無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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第56話:I・アイランド③

 

 

「来たぞ!」

「撃て!」

 

 目的地の警備室に近づくにつれ敵の数も攻撃も増していく。

 緑谷はこれ以上は一騎に負担をかけさせまいと先に動こうとするがそれより先に一騎は敵の前に出て最小限の動きで弾丸を避けながら万里ノ鎖を振るい床だけではなく壁や天井も使い鎖をバウンドさして四方八方からヴィランを襲う。

 

「何だこれ!?」

「クソこの鎖固ぇ」

 

「オラァ!」

 

 ヴィラン2人を鎖で簀巻きにすると上階から引きずり落とし鉄砕・蹴で2人纏めて壁に叩きつける。

 

「ハァハァ・・・・・スーーハァー」

「不死黒君・・・」

「どうした?速く先に行くぞ」

 

 乱れる呼吸を無理矢理落ち着かせて息を整えるが、流石に血を流し過ぎたかと思うも2人に心配を掛けさせないために笑顔を崩さない。

 

 

 ☆

 

 

 作られたサポートアイテム管理と封印をしている保管室、その部屋で懸命にコンソールを操作しているデヴィットと助手のサムの姿があった。

 

「サム1147ブロックへ」

「はい!」

 

 サムは言われた場所に行き、デイヴィッドは開くぞと言うと壁が起動しサムの元にボックスが送られてくる。彼はそのボックスを開くと中にはアタッシュケースが入っていた。

 

「やりましたね!博士!全て揃ってます!」

「ああ、ついに取り戻した。この装置と研究データだけは、誰にも渡さない。渡すものか...!」

「プラン通りですね。ヴィランたちも上手くやってるみたいです」

「ありがとう。彼らを手配してくれた君のおかげだ。サム」

 

 アタッシュケースの中身をデイヴィッドが確認してから喋る二人。

 

「パパ?」

 

 その時、聞き慣れた声をが聞こえ振り返ると入り口にはメリッサ、一騎、緑谷が立っていた。

 

「め、メリッサ」

「お嬢さんどうして此所に」

 

 デイヴィッド達はメリッサが居ることに驚くが、メリッサはそれ以上に驚き現実を受け入れられないという顔をしていた。しかしそれでも自分の聞き間違いではないかと期待し口を開く。

 

「手配したってなに?」

「・・・」

「もしかしてこの事件パパが仕組んだの?」

「・・・」

 

 メリッサの問いにデイヴィッドは答えることはせずずっと黙っていた。

 

「その装置を手に入れるために?そうなの、パパ!?・・・なんとか言ってよ!!」

 

 ついに耐えきれなくなったデヴィットはおそるおそる答えた。

 

「・・・そうだ」

「なんで?どうして!?」

「博士は奪われたものを取り返しただけです!機械的に個性を増幅させる画期的な発明を!」

 

 サムは語る。デイヴィッドが作った個性増幅装置は薬品に頼るよりも圧倒的に安全な代物だった。しかしそれは、この個性社会には危険すぎる物だた。ゆえに発明と研究データはスポンサーによって没収、研究そのものが凍結させられた。

 そして今の敵が暴れてる隙にこの発明品を取り返し誰にも邪魔されない所で研究を再開させるのが目的だったと。

 

「そんな…嘘でしょ……パパ!!」

「……嘘ではない」

「こんなのおかしいわ……」

「メリッサさん…」

「私の知ってるパパは、絶対そんなことしない!なのに……どうして…どうして……」

 

「…オールマイトのためだ」

 

 デイヴィッドは語る。オールマイトは年々個性が衰え今年では既に消えかかっていると。そしてこの個性増幅装置を使えばオールマイトを全盛にまで戻すことが出来ると。

 語られたことに緑谷は驚きと共に罪悪感を思える。

 

(僕が、ワン・フォー・オールを受け継いだから....オールマイトの力が失われていることを憂いて、博士は...)

 

「オールマイトの為だけにこんな巫山戯た事をしたって言うんですか?」

 

 一騎が低く優しさを感じさせ無い声色で問いかけデイヴィッドは答える。

 

「頼む!オールマイトにこの装置を渡させてくれ!もう作り直してる時間がないんだ!その後でなら、私はどんな罰でも受ける覚悟を・・・!」

 

 サムからアタッシュケースを奪うかのように取ると叫ぶ。

 

「覚悟?どんな罰受け入れる覚悟ですかァ?」

「そうだ!」

「じゃぁ娘を殺す、子殺しの覚悟もあると?」

「・・・は?な、なにを言って」

 

 娘を、大事な我が子を殺す?この子は一体何を言っているとデイヴィッドは戸惑う。

 そんな戸惑う姿を見て一騎は何かがキレた。

 

「お前が呼んだヴィランは!メリッサさんを殺そうとしたんだぞォ!!」

「!?う、うそだ・・・」

 

 一騎の叫びを聞いてデイヴィッドは数歩後ずさり否定するも直後、一騎の右腕が目に入り次にメリッサが叫ぶ。

 

「嘘じゃ無いわ!!捕らわれた人たちを助けようと!不死黒くんがデク君が!他のクラスメイトのみんなが!ここに来るまでどんな目に遭ったと思っているの!?

 それに私は!不死黒くんが守ってくれてなければ死んでいたわ!そして不死黒くんが私を守る為にどんな大怪我を負ったと思っているの!!」

 

 そう言うとメリッサは一騎の右腕を掴み包帯を取り、デイヴィッドとサムにその酷く裂けた一騎の腕を見せる。

 まさか子供に此所までの大怪我をさせると思っていなかったデイヴィッドは大事に抱えていたアタッシュケースを落としサムの方を向き彼の肩を掴む。

 

「ど、どういうことだサム!?敵は偽物、全ては芝居のはず!」

「もちろん芝居をしたぜ。偽物敵という芝居をな」

 

 突然後ろから声が聞こえると乾いた発砲音が響く。

 

「きゃあ!」

「メリッサ!不死黒君!」

 

 弾丸が発射される前、一騎は危機を感知しメリッサを押し倒すように動き弾丸を避けることができた。

 

「テメェ!」

 

 撃った下手人は今回のヴィランのボス『ウォルフラム』。

 

 一騎がメリッサを守るとウォルフラムは更に攻撃をしようとするが緑谷が攻撃を仕掛ける。しかしウォルフラムは個性『金属操作』で緑谷を拘束して壁まで吹き飛ばし固定する。

 

(個性は金属を操るがユエに比べると楽だ!)

 

 その行動を見てから金属だけが動いたことで個性の推察を済ましウォルフラムに接近する一騎だが。

 

「ガキが」

 

 更に一騎にも手すりやワイヤーを飛ばし拘束しようとするも一騎は全部避ける――はずだった。

 腕の怪我による出血が酷く動きが鈍り避けきれずワイヤーが右腕に絡むが、血で滑りワイヤーから右腕を抜く事が出来た。しかしワイヤーが傷口に擦れて激痛が走ったのか腕を押さえて蹲る。

 

「不死黒君!」

「ハッ!あの方が評価し、無個性の英雄と呼ばれようが所詮はガキだ、な!」

「がぁああ」

 

 ウォルフラムは顔を上げた一騎の顔面に蹴りを叩き込みメリッサの足もとまで蹴り飛ばす。

 

「不死黒くん!」

 

 転がってきた一騎を守るように抱えウォルフラムを睨むメリッサ。そこでようやくデイヴィッドは気を取りもどしサムに声を駆ける。

 

 

「サム!これはいったい――サム!?」

 

 デイヴィッドの足もとに落ちているアタッシュケースを掠め取るとウォルフラムの元に持って行く姿を見てデイヴィッドは驚きの声を上げる。

 

「まさか…最初から敵に装置を渡すつもりで……!!」

「だ、騙したのはあなたですよ……長年貴方に仕えていたというのに……せめてお金ぐらい貰わないと割に合わない…」

 

 デヴィッドもサムに騙されていた。サムは誰かの為では無く己が為、それをさせたことにデヴィッドは自身の不甲斐なさを悔やんだ。

 

「早く金を!」

「あぁ約束の謝礼だ」

「な、なにをぐあ!!?」

 

 謝礼として大金を貰うはずだったサム。しかし謝礼はまさかの鉛玉だった。

 

「何故だ!約束が違う!」

「約束ぅ~?しらないなぁ~」

「なっ」

 

 用済みとなったサムにトドメを刺そうとウォルフラムは凶弾を放つ。その瞬間、デヴィットがサムを庇い撃たれてしまう。

 

「博士・・・どうして!?」

「に、逃げろ・・・!」

「パパぁ!」

「まってメリッサさん!」

「来るな!」

 

 大好きな父が目の前で撃たれたことで駆け寄ろうとするがウォルフラムはメリッサを殴り飛ばした。

 

「今更ヒーロー気取りか…無駄だな。どんな理由があろうとお前は悪事に手を染めた。俺達が偽物だろうが本物だろうがお前の犯した罪は消えない。敵の闇に落ちていく一方さ……ま、今のお前は俺の下でその装置を量産することぐらいだ……連れてけ」

 

「はい」

 

 メガネをかけてる敵に指示をだし、デヴィットを連行しようと動いた。

 

「返して……」

「ん?」

(メリッサさん!)

 

「パパを……返して!!」

 

 這いずりながらもメリッサは叫んだ。勇気を出して言い放った言葉を聞いてウォルフラムは下衆な笑みで銃口をメリッサに向ける。

 

「そうだな…博士の未練は……断ち切っておかないとな!!」

 

 そして引き金を引く。

 

「なぁ!」

「よぉ俺を忘れんなよぉ。瞬鉄・砕!!」

 

 弾丸が放たれる直前に一騎はウォルフラムに接近し銃口を上に向けさせる。そしてがら空きになった腹に強烈な一撃をたたき込み吹き飛ばした。

 一騎は腕が痛み蹲ったのでは無く、下手に追撃してメリッサや拘束された緑谷に危険が及ぶのを危惧した。そして蹴られた時も直ぐにメリッサを庇えるようにメリッサの元まで違和感なく行ったのだ。

 

 ウォルフラムを殴った衝撃で指に激痛が走るもそれを無視して叫ぶ。

 

「緑谷ぁ!何時まで拘束されてるつもりだぁ!」

「うっあぁああああああ!!」

 

 渇をたたき込まれた緑谷は無理矢理拘束を破り壁を足場にしてウォルフラムに向かうが彼は個性で鉄壁を作る防御する。

 

「メリッサさん!博士は助けます!だからみんなを!」

「うん!」

「メリッサさん!これを持って行って!!」

 

 緑谷と一騎の思いと一騎からスマホを浮け取りメリッサはコントロールルームに向かう。当然ヴィランはメリッサを追いかけるが、緑谷はメリッサの援護するために走り出すが目の前に鉄の壁が現れるが、緑谷は壁を乗り越えヴィランの前に出て足止めに成功すると。

 

「指が壊れても手自体壊れてなければイケる!掌底・発勁!!」

 

 鉄壁の向こう側から一騎の声が聞こえると同時にヴィランの居た横の壁は粉々になり瓦礫がダイレクトにヴィランに叩き込まれる。

 

「緑谷!ウォルフラムは?」

「え?い、いない!?」

「デヴィッドさんもだ、クソ逃げられた!!緑谷行くぞ!」

「うん!」

 

 

 ☆

 

 

「アミちゃん!起きて!」

 

《状況は既に把握しています。目的地に到着すれば私をPCに繋いでください》

 

「わかったわ!」

 

《そして私は島中の警備を通常に戻し島中にいるヒーローに緊急要請を出します。ですのでメリッサ様はセントラルタワーの警備状態と拘束を解いてください》

 

「任せて!」

 

 2人はこの後のことを話し終わると同時に制御ルームにある警備システムPCの一つにスマホを繋ぐと同時に、素早く正確にキーボードを操作し再設定する。すると非常事態を現していたモニターが次々と正常に戻っていく。

 

「やったこれで!」

 

《・・・!?》

 

 

 ☆

 

 

「グッ!」

 

 ウォルフラムが屋上に行ったと予想した一騎達は屋上に向かうも道中で一騎は今までのダメージからか足が止る。それに緑谷が心配するも一騎は先に行けと言い緑谷を先に行かすとできるだけ早く動き屋上を目指す。

 

《マスター!緊急事態です!》

 

「どうしたアミ!?」

 

《ヨル*1からのSOSメールを受信。才様が身代金目的でヴィランに連れて行かれました!!》

 

「はぁあ”あ”」

 

 一騎がウォルフラムを殴り飛ばすころに才子はヴィランが撤退するとき四大財閥の令嬢は金になるとの理由で誘拐されていた。

 それをしり一騎は体中から途轍もない覇気と殺気を醸し出す。

 

「アミ、屋上までの最短ルートを教えろ」

 

《はい。では横の壁を壊し外に出られるようにしてください》

 

 言われると一騎は深く息を吐くと勢いよく身体を回転させて回し蹴りで壁を破壊すると外の外気の風に晒される。

 

《マスターからみて左手にタラップ梯子が見えるはずです。それは屋上まで続いており通路を行くよりは早いはずです、まぁ落ちれば死にますが》

 

「上等!!」

 

 

 ☆

 

 

「博士を返せ!」

「なるほど、悪事を犯したこの男を捕らえに来たのか?」

「違う!僕は博士を取り戻しにきたんだ!」

「ガキが図に乗るな!犯罪者を助けて何になる!?」

「僕はみんなを助ける!博士も助ける!」

「どうやって助けんだぁ!?」

 

 ウォルフラムがデヴィッドに銃口を向けたことで緑谷は動けなくなる。その姿を見てウォルフラムは嘲笑うと鉄柱を作り緑谷に突っ込ませ緑谷を吹き飛ばす。

 

「全くヒーローってのは不自由だよなぁ!たったこれだけで身動きが取れなくなる!利口な生き方じゃないな。あのガキも愚女を守って重傷を負いホント利口じゃないぜ! 出せ」

 

 ヘリに乗り込み、操縦士に命令するとヘリは離陸するが、逃がすまいと緑谷は全力で走りヘリの足に必至にしがみ付く。

 

「ホント利口じゃないな」

 

 完全無防備の緑谷にウォルフラムは凶弾を放つ。しかしデイヴィッドが最後の足掻きとばかりにウォルフラムにタックルして銃弾は外れ防御に回されたフルガントレットに当たり緑谷は着弾は免れるが、その衝撃でヘリから落ちる。

 

「ふん、ヒーロー気取りのガキが」

 

 落ちて何かをわめく緑谷を見てウォルフラムは鼻で笑うとデイヴィッドと研究の資金源の為に部下に誘拐させた印照才子に目を向ける。

 

「・・・何が可笑しい」

 

 手を拘束され何も出来ないのに笑みを浮かべている才子をみてウォルフラムは怪訝に問いかけると才子は小馬鹿にした様に小さく笑う。

 

「いえ、ただ小物感丸出しで滑稽に思えただけでしてよ」

「なに?」

「ヒーローはまだ居ましてよ?なのにもう勝ちを気取って、それを滑稽と言わなくて何といいまして?」

「ヒーロー?さっきの人質を取られれば動くことの出来なくなるガキのことか」

「誰がさっきの方なんていいまして?私いっている1番のヒーローは別にいましてよ・・・お馬鹿さん」

 

 才子の言葉に怒りをあわらにしてウォルフラムは才子の額に銃口をつける。

 

「舐めるなよ小娘。お前は身代金目的の只の金づるだ。だが、別に殺しても問題は無い。なんなら命さえあればお前が誰に犯されていようがどうでも良い。言葉には気を付けろよ」

「そういうのが小物感を出していると自覚はありまして? あぁいえ、小物だから・・・気づかないのですね?」

「なに?」

 

 どう言うことだ!と言おうとした瞬間、背後に気配を感じ振り返るといつのまにか一騎が立っていた!

 

「よぉ久しぶり~」

「なっ!?」

 

 一騎はタラップ梯子をまるで階段を駆け上がるかのように駆け上がりあっという間に屋上までに行くと既にヘリが離陸寸前だった。

 そこで即座に万里ノ鎖を伸ばし緑谷がしがみついた逆のヘリの脚に引っかけ引き戻すことで引っ張り自分をヘリに近づけるとバレないようにしがみ付いていた。

 

 才子は一騎がいることに気づきウォルフラムに気づかれ無いようにわざと挑発気味に話して気を自分だけに向けさせていた。

 

「ガキがぁ!!」

「焔火扇ッ!!」

「ぐっがぁああ!!?」

 

 至近距離なのに腕を伸ばして銃を向けた所為で簡単に銃口を違う方に向けられ鳩尾に強烈な渾身右ストレートを喰らい操縦席にぶつかり吐血し意識が飛ぶ。

 

「よく俺が居ることに気づきましたね才先輩」

「フフ 女の勘よ」

 

 少し小首を傾げウインクしながら答える才子。そんな彼女に一騎は嬉しさからか小さく笑い声が漏れるも直ぐに気持ちを切り替え2人に近づくと肩に担ぐ。

 

「私は、いい。彼女だけでも」

「俺は緑谷みたいに優しくは無いんです。・・・責任は取って貰います、メリッサさんにちゃんと謝ってくださいね」

 

 既に屋上から20メートル以上は離れているのに言い終わりと共にヘリから飛び降りる一騎。

 才子は小さく悲鳴を上げるもヘリの中で意識を取り戻したウォルフラムが銃口を向けているのを目にする。

 

「一騎君!銃撃が来る!!」

「ッ!(もう!?やっぱり拳をちゃんと作れない所為か。こうなったら!)」

 

 撃たれるのは不味いと思い一つの対策を直ぐさま思いつくと才子に目を向ける。

 

「才先輩、俺に命を懸けてくれますか?」

「えぇ勿論」

 

 命を懸けるなんてもしかすると死ぬかもしれないないのに才子は一切戸惑うこと無く二つ返事で了承すると、一騎は驚愕の顔で見上げている緑谷に叫ぶ。

 

「緑谷ァ!!受け止めろぉおお!!!」

 

 そして思いっきりデイヴィッドを緑谷の方に放り投げると才子をお姫様抱っこの体勢を変えて才子の後頭部に手を回し頭が自分の身体で隠れるように身をかがめる。

 

 ウォルフラムはデイヴィッドの作ったアイテムと本人が目的。ならばデイヴィッドを殺す可能性があれば撃てないと一騎は確信した。

 しかし流石の一騎でも2人抱えたままだと着地と共に脚は完全に潰れるし2人へかける負担もデカいと思った一騎はどちらかを投げる事にしたウォルフラムはデイヴィッドを殺さないなら、デイヴィッドを緑谷に任せて才子を自分が死んでも守ると決めた。

 

「調子に乗るなよ! クソガキがぁあああ!!」

 

 一騎の予想通り怒りと共にありったけの弾丸が一騎に放たれる。

 一発二発は外れ、3発目はこめかみ4発目は左肩を掠り、そして最後の5発目でついに

 

「グッゥ!?」

「一騎君!!」

「大丈夫!この程度無傷! それよりしっかり捕まってください!」

 

 右脇腹を貫く。

 才子は悲痛な顔で叫ぶが一騎は笑顔で答えると静かに目を瞑る。

 

(エリクは確か虚空に点在する面を蹴るって言ってたっけ!!)

 

 目を見開き勢いよく虚空を蹴る! すると!

 

 ――スカ

 

 何も起きない。

 

(出来るわけないよなァ!クソ!! こうなれば)

 

 自分の両足は砕けても良いから才子だけは絶対に守ると決めて才子をしっかりと抱きしめ着地体勢を取る、と同時に足もとに巨大な氷の滑り台が現れ滑り落ちる。

 

「轟!?ユエ!!」

 

 下の方に轟とユエを初め八百万達もいるのを確認する。

 

「轟さん!ナイス位置です!皆さん一緒に受け止めますよ!」

「あぁ!」

「モチのロン!」

 

 滑り落ちてきた2人をユエ達は受け止めると才子を下ろし立ち上がった一騎の浅くだが肉が抉られた右腕に貫かれた右脇腹、その他軽傷多数を見て皆は驚愕した。

 

「お兄様!怪我の治癒を!!」

「俺はいい!ユエは才先輩を守ってくれ。皆は此所で臨界体勢で待機!」

 

 軽く指示を出し終わると走り出す。

 

「もう大丈夫!何故って!?私が来た!!」

 

 一騎が走り出した直後にオールマイトがタワーの外から跳躍か外壁を走ってかで屋上まで昇ってきて登場を告げるとヘリを破壊する。

 そして一騎は一瞬冷たい目をオールマイトに向けた。

 

毎度来るのが遅いんだよ。・・・デイヴィッドさん怪我は」

「君の方が重傷だろう」

「この程度重傷な訳無いでしょ」

 

 デイヴィッドやメリッサの心配を余所にするが、後方でユエが「十分重傷ですよお兄様!!」と叫び頬を膨らませ八百万が宥めていた。

 

「デイブ!無事かい!?」

「オールマイト、私は」

 

 デヴィットが改まったような口を開く…だが

 

「ガッ!?」

 

「「「「!?」」」」

 

 突然『鉄柱』が飛び出し、オールマイトを吹き飛ばし一騎も吹き飛ばそうとするが一騎は危険を察知し、ひらりと身を翻し躱す。

 

「うっ!?・・・・ハァハァ」

 

 躱すのは良かったがその所為で撃たれた横腹が突っ張り激痛が走ると同時に膝を着き吐血する。

 

「不死黒君!?」

「ぱ、パパ!!」

 

 吐血した一騎に緑谷は気を取られ隙が生まれてしまいデイヴィッドの体に鉄線が巻きつき、連れ去られてしまった。

 そしてみんなが見たのは金属がウォルフラムの方に集まっていき巨大な何かになっている姿だった。

 

(あれがデイヴィッドさんが作った発明品。薬物無しであそこまでの個性強化を出来るのか!!・・・っ)

 

 だらりと冷や汗を流しながら驚愕しているとき、一騎は視界に今にも走り出しそうにしている緑谷が入ってしまい溜め息をつく。

 

「緑谷、行きたいんだろ?」

「うん」

 

 オールマイトがウォルフラムに首を掴まれる。

 

「オールマイトを助けたいんだろ?」

「うん!」

 

 オールマイトの悲鳴が響く。

 

「何時もの様にお節介をしたいんだろ?」

「うん!!」

 

 オールマイトが鉄柱に挟まれ更に大量の鉄柱がオールマイトを挟み込み押しつぶし、トドメとばかりに大量の槍状の鉄柱が貫く。

 

「この場は俺等に任せて、行ってこい!!!」

「っ!! うん!!!!!」

 

 バシン!!と強烈な音が鳴るほど強く緑谷の背中を叩く、すると綠の閃光がオールマイトの元に一直線に走りオールマイトを閉じ込めている鉄を破壊した。

 

「・・・ハハ、ホント・・・・・ホントに・・・・よし!メリッサさん皆の所に行きますよ」

「う、うん」

 

 メリッサの手を取りユエ達がいるところまで走って戻る。

 

「お~に~い~さ~ま~!!」

「ご、ごめん」

「ムー!」

「うっ八百万!」

「無力な私には庇えませんわ」

「才先輩!」

「ごめんなさい、私に振らないで!」

 

 助けを求めるも自分に非がありすぎて逃げられない一騎。そして頬を膨らませ怒るもちゃんと一騎の怪我を治すユエ。

 

「不死黒!ここは俺達に任せて行ってくれ!」

 

 轟の言葉に意識を切り替えて前を見ると緑谷とオールマイトが2人ならんで走ってるのを視界に捕らえると、ユエが焔丸を一騎に差し出す。

 

「お兄様」

「・・・あぁ」

 

 焔丸を受け取ると一騎からエンジン音のような音が鳴りゴォォオオオと特殊な呼吸音が聞こえる。すると直ぐに体表面が赤くなる。

 

――モード・阿修羅。

 

 

「ここは任せた!」

 

「「「「「「はい!!/おう!!」」」」」

 

 返事が聞こえると同時に一騎の姿がその場から消える。

 

 

 

 

 

「行くぞ!緑谷少年!!」

「はい!」

 

 

 

 2人の強烈な一撃に耐えるためにウォルフラムは体を大量のワイヤーや鉄線で体を覆うが、次の瞬間にはその全てが切り刻まれた。

 

「ッ!!」

 

 ウォルフラムは一騎の接近に気づかなかった、理由は緑谷とオールマイトに気を取られ一騎に意識を向けていなかったから。

 では無く、一騎は常にウォルフラムの死角に入るように移動し更には遮蔽物や物陰に身を隠し移動していたからだ。

 

「この、ガキがぁアアアアアアア・・・「逃げんな」 ッ!?」」

 

 怒りのまま叫ぶが一騎の声を聞いて目を見て、声が息が詰まる。

 

「テメェは地獄行きだゴミ野郎」

 

 一騎の向けた目は、殺気はヴィランですら恐怖し体が硬直してしまうほどのモノ。

 

「「DOUBLE DETROIT SMASH!!!!」」

 

「しまっ!? グッああああああああ!!」

 

 2人のSMASHが叩き込まれた時に一騎はその場を離れデイヴィッドの元に行くと拘束していたワイヤーや鉄パイプを切り刻み助け出すとデイヴィッドを連れその場から飛び退く。

 

「すまない不死黒君」

「だから謝る相手が違いますよ」

 

 離れた所でデイヴィッドを下ろすとゆっくりと息を吐いて気を落ち着かせると心音は通常に戻り体色も元に戻ると緑谷の元に歩き出す。

 

 心配してメリッサが緑谷の方に駆け寄り、ヴィランを倒したことでみんなが歓喜の声を上げ、油断した。

 

「あぁあああああ!!」

 

 あり得ない程の執念でウォルフラムが瓦礫から飛び出しメリッサに襲い掛かる。

 オールマイトは動こうとするも既に活動限界で動けず緑谷は動けたがあと一歩間に合わなかった。

 

「いい加減にしつこい」

 

 ウォルフラムの魔手がメリッサに届く寸前で一騎が間に入り魔手を弾くと硬く、ギチギチと音が鳴るほど硬く拳を握る。

 

「けどちょうど良い。これはメリッサさんを殴った分と才先輩に銃を突き付けた分だぁ!!」

 

 力強く踏み込み思いっきり拳を振るう。

 

「金剛・火天ノ型! 瞬鉄・砕ィ!!」

 

 強烈な一撃がウォルフラムの顔面に叩き込まれ吹き飛ばす。地面に数回バウンドしながら瓦礫の山に激突したウォルフラムは遂に動かなくなり完全に意識を失う。

 指の怪我を治して貰ってようやくちゃんと殴る事が出来て一騎はスッキリした表情を浮かべる。

 

「大丈夫ですか?」

「うん。また助けてくれてありがと」

「いえいえ」

 

「不死黒君動くの凄く早かったね」

「重り外してたからな。体が軽い軽い」

「・・・」

 

 肩を回しながら答える一騎に緑谷は重り外しただけであそこまで早く動けるんだと若干引いていた。

 

 元気に「おーい」と声をかけるユエ達に3人は手を振り替えして皆の元に向かう。

 

「あ」

 

 急に一騎は立ち止まり恐らくウォルフラムを殴り飛ばした衝撃で外れたのであろう個性増幅装置を拾い少し眺めたあと握りつぶす・・・ことはせずに殴った衝撃で所々壊れていたために後ろに軽く投げ捨てた。

 

「どうしたの不死黒くん?」

 

「いや、なんもないですよ。・・・・・・・って!」

 

 

 メリッサの言葉に応えてから歩きだすも直ぐに立ち止まり気づく。

 

「証拠品で要るじゃん!!」

 

 叫んでから慌てて個性増幅装置を探しに行く。

*1
アミの後期型にして才子のサポートAI





最後の最後に締まらない一騎でした。笑笑


次回「I・アイラン④」


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