」

「楽しそうやったね」

(二回も言った!!?」

 

「コホン!」

「あ、八百万」

「とっても楽しそうでしたわ」

「聞いちゃった」

「恐るべし…耳郎さんのイヤホンジャック…」

 

 麗日の後ろには耳朗と八百万もおり、何故か3人の視線は何かやましい事がないか詮索するような視線だった

 そしてオールマイトと一緒に来たのを知られたくなかった緑谷の頼みでとりあえずメリッサの提案でカフェでお茶することになった。

 

 お茶することになったが、なんとカフェでは上鳴と峰田がエキスポの間だけバイトをするようだった。

 更に飯田も来ており彼は家がヒーロー一家の為に招待状を貰ったのことだった。

 

「あら?一騎君?」

「え?」

 

 既に一騎はクラスメイト達に会えたのに驚きだったのに更にその場に10人ほどを連れた印照才子も現れた。

 

「さ・・・・! 印照先輩」

「・・・え」

「!?」

「印照せんぱ「「不死黒ォ~!!」」 おぉっどうした?」

 

 いつものように才先輩ではなく印照先輩と呼んだことに才子とユエは驚き、才子の顔は僅かに青ざめる。それに気づかず一騎は声を駆けたときに峰田と上鳴が亡者の様に一騎に迫り問い詰め始める。

 

「お前ぇ!あのコスチュームは聖愛学院の生徒だろ!」

「どういう関係なんだ!てか紹介しろ!紹介!!」

「あの人は印照才子先輩。ユエ以外で初めて俺を不死黒一騎として接してくれた人だよ」

 

 その説明いや、言葉だけで峰田と上鳴や気にして聞き耳を立てていた耳朗達は一騎が無個性差別で家や学校で酷い扱いを受けていたのを聞いて知っていた為に「あっ」て表情を浮かべ更に上鳴と峰田は問い詰めた後ろめたさからか、気まずい表情を浮かべて「ごめん」と謝る。

 

「貴女たち、此所でひと休憩をいたしましょう」

「はい才様」

 

 皆が気まずい表情を浮かべてるのを見て一騎が首を傾げているなか、才子の一言で才子に付いていた子達は席に座り休憩するが、才子は一騎に近づくと「少しいいかしら?」と声を駆け一騎を連れていく。

 その姿を見てユエは心の中で仕方ないね、と呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしました?」

 

 皆から離れ人の目が付かない物陰に移動すると一騎が問いかけると才子は少し肩を跳ね上がらせてから振り返るとその表情は緊張していた。

 

「ねぇ一騎君」

「はい?」

 

「私なにか一騎君の気に食わない事とか気に障るようなこと言ったりしたりした?それならちゃんと謝るし二度としないようにするから言って!」

 

 不安の表情で縋るようにいう才子を見て一騎は驚き慌てて才子の肩を掴み目線を合わせる。

 

「どうしたんですかいきなり!?」

「だって、だって一騎君、私のことを印照って」

「・・・え?」

 

 才子が必死になっていたのは一騎が名前呼びではなく苗字呼びだったのが原因だった。まぁ好きな人にいきなり苗字で呼ばれた上に丁寧な態度を取られれば嫌いになられたのかと心配するのも当然かも知れない。

 

「それに今までとは違う接し方だったから嫌われたのかと・・・・」

「そんな訳無いじゃないですか!」

「じゃあなんで今更才子ではなく印照って?」

「それは・・・・中学の時、才先輩俺なんかの為に怒ってくれて殴られたじゃないですか。なら俺と知り合いだと知られて才先輩が学校での立場が悪くなると嫌だと思ったから、です・・・・はい」

 

 一騎の思っていることを聞いて才子は目をぱちくりさせて自分の勘違いだと気づき若干頬を赤らめる。

 

「じゃあ嫌われたわけでは無いのね?」

「当然ですよ。才先輩のことは好きですよ」

「っ//!!!!????」

 

 当然の様に一切の躊躇や恥ずかしげも無く好きと言われ才子は一瞬で顔を赤くして俯く。

 

「す、好き?」

「?はい、才先輩のこと好きですよ」

「っ~/////」

 

 またしても恥ずかしげも無く好きと言われたことで才子は更に顔を赤くする。しかも湯気も出始めている。

 

 才子はちゃんと分っている。一騎は幼少の頃に愛を与えられていなかったから愛を理解出来ない。だから一騎の言う「好き」が異性としての「好き(love)」ではなく友としての「好き(like)」である事が。

 だが!それでも才子は年頃の女の子、好きな人(愛する人)から好きと言われれば照れてしまう。

 実際に顔に手を当てれば熱くなってるのが分かり恥ずかしくなる。そして上目遣いで疑うような目を一騎に向ける。

 

「一騎君、他の女性にもおいそれと好きなんて言って無いわよね?」

「?言ってませんよ。才先輩以外にはユエとエリちゃんだけですよ」

 

 首を傾げながら答えいまいち質問の意味を理解していない一騎の顔を見て才子は小さく溜め息をつき内心「いずれ背後から刺されそう」などと思う。

 

「どうしました?」

「いいえ何も無いわ。早く戻りましょ」

「はい」

 

「・・・・・・良かった嫌われて無くて」

 

 皆の所に戻ろう一騎の後ろ姿を見ながら小さくごちると微笑むその笑顔は、女の子としての笑顔では無く女性としての笑みだった。

 

「どうかしましたか?」

「なんでもないわ」

 

 




はい、一騎が手に入れたアイテムは呪術廻戦に出てくる呪具、万里ノ鎖です!
自分万里ノ鎖が好きなんですよね~なぜか。

因みに才先輩、一騎に嫌われたかもと必死すぎて身に着けているインカムを切ってなかったから連れてた子達全員に聞かれてました!!カワイイネ~。


次回「I・アイランド②」

それでは、期待せずにお待ち下さい。
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